SCHOOL DAYS

Last-modified: 2015-06-28 (日) 01:26:46
909 名前: 882 投稿日: 2003/09/22(月) 00:42 [ Sw59SNj. ]
ここは県立しぃYO!学校。
なかなかしぃ達の教育体制が成立しない2ちゃんねるの世界で試験的に建てられた学校だ。
もはや今現在のアフォな親しぃに任せておいては子供もアフォしぃになるのは目に見えている
為、それならばこちらで教育を施そうというわけである。
しかしその実、今はまだ「どんな教育をすればかつての聡明なしぃの様に
育てることができるのか」という方法を手探りで模索している状態だ。
設立に当たって一番の問題になったのは「教育者」、つまり先生を誰にするかということだった。
当初はやはりしぃにさせるのが適任だろうという意見が過半数を占めていたが
とてもまともなしぃなど、今となってはメタルスライム以上に見つけることが困難で
ひろゆき議会は暗礁に乗り上げていた。
そこに名乗りを上げたのが一人のモララーだった。
私は以前アフォしぃの子供を立派に育てたことがある、最も適任なのは私だろう。
と、議会に乗り込んできたのだ。一匹のしぃを連れて。
その日、終始議会はどよめきが収まらなかった。
あまりにそのしぃの作法が完璧だったからだ。
食事作法のテスト、筆記のテスト、その他あいさつ、マナーに至ってまで非の打ち所が無かった。
もちろん言葉は流暢な全角を操っていた。
議員達はテストが終わった途端、次々にモララーに質問を投げつけた。
どうやってここまでに育て上げたのか、
期間はどれほどかかったのか、
相手が不特定多数でも実践可能か、などなど。
モララーはそれらの質問にこう答えただけだった。
「このしぃを完璧だと評価するならば、私の教育も完璧と評価されて然るべきだ。
 私に全てを任せてくれさえすればあなた方の不安も解消されるだろう。
 全てはノー・プログラム。問題なしさ」
そして三週間後、議会はモララーを先生として招き入れることを決定した。
ただ、他の先生が未だに見つかっておらずモララー一人のため
最初の生徒数はチビしぃ20名、チビギコ20名、合わせて40名の一クラス分だけとした。
かくして県立しぃYO!学校の最初の授業が幕を開ける・・・・・・・・・

                            糸売

947 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/10/05(日) 01:32 [ DefYqMms ]
              SCHOOL DAYS    その2

モララーは就任する際、議会に条件を付きつけた。
1、モララーのやり方に一切の口出しをしないこと。
2、チビ達がどうなろうとモララーに責任を負わせないこと。
3、以上の条件が破られた場合、モララーは即辞任する権利が与えられること。
やや勝手が過ぎる話ではあるが、チビどもなんざどうなってもいいやって事で
議会は二つ返事でOKした。
「そのかわり」
議長の重苦しい乾いた声に、モララーは少しだけイラついた。
「こちらからもひとつだけ条件を提示させてもらおう。よろしいかね?」
「ご自由に。」
少し気取った態度で軽く流す。
「はっきり言って、君の教育方針は我々としては特に問題ではない。
 大切なのは結果なのだよ、モララー君。私の言いたい事がわかるかね?」
「さっぱりわから無いね、遠まわしの説明は時間の無駄だと思うよ議長?」
「ふむ・・・。」
硬そうな背もたれから離れながら、議長はやうやうしく机に両肘を付き指を組んだ。
「同感だミスター。では単刀直入に述べようか。これから生徒40人の教育が完了するまでの期間、
 君は議会の監視下に置かせてもらう。たったこれだけの条件でどこの誰とも知れないモララーを
 雇うとは甘すぎると思わんか?君にとっては大きなチャンスだと思うがね。」
モララーは面倒臭そうに足を組み替えながら
「確かにね。」
とだけ答えた。この男はやる気があるのか無いのかわからない。
議長は一瞬だけ笑った表情を見せると、席を立ってモララーのほうに歩み寄った。
「やはり君は頭がいい。安心したよ。よろしく、モララー教諭。」
差し出された右手をしっかり握り、やはり気取った態度でモララーも立ち上がり挨拶をする。
「よろしく、しかしできえば貴方とはもう会いたくありませんね」
モララーのこの発言に他の議員たちはひやりとしたが当の議長は
「なるほど、君は頭がよすぎるかも知れんな」
とのけぞって笑っていた。
モララーは全て終わってまた退屈できる時間になれば
この議長で暇をつぶそうと考えていた
                      糸売
971 名前: SCHOOL DAYS 投稿日: 2003/10/11(土) 02:03 [ BM6arjqg ]

          SCHOOL DAYS その3

「随分広い学校なんだな」
廊下を歩きながら、モララーはきょろきょろと学校の様子を見て回る。
「ええ、最終的には小、中、高と全て一貫させる予定らしいですから」
モララーはふん、と鼻を鳴らして
「随分な待遇なんだな・・・」
と不愉快そうに眉を寄せていた。

数時間前、モララーはまずは学校の地理を把握しておこうと思い、
守衛室で暇そうにしてたモナーに案内を依頼した。
「私もまだ全ては回りきれていないんですが・・・」
と、守衛は笑っていたが、なるほど無理は無い。
何せ初めてこの学校を見た時には、とても一人では歩けそうに無いと思ったほどだ。
(これほどチビに期待してるなら、俺に任せなくても良さそうなもんだがな)
まあ試験的な意味合いも強いのだろう。あるいはあの連れて来たしぃが、
幾分かモララーの信用を高める効果があったのかもしれない。
そんなこんなで、授業開始の前日に男二人でふらふらしている訳だった。

