2022/01/17 タイトルが微妙に間違っていたのを修正
8 名前: ◆/D8/honey2 :04/08/22 00:11 ID:z2amQPtC ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┌─────────────────────────────── │さて、最初の方に紳士淑女に…と書きましたが、 │これは根っからの変態さんではなく、ちょっと羽目をはずすことも │楽しめる紳士淑女向けのスレという意向です。 │ |では長編板を根城にして細々と地味に狡猾に参りましょうかね。 └─────────v────────────────────── 。 。 __ ∧∨∧ / ヽ( ・∀・ ) | /⌒ <《r、 ヽ ヽ/ ,ヘ;;'''''''''''''ゝ | ∫ / / |ヽ;;,,,,,,,,,,,,,;| | l__b ( ⌒ヽ.| |_/ 〓〓 ヽノー、 二二二二i>》> (〓〓./ヽ、 ) | | |i__ヽ/ /`ヽ'. | | ||__/ /, r'"⌒i | | / / / / | | ( ⌒ノ / / | | || | / /|| | | | ゙|_| (,_ \_.|  ̄ \__) ┌────────ヘ──────────────── |一発目短編。蟲鬱系。 |残酷シーンと後味の悪さがありますので、ご了承を。 └───────────────────────── 9 名前:(1/48):04/08/22 00:14 ID:z2amQPtC ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 【意味なしチョウチョ】 僕が彼女に出会ったのは みすぼらしい木の葉の上 。 。 ∧∨∧ /⌒ヽ( ´・ω・) ヽ ◎ U'''''U ∧∧  ̄ (_ノ(====)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (ー゚*)  ̄ ̄ (_ノ(_) (__)_)_)~ 10 名前:(2/48):04/08/22 00:14 ID:z2amQPtC ┌──────────────────────────────── |どうして君はひとりぼっちでこんな食べる葉っぱの少ない木にいるの? |他のイモムシは向こうの花畑の青々とした木の葉っぱで暮らしてるのに。 └─────────v────────────────────── |え?この木が普通じゃないの? |私この木で生まれて他の場所に |行ったことがないから知らないの。 └───────v────────── 。 。 ∧∨∧ /⌒ヽ( ´・ω・) ヽ ◎ U'''''U ∧∧  ̄ (_ノ(====)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (ヮ゚*)  ̄ ̄ (_ノ(_) (__)_)_)~ ┌──────────────── |あなたはだあれ? |こんな綺麗な人、初めて見たわ。 └───────v──────── 。 。 ∧∨∧ /⌒ヽ( ´・ω・) ヽ ◎ U'''''U ∧∧  ̄ (_ノ(====)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (ヮ゚*)  ̄ ̄ (_ノ(_) (__)_)_)~ 11 名前:(3/48):04/08/22 00:15 ID:z2amQPtC ┌───────────────────────── |…君ってチョウチョもみたことないのか…? └─────────v────────────────── |チョウチョさんっていうんだ。 | こんにちは。 └───────v────── 。 。 ∧∨∧ /⌒ヽ(;´・ω・) ヽ ◎ U'''''U ∧∧  ̄ (_ノ(====)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ (ヮ^*)  ̄ ̄ (_ノ(_) (__)_)_)~ …ひとりぼっちだった彼女は世の中のことを全く知らなかった。 12 名前:(4/48):04/08/22 00:15 ID:z2amQPtC ┌─────────────────────── |へぇ、チョウチョさんはお花の蜜を吸うんだ。素敵。 |この木にも綺麗なお花が3日置きくらいに |一つずつ咲くのよ。蜜ってどんな味? └───────v─────────────── |すごく甘くて美味しいよ…。 └──v─────────── 。 。 ∧∨∧ ∧∧ (ω・` ,,)/⌒ヽ (*゚ヮ゚) U''''U';; ◎ ノ (_(_( っっ (====)、_) ―――――しし'―――――― ┌───────────────────── |いいなぁ、チョウチョさん。 |私はどうしても苦い葉っぱしか食べれないの。 └───────v────────────────── |君もオトナになってチョウチョになれば |蜜を飲めるよ。 └──v────────────── 。 。 ∧∨∧ ∧∧ (ω・`;,)/⌒ヽ (*゚ -゚) U''''U';; ◎ ノ (_(_( っっ (====)、_) ―――――しし'―――――― 13 名前:(5/48):04/08/22 00:16 ID:z2amQPtC ┌─────────────────── |え?私がチョウチョに?脚も短いし、 |羽なんて持ってないよ!? └───────v──────────────────────── |えっとね、イモムシはサナギになるんだよ。 |そしてサナギから羽化してチョウチョになるんだ。 └──v──────────────────── 。 。 ∧∨∧ ∧∧ (ω・` ,,)/⌒ヽ Σ (*゚ 0゚) U''''U';; ◎ ノ (_(_( っっ (====)、_) ―――――しし'―――――― ┌─────────────────────────── |それじゃあチョウチョさんも小さい頃はイモムシだったの? |私もサナギになって羽化すれば |あなたみたいな綺麗なチョウチョになれるのね!? └───────v─────────────────── 。 