呪縛

Last-modified: 2015-06-20 (土) 12:26:56
866 名前: diary 投稿日: 2003/09/09(火) 03:10 [ RoTYzRdQ ]
1私はいつも通り朝の七時ごろに目覚めた。今日は待ちに待った休日。
休日ならもう少し寝てた方が良いだろうと自分でも思うのだが、昼頃に起きると
何だか折角の休日を損したように感じるので、私は休みでも早く起きる。

2会社がある日と同様にシャワーを浴び、それから髭を剃り、髪型を整え、
朝食を作り食べた。この一連の軍隊式とでもいうの行動を終わらせて、私は散歩に行くことにした。
外はひんやりとした風が吹いて気持ちいい。もう秋だ。
私はのんびりと近所を散策していると、毎週この時間にランニングしている
おじさん、犬の散歩をしているお姉さんを見かける。それに加え最近はしぃや
ちびギコを見かけるようになった。

3一週間後・・・・
再び二日の休みがやってきた。さて、今週は何をしようかな?などと考えながら
朝の散策をしながら私は考えていた。何か変だなぁ
そうだ!いつものランニングしてるおじさん、あっ、犬と散歩してるお姉さんが
いないからか!などと一人で考えて歩いた

4月曜日になってしまった。あーあ、また仕事だよ。私はいつも通り憂鬱な気分のまま
朝食を頬張る。この月曜日はいつもの月曜ではなかった。
テレビをつけると近所の光景が映されている。あっ、うちの近所だ。などと
ぼんやりとブラウン管の映像を見ていた。だが、それは寝ぼけている私を驚かせた。
ランニングおじさんが死んでしまったのだ。それだけではない。
犬と散歩していたお姉さんも怪我をしてしまったらしい。
しかもだ。原因が分からないのだ。お姉さんは気がついたら意識がなくなって怪我を
していたらしい。
おかしい・・・・。
でも考えても答えが出ないので、物騒になったものだと思いながら出勤した。
続

867 名前: diary 投稿日: 2003/09/09(火) 03:11 [ RoTYzRdQ ]
5また二日の休みが来た。軍隊式の朝の一連の活動を終えた私は朝の散策に行く。
そういえばこの辺で何かあったんだな。などと考えながら歩いていた
その時だ。公園の植物の植え込みの中からしぃとべびしぃニ匹が現れた。
『ナニカタベモノヲオイテイキナサイ。サモナイトケガスルワヨ!』などと親はいう。
よく見ると鈍器を持っている。その鈍器には血のようなものがこびり付いていた
そうかっ!こいつらが犯人だったのか!
親は私にじりじりと近づいてくる。そして飛び掛った!
『うわっ!』私は間一髪で避けた。
しぃは弱いと言うがコレは大間違いだ。最早違う生物と言ってもよい。
私は逃げようとした。でも、何かが足を引っ張っている。
ちびギコとちびしぃだ。合わせて十匹近くいる。
非力だといえ、逃げるのにはかなりの負担だ。
『シィタソ!ハヤクヤッツケルデチ!ニンゲンナンテザコデチ!』
『オマエモバカデチネ!サッサトクイモンヲヨコセバイイノニ』
『シンデクダサイ!』などとぬかしている
ゴンッ!
しまった・・・・こいつらに気をとられて肝心のしぃを忘れていたよ
くっ、意識が・・・・
私の頭の中で幼少の頃の記憶が蘇る。
あっ、ムクじゃん。小さい時俺、犬飼ってたんだよなぁ。
頭の中の映写機は次の画像にスライドする
ムク死んでる・・・・。俺、一週間近くは泣いてたっけ
でも、何故死んだんだっけ?・・・・!!そうだ!!
殺されたんだ!こいつらに
ここで私は意識を取り戻した。