「所で、私が受け持つクラスはどこに?」
「ああ、たしか小学一年一組のクラスですよね?こちらですよ。」
また歩くのか。もうモララーは歩くのに少しうんざりしてきた。
「ここです。一年一組、鍵はかかってないはずですよ。まだ机しかないですし。」
モララーはドアの取っ手に手をかけた。なるほど、スライド式のドアは
いとも容易く滑っていく。モララーは少しだけ爽快そうな顔をした。
いったい何を想像しているのか。相変わらず考えが読めない。
教室の中は、きっちりと小児用の机が縦横に並べられていた。
大きな窓からは、もう沈みだした太陽に光が差し込んでいる。
今はまだ静かなこの部屋も、明日には騒々しくなるのだろう。
モララーはまた爽快そうな顔をした。
前には教卓が一つだけぽつん、と置いてある。
おもむろにその前に立ってみた。
思えば、この視線から教室を眺めたことは少ない様な気がする。
「こんな狭い部屋にさぁ・・・」
ポツリと守衛がつぶやく。
「チビが40匹も集まるんでしょ?想像するだけでゾッとするね・・・」
モララーはふっ、と笑って守衛のほうに向き直った。
「そうでもないさ。初めての学校で浮かれてるアホどもを、
 俺の思うようにいたぶれるんだ。今から楽しみでしょうがないよ。
 議会のじじぃどもが満足いく結果は出してやるつもりだがね。」
そう言ってモララーは、すたすたとドアのとこに立っている守衛の横を通り過ぎると、
そのまま昇降口のほうに歩いて行ってしまった。
「おおい、案内はもういいのかい?」
大声で遠のいていくモララーの背中に呼びかける。
「ああ、おかげで明日は遅刻しないですみそうだ。ありがとう」
歩きながら後ろ手を振って守衛に礼を言った。
「がんばんなよ、モララー先生!」
まだ守衛の声が聞こえてくる。
「任せておけ・・・」
誰に言うでもなく、そう呟くとモララーはゾッとするような笑みを浮かべた。
外はもう陽が落ちていた。
               糸売
977 名前: 耳もぎ名無しさん 投稿日: 2003/10/23(木) 05:40 [ NC2JtO86 ]

          SCOOL DAYS
                  その4

始業の時間は八時きっかり。
モララーは余裕を持って七時半には学校についていた。
モララーは生まれてから一度も遅刻をした事がない。
これは彼にほのかな自信と、階級意識を与えていた。
早めに行った所で特に用意するものもないし、
のんびり登校してくるアホどもを眺めるつもりだった。
職員室は、まだ机が八個ほどあるだけで、殺風景なままだった。
モララーは適当な机に荷物を置くと、ため息を一つついて
コーヒーを沸かし始めた。
七時四十五分。
少し校門のほうが騒がしくなったように感じられる。
モララーは少し温くなったコーヒーをすすりながら、外に目を向けた。
何組かのしぃ親子が、校門でチビを写真に撮ったり、ダッコしたりしている。
(ふん、主役の登場か)
一気に残りのコーヒーをのどに滑り込ませ、モララーは階段を下りていった。

「ウーン、 モウチョット カワイラシサヲ アピールシテミテ!」
「コウ? ダッコ*」
「ハニャーン! サイコーネ!」

「イイ? ガッコウニ ハイッタカラニハ、タークサン ベンキョウシテ、オカァサンニ ラクヲサセルノヨ!」
「ハーイ!マカセテ! シィ、イチバンニナルカラ!」

「キュウショク オイシイカナァ?」
「ソウネ、シィノオクチニ オウモノガデレバイイケドネ」

しぃどもはそれぞれ好き勝手なことをしている。朝っぱらから元気なもんだ。
チビ達は嬉しそうにランドセルをさげていた。ピカピカのランドセルは朝日を受けて
きらきら光っている。俺もこんなガキの時分があったかな。
図らず少しノスタルジックな気分になる。
馬鹿な、俺らしくも無い。そう思って気持ちを入れ替えた。
「おはようございます。私、
 この度一年一組を受け持つことになりました、モララーです。よろしく」
「ハニャン! センセイ? チビチャン、アイサツシテ!」
「センセイ、オハヨウゴザイマス!」
「はい、おはよう。よくできたね。」
モララーは内心の苛立ちを億尾にも出さず、優しく挨拶を返す。
褒められたチビ親子はすっかり得意げになって、どうだと言わんばかりに
周囲に視線を送った。
その途端、負けじとばかりに他のチビどもが一斉にモララーに挨拶を投げ始めた。
「センセエ!オハヨウゴザイマス!」
「オハヨウゴザイマス!」
「オハヨウ!」
今すぐ殺してやろうかとも思ったが、そこはぐっと抑えて笑顔で挨拶していった。
そうこうしている内に時間はもう五十五分。他の親子も続々集まり始めている。
「はい、それでは間もなく授業開始の時間となります。
 親御さんはひとまず帰宅なさってチビちゃん達の帰りをお待ちくださいね」
「ハニャー!ジャアチビチャン、キヲツケテネ!」
「シッカリオベンキョウ スルノヨ!」
「ワガママイッチャダメヨ!」
親しぃの戯言を尻目に、モララーは再び校舎へと戻っていった。
"授業〟の用意をしに。

978 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/10/23(木) 07:02 [ NC2JtO86 ]
続き
 
