346 名前: コンニチハ、アカチャン 1 投稿日: 2003/06/13(金) 16:49 [ BEFsYric ] 「クッ…ハァッ……」 お世辞にも衛生的とは言えない真っ暗な部屋で一人のしぃがうめいている。 彼女の腹は大きく膨れていて、傍目から見ても臨月だと分かった。 「ウマレルッ…ダレカ…」 痛みを堪える為に握り締めた拳からは爪で傷つけたのか血が流れ始めていた。 「ウアッモウ、ダメェ…」 しぃは涙を流した。 あの時、無理にでも逃げ出せばよかった。 「モウスグウマレルノ!」 しぃは公園に来ていた。 大きなお腹を抱えてベンチに座りながら先輩ママさん達とお喋りに興じている最中なのだ。 「ナマエトカハキメタノ?」 「ウウン、マダヨ。デモカワイイナマエガイイナア。」 話す内容はやはり子供の事ばかり。お洋服、保育園、玩具――― とても満ち足りた時間。もうすぐお母さんになれるという実感にしぃは頬を緩ませた。 「ボールトッテクダサイ!」 ちびしぃが転がってきたボールを追いかけて走ってきた。 しぃはそのボールを拾って手渡してやる。 「モウスグアカチャンガウマレルノ。ソシタライッショニアソンデアゲテネ。」 「ハイ!」 元気よく返事をすると、ちびしぃは友達の元へ走り出した。 しぃはそれを見送るとまだ見ぬお腹の子供に思いをはせた。 おしとやかな子もいいけど、やっぱり元気な子になってほしいなあ。 そしたら、あのお姉ちゃんにボールで遊んでもらいなさいね。 「キャァァァァァァァアアア!!!」 次の瞬間、公園に叫び声が響いた。 347 名前: コンニチハ、アカチャン 2 投稿日: 2003/06/13(金) 17:28 [ BEFsYric ] 平和な空気を突如破った叫び声。 その声の主は、先ほどボールを追いかけていたちびしぃであった。 「ゴメンナサイ!ユルシテ…」 「ごめんですむか!クリーニングに出したばっかりのスーツに泥がついちまった。」 ちびしぃの肩をつかんで引きずり上げながらそう言ったのは、モララーだった。 「モ、モララー!?」 「ナンデコンナトコロニ!」 この公園は、モナー、モララー等の虐殺厨は立ち入り禁止であったはずだ。 それなのに、何故? しぃ達の疑問をよそに、モララーは僅かに泥が付いているズボンの裾を指した。 「まったく、信じられねえなあ。劣等種は子供の教育も満足にできないってか?」 恐怖に震えながらも、その言葉が母親たちの悪口だということが分かったのか、ちびしぃは暴れながら叫んだ。 「オカアサンノワルグチ、イワナイデェ!ソレニアンマリヨゴレテナイジャナイ!オミズデアラエバキレイニナルヨ!」 「コラ、ヤメナサイ!」 血相を変えたしぃが恐々と事を見守っていた輪から飛び出してくる。どうやら母親らしい。 「アヤマルノヨ、ホラ!」 「ダッテコノヒトガ…」 なおも言い募ろうとするちびしぃを無視してモララーが母親に話し掛ける。 「あんたが母親か?」 「ハイ、スミマセン!クリーニングダイハオハライイタシマス!ドウカソノコヲ…」 「へえ、劣等種にしては上出来の受け答えだな。…だがな。」 モララーがさらに何か喚き続けるちびしぃの肩にかけていた右手を耳に持っていった。 左手は肩にかかったまま。 「こいつは俺を怒らせたんだよ!」 「!シィッイタイイタイイタイッ!!!」 左手を片から外した途端、ちびしぃは片耳だけでぶら下がる格好になった。 「ヤメテクダサイ!ヤメテクダサイ!オナガイデス!」 「嫌だね。」 「イタイヨイタイヨ!ハナシテ!」 「ソレニココハ、ギャクサツキンシノハズジャ…!」 「あ、それね。昨日くらいかなあ?撤回されたんだよ。つまりは君達劣等種は虐殺されるしか価値のないってことがやっと世間一般に浸透したってこと。」 「ウ、ウソデショ!?」 「ゴメンナサイ!アヤマルカラ!チギレチャウゥゥ!!」 「うるせえな、こいつ。」 モララーがそう呟いた瞬間、ちびしぃの耳が千切れて幼い体が地面に叩きつけられた。 痛みにうめくその体をモララーが踏みにじる。 「シィィィィィィ!チビチャン!チビチャンガッ!」 「ははは、こいつはベストタイミングだ。」 「ナンテコトヲ…!!コノギャクサツチュウ!アンタナンカシンジャエ!」 「…やっぱり劣等種は劣等種って事ですか?なにかあればすぐ虐殺厨、だ。」 モララーの手がしぃの首にかかる。しぃは気づかない様子でモララーを罵倒した。 