普通なだけ

Last-modified: 2015-06-19 (金) 00:15:53
769 名前: (4JopRUKA) 投稿日: 2003/08/26(火) 00:02 [ gwTZwMGU ]
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僕、ちょっと、君のこと、殺さなきゃならないみたいだ。

開口一番、彼はあっけらかんと笑いながら私に言った。


言いながら、私の両耳を乱暴に掴み、引っぱる。
あきれるほど簡単に、私の耳は私の頭からサヨナラしていた。
「ハニャアン!!! シィノオミミー!!!」
みっともない声が私の口からほとばしる。
でも、そんな自分の姿を何故か他人のように冷静に見つめている、私。
そしてそんな私の悲鳴に、痴態に、変態じみた笑い声を上げる、彼。
「次は手足だからな!」
いやだ、口調まで変わってる。調子いいんだから。
まあ、それは私と同じで、抗えない「何か」のせいなのだけれど。
私の右腕が、ありえない方向にねじ曲げられている。
強引に引き絞られる。
ばちゅん、と一種小気味の良い音を立てて、もげた。サヨナラ、私の右腕さん。
「ハニャーン! シィノオテテトレチャッタヨー!!! モウダッコデキナイヨー!!」
耳障りな悲鳴。とても私の声帯から絞り出されているとは思えない。
「うるさい!」
「ハヒャッ! ンヒャ、ヒャファァ~!!!」
おかえりなさい、私の右腕さん。戻ってきたのは口の中に、だけども。

770 名前: (4JopRUKA) 投稿日: 2003/08/26(火) 00:02 [ gwTZwMGU ]
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顎が、外れちゃいそう。
それに口の奥まで突っ込まれていて、ちょっと動くだけで吐きそう。
もがれた側が入っているから、何だか生臭い、いやな味。
これもやっぱり、吐きそうな感じ。
抜いちゃいたいけど、左腕ももう、ちぎらかけているから、無理。
右のときよりも勢いが足りなかったのか、めりめりっと嫌な音を出しながら、
じれったいくらいゆっくりと私の体から離れていった、左腕。
グッバイ、左腕さん。もう戻ってこなくていいかも。入りきらないもの、私の口。
「フィニッシュはやっぱ内臓ぶちまけでいくからな!ハァハァ」
どこから出したのか、立派なサバイバルナイフ。
根元にギザギザがついてる、あれ。
いつの間にか両足を大きく開かされていて(ちょっと、いや結構、恥ずかしい
その付け根、私の……まあ、その、あまり大きな声では言えない部分に、
ナイフの切っ先をあてるがって、そのまま力いっぱい上に引っ張り上げる。
「グッ…ヒャ、ヒィ、ギヒャァァァ―――――――!!!」
ありえないくらい滑らかに切り開かれた私のおなか。
見下ろすと、切り口から中身がどろりと盛大にこぼれ落ちている。
ことさらに、ピンク色の腸が。ぷるんとみずみずしく光っていて、
妙に健康的なその輝きがとってもグロテスクで………
………グロ、テス、ク、で。
そこで私は私の意志と関係なく、意識を手放してしまった。


どうして、とか、そんな疑問、これっぽっちもないの。
だって、ここは、そういう場所、なんでしょ?
私はただ、ここではこういう風に殺されるのが、普通なだけ、でしょ?