       キーン コーン
          カーン コーン

授業開始を告げるチャイムを聞いた時、モララーはゆっくり廊下を歩いていた。
最初の授業だ、まずはそれぞれの個性を知らねば。そう思いながら。
教室の前に着いた特、すでに中は騒がしい喧騒で一杯になっていた。
やれやれ、五分の我慢も出来ないのか。
ガラガラ!とドアを開け、中の様子を見てモララーは驚いた。
机はすでに昨日の様な位置になく、チビたちはケンカしあったり、
ランドセルを投げあったり、挙句の果てには交尾を迫っているチビギコも見られた。
誰一人モララーの存在に気づく者はいない。モララーは唖然とした。
(これだから、一から教育すのるは骨が折れる・・・)
ふー、と長い溜め息をつくと、一番近くの位置にいるチビギコの元に
つかつか歩み寄った。当のチビギコはチビしぃを落とすのに必死である。
ガシッ!とチビギコの頭を鷲掴みにした。
「フギャ!なんでちか?!いきなり何をするんでち!」
しかしモララーは一切耳を貸さず、そのままチビを黒板に投げつけた。
バアン!!
「アグ――!!」
全員何事かと一斉に前を見る。一瞬にして教室が静まり返った。
「みんな、チャイムの音聞こえたろ?いつまでもお話してちゃあの子みたいにしちゃうよ?」
誰も悲鳴を上げたり、逃げ出したりせずボーとしている。幼い故に事態が把握できないのだろう。
さっきのチビはヒューッ、ヒューッと必死で呼吸しながら、フラフラになっていた。
「そんな大げさなリアクションしてんじゃねぇ。死なねェ程度に手加減してやったんだぜ?」
「そ・・・んな・・・チビたんは・・・何も・・・」
「あーあーいいからいいから。大体何が言いてぇのかわかるよ。いいから黙って聞け。」
そして教卓の前に立ち、足元のチビを軽く蹴飛ばしてどかせながら話を続けた。
「まずは散らばってる机を元に戻しましょう。一番頑張った人には一番欲しい物をあげます。
 いいですね?わかった人は手を挙げて」
「ハニャ?」
「イチバンホシイモノ?」
「なんでもいいんデチかね?」
「ふさタンは可愛いしぃタンがほしいデチ!」
ざーっ!とみんなが手を上げていく。全員上げているようだ。まずは合格。主従関係成立。
「よろしい。みんな賢くて先生嬉しいです。それでは、よーいドン!」
途端に全員弾ける様に動き出した。手近な机を元の位置に戻していく。
あっという間に綺麗に整頓された。
「いいですね。どうですか、みんなで綺麗にすると気持ちがいいでしょう?
 次は、黒板に書いてある通りに自分の席へ行って座ってくださいね。」
全員はぁはぁいっている。それほど疲れたのだろうか。身体能力向上の必要性有。
「そんなことより・・・」
「イチバンハダレデシュカ?」
「気になるデチ」
生徒にしてみればそりゃそうだろう。そのために頑張ったんだから。
「ん?一番かー。うん、それは後に話すとして、まずは先生の話を聞いてください。」
するとみんな一斉に文句を言い出した。
「そんなひどいデチ!」
「ガンバッタノニ!」
「ウソダッタンデシュカ!」
「やってられないデチ!」
大分強気の発言も有る。どうやら団体意識が芽生えてきたようだ。それはいいがこれはイラつく。
ダン!!
モララーは思い切り教卓をたたきつけた。
全員ビクッ!と体を縮ませる。
「先生の話はちゃんと聞いてくださいね。さっきの子みたいになりたくないでしょ?」
体を一番震えたのはさっきのチビギコだった。よほど応えたのあろうか。顔が青白い。
「最初に私の教育システムについて話します。よく聞いて。一度しか言いませんから。」
そしてチョークを取って黒板にカリカリ書いていく。チビにも読めるように大半が平仮名だ。

979 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/10/23(木) 07:03 [ NC2JtO86 ]
「まず、君達にはそれぞれ10点の持ち点があります。ただしこの点数は、
 何か悪いことをしたりすると一点づつ引かれていきます。わかりますね。」
そう言いながら、黒板にチビの絵を書いて、上に「10点」と書いた。
そしてその横に「例:友達をいじめる。話を聞かない。忘れ物をする。遅刻をする。etc...」
と書いていき、それらの例を丸で囲んで、今度は上に「-1」と書いた。
「例えば三つ悪いことをすると、その子の点数は10-3で7点になっちゃいます。」
チビたちはみんなついていこうと必死である。
「でも、もし仮に、悪いことばかりしてその子の持ち点がついに0点になっちゃったとしましょう。
 その場合、その子は責任をもって先生が全力で殺します。みんなの前でね。わかる?」
チビたちはギクッとした様な顔でモララーを見つめている。本当に?という顔で。
「でも、先生も鬼じゃありません。いい事をすればその子には1点プラスしてあげます。」
といって、悪い例の横に
「例:友達を手伝ってあげる。給食を全部食べる。etc...」
と書いてまた丸で囲み、上に「+1」と書いた。
「つまり、四つ悪いことをして二つ悪いことをすると・・・」
といいながら黒板に「10-4+2=?」とかいていく。
「持ち点はいくつになるかな?じゃあ、さっきのチビ。正解なら+1あげよう。」
え、と小さな声を上げて目をぱちくりさせている。おそるおそる口をあけた。
「あ、あの・・・もし外れたら・・・?」
「かわいそうだけどペナルティがつくね。つまり-1だ」
どんどん顔がこわばっていく。歯もガチガチ鳴る始末。見ているこっちが気の毒だ。
「さぁ、答えてごらん?簡単じゃないか。」
「う・・・あ・・・」
もう頭の中は真っ白なんだろう。しかし一向に答える気配の無いチビに、次第に苛立ちも募ってくる。
「さっさと言えェ!!!」
「ひい!!よ、4デチィ!」
勘で答えたのだろうか。自信なんてまったくないという顔だ。
「4?4かぁ・・・ふん・・・君やるねー」
「え・・・?あ、当たったデチか・・・?」
ビクビクしながらだがかすかに喜びの色が差し込んでいる。希望が見えてきたという感じだ。しかし、
「ううんはずれ。正解は8だよ。残念でしたー。きみ、-1ね!!」
ズバーッ!って感じチビに指をさす。
「ひぃぃぃぃ!!」
チビはまさに断首台の階段を一歩上がったわけである。それはショックだろう。
「まあこんな具合で進めていきます。わからない点があれば言ってください。
 それじゃ、今日はこの辺で終わりましょうね。さよなら!」
とモララーは一人で幕を引いて帰っていった。残されたチビたち、特にさっきのチビギコは、
何が何やら判らぬ状態だ。しかし、まだ序の口。彼らの学生生活まだまだたっぷりあるのだ。
       
                                 糸売
24 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/11/09(日) 05:17 [ 9VlsB6fs ]
          SCOOL DAYS
                      その5