「チビチャンヲカエシテヨ!コノギャクサツチュ…!?」 モララーの手がしぃの首を絞めながら持ち上げ、演説はそこで打ち切られた。 「ウエッヤメテ…」 しぃがモララーの手を引っかく。 足がまるで水面下の白鳥の足のようにばたばたと醜く暴れた。 それすら楽しんでいるのだろうか。モララーは笑いながらすぐには死なない程度に首を絞める。 「あの世でチビと抱っこでもしてろよ、お母さん。」 「コロシテヤ…ル」 「出来るもんなら、ご自由にどうぞ。」 「ウ、クルシ…」 しぃの顔が見る間に紫色にどす黒く変色し、膨れ上がっていく。 尿がしぃの太ももを伝ってちびしぃの死体に注いだ。 「コロシテヤル…」 「だから出来るものならやって見せろよって。」 「コロシテ…」 がくん、としぃの体から力が抜ける。 「あーあ、死んじゃった。」 モララーは子供が壊れた玩具を扱うようにそれを地面に放った。 チビしぃの肉と血と、しぃ自身の尿が混じった液体の中に死体が落ちる。 「…次はどうしようかなあ?」 「やっぱりモララーが一番乗りモナー」 「アヒャヒャ!これでも急いだんだぞ!!」 品定めする様子のモララー。 そして新しく訪れた虐殺厨。 …固まっていた公園の空気が、揺れた。 348 名前: コンニチハ、アカチャン 3 投稿日: 2003/06/13(金) 17:44 [ BEFsYric ] 公園は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。 モララー達虐殺厨から必死で逃げるしぃやちびしぃ、べびしぃたち。 鉄の匂いがする赤い液体がそこら中でぶちまけられ、 確かに先ほどまで生きていたはずの生命が少しずつ、確実に積み重なっていく。 母の前で殺される子供。 子供の前で殺される母。 …結局はどちらとも殺してしまうのだけれど。 その中で、妊娠しているしぃは動くことが出来なかった。 …予定日はまだ先なのに! 周りの光景にショックを受けたせいか、もうすでに陣痛が始まっていたのだ。 「イタイ、ダレカ…」 呼びかけても、誰も助けてくれない。 「アカチャンガ、アカチャンガ…」 「赤ちゃんがどうかしたモナ?」 声をかけてきたのは、虐殺厨の一人だった。 よりにもよってこんな最悪な奴に声をかけられるなんて。 後悔したが、もう遅かった。 「皆、来るモナー」 「アヒャ!どうしたんだよ、モナー」 「このしぃ、妊娠してるモナ」 「あ、本当だ。」 しぃは必死で逃げようとした。 本能が危機を知らせていたのだ。 しかし、数センチ後ずさっただけでモララーに肩を掴まれた。 「こいつは面白いや。おい、連れて帰ろうぜ。」 「どうするモナ?」 「なあに、面白いものが見れると思ってね。」 「アヒャー、面白いことって大好きだぞ!」 「それじゃまず、麻酔薬を…」 何をされるんだろう。ベビちゃんだけでも… しぃの思考は、腕に刺さった注射針のせいで途絶えた。 349 名前: コンニチハ、アカチャン 4 投稿日: 2003/06/13(金) 18:17 [ BEFsYric ] 「コ、ココハ?…!!」 目覚めた瞬間、しぃは陣痛に襲われた。 「ナアニ、ッ…ココ?」 痛みと戦いながら、周囲を見渡す。 どうやら倉庫か地下室のようだ。 いやにひんやりとしている。それに窓もない。 「ダレカ、ダレカ…」 「お目覚めか?」 突然の声に驚いて振り返ったしぃの目線の先にいたのは、アヒャだった。 「ギャクサツチュウ?!ア、ソウダッタ。アノトキ…」 「そうそう。その時にあんたを見つけたんだ。面白いことがおきるってモララーが言ったからな。」 「オモシロイコトナンテナイカラ、イエニカエシテ!!アカチャンガ…!!」 再び陣痛に襲われて蹲りかけるしぃの脇に手を入れて、助け起こしながらアヒャが言った。 「とりあえずあいつが言ったことが嘘になったことは一度もないんだ。だから今回も絶対面白くなるさ。アヒャヒャ!!」 「ウッウウ…」 「寝てろよな。」 そう言ってアヒャが部屋から出て行ったあと、しぃは息をついた。 ともかく、赤ちゃんも自分も無事だ。少し産気づいてきているけど。 安堵からか、しぃはとろとろと浅い眠りに落ちていった。 「起きろ!」 モララーの怒声にしぃは眠りから覚めた。 「今から準備するぞ。で、もう産まれそうか?」 前半は仲間に、後半はしぃに向けられたものらしい。 しぃは正直にもうすぐ産まれるかもしれないと言った。