。 ∧∨∧ ∧∧ (ω-`;,,)/⌒ヽ Σ (*゚ヮ゚) U''''U';; ◎ ノ (_(_( っっ (====)、_) ―――――しし'―――――― やめてくれ、僕は全然綺麗なんかじゃないんだ。 14 名前:(6/48):04/08/22 00:16 ID:z2amQPtC 僕は羽化が怖かった。 | 。 。 | /∧∨∧ | (ii´・ω・) |--| ̄ ̄ > | / レ | |ノ ミ,/ | ̄ サナギから出る瞬間、自分の体が柔らかくなって 物凄く弱弱しくなっているのが不安でたまらなかった。 出たら自分が溶けちゃうんじゃないか、 鳥に襲われてすぐに食べられちゃうんじゃないかって 怖くてサナギの殻からすぐに出られなかったんだ。 15 名前:(7/48):04/08/22 00:17 ID:z2amQPtC だけど、そうやって迷ってた僕の羽は 真直ぐ綺麗に伸ばすことができなかった。 (ヽ 。 。 /⌒ヽ /∨∧ / | (゚∀゚*,,) ● / /⌒ヽ 。 。 /⌒ヽ と;''''''''';;つ__ノ | \∧∨∧ | (====) ヽ i ● (*‘∀‘)●| (_ノ(_)`⌒ヽ) ヽ__ と;;''''';;つノ 。 。 / ノ(====)ヽ 。 。 /⌒ヽ ∧∨∧ (ノ⌒´ ヽ)ヽ)⌒ヽ) ∧∨∧ / | (・ω・` )/⌒ヽ (∀` ,,) ● / U'''''U;; ◎ ノ と;''''''''';; __ノ (====)、_) (====) ヽ (_ハ_) (_ノ(_)`⌒ヽ) 勢い良く飛び出して朝日を十分浴びて美しい羽になった 他の仲間のように、飛ぶことすらできなくなってしまった。 16 名前:(8/48):04/08/22 00:17 ID:z2amQPtC 当然、不恰好で羽ばたくこともできない僕は 餌場でも邪魔者扱いされ、メスのチョウチョには見向きもされなかった。 /⌒ヽ 。 。 。 。 /⌒ヽ | \∧∨∧ /∨∧ / | i ● (, *‘∀) (Д゚ ,,) ● / ヽ__ と;;''''';;つと;;''''''''';;つ__ノ / ノ(====)ヽ (====) ヽ (ノ⌒´ ヽ)ヽ)⌒ (ノ(ノ `⌒ヽ) . . . : : ::: : : : : . . . . . ..: : ::: : : . . . ミヾiir〃 . .. . ... : ::: : : . . 彡( ,,;;) ミ ミヾiir〃 . . . . 。 。 〃/ハミヾ 彡( ,,;;) ミ . . ∧∨∧ || 〃/ハミヾ ヾiiレ (・ω・`;)/⌒ヽ ヾ.、 / 、(ツノ と;;''''と;; ◎ ノ ヾ.、 / /´` (====)、_) 17 名前:(9/48):04/08/22 00:18 ID:z2amQPtC 強いオスのチョウチョからは目障りだから出て行けと言われて。 チョウチョのたくさんいる豊かな花畑には僕の居場所は無くなった。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::∨::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::ヽ/-::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::|::::::::::::::::::::::::::::::: 。 。 ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::::::::::: /⌒ヽヽ∨//⌒ヽ ;;;;;;;;;;;;;;;; ヽ ◎ \/ ◎ ノ (_><_) (_)_);;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 氏に場所を探すか、花を探すか迷いながら、 それでもどうしても氏ぬのが怖くて必死に這いつくばった挙句に 辿り着いたのがこの日陰の惨めな木。 18 名前:(10/48):04/08/22 00:19 ID:z2amQPtC こんな蜜もロクにない場所にたどり着いてしまった僕の不運、 本当ならもうここで生きるのを諦めてるとこだった。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::::::: ゝ〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::ヾ()ミ::::::::::::::::::::::::::::::: :::::::::::::: 〃ハヾ::::::::::::::: ノ⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー⌒ヽ / ( 花が咲くのは3日置き…か。 ) (ソ) / 。 。 ) それで僕の体は何日持つか… ( \| ∧∨∧ ヽ~~~~~~~~~~~~~~' | (ω-` ,,)/⌒ヽ o / ;;''''U';; ◎ ノ 。 / (====)、_) ((_) 19 名前:(11/48):04/08/22 00:19 ID:z2amQPtC ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ┌──────────────── :::::::::::::::::: ゝ〃:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |ね、可愛いお花でしょ? ::::::::::::::::::ヾ()ミ::::::::::::::::::::::::::::::: |美味しいかどうか蜜飲んでみて。 :::::::::::::: 〃ハヾ:::::::::::::::: └─────v────────── / (ソ) / 。 。 \| ∧∨∧ | ( ´・ω・)/⌒ヽ っ / ;;''''U';; ◎ ノ ∧∧ っ / (====)、_) (ヮ゚* ) ((_) cc )_)_)~ ゴクゴク (ソ) / ̄\,r彡 。 。 \/ ゞハミ∧∨∧ | (ヽ・` ,,)/⌒ヽ ワクワク / `;;''''''''';; ◎ ノ ∧∧ / (====)、_) (ヮ゚* ) ((_) cc )_)_)~ 20 名前:(12/48):04/08/22 00:20 ID:z2amQPtC ┌───────────── |…うん…おいしいよ。 └──────v──────────────────────────── |ワーイ、私もアナタみたいなオトナのチョウチョになったら |この木のお花のおいしい蜜を飲めるのね。 └───────v────────────────── ゝ〃 ヾ()ミ 〃ハヾ / (ソ) / 。 。 \| ∧∨∧ | ( ´・ω・)/⌒ヽ メ / ;;''''U';; ◎ ノ ∧∧ × / (====)、_) (ヮ^* ) ((_) cc )_)_)~ 21 名前:(13/48):04/08/22 00:20 ID:z2amQPtC 僕の氏に場所と思った場所は、 他の地を知らない彼女にとっては希望の住処だった。 ゝ〃 ヾ()ミ 〃ハヾ / (ソ) / 。 。 \| ∧∨∧ | (*´・ω・)/⌒ヽ / ;;''''U';; ◎ ノ ∧∧ / (====)、_) (ー゚* ) ((_) cc )_)_)~ 蜜は少なくても、ここで生きるのを頑張ってみようと思えたのは 彼女に逢えたからだった。 22 名前:(14/48):04/08/22 00:21 ID:z2amQPtC 彼女はまだイモムシ。僕を拒まない。 本物のチョウチョを知らないから 不恰好な僕に無邪気に微笑む。 不完全なオトナの僕に憧れる。 。 。 ∧∨∧ ∧∧ (ω-` ,,)/⌒ヽ (*゚ー゚) U''''U';; ◎ ノ (_(_( っっ (====)、_) ―――――しし'―――――― …心苦しいけど暖かかった。 23 名前:(15/48):04/08/22 00:21 ID:z2amQPtC 愛してた。いつの間にか。 ┌────────────── |…眠たい…体が変だよう… |私どうなるの…? └──────v─────── | ∧∧ (゙o゙iii): 。 。 c ): ∧∨∧ c ): (・ω・`;)/⌒ヽ |ノ と;''''''''';;つ ◎ ノ | (====)_) | (_ノ(_) ┌──────────ヘ────────── |君は今からサナギになるんだよ。 |チョウチョになるための眠りにつくんだ。 └──────────────────── 彼女と離れることなんて考えられないくらいに。 24 名前:(16/48):04/08/22 00:21 ID:z2amQPtC ┌────────────── |…やっぱりやだよぅ |サナギになるの怖いよう… └──────v───────────────── | 大丈夫だから!頑張って! └─────v───────── | ∧∧ (iiiTo゚): 。 。 c ): ∧∨∧ c ): (・ω・`;)/⌒ヽ |ノ と;''と;;'';; ◎ ノ | (====)_) | (_ノ(_) ┌────────────── |目が覚めた時、そばにいてね? └──────v──────── | ∧∧ (;゙ o゙): 。 。 c ): ∧∨∧ c ): Σ (ω・`; ,)/⌒ヽ |ノ ;''U;;'';; ◎ ノ | (====)_) | (_(_) 25 名前:(17/48):04/08/22 00:22 ID:z2amQPtC ┌────── |…う、うん…。 └──v──── | ∧∧ (*゚ヮ゙): 。 。 c ): ∧∨∧ c ): (ω////)/⌒ヽ |ノ ;''U;;'';; ◎ ノ | (====)_) | (_(_) ┌─────ヘ──────── |ホント?よかった。約束よ…。 └────────────── | | ∧∧ | / | 。 。 |--| > ∧∨∧ | / レ | (ω・` ,,)/⌒ヽ |ノ ミ,/ ;''U;;'';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) そして彼女はサナギになった。 26 名前:(18/48):04/08/22 00:22 ID:z2amQPtC ノ⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ヽ ( 大丈夫だから、頑張って…だってさ。 ) ヽ~~~~~~~~~~~~~~~~' o | 。 | ∧∧ | / | 。 。 |--| > ∧∨∧ | / レ | (-ω-` )/⌒ヽ |ノ ミ,/ ;''U;;'';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) 全然大丈夫じゃなかった、怖くて頑張れなかった自分が よく彼女にそんな言葉をかけたもんだと思う。 | | ∧∧ | / | |--| > | / レ | 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 27 名前:(19/48):04/08/22 00:23 ID:z2amQPtC だけど…いや、だからこそ彼女には 無事上手に羽化して欲しい。 | | ∧∧ | / | |--| > | / レ | 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(-ω-`*) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 安心して、君が出てくる時には僕がいる。 君が不安にならないよう、そばで応援してるから。 28 名前:(20/48):04/08/22 00:23 ID:z2amQPtC 僕は君のそばでずっと待ってるから。 | | ∧∧ | / | |--| > | / レ | 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(・ω・`*) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) | | ∧∧ | / | |--| > | / レ | 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 29 名前:(21/48):04/08/22 00:25 ID:z2amQPtC 時が経つにつれ、彼女のサナギからの香りが強くなる。 | | ∧∧ | / | |--| > | / レ | 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(・ω・` ) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) …愛する彼女のサナギ。…狂ってしまいそう。 | | ∧∧ | / |。 。 |--| ∧∨∧ | / (-ω-`;)/⌒ヽ |ノ ミ,と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) 君のいない寂しさと、募るばかりの君への恋心と、 君が放ち始めたオトナのメスのチョウチョの香りで。 30 名前:(22/48):04/08/22 00:25 ID:z2amQPtC …「目が覚めた時、そばにいて」 それが彼女が望んだ想い。 君が目覚めた時、チョウチョになった君は 前のように僕に微笑んでくれるの? | | ∧∧ | / |。 。 |--| ∧∨∧ | / (・ω・`*)/⌒ヽ |ノ ミ,と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) それともチョウチョに羽化してしまった君は 他のメスのチョウチョのように僕のことなんて見向きもせずに どこかへ飛んでってしまうの? | | ∧∧ | / |。 。 |--| ∧∨∧ | / (TωT`,,)/⌒ヽ |ノ ミ,と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) サナギは答えてくれないから わからない。 31 名前:(23/48):04/08/22 00:26 ID:z2amQPtC イモムシの君といる時の僕は間違いなく幸せだった。 | | ∧∧ | / |。 。 |--| ∧∨∧ | / (ωT` ,,)/⌒ヽ |ノ ミ,と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) けど怖い。君がチョウチョになってしまうのが怖い。 けど早く逢いたい。チョウチョになった君に逢って ありったけの愛を注ぎたい。 つらい。苦しい。胸が張り裂けそう。助けて。 32 名前:(24/48):04/08/22 00:26 ID:z2amQPtC 僕の不安な気持ちはよそに、 サナギはどんどん変わっていく。 | | ∧∧ | /;;' | |--|`,○ > | / レ;| 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(・ω・` ) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 羽の模様が透けてきた。 とても美しく。君の放つ極上の香りは ┌────────── | 香りの源はここか。 └─────v───── | (ヽ 。 。 /⌒ヽ | ∧∧ /∨∧ / | | /;;' | (゚Д゚ ,,) ● / |--|`,○ > て と;''''''''';;つ__ノ | / レ;| 。 。 て (====) ヽ |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ (_ノ(_)`⌒ヽ) | ̄ ヽ◎(;´・ω・) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 他のオスのチョウチョまで惹きつけた。 33 名前:(25/48):04/08/22 00:27 ID:z2amQPtC こいつ知ってる。僕が羽化した花畑にいた奴だ。 すでに何匹ものメスに自分の卵を産ませてるはず。 ┌───────────────────── | 物陰になってるから気づかなかったけど | こんな近場にメスがいたとはな~。 └───────v────────────── | | ∧∧ | /;;' | 。 。 /⌒ヽ 。 。 |--|`,○ > /∨∧ / | ∧∨∧ | / レ;| (Д゚ ,,) ● / (・ω・`;)/⌒ヽ |ノ ミ,/ ;;'''''''>) __ノ ))) ;;∩∩;; ◎ ノ | ̄ (====) ヽ (====)_) | (_)ヽ_)`⌒ヽ) (_ノ(_) 僕が必死に辿りついたここは、 こいつの羽だと近場だったのか…。 ┌───────────────────────── | うん…色ツヤ、大きさ申し分ないな。 | しかもこの粗末な餌場でここまで立派に育ったとあれば | かなり丈夫なメスだろう。 └───────v────────────────── | | ∧∧ | /;;' | 。 。 /⌒ヽ 。 。 |--|`,○ /∨∧ / | ∧∨∧ | / |,∩(Д゚ ,,) ● / (-ω-`;)/⌒ヽ |ノ ミ,/`;;'''''''''';; __ノ ;;∩∩'';; ◎ ノ | ̄ (====) ヽ (====)_) | ((_ノ `⌒ヽ) (_ノ(_) 力強く飛ぶことができて、 エサもメスも手に入れていたオスのチョウチョ。 …彼女のサナギを触られて、怒りに満ちているのに 目の前で僕とは違う見事な羽を見せつけられて何も言えなくなってしまう。 34 名前:(26/48):04/08/22 00:28 ID:z2amQPtC ┌───────────────────── | 次に俺の卵を産んでもらうのはコイツにしよう。 | この分だと羽化は明日の日の出頃か。 └───────v────────────── | | ∧∧ | /;;' | 。 。 /⌒ヽ 。 。 |--|`,○ >/∨∧ / | ∧∨∧ | / レ,| (゚Д゚,,) ● / Σ (・ω・`;)/⌒ヽ |ノ ミ,/と;;''''''''';;> __ノ ;;∩∩'';; ◎ ノ | ̄ (====) ヽ (====)_) | (ハ_) `⌒ヽ) (_ノ(_) えっ…!? ちょっと待ってよ…。 