挨拶を終えた次の日、その日もまたモララーは定時にきちんと職員室にいた。
さっきから窓の外を見てはニヤニヤしている。
登校してくるチビたちの表情を見て楽しんでいるのだ。
楽しい学校。たくさんの友達。優しい先生。そんな生活が始まると思っていたのに。
登校してくる全員、顔にそんなことが書かれているような沈んだ顔だ。
モララーにはそれが楽しくてたまらなかった。
小さな希望を土足で踏みにじる下卑た快感。純白の心を泥で真っ黒に塗りつぶす喜び。
その感情が、普段クールなモララーの表情を崩していた。
心の中では逃げだしたいだろう。けれでもそれでも学校へとやってくる。
ペナルティを背負わないために。殺されないために。生き延びるために。

チャイムが大きく時を告げる。いよいよ始まろうとしていた。
チビたちにとっては試練の時が、モララーにとってはショウタイムが。

「みんなおはよー!」
モララーは元気にドアを開けた。やはりみな一様に暗い顔をしている。
それとは対照的に、モララーの顔は満面の笑みをたたえている。
教卓の前に立ち、教室を見渡しても、誰も目をあげようとはしなかった。
「はい、いきなりでなんですが、みんなに残念なお知らせがあります。」
全員すぐに顔を上げた。この上に何を言われるのか。それが恐かったから。
「実は、調査の結果、ここにいる皆さん全員のお母さんお父さんは、ひろゆき議会からみて
 俗に言う[アフォしぃ]に当てはまることがわかりました。
 議会はこの学校の設立された目的を失わないためにも、未来を担う君達に
 悪影響を多大に与える恐れの有る、社会のゴミどもを抹殺する事を決定しました。」
みなぽかんとしている。誰一人として話を飲み込めていないようだ。
「ちょっと難しく言い過ぎたかな?つまりねぇ、
 君達の親は今頃殺されちゃってるって事なんだよ。わかる?」
この一言は全員に衝撃を与えた。
「そんなことってないデチ!」
「ヒドシュギマシュ!」
「先生は嘘つきデチ!そんなこと、あるわけないデチ!」
「そこまで言うなら帰って確認してくれば?」
モララーは冷淡な声でさらりと言った。
「別にこっちは信用して欲しくて言ってるんじゃないんだぜ?
 ただ真実を述べただけだ。さっさと理解しろ。」
また、教室がしんとなった。誰一人として騒いだり泣き出すものはいない。
その行為は何ももたらさず、ただ死を近づけるだけだと知っていたから。
「みなさんは、そんな駄目な大人にならないためにもここにいるのです。
 何故私がポイントが0になると殺すと言ったかわかりますか?
 -1がつくだけ[アフォしぃ]に近づくからです。そして0になったという事は、
 学習能力が低く、適応性に欠け、貧困な発想しか持てない者になったという事です。
 これらはみな[アフォしぃ]の典型的な特徴です。つまり、そいつもまた、
 [アフォしぃ]になったという事になるんです。そんなもの生かしておいてもしかたありません。
 だから殺す。逆に言えば、+1がつくだけ聡明なしぃに近づいているという事になるわけです。
 意味がわかりますか?」
全ては理解していないだろう。だが、ぼんやりと輪郭だけはつかんでいるようだ。
それを見極めてから、モララーは続けた。 
「さて、これで君達は住み家を失ったわけですが、代わりは学校で用意してますので安心してください」
そこで、おずおずと一人のチビふさが手を上げた。
「代わりって、どういうことデチか・・・?」
「つまり、君達には学校寮に入ってもらう。これで24時間君らを監視できるわけだ」
チビフサは質問するんじゃなかったという顔で手を下ろした。
「ではこれから、自分の家に帰って、荷物を全て持って学校に戻ってきてください。
 今日の五時がリミットです。なぜなら、五時を過ぎると
 死体清掃班のおじさんがみんなの家に来るからです。もしその時、
 ぐずぐずして家に残ってたりすると、きっと産まれてきた事を後悔しますよ。」
もうチビ達は生きる気力を失いそうだった。
家族を殺され、自分まで殺される危機に何度も瀕しているからだ。
それでも、まだ死にたくはないようだ。それは、夕方五時に全員そろったことで証明された。


                                 続
156 名前:  SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/06(土) 05:03 [ WYmFKhGM ]
        SCOOL DAYS
                      その6


死にそうな顔だ。
それが校庭に整列させたチビたちを見た、モララーの印象だった。
モララーは思わず吹出しそうになった。指をさして、腹を抱えて大笑いしたかった。
何だそのツラは。少しは感謝しろよ。いい勉強になったろ?
アフォしぃの末路はどうなるかって事がよくわかったろ?
お前らの自分の親の死体を見ることでな!
そういいたかった。

