298 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:35 [ fLQTybt2 ] 「モララー生命科学研究所」。 そこは、外科・内科手術や、遺伝子操作により、新しい「生命」を研究している。 一人のギコが、研究所へ入った。 そして、待合室へ入って行くと、一人のモララーが座っていた。 「貼り紙を見たのかね?」 「ああ・・・そうだ。」 「この実験の被検体になるには、死んでも知らんぞ。」 「承知だ。」 「なら来てもらおうか。」 ギコはモララーに付いて行き、部屋の前で止まった。 「ここか?」 「そうだ。」 そして、二人は部屋の中へ入った。 「ようこそ我が研究室へ、ギコ君。」 そこは驚くべき場所だった。 周りには、培養液で満たされたカプセルが数多くあり、その中には、 失敗作と思われる生命体が入っていた。 更に、コンピュータにより室内は完璧に管理され、モララー一人でも、 十分に研究できた。 「私はなかなか人を信じられなくてね・・・」 「・・・で俺にどんな事をするんだ?」 「良くぞ聞いてくれた!」 モララーはギコに一冊のファイルを手渡した。 そこにはとんでもない事が記されていた。 299 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:36 [ fLQTybt2 ] 1ページ目にはこう書いてあった。 「生命体の遺伝子の混合」 2ページ以降からは、実験結果のデータや写真、被検体の行動記録が記されていた。 「ああ、一つ言っておこう。」 「何だ?」 「出来損ないはこうなる。」 モララーはモニターにあるVTRを流した。 どうやらちびキコにカブトムシの遺伝子を加えた生物らしい。 頭にカブトムシの角が生えていて、腕のような突起が何個かある。 その周りを二人の科学者が取り囲んでいる。 「く、来るなデチ!!」 「どうするモナ?」 「まずは・・・角もぎだな!」 一人の科学者がチビギコの角を持ち、力の限り引き千切った。 「ヒギャァァァァ!!」 ちびギコは頭からおびただしい量の血が吹き出ており、泣き叫んでいる。 「痛いデチ!痛いデチ!!」 「角を貸すモナ。」 角を持った科学者は、ジャンプし、角をちびギコの頭目掛けて振り下ろした。 「必殺・兜割りぃぃぃ!」 グシャ!! 「ギャァァァァ!!!」 角は見事にちびギコの頭を粉砕した。 「あー、スキーリしたモナ。」 「ストレス解消だからな!」 モララーはVTRを切った。 「どうだい?気分は?」 そのときギコは、意外な言葉をモララーに言い放った。 「早く俺に実験をしたらどうだ?」 300 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:36 [ fLQTybt2 ] 「待ち切れないか・・・わかった。今すぐやろう。」 そういってモララーはカプセルを一つ取り出した。 「君には、『甲殻類』の遺伝子を注入する。」 「コウカクルイ?」 「簡単に言えば、エビやカニの事さ。」 「ほう・・・わかった。早くしろ。」 「まあ待て。何でそこまで急ぐ?報酬か?」 「金は要らん。」 「じゃあ何故?」 「そんな事はどうでもいい。」 「ううむ・・・わかった。」 ギコは診療台の上に横になり、麻酔をかけられた。 「一ヶ月後に君は新しくなる・・・」 モララーはそう言った。 そしてギコの意識は深い闇へと沈んでいった。 301 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:37 [ fLQTybt2 ] 一ヵ月後、ギコは目を覚ました。 しかし、そこは培養液の中だった。培養液の中でギコは暴れだした。 「ガバッ!ゴバッ!」 「おおっ!目覚めたか!」 モララーはギコを培養液の入ったカプセルから出した。 「最悪の目覚めだったがな。溺れるところだったぞ。」 「おお、済まなかった。」 そう言うと、モララーは鏡を取り出した。 「さ、自分の姿を見たまえ。」 ギコは鏡を見た。 しかし、変わるどころか、しっぽ一本分の変化も無かった。 「どういう事だ?」 「まあ、これを飲んでみなさい。」 ギコは錠剤を一つ手渡された。それを試しに飲んでみた。すると、 「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」 ギコの身体が高熱を発し、激痛が走った。 そして一分後、ギコは自分の姿を見た。 全身が茶色の殻で覆われ、体の大きさは二倍程度に大きくなっている。 「コレガ俺ノ新シイ姿・・・」 「そう。元に戻る時もこれを飲みなさい。」 