三大珍味

Last-modified: 2019-11-18 (月) 00:18:14
980 名前: 三大珍味 投稿日: 2003/10/23(木) 18:15 [ 6UVTIeII ]
「ナニモナイデチネ・・・。」
ちびギコは空になったゴミ箱を見てため息をついた。同時に腹の虫が空腹である事を
彼に知らせる。
もう3日近く水以外のものを彼は口にしていなかった。
「ナンデコンナカワイイちびタンガ、ヒモジイオモイヲシナクチャイケナインデチカ
 ・・・。」
餌をさがす事も面倒になったちびはそこでウトウトと眠りについてしまった・・・。
「坊や、起きなさい。」
優しそうな声に反応し、目を覚ますちび。目の前にはスーツ姿のモララー族の姿があ
った。ちびは思わずその場から逃げ出す。
過去に仲間を殺されているちびには、モララー=虐殺厨という図式が彼の頭の中にし
っかりと記憶されていたからである。
「あ、待ちなさい。」
モララーは逃げていくちびの首根っこを捕まえるとこう切り出した。
「坊や、こんなところにいたら飢え死にしてしまうよ。私のところにこないかい?美
 味しい食べ物をいっぱいご馳走してあげるよ。」
「ソンナコトイキナリイワレテモ、シンジラレナイデチ!」
ちびは精一杯強がって見せたが、腹の虫は素直にグゥと大きな音を立てた。
「ハッハッハ。体は正直じゃないか。まあ信用できないのも無理はないね。だったら
 これをあげよう。」
モララーは胸ポケットから棒状のカロリー食を取り出すとそれをちびに手渡した。
「ク、クレルンデチカ?」
「もちろんだよ。」
ちびは少しためらいながらもそれを彼の手から受け取った。袋を破りカロリー食を口
いっぱいに頬張り、勢いよく食べる。
「もし私の言うことが信用できるようになったら、ここに来なさい。それじゃあね。」
そういうとモララーは住所を書いたメモをちびに手渡すとその場から去っていった。

                                   続く

981 名前: 三大珍味 投稿日: 2003/10/23(木) 18:52 [ 6UVTIeII ]
「オナカスイタデチネ・・・。アノオジサンノトコロニイケバモットオナカイッパイニ
 ナレルカモシレナイデチ・・・。」
ちびは以前渡してもらったメモ用紙を手掛かりに、親切なモララーがいる家へと向かっ
ていた。
「ココデチカネ・・・?アッ!」
ちびは思わず声を上げた。モララーの住む家はまるで昔話の王族が住むような豪華な屋
敷だったからだ。そこには同じちびギコ種が大挙していたのだ。話を聞いてみると、彼
等はちびとほとんど同じ経緯があってここに来たのだという。
「ココニキタラタベルモノモ、ネルバショモシッカリアルッテ、アノオジチャンガイッ
 テタデチ!」
「フサタンハブルジョワダカラ、コウキュウシコウナンデチヨ!」
各々が勝手我侭な事ばかり話したり、これからの事を話し合う。するとあのモララーが
姿を現した。
「やあ、みんなよく来たね。外で立ち話もなんだし家の中へ入りなさい。」
「ハーイ!」
嬉しそうに声を上げるちび達。屋敷の応接間へと一行は通されると、それを待っていたか
のように召使らしき人々がお皿いっぱいの料理を持ってきた。
「さあ、みんなおかわりは自由だよ、たっぷりと召し上がれ。」
「ワーイ!!」
沢山あるご馳走の山に飛びつくちび達。中には嬉しさのあまり涙を流しながら食事をして
いる者もいた。
「オイシイデチ!イママデノクロウガヨウヤクムクワレタンデチネ!」
「オナカイッパイタベルデチ!」
「ハッハッハ。そんなに慌てて食べると危ないよ、慌てなくてもご馳走は逃げないんだか
 らゆっくり食べなさい。」
やがて、ちびギコ達は満腹になると食べ疲れからか大欠伸をして眠り始めた。召使達はそ
っとちび達を起こさないように彼等が食い散らかした食べ残しや空になった食器を片付け
ていく。やがて召使が悪態をついた。
「こいつら肉ばっかり食って、魚や野菜にはほとんど手をつけてないぞ、ゴルァ。」
「幸せそうなツラして・・・これから自分達がどんな目に会うかもしらずによ・・・。」
ぐっすりと眠るちび達を起こさないようにして召使達は部屋から出ていった。