 「みんなお帰り!それじゃ、今日から皆さんの家になります寮まで案内しますから、
  先生についてきてください。なに、歩いてすぐのとこですよ。」
そういって振り返った時、いつかのチビギコが叫びをあげた。
 「この人でなし!!」
その場の空気が、凍りついた。
モララーはゆっくりと、再びチビ達の方へ向き直った。
 「命が惜しくないの?」
モララーは笑っていた。手に持っていた書類ファイルをドサリと地面に落とす。
両手を自由にするために。
 「お前は、最低でち!あんなことが出来る奴なんて、生きてて良い訳無いでちー!!」
チビは、モララーの問いかけに答えずに、涙でグシャグシャになりながら叫んでいた。
そんなチビとの間合いを、モララーは一歩一歩縮めていく。
他の生徒はチビと一緒に文句を言ったりせず、ただ恐怖の顔でモララーに道をあけた。
 「何言ってんの。さっきも説明しただろ?お前らの親は社会のゴミなんだよ。
  本当に生きてちゃいけないのは、アフォしぃたるお前らの親だ。」
 「うるさいでち!そんな話聞きたくないでち!あんな殺し方をするなんて許せないでち!
  お母さんを帰せ!今すぐ返せ!」
まったく話を聞かずにチビはまくし立てた。しかし、それ程酷い死に方だったのだろうか?
モララーはやれやれ、と溜め息をつくと腰を落とし、チビの顔を両手でガッ!と鷲掴みにした。
 「?! ふぎゅうっ?!」
 「まぁその話は一旦置いといて、今度は先生の話を聞いてくれるかな?
  後で飯の時に言おうとしてたんだけどさ、そのデチデチ言うのは今日で禁止するつもりだったんだ。
  誰が聞いても不快なだけだからね。もちろん、一回言うごとにペナルティはしっかり付くよ」
チビの顔面を、モララーは満面の笑みで力一杯締め付けていく。
 「ふっ、ふーっ、ううー!」
 「いいから黙って聞けって。さっきから実は数えてたんだけどさ、君、5回デチっていったんだよね。
  それプラス反抗的態度や、人の話を聞かないダメッぷり。それに、君は確か以前にも
  ペナルティをもらってたよね?」
 「う、ぐ・・・」
みるみるチビの顔が青ざめていく。覚悟あっての行動の癖に、今更なんだ。
他の生徒も、この後何が起こるのか、もう予想は付いただろう。
 「そーんな持ち点ゼロの悪い子は、先生どうするって言ってたっけ?ん?
  はい、そこのチビフサ!」
急に話を振られて、チビフサはビクッ!とした。モララーは実に生き生きしている。
 「あ・・・あ・・・」
 「ほら、間違えてもいいから言ってご覧?あ、けどデチって言ったらー1ね。」
その一言でますますフサはガクガクになっている。汗だくで、言葉はしどろもどろ、
目もせわしなく動き、そのうち消えてしまいそうだった。
 「先生はっきりしない子嫌いだなぁ・・・あと10秒で答えろ」
 「え?!いや、あの・・・先生が、責任持って、その子をこ、殺す・・・って・・・」
つかまれているチビは震えが止まらないようだ。息遣いも懸命になっている。
157 名前:  SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/06(土) 05:04 [ WYmFKhGM ]
 「その通り。わかってるじゃない。はーいみんな、この子に何か、
  別れの挨拶とか、連絡事項とか無いですかー?」
いいながらモララーは立ち上がり、腕を伸ばしてチビを吊り上げた。
 「ん゛──!!ん゛ん゛───!!」
生徒一同呆然としている。もうすぐ、また一つ身近な命が消えていく。
 「特に無いのかな?そんじゃ、チビ君はこの世にお別れを告げてくださいね!
  短い間だったけど、また来世で会おうね!さようなら!」
 「ん"────────!!!」
天に向かって付き上げていた手を、チビをつかんだまま地面に向かって思い切り振り下ろした。
チビは後頭部から叩きつけられたため、地面には辺り一面血や脳しょうが飛び散り、
右目は眼窩から飛び出し、左目は空高くに上がっていった。
さまざまな音を立てながら壊れていくチビは、まさに芸術としか呼び様が無かった。
モララーが悦に入り、生徒はショックで固まっている。その為、音は何一つ起きなかった。
その静寂の中、左目は静かに着地して、潰れた。

その後、寮にて生徒全員にモララーは宿題を出した。
男子は全員、語尾にデチをつけないこと。
女子は全員、全角の言葉で喋ること。
さらに、今週末に試験を行うので、それまではいくらでも喋ってよいが、試験後にまだ喋るものは
-3とする。などなどの補足事項も付け足した。
 「さて、こんなもんかなぁ連絡は。みんな、今日はいろいろあって疲れたと思いますけど、
  明日も元気で学校に来てくださいね!部屋割りはそこの掲示板に貼ってますから、
  それ見て各自自分の部屋でやすんでください。それじゃ、きょうはここまで。またねー」
そういってモララーは一階の自分の部屋に引っ込んだ。そこでやっと、
堪えていた笑い声を出した。チビを殺してから、生徒は夕方以上に暗い顔をしていた。
もう人生にきっと夢や希望なんて無いんだ。そう目が語っていた。それがモララーには堪らなかった。
モララーの笑い声は、ロビーで誰一人一歩も動かず、呆然と立っている生徒達を包んでいった。
172 名前:  SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/07(日) 20:54 [ nsM6pKnk ]

         SCOOL DAYS
                      その6

突然、モララーの携帯がなった。
時刻は午前二時。チビたちの部屋からは小さな啜り泣きが聞こえてくる。
余談だが、モララーの着メロは「地獄の黙示録」だ。
「はい?」
「夜分すみません、モララーさん。
 私、ひろゆき委員会情報部、儀誇と申します。」
「あいさつはいい。何の用だ?」
睡眠を邪魔されたモララーは酷くいらだっている。

「実はですね、つい先ほどの会議で決まったことなのですが、
 すでに議会は、次の「しぃを絶滅させるための傾向と対策」
 というテーマに向けて動き始めています。もちろん、並行させて
 続けてもいいじゃないかという発言もありましたが、
 今現在モララーさんが取り組んでいるものとは正反対のものなので、
 流石に無理があるだろうということで、あの、非常に申し上げにくいのですが・・・」

三十分後、モララーはベットから抜け出し、いすに座って考え事をしていた。
思わぬ話ではない。うすうすは予測していた。
それほどこの計画が将来性がないからだ。確かに成功すればAA界に革新が起こるだろう。
しかし、それには金と時間が掛かり過ぎる。しかも、そこまでして成功しても1,2匹。
(これは、実際モララーが試したことなので間違いない。それに、この結果を議会に伝えたのはモララーだ)
そんなちんたらしたものより、社会の無駄が消え、爽快感をゲットできるものの方がいいだろう。
(やっと来たか・・・)
そうなることをモララーは待っていた。やっと本番だ。
議会はあと一ヶ月以内に結果を残せば、約束した報酬以上の金を払うと約束したそうだ。
そうなれば、モララーのする仕事は一つ。
結果を出し、報酬を受け取り、議長を殺し、姿を消す。
簡単だ。いつもしてきたことだ。残る問題は後一つ。
(さて・・・)
どうやってベビどもを調教するか。それだけなのだ。
明日からベビどもはもっと悲惨な生活になることだろう。
モララーは、気づくと声を漏らして笑っていた。
                        
