除夜の鐘

Last-modified: 2020-12-22 (火) 00:16:15
81 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/02/04(火) 00:10 [ tooElCMk ]
「シイイ・・・オナカスイタヨ・・・・・」
しぃは掠れた声で呟いた。もうこの鐘に吊るされて3日も経つ。
モララーに「この淫売猫!お寺で修行して心を入れ替えろ!」とお寺に連れて来られ、
鐘の中にロープで吊るされたのだ。
「シイイ!オロシテヨ!シイガナニシタッテイウノ!」
「よーくそこで反省するんだな。心を入れ替えたら仏様が下ろしてくれるよ(w」
モララーはそう笑って去って行った。
「シイイ・・・・・ホトケサマ・・・・・シイヲタスケテ」
その時しぃの耳に足音が聞こえた。鐘に向かって近付いてくる。
「ホトケサマダ!ホトケサマガタスケニキテクレタンダ!」
足音は段々近づき、とうとう鐘の傍に来た。
「和尚さま、それでは除夜の鐘をお願いします」
「うむ」
和尚は鐘つき棒の縄を掴んで、ゆっくり引いた。
「ホトケサマ、シイハココダヨ!ハヤクタスケテ!」
鐘つき棒は勢い良く鐘を叩いた。
ゴ ~ ン
「ジイイイイイイイ!?」
しぃは絶叫した。鐘の鈍い音の打撃が幾つもしぃの耳を直撃した。
「ん?何か言ったか?坊主」
「いいえ何も?」
「そうか気のせいか。さて次」
ゴ ~ ン
しぃの耳から血が噴出す。鼓膜が裂けたのだろう。
「シイノオミミイ!ホトケサマヤメテ!ナニスルノ?シイシンジャウヨ!」
しぃは叫んだ。喉を振り絞って叫んだ。だが鐘は叩かれ続ける。その度にしぃを吊るす
ロープが揺れてしぃを鐘の内壁に打ちつけた。
「イタイヨウ・・・・・・シイノオミミ、シイノオカオ、シイノオテテ、シイノアンヨ・・・・・ボロボロダヨウ」
しぃがピクリとも動かなくなったのは40回も叩いた頃だろうか。血まみれの物体は鐘の音と
共に力なく内壁にぶつかりつづけた。
「和尚さま、これで素晴らしい年を迎えられるのですね」
坊主の言葉に和尚は笑顔で答えた。
「ああ、厄をはらってな。良い年を迎えるんじゃ」