復讐~妹をしぃに殺されたモララーの話~

Last-modified: 2015-06-05 (金) 01:09:16
270 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/15(土) 18:52 [ APPkhCY. ]
こういったのもアリですか?

妹は、夏休みの臨海学校を目前にして、殺された。
妹が亡くなってから既に10年が過ぎていた。

田舎を離れて都会で学生生活をしていたモララーの元に
母親からの電話がかかってきたのは、つい一週間前の事だった。
「帰ってくるんでしょ?」
モララーが電話を取るなり、母親は開口一番にこう聞いた。
クーラーが効き過ぎているほどの部屋で、モララーは母の言葉を聞いていた。
伺いをいれるような、母親の声だった。
妹の事を早く忘れたくて、逃げるように都会の学校へ進学してそのまま就職した。
その間約8年。一度も田舎には帰っていなかった。
実家に帰れば、嫌でも妹の事を思い出してしまうのをモララーは知っていたからだ。
モララーにとって妹はとても可愛い存在だった。
歳の離れた兄妹で、モララーはどこへ行くにも妹を連れていった。
幼稚園に上がる時には制服一式も買い揃えてやり、
小学校に上がる時には、自分のバイト代をコツコツと貯めてランドセルを買ってやった。
いつでもモララーの後を追いかけて「にいちゃん、にいちゃん」と言ってくる妹が
可愛くないはずは無かった。
「ねぇ?聞いてる?おにいちゃん。」
しばらくの間無言でいたモララーに対し、電話口の母親が怪訝そうに尋ねる。
妹が亡くなった後でも、母親はモララーの事をおにいちゃんと呼んでいた。
「えっ?ああ。…そうだね。今回は早めに休みを貰えそうなんだ。今年は帰る事にするよ。」
モララーはじゃあまたね。と言って電話を切った。
母親の声が弾んでいた。

モララーはあることを実行する為に、帰省を決意していた。

2ヵ月後、モララーは新幹線のホームに立っていた。
3月の下旬、田舎では、そろそろ雪解けの頃だろう。
車内でうとうとしているうち、モララーの故郷へと新幹線は到着していた。
そこから、バスに乗り換えてしばらくすると、
モララーの実家の近くのバス停へと到着した。モララーはバスを降りると、
ある所へ向かって歩き始めた。

「キョウモナカヨク シィチャン ダッコ♪」
「ミンナダッコデ マターリハニャニャン♪」
しぃたちが、神社の境内で楽しそうに歌を歌っている。
その様子を物陰からしばらくの間見ていたモララーにあの時の光景が甦った。

271 名前: 270 投稿日: 2003/02/15(土) 18:54 [ APPkhCY. ]
夏休み。
妹は、臨海学校で使う水着や浮き輪を買うために街へ買い物に行った。
おにいちゃんから貰ったお小遣いを大事そうに財布に入れて。
妹は、臨海学校をとても楽しみにしていた。
生まれて初めて海が見れる臨海学校の日を指折り数えて待っていた。
妹が買い物を済ませて家に戻る途中、
しぃ達が買い物袋を持っていた妹に声をかけた。
「ハニャーン!ダッコシテ!」
「嫌よ。だって荷物を持ってるもの。」
妹は、しぃ達の前にデパートの紙袋を掲げて見せる。
「ナーンダ ソンナノステチャエバ イイジャナイ。」
一匹のしぃが妹のもっている紙袋を取ろうとする。
「何よ。やめて…アッ!」
もう一匹のしぃが妹の手から紙袋を奪い取った。
「ちょっと!なにすんのよ!」
妹は、しぃの手から必死で紙袋を奪い返そうと必死だ。
「返しなさいよ!ちょっと!」
「シィヲダッコシナイカラ イケナインダヨ!」
「ソウダヨ! シィノコトヲダッコシナイヒトハ ギャクサツチュウナンダカラネ!」
しぃたちは、紙袋を田んぼのあぜ道に放り投げた。
「…!なにすんのよ!」
妹は、顔を真っ赤にしてしぃ達に向かって怒鳴りつけた。
兄の気持ちを踏みにじられた気がした。
「バカミタイ!ダッコシテクレナカッタ ソッチガワルイノニドウシテ シィチャンヲドナッタリナンカスルノ?」
「ソウヨ!シィチャンヲ ダッコシナイノハ ギャクサツチュウノ ハジマリダッテ ママガイッテタヨ!」
「コンナ ヤツ ヤッツケチャイマショ!」
しぃ達が、あぜ道に転がった紙袋を取ろうとしている妹に襲いかかった。
「キャッ!やめて!ちょっと…よしてよ!」
しぃ達は妹の体を押さえつける。
「イチバンシィチャン イッキマース!」
一匹のしぃが、妹の顔をめがけてビンタを繰り出す。
ザシュっと言う音が、田んぼ一面に響き渡った。
「いやぁぁっ!」
妹の顔から血がボタボタと流れてきた。
しぃの手のツメが妹の顔を引っ掻いたのだ。