223 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/27(土) 05:39 [ sqbb2WuE ]
172>>の続き

         SCOOL DAYS
                      その8

次の日から、モララーは慌しく準備を進めていった。
なにせ、残された時間はあと一ヶ月しかないのだ。
チラッと時計を見る。時間は午前7時半。そろそろチビどもを起こす時間だ。
モララーは耳栓をして、おもむろにあるスイッチを入れた。
このスイッチはモララー特製高音発生装置の電源スイッチだ。
スピーカーはチビどもに宛がわれた枕の中に入っている。無論、音量は最大だ。

               カチッ


キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!!
「フギャアア!!」
「何の音デチかぁ!?」
「シィィィィィ!!」

あちこちの部屋でチビどもが騒ぐ気配がする。
窓が震えているほどの音だ。
そりゃこんな音で起こされたほうは堪らないだろう。
モララーはスイッチを切って、マイクに切り替えた。
「みんな、爽やかな朝だね!起きた人はすぐ教室に移動しましょうね。」
さて、後は放っておいていいだろう。勝手に行くはずだ。
そんな事を思いながら、半角やデチ言葉を喋った奴に-1をつけていった。

八時。モララーは教室へと歩いていく。手には大量のプリントを持っていた。
ガラッと扉を足で開ける。全員目が真っ赤だった。泣いてた奴もいたんだろうな。
「これから皆さんにちょっとテストをしてもらいます。制限時間は一時間ですからね。」
いいながらプリントを配って歩いていった。
まったく、どいつもこいつも葬式みたいな顔しやがって。
まぁ、そのうちもっと暗くなるだろうけど。

その日から、モララーはありとあらゆるテストをチビどもにさせていった。
心理テスト、作法テスト、喋り方のテスト、一般教養、その他色々。
成績の悪いものには一応個別で「教育」してやった。


二週間後、毎日テスト漬けだったチビどもは、すっかり痩せ細っていた。
毎日集中力をギリギリまで使っていたのだから、それは無理はない。
「さてと……。」
教卓に手をついて、モララーは一息ついた。
「みなさん、お疲れ様でした。テストは、昨日の分で全て終了しました。」
「え?」
「もうしなくていいの?」
少しだけ、チビどもの顔に血の気が戻ったようだ。
「しかし」
そこでモララーは一喝する様に話を続けた。
「ご存知の通り、テストと言うのは皆さんの力を図るために存在します。
 その結果、やっぱり出来る人や出来ない人もわかります。
 えーぶっちゃけて言うと、出来ない人はいりません。何せ大人の事情で、
 もう皆さんに教育できる時間がないからです。そんな残り少ない時間で
 全員の面倒はとてもみれません。そんなワケで出来ない人は」
途端に教室のドアが蹴破られた。
チビどもは驚いて、悲鳴を上げて逃げ惑っている。あっという間に教室はパニックになった。
緊張で硬くなっていた所へこの登場だ。そりゃびっくりするだろう。
生徒達は、出来るだけ虐殺厨から離れようと、全員窓際へと逃げていった。
その喧騒の中で、誰かが叫んだ。
「虐殺厨だ!」

224 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/27(土) 05:40 [ sqbb2WuE ]
10人はいるだろうか、全員一目でわかる虐殺厨だ。顔もアヒャっている。
「おいおい、まだ早いだろうが。しょうがねぇな、少し待ってろ。」
モララーはクルッとチビのほうに向き直ると、手にしていたメモを見ながら言った。
「えーまぁそんなわけで、成績の悪い子は彼らの欲求を満たしてあげてください。
 簡単ですよ。ただ、悲鳴を上げて逃げてくれればいいだけですから。
 けど、しぃミちゃん、あなただけは生かしてあげます。トップの成績ですからね。
 さ、こっちおいで。」
「え・・・?」
しぃミと呼ばれたしぃは、クラスの中でも一際目を引くキレイなしぃだった。
幸か不幸かアフォしぃである親が早くに殺されたため、あまりその影響を受けておらず、
他に比べると更正出来る可能性は高かった。
しぃミは次々と起こる展開について行けてないようだ。ただ、死ななくて済む、と言う事は解っているらしい。
ふらふらとこちらへやってくる。
「待って!」
そのしぃミの腕をつかむしぃがいた。しぃミと仲のよかったしぃ子だ。
「しぃミ、私を追いてくの?いつも一緒だったじゃない!自分だけ助かるつもり?」
「しぃ子…」
しぃミは驚いていた。自分だけとか、そんな事をいう子じゃなかった。もっと優しさを持っている子だった。
けれど、こんな状況だ。いつもどうりの態度をとる方が難しいだろう。
「だめだよ。そんなの、先生が許してくれないよ…」
とたんにしぃ子が激昂した。
「なんですって?!あんた、あんな奴のいうことを聞いて、私のことを見捨てるの?最低ね!」
「そんな…」
しぃミは絶句してしまった。あのしぃ子が、自分に罵声を浴びせるなんて…。
そこで、ただニヤニヤしながらこのやりとりを聞いているだけだったモララーが口を挟んだ。
「ねぇねぇしぃ子ちゃん、先生、さっきなんて言ったか覚えてる?」
「え…」
「[出来る子だけ欲しい]って言ったんだよ。何でしぃミちゃんだけが選ばれたかって言うと、
 しぃミちゃんは[出来る子]で、君は[出来ない子]だったから。だから金と労力を考えたら
 君よりもしぃミちゃんを世話したほうが効率がいいだろ?
 …おい。何だその不満そうなツラは?
 何なら君の成績教えてあげようか?
 君はねぇ…えーと、40人中37位!アハハハハハ!おいおい、あんだけ騒いどいてこの成績かよ!?
 ましな成績なら考えてやろうと思ったのに、筋金入りのバカが勝手に熱吹いてんじゃねー!君、もう死ぬしかないね!(ハゲワラ」
一気にしぃ子の頭に血が上ってきた。心の回転が速くて追いつかない。怒り、恥ずかしさ、哀しみ、絶望。
次々に感情が浮かんでくる度、しぃ子の胸は張り裂けそうになった。
ぼーぜんと立ち竦んでいるしぃ子の腕を振り払い、しぃミは素早くモララーの側へ駆け寄った。
まだモララーは少し笑いがこぼれている。
「あー、笑った笑った…。さて、もういいか。別にこれ以上言う事もないし。」
虐殺厨達はとたんに色めき立つ。そろそろしびれも切れる頃だったのだろうか。
「そんじゃ、生徒の皆お疲れさん。後は残りわずかな人生を彼らの為に使ってください。
 おい、お前ら。待たせて悪かったな。一人残さず