嘘をついてもどうにもならないような気がしたから。 「そうか。じゃあ、針と糸を。」 モナーが縫い針よりも太くて長い針と、縫い糸をもってきた。 「ナニヲスルキヨ!」 モララーはその質問には答えずに、針に糸を通す。 「キャァ!?ナニスルノヨ!」 足を開かされて、秘所を丸出しにされてしぃが顔を赤くしながら叫んだ。 「誰もてめえのマソコなんざ見たかねえよ。…さて。」 モララーは秘肉をつまんで、一気に針で貫いた。 「シィィ!?」 今まで体験したこともないような痛みを味わい、しぃは気絶しかけた。 しかし、次の瞬間には別の痛みに覚醒することになる。 「ふふふーん」 陽気に歌を歌いながら、モララーは膣口をふさぐ形で縫っていく。 「シィィ!!シィィィィィィィィィ!!!!ヤメテェ」 「ふふーんはははーっと」 「シィッナンデコンナメニッ!?」 「なんの歌モナ?」 「ふふふふふーん」 「シィッシィィッ!!モウヤダァッ!!」 「っと。この歌も飽きたな。まあ適当に縫っていきましょうかね。」 ぎりっ 「ジィィィィィィィィィィイイイイイ!!!!!」 「あ、間違えた。」 膣から血がしたたり落ちる。内部を引っかいてしまったらしい。 「モウ、ヤメテヨ…!!」 「まだまだこれからだよ。全部縫い終わってないしね」 「シィッ…!!?」 350 名前: コンニチハ、アカチャン 5 投稿日: 2003/06/13(金) 18:49 [ BEFsYric ] 散々泣き叫び、声が枯れたしぃを放置して虐殺厨は出て行った。 産道は完璧にふさがれている。 陣痛も始まり、しぃはがらがらの声で助けを呼んだ。 誰か、誰か。 しかし、声は完全にシャットアウトしているらしい。 誰も訪れる気配がなかった。 「ウアッモウ、ダメェ…」 「アヒャッ産まれそうか!アヒャヒャヒャヒャ!!」 うめき声の余韻を消して、下卑た笑い声が聞こえた。 「もう産まれるモナねー」 「オナガイ、ウマセテェッ…」 「心配しなくても、赤ちゃんは産ませてあげるよ!」 「ホントウ!?」 「うん。…ほら。」 そう言って彼が差し出したのは、アヒャがいつも持っている包丁だった。 「ナニ、コレ…?」 「帝王切開って言葉を知ってるかな。」 モララーがしぃの手に包丁を握らせながら歌うように言う。 「簡単に言えば、腹と子宮切り裂いて、子供を取り出す方法なんだけど。」 「ウソッ!」 「さあ、選択肢は二つ。このままここで母子共々衰弱死するか、帝王切開で子供を取り上げるか。」 「アヒャ!さっさと選べよ!」 「…ウムワ!」 少し考えて、しぃが言った。 どんなに痛くても、子供だけでも助かればいい。 「美しき母子愛モナ。泣かせるねー」 「自分でやれよ?おっと、子供は傷つけないようにな!」 しぃは息を吸って、覚悟を決めた。 包丁を腹に突き刺す。 「!!!ジィィィィィ!イダイヨォ!!!」 「なるほど、すごい光景だな。」 腹を縦に裂ききると、傷口に手を入れてバリバリと横に広げる。 「ジィッジィィィィッハギャアアアアアアア!!!!!」 気を失いそうな激痛の中、それでも何とか耐えて、子宮に包丁を入れる。 血で包丁が滑りそうになったが、何とか持ち直す。 「ヒギィッ!ジィィィィイイアギャアアアアア!!!」 血で塗れた手で、子供を取りだし床に置く。全員で六人。 元気そうにぴいぴい泣いている。 「ほれ、拭いてやらなきゃ。」 羊水をタオルでふき取り、ベビの一人をしぃの顔に近づけてやる。 しぃは愛しげに頬擦りした。 「…それじゃ、感動の対面が済んだところで…」 しぃが、え?と聞き返す前にモララー達は頭の上までベビ達を持ち上げ―――――床に叩きつけた。 肉が、血が、ぱっと飛び散る。あの公園での惨劇を思い出させるように。 「シィィィィィィィィィィ!!?」 信じられない、といった様子で叫ぶしぃにモナーが教えてやる。 「別に助ける、と言った訳じゃないモナ。産ませてやるって言っただけ。 …早とちりしたほうが悪いモナ。」 「おい、もうそいつには何言っても無駄だと思うぜ。狂っちまったみたいだし。」 「アヒャヒャッ今日はいいもの見たぜ!」 「二人とも待つモナー!!」 虐殺厨が出て行った後の室内には、歌声が響くだけ。 腹が裂け、内臓を露出させた母親と、生まれてすぐに命を散らせた子供。 しぃは子供であったものを愛しそうに撫でながら歌い続ける。 その目には、何も映っていない。 コンニチハ、アカチャン ワタシガママヨ…