                                     続く。

982 名前: 三大珍味 投稿日: 2003/10/23(木) 19:17 [ 6UVTIeII ]
それから半年あまりの月日が流れたであろうか。
ちびギコ達は屋敷の中で食べては寝て、寝ては食べての生活を送りつづけていた。当然の
事ながら運動らしい運動もまったくせず、ブクブクと太った脂肪の塊へとその姿を変えて
いた。
「ダンダンココノショクジニモアキテキタデチネ~。モットメニューニクフウガホシイデ
 チヨ。」
「ソレヨリモ、デザートノカイゼンヲ、ヨウキュウシタホウガイイデチヨ。」
「フサタン、タベルノメンドーダカラ、カワイイメイドサンニ、タベサセテホシイデチ!」
脂肪の塊が我侭な論議を始めていたその時、例のモララーが姿を現した。
「アッ、チョウドヨカッタデチ、ジツハ・・・。」
のそのそと床を這いずる様にモララーに近づくフサ。と、モララーは表情を変えることな
くフサの耳を引き千切った。
「ヒギャアアア!!ナニスルンデチカ!カワイイフサタンノオミミガァァァァ!!!」
「何がカワイイだ。醜い糞ゴミの分際で・・・。」
「ナンデコンナヒドイコトヲスルンデチカ?オジサンハヤサシイモララーノハズデチ!」
「黙れッ!お前達には十分すぎるほどの飯を食わせてやったんだ。そろそろそのお代を払
 ってもらうぞ。」
フサの叫び声に反応したのかちび達はその部屋から逃げようとする。しかし慢性的な運動
不足のためか緩慢な動きしかとれない。と、部屋の扉が開くと同時に召使達が一斉にちび
達を取り押さえた。
モララーは耳を引き千切ったフサをテーブルに仰向けにして叩きつけると両手両足を5寸
釘で打ちつける。痛みのあまりフサは絶叫する。モララーが召使達に顎で指示を出すと彼
等はテーブルを倒し、ちび達に打ちつけられているフサを見せ付けた。
「あー。君達。今までいっぱい美味しいものを食べてきたね。それはね、なにも慈善事業
 でやったことじゃないんだよ。今からそれを教えるからよーく見ておくように。」
モララーは先程までとはうって変わった穏やかな表情で説明を始めた。彼は手にした刃物
をフサの胸部に突き立てるといっきに腹部まで引き裂いた。
「ヒギャアアアアア!!!!」
フサの叫びが広い部屋内に響き渡った。
                                   続く。

983 名前: 三大珍味 投稿日: 2003/10/23(木) 19:55 [ 6UVTIeII ]

鮮血が噴き出し、見ているちび達の顔を染め上げる。恐怖のあまり失禁するちびもいる。
ズルリと腹の中の内容物が流れ落ちる。
「ボクノオナカ・・・オナカ・・・。」
フサはそう呟くと死んだ。モララーは臓器のひとつに目をやるとそれをとりあげちび達
の目の前に差し出した。
「これはね、肝臓というものだよ。これはね、ぃょぅのふぐり、しぃのオミミに並ぶAA界
 の三大珍味の一つなんだ。」
「マ、マサカ、ソノタメニチビタチヲ・・・。」
ちびギコの一匹が震える声で呟く。
「その通り!特に脂肪分が多い肝臓ほど高く買い取ってくれるからね。だから君達におなか
 いっぱい食べさせてあげたのさ。」
「ソ、ソンナノイヤデチィィ!!コンナカワイイチビタンヲ、コロスナンテリョウシンガイ
 タマナインデチカッ!?」
「ハッハッハ!わかってないねえ。殺すんじゃないよ。君達は食料として奉仕するんだ。何
 の意味もなく死んでいくんじゃあないんだよ。さあ、それじゃあ始めようか。」
モララーが指をならすと精肉屋が身につける厚手のエプロンを身に着けた召使達が手にした
肉斬り包丁を振りあげちび達を斬り付けていく。
辺りは一瞬のうちに惨劇の場へと変化した。
「おい、そこの糞デブチビ!いままでたっぷりと贅沢させてくれたんだ、もっと楽しませろ
 よ!!」
「ヒギャアアア!!タスケテデチィィ!!」
「好き嫌いする香具師は逝ってヨシ!だからな!」
「ミケタンのアンヨガァァァ!!」
「こらこら、毛皮はバックやコートにして売りさばくんだから、なるべく傷はつけるんじゃ
 ないぞ。」
モララーは阿鼻叫喚の地獄絵図を目の前にして呑気に煙草の煙をくゆらせている。と、一匹
のちびが彼のもとに走り寄って来た。
「オネガイデチ!イママデゼイタクシタブンハタラクカラ、タスケテクダサイデチ!!」
「ジブンダケタスカロウトスルナンテ、ズルイデチヨ!!ボクモイッショニタスケテクダサ
 イデチ!!」
「あー、もううるさいなあ。二人とも仲良く死になさい。」
そういうやいなや、モララーは懐から肉料理用の包丁を素早く取り出すと二匹のちびを腹部
を横一文字に切り裂き、瞬時に肝臓を取り出した。
何が起きたのか分からないまま、二匹のチビは自分達の出した血の海に倒れこみ、絶命した。
「うむ。良質の肝臓だ。」
生々しい光を放つ臓器を見て満足げなモララー。周りを見回すと全てのちびは死んでいた。
「さすがですね、見事な腕前でした。」
「君達の調理の仕方にはまだまだ無駄な動きが多いな。それでは一人前にはなれないぞ。後
 始末はしっかりとしておくように。」
「はい、料理長!」
彼の正体はAA界にその名を広く知られた高級料理店『SITARABA』の総料理長。
モラ井=五三郎その人であった。と、胸元の携帯電話が鳴り響く。
「はい、あ、オーナー。ええ新鮮な食材が入りましたよ。さっそく今から持ちかえります・・
 ・・。それでは。」

                   ~糸冬~