ギコはまた錠剤を飲んだ。今度はすぐに元に戻った。 「成功だな。じゃあ報酬だ。」 そう言ってモララーは封筒と、錠剤の入ったビンを渡した。 封筒の中は、百万はあるだろう。 「ありがとよ。恩に着る。」 「それはそうと、君はどうする気だ?」 「・・・俺には復讐する相手がいる。」 「わかった。・・・私は止めない。」 そして、ギコは研究所を後にした。 302 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:38 [ fLQTybt2 ] ギコは自分のアパートに戻り、酒場へ向かった。 「BAR・マルミミ」 店内は静まり返っていた。マスターの丸耳モナーがコップを拭いている。 「いらっしゃい・・・!ギコ!」 「よう、マスター。」 「どうしたんだ?一ヶ月も見なかったが・・・」 「ちょっとした事情かあってな、ところでコイツを知らないか?」 ギコは、そう言って一枚の写真を見せた。写真にはしぃが五匹ほど写っていた。 「そうだな・・・確か『BAR・DAKKO』にいたはずだ。」 「そうか!有難う!」 ギコは走って「BAR・DAKKO」に向かった。 「BAR・DAKKO」 ギコは店内に入った。四匹のしぃが、バーテンダーのしぃと話していた。 「ソレデネー、サンチョウメノギコクンガ、ダッコシテクレナカッタノヨ!」 「ソレデドウシタノ?」 「テツパイプデ、アボーンサセタワヨ!」 「よう、久しぶりだな。」 「!アンタハ!」 「虐殺厨ノムスコヨ!」 「だれが虐殺厨だって!?」 「シィゾクナノニ、ダッコヲモトメナイナンテ、ギャクサツチュウドウゼンヨ!」 「俺の母さんは、人に迷惑をかけたくなかった!お前らとは違うんだ!」 「フン!イイワケネ!ワタシタチガコロシテ、セイカイダッタワ!」 「アボーンケッテイネ!」 そう言うとしぃ達は鉄パイプや銃を持ち出した。 「見せてやるよ・・・俺の力を!!」 303 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:38 [ fLQTybt2 ] ギコは錠剤を飲み、変身した。 「シィィィ!ケダモノヨ!」 「マターリノタメニ、シニナサイ!」 「ウオォォォォォ!!」 ギコは、爪で一匹目のしぃを切り裂いた。 「シィィィィィ!」 しぃの腹が裂け、内臓が飛び散った。仲間はそれを見て、唖然とした。 「ヨクモ!」 しぃ達は銃を構え、ギコに向かって発砲した。 しかし、ギコの殻に銃弾が跳ね返され、一人に銃弾が当たり、腕が吹き飛んだ。 「イタイヨゥ!ダッコデキナイヨゥ!!」 「ウガアァァァァ!」 一匹は奥に逃げたが、残りの三匹は足がすくんでいた。 「ダ、ダッコスルカラ、ネ?」 「カワイイカワイイシィチャンヲ、コロスキ?」 「シィノオテテー!」 「・・・殺ス。殺ス!ブッ殺ス!!」 『イヤァァァァ!!』 ギコは両腕でしぃを細かく切り刻んだ。挽き肉になるまで。 「モウ一人ハ奥カ・・・」 ギコは奥の部屋へと向かった。 「アト一人・・・」 ギコは奥の部屋に入った。中には、バーテンダーのしぃと、 その子供らしい二匹のベビしぃがいた。 「チィチィ!」 「ナッコ!ナッコ!」 ギコはしぃを殺そうとした。 すると、しぃがこう言ってきた。 「トリヒキ・・・シナイ?」 304 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/06/01(日) 19:39 [ fLQTybt2 ] 「何?」 「ベビハ、コロシテモイイワ。デモ、ワタシハタスケテクレル?」 ギコはしばらく黙り、一匹のベビしぃを手の平に乗せた。 「チィチィ♪」 グシャ! ギコは何の迷いも無く、ベビしぃを握り潰した。 「ヂィィィィィ!」 ギコの手からは、血が滴り落ちる。 「トリヒキハセイリツネ。ジャアネ。」 すると、 ズパッ! ギコはしぃの足を切り落とした。 「シィィィィ!!ナニスルノヨ!ベビハコロシタデショ!?」 「オレガ、イツ『ハイ』ト言ッタ?」 そして、噛み付いてしぃの頭を引き千切った。 「オカアタン!オカアタン!」 ベビしぃは泣きながらしぃの体に擦り寄った。 ギコはベビしぃを摘まんで、 「恨むなら、母親を恨みな。」 口の中に入れ、噛み砕いた。 ギコは錠剤を飲み、元に戻った。 「母さん・・・」 ギコはロケットペンダントを取り出した。 幸せそうに笑っているしぃは、母親だろう。 「敵は・・・取ったよ・・・」 ギコは足元に落ちていた銃を取り、 「俺も逝くよ。」 自分の頭を、撃った。 ギコの顔は、笑っていた。 「これで良かったんだ・・・。」 <糸冬>