たくさんのメスと出会ってたくさんの自分の子孫を残すのが オスのチョウチョの宿命だけど… お願いだから彼女はやめて。 ┌─────────────────────── | あ?出来損ない、オマエまだ生きてられたのか。 | もしかしてここでこのサナギの交尾待ちしてるのか? └──────v──────────────── |え…えっと… | └──v───── | ∧∧ | /;;' | 。 。 /⌒ヽ 。 。 |--|`,○ >∧∨ / | ∧∨∧ | / レ,| (,,゚Д゚) ● / (・ω・`;)/⌒ヽ |ノ ミ,/と;;''''''''';;>__ノ ;;∩∩'';; ◎ ノ | ̄ (====) ヽ (====)_) | (ハ_) `⌒ヽ) (_ノ(_) 35 名前:(27/48):04/08/22 00:28 ID:z2amQPtC ┌──────────────────────── | 別にサナギのうちはそこでウロウロしてても構わないさ。 | だが羽化の時間には俺はまたここに来る。 | その時オマエが俺の邪魔をするようなら容赦しないぜ? └──────────────────v────── /⌒ヽ 。 。 /) | \ /∨∧' / | i ● (゚Д゚,,) ノ | ∧∧ ヽ__と;;''''';;つ | /;;' | 。 。 / (====)ヽ |--|`,○ > ∧∨∧ (ノ⌒´(_ノ(_ノ⌒ヽ) | / レ,| /⌒ヽ(iii´・ω・) , ' |ノ ミ,/ ヽ ◎ U'''''U | ̄ (_ノ(====) , ' | (_ノ(_) そう言い残してアイツは軽やかに飛び立って行った。 36 名前:(28/48):04/08/22 00:28 ID:z2amQPtC どうしよう、アイツが彼女を狙ってる。 | | ∧∧ | /;;' | |--|`,○ > | / レ;| 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(・ω・`iii) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 僕がこうして待ってても、アイツに追い払われて 彼女を取られちゃうかもしれないんだ。 37 名前:(29/48):04/08/22 00:29 ID:z2amQPtC それよりも怖いのは、あの美しいオスのチョウチョを見て、 僕しか知らなかった彼女はなんて思うだろうか。 | | ∧∧ | /;;' | |--|`,○ > | / レ;| 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(TωT`iii) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 彼女の方からアイツのところに行くかもしれない。 そりゃそうだよ、強いオスを選ぶことが メスのチョウチョの本能だもの。 38 名前:(30/48):04/08/22 00:29 ID:z2amQPtC 僕のことだけを見て無邪気に笑ってた彼女が ずっと二人っきりで暮らしてた彼女が 。 。 ∧∨∧ ∧∧ (ω・`*,,)/⌒ヽ (*゚ヮ゚) U''''U';; ◎ ノ (_(_( っっ (====)、_) ―――――しし'―――――― /⌒ヽ 。 。 。 。 /⌒ヽ 逢ったばかりの | \ ∧∨ /∨∧ / | 他のオスの元へ行くなんて i ● ( *゚ー゚) (Д゚ ,,) ● / ヽ__ と;;''''';;Oと;;''''''''';;__ノ / ノ(====)ヽ (====) ヽ (ノ⌒´ ヽ)ヽ)⌒ (ノ(ノ `⌒ヽ) 39 名前:(31/48):04/08/22 00:30 ID:z2amQPtC | | ∧∧ | /;;' | |--|`,○ > | / レ;| 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(TωT`iii) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) そんなの絶対に嫌だ。だって… だって… ┌────────────── |目が覚めた時、そばにいてね? └──────v──────── | ∧∧ (;゙ o゙): …彼女だって c ): 僕が待ってることを望んでくれてるんだよ…? c ): |ノ | | 40 名前:(32/48):04/08/22 00:30 ID:z2amQPtC 深夜、 ┌──────────── |ねぇ、起きて。起きて。 └─────v────── | | ∧∧ | /;;' |。 。 |--|`,(∧∨∧ | / (・ω・´;)/⌒ヽ |ノ ミ,と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) ┌────ヘ───────────────────── | ちょっと早いけど羽化するんだ。 | 夜のうちに羽化してアイツが来る前にオトナになるんだ。 └───────────────────────── 僕は彼女のサナギの殻を外から破ることにした。 41 名前:(33/48):04/08/22 00:31 ID:z2amQPtC 日の出までに彼女が羽化すれば。 他の誰とも逢う前にオトナのメスのチョウチョになれれば。 ノ⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ヽ ( あぁ…まだ脚が思うように動かないの… ) ヽ~~~~~v~~~~~~~~~~~' | 。 。 |<ヽ∧∨:: | ヽ| (*゙ o゙):: 。 。 |--|`,○ > ∧∨∧ | / レ;| (ω・´; )/⌒ヽ |ノ ミ,/ と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) ┌────ヘ────────────────── | 大丈夫、君はもう数時間後に羽化できるくらいに | 育ってる。だけどどうしても今羽化しないと | 間に合わないんだよ。 └────────────────────── 僕達二人は引き裂かれることなく幸せになれるんだ。 42 名前:(34/48):04/08/22 00:31 ID:z2amQPtC 頑張って。頑張るんだ。 ┌────────────── |えいっ…えいっ… |後脚が殻から抜けないわ… └──────v──────────────────── | ダメだよ、そこでボヤボヤしてると | 羽が伸びきらなくなっちゃうんだ!! | 肝心なとこだから頑張って!! └──────v───────── | 。 。: | ∨∧: |と(-゙;,,): | ヽ|;;とノ';;ヾ》;; 。 。 |--|`,○ >' ∧∨∧ | / レ;| (ω・´; )/⌒ヽ |ノ ミ,/ と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) 僕みたいな醜い羽にならないためにも、急いで。 43 名前:(35/48):04/08/22 00:32 ID:z2amQPtC 手伝ってあげるから、さぁ!急いで!! | | 。 。 <ヽ 《^ヽ∧∨ ギュッ | ヽ|ゞ》(;゚ 0゚) 。 。 |--|`, ~~ヽ)、)∧∨∧ ブチ | / レ;| ('(ω<´; )⌒ヽ |ノ ミ,/ ;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_ノ(_ノ ∧∧∧∧∧ < あっ!! > ∨∨∨∨∨ ┌────────────── |脚が…もげちゃった └──────v──────── ∧∧∧∧∧∧ < エッ!!! > | ∨∨∨∨∨∨ | 。 。 <ヽ 《^ヽ∧∨ | ヽ|ゞ》(iii゚っ゚) 。 。 |--|`, ~~ヽ)、∧∨∧ | / レ;| ('(ω・`;ii)⌒ヽ |ノ ミ,/ ;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_ノ(_ノ 44 名前:(36/48):04/08/22 00:32 ID:z2amQPtC 僕のせいだ。僕がひっぱったから彼女の脚がこんなことに。 僕はすっかり気が動転してしまった。 ┌────────────── |あぁあぁ… |頑張って…。お願いだから…。 └───────v────── | 。 。 |<ヽ ∨∧:: | ヽ|ノ(゙-゙;):: :。 。: |--|`, と;;'';;ゞヽ:: :∧∨∧: | / レ(=@=) 》: :(ωT`iii )/⌒ヽ: |ノ ミ,/ (〃: : ;;''∩''''';; ◎ ノ: | ̄ :(====)_): | :(_(_): 彼女は脚がもげたままで必死に羽を伸ばそうとしたけど、 ┌────────────────────── |…ダメ…。残った手足にも、まだ力が入らない… |支えてられないよぅ…怖い…助けて… └─────────v───────────── | 。 。 |<ヽ ∨∧:: て | ヽ|ノ_(゚oT;):: 。 。 て |--|`, と;;'';;ゞヽ:: ∧∨∧ | / レ(=/◎》 、: (ω・`iii,)/⌒ヽ |ノ ミ,/::(__〃ヽ_): と;;'''''''''';; ◎ ノ | ̄ (====)_) | (_(_) 45 名前:(37/48):04/08/22 00:33 ID:z2amQPtC ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧ < > < きゃああああぁあぁぁぁ!! > < 落っこちるぅ!!! > < > ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨ | ズルッ |<ヽ ii ii て | ヽ|ノ_ i||||ii 。 。 て |--|`, ;;;;;>||||||i ∧∨∧ | / レ,|ii|。。|ii (・ω・`iii,)/⌒ヽ |ノ ミ,/ii||∨∧||i と;;'''''''''';;つ ◎ ノ | ̄ ii('(゚0゚ii∩|ii (====)_) | ;;''''''';;^ヽ (_(_) 彼女は葉っぱに引っかかることも出来ずに 地面まで落ちてしまった。 | |<ヽ ) | ヽ|ノ_ ( ヘナヘナ |--|`, ;;;;;> 。 。 | / レ,| ∧∨∧ ノ⌒ー'⌒ー'⌒ヽ |ノ ミ,/ (´・ω・`;)/⌒ヽ < あぁ… ) | ̄ U'''''''U;; ◎ ノ ヽ~~~~~' | (====)つ_) 46 名前:(38/48):04/08/22 00:33 ID:z2amQPtC 脚を失い、クシャクシャの羽のまま地面をのたうつ砂まみれの彼女。 :。 。 ノ): :∨∧r~つ: :c(゚-Tiio;''';ii): ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: どうしてこんなことに?僕のせい? そうだ、僕のせいだ。羽化を急がせた僕の… ∧∧∧∧ < !!! > ∨∨∨∨ :。 。 ノ): :∨∧r~つ: :c(;゚ -゚o;''';ii),,:, :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ‘ :; 47 名前:(39/48):04/08/22 00:33 ID:z2amQPtC ノ⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ー'⌒ヽ ( …蟻だ…!! 食べられちゃうのやだ…。 ) ) 助けて、助けてチョウチョさん…!! ( ヽ~~~~v~~~~~~~~~~~~~~' :。 。 ノ): :∨∧r~つ: ,:c(゚0 ゚iiio;:i),,∴:, ;’・‘:::::::::::::::∴:::::::・::::::::: ;・∴:∴:;‘ :; ど…どうすればいいんだ…僕は飛べないんだぞ…!? 降りてもあの蟻共を追い払って 彼女を連れて逃げることなんてできない… | |<ヽ | ヽ|ノ_ |--|`, ;;;;;> :。 。