走馬灯

Last-modified: 2015-06-23 (火) 00:45:23
436 名前: モナ実 投稿日: 2004/03/06(土) 21:16 [ yr60LpTU ]




べビがちびしぃになりかけていた、ある日のことだった、

一人で歩けるようになったちびしぃは、母親の後を兄弟とともに『よたよた』と歩いていた。
「オカータンマッテヨー」とちびしぃの兄弟が泣くと
「ハイハイ サキニイッチャッテ ゴメンエ」と母親が戻ってきた
「アニャーン」とちびしぃはよろこんだ…

まさにマターリとしか言いようのない光景…

しかし破滅のときは近づいてきた
その破滅に真っ先に飲み込まれたのは兄弟だった


それは母親が公園でごみをあさっていた時…
しぃと兄弟は少しはなれたところで遊んでいた。

そこにカラスがやってきた
カラスは音も言わせずに近づいてきて…
兄弟の肛門をつつき始めた

「チィ!!アニャ?」
ちびしぃは兄弟が叫ぶのを聞いた、
しかし何もしなかった…できなかった。
「チィィィィ チィィィィッ」
カラスは兄弟の腸を引きずり出すと、それを咥えて立ち去った。
母親が叫び声に気づいて飛んできたからだ

…兄弟はまだ生きていた、
母親とちびしぃは兄弟を担いでダンボールへと戻った、
…兄弟は虫の息だった
肛門はパッカリと割れ、
口からは液体を流し続けた…
母親は兄弟を抱きかかえると、こう言った
「ダイジョウブヨ    」



その晩兄弟は一晩中うめいていた
「ギヂィィィィ ギヂィーー」
…ちびしぃは怖くて眠れなかった。

母親は何も言わずに兄弟を抱きかかえていた。


次の日の明け方…
兄弟は死んだ
口と肛門…割れて腐って…もはや肛門とはいえないような肛門から血を大量に噴出して、
「ギヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ」
「ヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ」
「ヂヂ、ヂヂヂヂ」
「ギヂッ カハッ」
…それっきりだった。

437 名前: モナ実 投稿日: 2004/03/06(土) 21:16 [ yr60LpTU ]
朝…雨の降る朝…
ちびしぃは母親と埋めに行った。
目を見開き、痛みに引きつった顔をした兄弟を埋めに行った
腸を引き抜かれ、一晩苦しんだ挙句に何もされずに死んだ兄弟を…
最後に与えられたものは母親の愛だけだった、
満足な治療はいうまでもなく、満足なベッドすら得られずに死んだ
知りたがっていた「海」を一度も見ることなく死んだ





兄弟を公園に埋め帰る途中のこと…



母 親 も 死 ん だ

車 に 轢 か れ て 死 ん だ

突然角から飛び出してきたタクシーに…
一時停止もせずに飛び出してきたタクシーに轢かれてて死んだ

交わす間もなかった。
母親は頭だけをきれいにつぶされた

ちびしぃは何をしていいか分からなかった
目の前には頭をつぶされ…
下半身だけバタバタさせている…わが子への未練といわんばかりにばたつかせている体…
母親の残骸が転がっていた。

数分後
母親の体は、
数回『ピクン』
とはねると、……


それっきりだった。

ちびしぃは恐怖した
そしてわけも分からず走った
よたよたと走った
そして、ダンボールへと戻った

…何をしてよいか分からなかった
何もできなかった
怖くて外へは
出られなかった


その日は泣きながら寝た。

438 名前: モナ実 投稿日: 2004/03/06(土) 21:17 [ yr60LpTU ]
夜中…焼けるような目の痛みに、ちびしぃは目を覚ました
しかしその覚ました目は…もう何も見えなかった
「チュウチュウ」というねずみの声だけが聞こえた…

いつもは母親がねずみから守ってくれた…
でも今は…
ちびしぃを守るものは何もなかった

あくる朝になるとちびしぃはダルマになっていた
体と頭以外のパーツはすべてねずみに食いちぎられた…




ちびしぃは、残りの人生を「飢え」との戦いに費やした。

ちびしぃは残りの4日間を死ぬことに費やした




最後の日…
ちびしぃの死んだ日
飢えと戦い続けたがもうこれ以上はどうしようもない…
手足、目がないため何もできないまま、
ただ死だけを待っていた

「ィチィ ア、、ニャ」

鳴く気力もなく、
死へのカウントダウンだけが続いていた。




死ぬ最後の数分間…
ちびしぃは
自分の人生を見た
人生の走馬灯を見た

ちびしぃの顔は幸福そのものだった


温かい母親の腕に包まれ
何もする必要がなく
ただミルクだけを飲んでいたあのころ…
兄弟と一緒にマッタリし、
喧嘩することができたあのころ、
幸せだったあのころ
何も考えずに母親に抱かれているだけでよかった


ちびしぃの顔は幸福そのものだった

439 名前: モナ実 投稿日: 2004/03/06(土) 21:18 [ yr60LpTU ]
死ぬ数秒前
ちびしぃは実勢の走馬灯の最後に見た







血まみれの兄弟と首無しの母親を








そして飢えに苦しむ手足ない自分を…
























ちびしぃの顔は一瞬にして引きつった

…それっきりだった





Q.E.D?