6むくり、と私は無言で立ち上がる。
まだ私を蹴っていたちびギコ一匹を片手で持ち上げた
『ナニスルンデチカ!サッサトソノキタナイテヲハナスデチ!』
『・・・・死ねよ』
『エッ?ヒギャァァァァァァァァ!!チビタソノチソチソガァァァ!!』
私はちびギコの象徴をもいだ。一瞬でもぐのではなく、じわじわと力をかけて
もぐいだ。
『ヒック、ヒック、モウチビシィタソトセクースデキナイデチ・・・・。』
しばらくするとちびギコはは顔面蒼白になり、愕然としていた。
『セメテイノチダケハタスケテクダサイデチ!』
さっきの態度と一変して弱気になっていた。ある種人間も似たようなものかも知れないな。
『君は雄として生きている意味がもうない。もう死ななきゃいけないんだ』
私は動けないソレの頭を踏み潰した。
あっけなくそれの頭は飛び散った。汚い脳の中身を飛び散らせて

7残りのちび、そしてベビしぃは怯えて動けなくなっている
『ヨクモヤッテクレタワネ!コノギャクサツチュウ!』
親しぃが再び私に襲い掛かってきた
私は飛び掛ってきた親を直接キャッチした。
『ハニャッ!?ハナシナサイ!!シィィィィ!!』
五月蝿く騒ぐ動物の頚椎を折ってやった。少なくともしばらくは動けないだろう。
気付くともう大半のちびギコは逃げだしていた。
ちびしぃ一匹を残して。
ちびしぃは必死に仲間に『フッカツシテクダサイ!』と言い続けている。
ちびしぃは歩み寄ってくる狂気、すなわち私の影に気付く。
『オナガイデス・・・・モウユルシテクダサイ』
『命って、平等じゃないんだ。』
私は近くに落ちていたガラス瓶を割り、鋭いガラスのカケラでちびしぃの腹を裂く。
血が噴出す。
命の輝きが迸っている。でも命は有限。限りがある。
血はやがて流れなくなり、しだいに弱っていく。
『さてメインディッシュだ』
弱ったちびしぃの腹の中から腸を引き出した。
そのときの悲鳴は美しかった。あらゆる物を凌駕した。まさに生命のチカラ
ちびしぃの腹からは赤子が出てきたのに気付く。未熟児なのでもうすぐ死ぬだろう。
楽にしてやる。プチッ
一瞬だった。
続

868 名前: diary 投稿日: 2003/09/09(火) 03:12 [ RoTYzRdQ ]
8私は帰ろうとしていた。
でも、べびしぃの泣き声で始末するのを思い出す。
ベビたちは弱っている母親を見て泣いている。母親もベビたちを心配している。
『マァマ、シナナイデ!』
『ナッコシテアゲマチュカラ・・・ビエ~ン!!』
でも、母親は声を出すことも出来ない。
しかしこれがこの世の掟なのだ。
『今、お姉ちゃんのところに送ってあげるよ。』
『ホントォ!?』
ベビは特有の笑顔で私をキラキラした希望の眼差しで見つめる
『ああ、あの世だけどね。』
『エ?チィィィィィ!!』
私は片方のベビを掴み、徐々に力をかけていく。
叫び声はしだいに弱くなっていき、最期には静かになった。
そして肉のカタマリになった。

9母親は口をパクパクさせながら何かを訴えかけている。
でも、関係ない。もう死ぬのだから。
さっきから泣き続けているベビを優しく抱擁してやった。
しばらくするとベビは
『ナッコナッコ♪』と嬉しそうにはしゃいでいる。
愚かな生物だ。さっき姉妹を殺されたことを忘れている。欲深き生物めが
『でも、もう終わりなんだよ。』
『チィ?』とベビは不思議そうに首をかしげる。
私にはその光景が滑稽に見えた。
『これで最期だ。』
私は徐々に力を加えてベビを抱擁した。
『チィ!?イタイヨゥ!ヤメテェ!チィィィィィ!!・・・・』
骨が折れる音。
そしてベビの悲鳴。
どうやら内臓も破裂したみたいだ。
亡骸二体を動けぬ母親の元に置いて私は去った。
『どうだい?君も失う悲しみが分かったかい?君は殺さない。この呪縛に囚われて生き続けるんだ。
そして生涯を終えるんだ。じゃあ・・・』
親は放心して何も言えない様だった。
この調子ではあのしぃは長くはないだろう。
そういい残し私は去った。
私も呪縛に囚われた囚人なのかもしれない。
そう私は心の中で苦笑して岐路を歩いていった。
Fin