: ガクガク | / レ,| :∧∨∧: |ノ ミ,/ :(´・ω・`iii)/⌒ヽ: | ̄ :∩''''''∩;; ◎ ノ: | :(====)つ_): 48 名前:(40/48):04/08/22 00:34 ID:z2amQPtC ∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧∧ < ぎゃあ!!いたいっ!痛いーっ! > < やだ、食べないで!お願い!! > ∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨ :。 。,ノ): :∨∴r::つ,: ,∴(゚っTiiio;:∴,,∴:, ;’・‘:::::::::::::::∴:::::::・::::::::: :・ ;・∴:∴:;‘ :; ノ⌒ー'⌒ー'⌒ヽ ( ………。 ) ヽ~~v~~' : 。,ノ): 。:v'∴r::つ,: ,∴皿。;:∴,,∴:, ;’・‘:::::::::::::::∴:::::::・::::::::: :・ ;・∴:∴:;‘ :; 49 名前:(41/48):04/08/22 00:35 ID:z2amQPtC 僕が途方にくれてるうちに 蟻共は彼女を食い尽くした。 | |<ヽ | ヽ|ノ_ |--|`, ;;;;;> 。 。 | / レ,| ∧∨∧ |ノ ミ,/ (´=ω=`iii)/⌒ヽ | ̄ ∩''''''∩;; ◎ ノ | (====)つ_) 奴らの去った跡にはクシャクシャの羽だけが残された。 :::::r~つ:::::::::: :::::::::~~~::::::::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::<ヽ:::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::ヽ◎ ):::::::::::: :::::::::::::::  ̄::::::::::::::: 50 名前:(42/48):04/08/22 00:35 ID:z2amQPtC …消えてなくなった。僕がこの世で一番愛した彼女が。 一緒に幸せになるはずだったのに 彼女は恐怖と苦痛を味わいながら 僕の前でいなくなってしまった。 | |<ヽ | ヽ|ノ_ |--|`,;;;;;;;> | / レ;| 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) そしてアイツがきた。 ┌─────────────────── |彼女の香りがほとんど消えちまったんだが |嫌な匂いが残ってる。 |普通じゃないぞ?何かあったのか? └─────────v────────── | (ヽ 。 。 /⌒ヽ |<ヽ /∨∧ / | | ヽ|ノ_ (゚Д゚;) ● / |--|`,;;;;;;;> と;''''''''';;つ__ノ | / レ;| 。 。 (====) ヽ |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ (_ノ(_)`⌒ヽ) | ̄ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 51 名前:(43/48):04/08/22 00:36 ID:z2amQPtC ┌─────────────── |こ、これは…!! |彼女、蟻にやられたのか!? └──────v────────── 。 。 /⌒ヽ Σ /∨∧ / | (Д゚ii,,) ● / と;''''''''';; __ノ :::::r~つ:::::::::: (====) ヽ :::::::::~~~::::::::::::::::::::::::: (_ノ(_)`⌒ヽ) ::::::::::::::::::::::<ヽ:::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::::::ヽ◎ ):::::::::::: :::::::::::::::  ̄::::::::::::::: …全部、僕のせいだ。 ┌──────────────────── |…外から無理矢理引きずり出されたのか? |…脚がちぎれて残ってる。なんて痛々しい…。 └─────────v────────── | |<ヽ | ヽ|ノ_ 。 。 /⌒ヽ |--|`,;;;;;;; /∨∧ / | | / レ∩(Д-iii) ● / 。 。 |ノ ミ,/`;;'''''''''';; __ノ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ (====) ヽ ヽ◎(´-ω-`) ◎ノ | ((_ノ `⌒ヽ) (_(=∩∩=)_) オマエに彼女を奪われるのが嫌だったから。 そんな理由で僕が彼女を頃してしまったんた。 52 名前:(44/48):04/08/22 00:36 ID:z2amQPtC …なぁ、だから僕を頃せ。 ┌──────────────────── |…せっかく美しいチョウチョに |なれそうだったのに酷えことしやがる…畜生。 └─────────v────────── | |<ヽ | ヽ|ノ_ 。 。 /⌒ヽ |--|`,;;;;;;; /∨∧ / | | / レ∩(Д゚#,,) ● / 。 。 |ノ ミ,/`;;'''''''''';; __ノ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ (====) ヽ ヽ◎(´-ω-`) ◎ノ | ((_ノ `⌒ヽ) (_(=∩∩=)_) こんな馬鹿げたことをしてしまった僕が憎いだろ? 頃せ。頃して。もう生きてなんかいたくないんだ。 53 名前:(45/49):04/08/22 00:37 ID:z2amQPtC ┌──────────────────────── |…おい、出来損ない。 |蟻共がサナギを引き裂いて彼女を引きずり出してる間、 |オマエはそうやってただ見てただけなのか? └─────────v────────────── | |<ヽ | ヽ|ノ_ 。 。 /⌒ヽ |--|`,;;;;;;;>∧∨ / | | / レ∩(#゚Д゚) ● / 。 。 |ノ ミ,/`;;'''''''''';; __ノ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ (====) ヽ Σ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | ((_ノ `⌒ヽ) (_(=∩∩=)_) …そうじゃない、それをやったのは僕… ┌────── |ち、違… | └──v──── |<ヽ | ヽ|ノ_ 。 。 /⌒ヽ |--|`,;;;;;;;>∧∨ / | | / レ∩(#゚Д゚) ● / 。 。 |ノ ミ,/`;;'''''''''';; __ノ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ (====) ヽ ヽ◎(・ω・`;) ◎ノ | ((_ノ `⌒ヽ) (_(=∩∩=)_) ┌──ヘ────── | この役立たず。 └───────── 54 名前:(46/49):04/08/22 00:38 ID:z2amQPtC ┌─────────────── | 守ろうともしねーで、 | 何のためにそこにいたんだよ? └─────────v────── /⌒ヽ 。 。 /) | | \ /∨∧' / |<ヽ i ● (゚Д゚#) ノ | ヽ|ノ_ ヽ__と;;''''';;つ |--|`,;;;;;;;> / (====)ヽ | / レ;| 。 。 (ノ⌒´(_ノ(_ノ⌒ヽ) |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ , ' | ̄ ヽ◎(;´・ω・) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) , ' …なんのため? …僕は彼女と一緒にいたかったんだ。 守るなんて、僕には無理だけど… | |<ヽ | ヽ|ノ_ |--|`,;;;;;;;> | / レ;| 。 。 |ノ ミ,/ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) …一緒にいたい…それだけだった…。 55 名前:(47/49):04/08/22 00:38 ID:z2amQPtC …少ないけど蜜があるから お腹が空くと飲んでしまう。 ゴクゴク… (ソ) / ̄\,r彡 。 。 \/ ゞハミ∧∨∧ | (ヽ・` ,,)/⌒ヽ / `;;''''''''';; ◎ ノ / (====)、_) ((_) 飛ばないでほとんどジッとしてるから蜜が少なくても乗り切れる。 外敵にも見つからないような物陰だから誰にも頃されない。 ┌─────────────── |…蜜…飲みたがってたっけ… └──v──────────── ゝ〃 ヾ()ミ 〃ハヾ / (ソ) / 。 。 \| ∧∨∧ ............ | ( ´・ω・)/⌒ヽ :: :: / ;;''''U';; ◎ ノ :: ∧∧ :: / (====)、_) :: (ヮ^* ) :: ((_) :: cc )_)_)~ :: …生きてる意味なんてないけど、氏なないんだ。 蟻の巣まで行って、自分からあんな風に食われて氏ぬ勇気もない。 56 名前:(48/49):04/08/22 00:38 ID:z2amQPtC オスのチョウチョが飛び去った後、僕は本当に一人になった。 | ブーン |<ヽ | ヽ|ノ_ ・ ~ |--|`,;;;;;;;> ~ ・/ レ;| 。 。 |ノ ミ,/ ・~ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) 来るのは、サナギに残ったままの 彼女の体のかけらが放つ異臭につられた蝿ばかり。 | | | | | 。 。 | /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ | (_(=∩∩=)_) サナギの殻も朽ち落ち、もう蝿も来なくなった。 だけど僕はまだ氏んでない。 今度は蝿が僕にたかってくるのを待ちわびてる。 57 名前:(49/49):04/08/22 00:39 ID:z2amQPtC ── 飛べない 戦えない 守れない 自分で氏ねない 誰かを愛する資格もない ── 。 。 /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ ヽ◎(´・ω・`) ◎ノ (_(=∩∩=)_) ── 生きている意味も価値もないチョウチョが一匹 みすぼらしい木の葉の上におりました。 ── ~ 糸冬 ~ 58 名前: ◆/D8/honey2 :04/08/22 00:40 ID:z2amQPtC ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┌───────────────────────── |自分から自分をダメにしていくタイプ。 |独り不幸に酔うならいいが、 |マトモな奴のマトモな人生まで奪うのはどうかと思うぜ? └──────v────────────────── 。 。 ∨ (,,-∀-) c(〓ノっ。 。 (ノ(ノ ∨ (,,・∀・)。 。 ぶわっっ ブゥゥン ,' (〓) ∨ ', (ノ∨ (,,・∀・)。 。 | 。 。(,,・∀・)(〓ノ ∨ <ヽ ∨ (〓)。。c(〓o・∀・) | ヽ(・∀・)〓∨ |--|`~~~>o・∀・)っ て | / レ;| 。 。 て |ノ ミ,/ (ヽ∩ /⌒ヽ∧∨∧/⌒ヽ | ̄ c(〓)っ ヽ◎(・ω・`iii) ◎ノ | (・∀・) (_(=∩∩=)_) ┌──────────ヘ────────────────────── |別オチで、「サナギの中から出てきたのは |なんとイモムシに寄生していた蜂の子達でした」っつーのも |ちょぴっとだけ考えたけど、ただの不慮の災難オチっぽいので却下。 | |ハッピーエンドじゃないと納得できない方はこの話も途中からは |「美しく羽化した彼女が選んだのは、立派なオスのチョウチョではなく、 |いつもそばにいてくれた彼の方でした。」つー風にでも脳内変換よろしく。 └────────────────────────────────