刺繍

Last-modified: 2015-06-11 (木) 21:45:05
182 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/04/11(金) 06:23 [ RfVPXGSc ]
1匹のしぃが間抜けなステップと歌でヒョコヒョコと公園に向かっていた
「キョウモ ゲンキニ シィシィシィ♪ミンナ ナカヨク ハニャニャニャニャン♪」
尻尾が上機嫌に動きしぃは満足そうに目を細めた、今日は彼女の誕生日、従妹のエーが祝ってくれる
そして、あさってはエーの誕生日。しぃはエーにかわいい花束あげるつもり
家に帰ると弟のチビギコちゃんやエーがプレゼントを用意して待っていた、うれしくて何度も何度も礼をするしぃ
「チビチャン、エーチャン、アリガトネ!」
けど幸せはこの日まで、次の日になったとたんに不幸がやってきた
チビちゃんエーへのプレゼント、探すためにお出かけです、エーちゃん今日の晩御飯、材料探してお出かけです
一人で留守番するしぃは薄緑のまっさらな布にしぃとは思えないほどの上手い手つきで祝の言葉を刺繍する
「…ヨロコンデクレルヨネ…?」
その出来栄えはその直後に消されてしまう

空に飛行機が飛んでいた、軍隊の飛行機が飛んでいた。その胴体には「しぃ族一掃作戦」の文字
彼女の家の裏庭に、強力な爆弾が降って来た 彼女を殺す為降って来た
爆風で飛ばされた木材がしぃの腹を切り裂いて、その血で布はべとべとに、幸せ一気に吹き飛んだ
しぃは身体を引きずって、壊れた玄関まで出たよ、血塗れの布を持って出たよ
血があまりにも失われすぎて、もう虫の息だった。それでも這って出てきたんだ
そのとたん、地上軍が彼女の皮をはがしていった 苦しみを与えて殺し見せしめにするために
「シィィィィィ!!!!」
綺麗な刺繍の合った布、彼女ががんばって刺繍したのに…もう血塗れで判らない・・・