806 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/08/05(土) 15:29:22 [ t34KDvOw ] 「苦痛の研究」 しぃは夏休みの自由研究の課題で標本を作っていた といってもこの標本、昆虫ではなくモララーだ しぃはこのとき、標本の作り方など知らなかったので、実に適当に作業を進めていた 道で拾ってきたモララー親子数セットを縄で縛りつけ、しぃは作業の準備をしていた 「さぁ~てこれで準備は完了」 しぃは手始めに一番小さそうなベビをつかみ取り机の上に置いた 親が騒いだが、しぃは気にもとめなかった 「標本にするには・・・内臓をとるんだっけ?」 ベビの腹に包丁の先端がずぶりと差し込まれた。机に血が滴る ベビは当然、いつもの悲鳴をあげた 包丁はスルスルと爽快にベビの腹を円を書くように切っていった 「ア・・・・モァァァ・・・・」 ベビは白目をむいて声にならない悲鳴をあげた 腹を円が描ききった ベビは死んでいる しぃは丸く切り取られた、コースターのような皮と肉を取り除きゴミ箱に投げ捨てた さらに、体の中の気管を全て引っ張り出して、これも捨てた 仕上げに用意しておいた巨大な標本箱の上にベビを乗せ、大きな釘で打ちつけた 部屋には強烈な血とモララー特有の臭いが交じり合った悪臭としか言いようのない臭いが立ち込めていた 他のモララー達は臭いなどまるで感じていない様だった それよりか、目の前でベビを殺された恐怖で、ただ震えているだけだった 「臭いが酷いな」 しぃは独り言を言いながら2匹目のベビに手を伸ばした ガブリッ! 親モラが身を乗り出し、泣きながらしぃの手を思いきり噛んだ きっと死ぬほどの勇気を振り絞って我が子を守ろうとしたのだろう だがその行動がしぃを怒らせてしまった 「モ・・ゴハッ・・・グ・・・モラ・・」 しぃはその親モラを何回も蹴り飛ばしたあげく、踵落しをくらわせた 親モラが大量の血を吐いて縛られているロープと床を赤く染めた それを見て他のモララー達はいっそうの恐怖を覚えて、誰も何も言わなくなった しぃは噛まれた手に息を吹きかけながら2匹めのベビを机の上に置くと、大きめの水槽にあやしげな透明の液体を並々と注ぎ込んだ そしてその水槽の中に恐怖で震えているベビを入れた 「モァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」 ベビは目を見開いて苦痛に叫んだ(実際はガポガポとしかならなかったのだが・・・) 苦痛に暴れまわるベビの姿をこれ以上見たくないと、目を覆うモラもいた そんな中しぃは満足気に笑みを浮かべてベビを観賞していた やがてしぃはピンセットのお化けのような道具を取り出し、それでベビをつかんで水槽から出した ベビはこの苦しみから逃れられ、もう虫の息だというのに微かな笑みさえ浮かべていた ・・・が、その笑みが消えるのは思いのほか早かった しぃはさっきと同じ方法でベビの腹を切り始めた ベビは痛みに耐えながら・・・と言っても絶えるほかなかったのだが・・・逝った 親や、他のベビはもう、下を向いて醜く泣いていた その耐えるこのない涙がロープや床に滴って、血を薄めていった 807 名前:ワード ◆sKXh.iY7IY 投稿日:2006/08/05(土) 15:30:05 [ t34KDvOw ] 数時間後、ベビは全て標本にされ、残ったのは親だけだった もう楽に死なせてくれ・・・早くあの子たちの所に行きたい・・・ 全ての親がそう望んでいたが、そんな儚い願いさえ、聞いてはもらえなかった しぃは数匹の親から耳、腕、足などのパーツをもぎ取った だが親たちはもう、痛みなど感じなかった。子を思う強い気持ちがそうさせたのだろう さぁ・・・早く漏れたちを標本にでもなんでもして殺してくれ・・・ ところがしぃは、そうはしなかった しぃはもう、標本作りに飽きてしまったのだ 彼女は数匹いる親を一つにまとめあげ、橋の下に捨ててしまった ──親たちには苦痛だけが残った 早く死にたい・・・こんな願いさえもかなわなかった それぞれもがれた箇所がじわりじわりと痛んできた ロープを外す事もできない 一時間が一日に感じられた 親たちは絶望意外の何を感じられず、時を過ごしていった 一方、しぃはベビ数匹と親の体のパーツの標本を完成させて、夏休み明けに発表した 絶賛だった(これは標本ではない 作りが雑 などの注意も受けたが) その帰り道、しぃは橋の下の親たちを見つけた 思わず駆け寄ってみる。悪臭が鼻をついた パット見ただけでは生きているのか、死んでいるのかさえわからなかった ・・・僅かに息をしている 「コ・・・ロ・・シ・・・・・テ」 乾いた血と土で、白かった毛が茶色く染まった親たちがかすれる声で言った 自分でやったのか、体に引っ掻き傷も目立つ 目はうつろで、もはや生気が感じられなかった。でも生きている 生命力が以上に強いのはモララーの特徴の一つだ そう簡単には死ねないのだろう しぃはさすがに哀れに思い、手持ちのカッターナイフで親たちの心臓を刺し始めた 2匹目で刃が駄目になってしまった。しかたがないので残りの親はブロックの破片を叩きつけて撲殺死させた 殺されている間、親たちは悲鳴一つあげず、静かに殺されていった 「お前たちのおかげでいい研究が出来たよ。ありがとう」 しぃは彼は柄にもなく両手を静かに合わせた どの親の死に顔もやすらかだった 終