                    殺 れ 」
230 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/29(月) 03:07 [ zs/4m.fo ]
       SCOOL DAYS
               その9

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ────────────!!!」
教室は地獄絵図と化した。
獲物を前にお預けを食らっていた虐殺厨は、もう我慢できない!というようにチビ達に襲い掛かった。

「オラ、チョロチョロするんじゃねぇ!」
包丁がチビに襲い掛かる。
ダンッ!
「ギャアー!チビタンのアンヨがー!」
「チビタン、しっかりするデチ!早く逃げ…!」
「アヒャー!」
助けようとしたフサの首が一瞬で中に舞う。
足を無くしたチビは、あっけにとられている間に頭から真っ二つにされた。

こちらでは、耳を鋏で切り離されたしぃが泣いてる。
「おながいもう止めてー!」
「あれー?シィィーってなかないぞ?もっかいやってみよう、それ!」
ズバン!ともう片方の耳も切られたしまった。
「いたぁぁー!!もうやだー!!誰かぁーー!!」
「ちっ、泣けって言ってんのに、いい加減むかついてきたぜ!
 たっぷり懲らしめてやる!」
「イヤァァァーーーーー!!!」

こっちのチビは、ダンッ、ダンッ、ダンッ、と断続的に
腹に包丁を刺されている。もう虫の息だ。
「アヒャ…まだまだ…しぶとい…」
「オガッ…グアッ…カハッ…」
加虐者の顔は恍惚で輝いていた。

「おい、こいつ抑えといて。スカトロレーサーになりたらしいんだ。」
「ほーう、そいつぁ見上げたチビだ。よし、いいだろう。」
「ちょっ、ちょっと待ってくだチャイ!チビタンはそんな事一言も…」
「いいから暴れんなって。ふんっ!」
ブスッ!とチビの肛門に「モナースペシャル・スカトロ使用」の新品が突き刺された。
「ヒギャア!新しい感触!」
「おら、新世界を体験して来い!」
あらん限りの握力で、チュ-ブの中身を全てチビの体内にぶちまけた。
一瞬、チビの呼吸が止まった。
「ヒギャァァァァァァァァァァ!!」
涅槃から血と糞尿を撒き散らしながら、チビは窓を突き破り、空彼方へと消えていった。
「おーおー、なかなかよく飛ぶ野郎だ」
「おしいなぁ、一流のレーサーになれてたかもしれないのに」

教室のあっちこっちで広げられる阿鼻叫喚の騒ぎを、モララーは教卓に手を付き、満足そうに眺めていた。
ふと目を落とすと、しぃミは顔を手で覆って震えていた。
ちっ、面白くない奴だ。
ガバッ!とモララーはしぃミの両手をつかみ、バンザイさせるように持ち上げた。
「先生!何を…」
「しぃミちゃん、ちゃんと見てなきゃダメじゃないか。いままで一緒に勉強してきた仲間だろ?
 そんな冷たい態度とっちゃいけないと思うなぁ。友達の最期くらい、看取ってあげなよw」
「そんな…それだけは…」
「言っとくけど、目を瞑ってたりしたら、どうなるかわからねぇからな」
「!!」
「おっ、おーい、そいつ持ってちょっとこっち来てー」
モララーは唐突に、虐殺厨の一人に声をかけた。
何故なら、なんとそいつの獲物は、さっきまで騒いでいたしぃ子だったからである。
「あーこのガキっすか?どうするんです?」
連れて来られたしぃ子は、今にも失神しそうなほど怯えていた。
さっきから口をパクパクさせている。何だと思えば、
すでに言葉を発する事も不可能になっているようだ。
やれやれ、さっきの威勢はどこへやら。
「しぃミちゃん、君としぃ子ちゃんは友達だったよねぇ?
 だったらなおさら彼女の最後を見ておくべきだと思うんだ。
 ああ、大丈夫だよ!心配しなくていい。彼女は特別に、ボクが引導を渡してあげるんだから!」
怯えつつも、何かを言い返そうとするしぃミを無視して虐殺厨に渡すと、
一瞬間をおいて、モララーはしぃ子の腹を思い切り蹴り上げた。
「破ァッ!」
ボキャ!
「ガバァッ!」
驚くほど簡単にしぃ子は飛び上がる。
ちょうどモララーの目線にまで浮いてきたしぃ子を、
モララーはさっき蹴りを食らわせた場所に、今度は右ストレートを叩き込んだ。
「逝って良しだモラァ!」
ズボッ!
やけに深くめり込んだ気がした。
「ウブォ!シ、シィィィィィィィィ!」
おお、半角のあの名台詞。何か久しぶりに聞いたな。
そんな事を考えながら、さらに高く舞い上がったしぃ子を追って、モララーも地面を蹴った。
「しぃミ!よく見ておけ!これがお前の親友の命を絶つ最後の攻撃だ!」
しぃ子と同じ高さまで飛び上がると、モララーはしぃ子の首に右足を乗せた。
モララーはその時見た。しぃ子の目を。すでに虚ろになっていたが、しっかりと語っていた。

