親子のモララー

Last-modified: 2015-06-01 (月) 00:20:32
985 名前: 。・゚ ゚・(*>0<)・゚ ゚・。 投稿日: 2003/10/24(金) 20:29 [ XPFN7Y1M ]
親子のモララー


テレビにはいつもの光景が映る。
実に残虐な光景ではあるが、誰もが見慣れた光景である。

その残虐な光景を興味津々に見つめ、テレビに張り付いていた子が父に問う。
「なんでしぃはいじめられるの?」
「さあ、なんでだろうね。」

テレビの中では鮮やかに血飛沫が飛び散り、
ギコ猫族のメスである「しぃ」は、
体の一部がもぎ取られる度にその箇所を連呼する。

「これ、ちょっと可哀想だよ」
子の問いに対し、父は微笑み、答える。
「そうだね、ちょっと可哀想かもしれない。
 でも、おまえは今『ちょっと可哀想』だと言ったね。」

血にまみれた生き物は尚も、もぎ取られた箇所を連呼する。
連呼すればするほど、それに応じて血飛沫が飛ぶ。

「じゃあおまえはウチで飼っているペットに
 この『ちょっと可哀想』な事が出来るかい?」
勢い良く首を振り、子が答える。
「そんな可哀想な事、出来る訳ないじゃん!」

両耳と四肢をもぎとられた生き物は、
それでものたうち回り、決して止む事無く喚き続ける。
痛みが辺りを赤く染め、悲しみが瞼を濡らし、
怯えが黄金色の液体となり、異臭を放つ。

瞬く間に床は尿に覆われてしまった。
さらなる怯えが、一つの穴から茶色の固体を吐き出そうとするが、
部屋の主がそれを制止した。

「『ちょっとしか可哀想』でしかないから、
 しぃは虐殺されるんじゃないかと父さんは思うよ。」

喚き声は止み、テレビの中は腐臭に覆われた。