「チョット…イキシテナイヨ。」
妹を散々に傷つけた後で、しぃ達は我に帰って青ざめた。
「ヤダ チョット シィ オマワリサンニツカマルノ イヤダヨ。」
「ニゲチャオウヨ!シィタチハ ナニモワルクナイノ!」
「シィタチハ ギャクサツチュウヲ ヤッツケタダケ!」
「ソウダヨネ!コレハセイギノタメニ ヤッタコトダモンネ!」
しぃたちは都合良く言い訳をしながら、妹の死体をその場に置き捨てて逃げていった。

田んぼのあぜ道で死んでいる妹を見つけたのは、
バイト帰りの兄、モララーだった。

272 名前: 270 投稿日: 2003/02/15(土) 18:55 [ APPkhCY. ]

今、自分の目の前で歌を歌いながら遊んでいるのは、あの時のしぃ達の子孫だろう。
そう考えるとモララーはもう、いても立ってもいられなかった。
ー今こそ復讐の時が来たんだー
モララーはしぃ達に向かって歩き出す。
しぃ達が自分たちに向かって近づいてくるモララーに気付く。
「ハニャ! シィ イマトッテモダッコシタイノ!ダッコシテ!」
一匹のしぃが無法備にモララーにダッコをねだる。
こんな田舎だと自分たちを殺すものもいないと思いこんでいるのだろう。
「シィモダッコ!」
「シィガサキダヨゥ!」
その場にいたしぃ達が我先にとモララーの所へと駆け寄った。
「そんなにあわてなくてもダッコしてあげるよ。」
モララーはそう言うと、一匹のしぃを抱き上げた。
「ハニャーン!ダッコ!」
モララーはしぃをダッコしたまま歩き出す。
「ハニャ?ドコイクノ?」
「ダッコはゆっくりしたいからね。みんな平等に5分ずつ静かなところでダッコしてあげるよ。」
「5フンモ!?ハニャーン!シィウレシィヨ!」

モララーはしぃを連れて神社の裏側へと入った。
「ここでゆっくり殺してやる。」
モララーはしぃの耳を荒々しく掴んだ。
「ハニャ!イタイ!」
しぃはバタバタと暴れながら、逃げようと必死だ。
「黙れ!」
モララーは持っていたハンカチをしぃの口の中に詰め込んだ。
そして、地面にしぃの体をねじ伏せると、
しぃの足を用意していた小型のオノで切りつけた。
「ハヒィィィィーーー!ヒィノアンヨォォォーー!」
ハンカチを口の中に詰め込まれたまま、しぃは絶叫する。
だが、その声は誰にも届いてはいないのだろう。
誰一人として駆けつけてくれるものはいなかった。
「次はこの手だ!」
モララーは這いずりながらその場から逃げ出そうとするしぃの片腕を、
血液にまみれたオノで切りつける。
「ハヒィィィィィ!ヤベテェェェ!イダイヨゥ!!」
しぃは汚らしい血液を地面の上に撒き散らしながら、激痛に転げまわっている。
「やかましい雑巾だなぁ!」
モララーの足が転げまわっているしぃの顔を蹴り上げる。
「ヴァーーッ!イダイーーーッ!」
「妹の仇だ!妹が死んだのはお前達のせいだ!」
モララーの脳裏には田んぼのあぜ道で泥だらけになって倒れていた妹の体中に
しぃの毛がまとわりついていた光景が浮かんでいた。
「貴様らさえいなければ妹は死ぬ事も無かったのに!」
モララーの足は、しぃの体を休むことなく蹴り上げている。
「ヴァァァァァァァーーーーーーッ!」
しぃは片腕と両足を失いながら、モララーから逃げようと必死だ。
「何が虐殺厨だ!何がダッコだ!貴様らにマターリなどやるものか!」
モララーの蹴りが、しぃの頭部にヒットした。
「ヒィッ!」
しぃは一言そう叫ぶと、喉の奥から大量に血液を吐き出した。
そうして1・2回体を大きく痙攣させると、それ以上動かなかった。
モララーは体についた返り血を持っていた濡れタオルでふき落とすと、
荒くなった呼吸を整える。
そうして、ダッコの順番を待っているしぃ達の所へと戻ってきた。
「お待たせ!次のダッコは誰かな?」
「シィダヨ!」
一匹のしぃが、モララーに飛びこんでいく。
「さぁ、あっちでゆっくりダッコしてあげるよ!」
モララーは神社の裏側へと歩き出した。

空にはもう、一番星が輝いている。
すっかり遅くなってしまったなぁと思いながら、
モララーは実家の玄関を開けた。
「ただいま!帰ってきたよ!」
居間の戸が開いて、母親が顔を出す。
「おにいちゃん!おかえりなさい!まぁ、随分垢抜けたじゃないの!」
母親は嬉しそうにモララーを招き入れる。
「ハハハ。そんな事ないよ。…まずは、ナナに挨拶しなきゃ。」
「そうね。きっとおにいちゃんの事を一番に待っていたのはナナかもしれないわね。」
モララーは居間を通って、妹の遺影の飾られている仏壇の前に座った。
(おにいちゃん、やっとお前の事を助けてあげられたよ。)
そう思いながら、妹の遺影に向かって手を合わせる。
「にいちゃんすごい!ありがとう!」
写真の中の妹が微笑んだような感じがした。

終わり。