「マダイキテイタイ    オネガイ    コロサナイデ」

モララーは背中の辺りがゾクゾクする感触を覚えた。
そういう顔をしてる奴を、あっさり踏みにじるはたまらない。

231 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/29(月) 04:22 [ 9qmTn1HY ]
「いくぞ!」
モララーはしぃ子の両足を両手でつかんで落下していく。右足を首にかけたまま。
「シィミチャ──ン!!!」
その時、激しい降下の中、モララーの足下のしぃ子は絶叫した。
すでに声は半角に戻っていた。
何故断末魔が友を呼ぶ声だったのか。それは今でもモララーには判らない。
しぃミはすぐに理解した。しぃ子ちゃんはやっぱりしぃ子ちゃんだった。
あの時はちょっとパニックになっていただけだったんだ。
助けなければ。これがすぐにしぃミの頭に浮かんだ言葉だった。
けれど、虐殺厨に捕まっているしぃミにできることといったら、
せいぜい無駄にもがいてみるか、友の呼びかけに返事をするくらいしか出来なかった。
「しぃ子ちゃん!!」
一瞬だけ、しぃミはしぃ子が笑って見えた。

「必・殺!」
モララーはくるっと縦に回転した。遠心力を使うつもりだ。
「不・迷・直・行・天・国!!!」
「やめてぇぇぇぇ!!」

ズドォォン!!
しぃミの絶叫むなしく、物凄い音と共にモララーは達は着地した。
モララーは右足だけで床に立っている。
当然、右足の下にあったしぃ子の首は、
モララーの体重と、遠心力、落下の衝撃で粉々だ。
そして、宙を舞うしぃ子の首は、しぃミの体に一度当たり、床へ転がった。
「いやぁ、見事な技でした!さすがモララーさん!」
「勉強になるなー、あの体術!」
「俺等なんか、まだまだ勉強不足だったなー!」
「まったくいいもん見せてもらったよー」
気がつけば、もうチビ達の始末も全て終わっていた。
「何言ってんだ。お前らの仕事の速さにはまったく舌を巻くぜ」
血と肉片が床を埋め尽くす惨劇の教室で、男たちは和やかに語り合っている。
しぃミは………。

232 名前: SCOOL DAYS 投稿日: 2003/12/29(月) 04:25 [ 9qmTn1HY ]
一ヵ月後。
モララーの部屋に一人の男が尋ねてきた。
ひろゆき議会議長である。

「お邪魔するよ。久しぶりだね、モララー君。」

「ああ、あなたでしたか。突然訪問するなんて驚きましたね。」

「変に気を使われるのが嫌いな性分なんでね。気を悪くしないでくれたまえよ。」

「そんな事べつにかまいません。それより、一体何の用でいらしたんです?」

やにわに議長の顔が険しくなった。

「とぼけると言う事は計画は失敗したととってもいいのかね…?」

しばらくの沈黙の後、ふぅ、とモララーはわざとらしく溜め息をついた。

「ちょっと言って見ただけです。計画は成功してますよ。」

「ほう。ならば完成品はどこかね?」

「少しお待ちください、今連れてきましょう」

モララーはなるべく落ち着いた振りをして、部屋を出た。
廊下には厳つい顔をした男が二人立っていて、出て来たモララーを睨み付けた。
(おやおや、やっぱり護衛がいるか。こりゃ俺が殺るのはやっぱ無理だな)
モララーは素早くボディーガードの脇を滑りぬけた。

「おまたせしました。」

「この子が?」

「はい、名前はしぃミです。」

「ふむ……。」

議長が唸るのも仕方ないだろう。
しぃミは確かに完璧に躾されていた。立ち振る舞いから見てもそれは一目でわかる。
しかし、生気がなかった。無表情のままで、まるで人形の様だったのだ。

「ご理解ください。アフォしぃを更生させるのは大変な作業です。
 彼女らが持つ価値観を正すのは、並大抵の事では出来ません。
 そのため、彼女らを一旦空白の状態にするのです」

「空白?」

「はい。そして、我々の常識を教えていく。
 この工程を行わなければ、おそらく何倍もの時間と費用がかかることでしょう」

しばらく険しい顔でしぃミを見つめていた議長だが、ふと顔を上げて言った。
「よかろう、君の仕事は終わった。報酬はすぐに振り込ませよう。」

「ありがとうございます。それでは、私は出発の用意がありますのでこれで…」

「もうこの町を出るのかね?」

「はい。一つのところに留まるのは苦手なものですから。」

「なるほど。それでは、長い間ご苦労だった。ありがとう」

そういって二人は握手を交わした。
その後、議長はしぃミを連れ、満足げに帰っていった。
何はともあれ仕事はすませたのだ。もうここに留まる必要もない。
さっさと出て行くが無難だろう。モララーはその日にはもう町を出ていた。

二日後の朝。
とあるホテルの一室にモララーはいた。
テーブルには朝食がすでに用意されている。
しかし、モララーは一切手をつけず、
さっきから何度も、新聞の同じ記事を繰り返し繰り返し見ていた。

「ひろゆき議会議長、深夜の凶行にあい死亡!」
14(火)早朝、議長室で議長と一匹のしぃが殺害されているのを
出勤した秘書が発見、110番した。
警察の発表では、議長は首を爪等の鋭利な刃物で切られていて、
失血死による死亡としている。犯人は議長の傍らで死んでいたしぃ(4)。
調べによると、彼女の右手の爪から議長の血液が検出され、警察は犯人を
このしぃと断定した。また、爪からは彼女自身の血液も検出されたため、
警察は議長を殺害した後、自らも命を絶ったものと見ている。

目を皿にしてモララーはこの記事を見ていた。
上手くいったみたいだな。これであの議長がこの世から消えたと思うと、
今日から思い切り眠れそうだ。
しばしモララーは目を瞑って考え事をしたかと思うと、急に立ち上がり、
身支度を始めた。
「さて・・・」
またこれで退屈になってしまった。今度は何をして暇を潰そうか。
所詮モララーにとっては、この一大事も、あの一ヶ月も、
全ては退屈しのぎでしかなかった。
またモララーは旅立っていく。次なる遊びを求めて。
   
                           終