momo =モモラーとしぃ美=

Last-modified: 2015-06-20 (土) 12:30:18
869 名前: momo =モモラーとしぃ美= [ 投稿日: 2003/09/09(火) 18:38 [ N6eHolfg ]
=モモラー=
灰色に囲まれた空間の中で、モモラーとアフォしぃは目を覚ました。

「・・・目が覚めたか。」

「・・・・エエ」

「じゃあ、さっそく本部へと案内させてもらうか。」

モモラーとアフォしぃは、まだ眠っているベビしぃをモモラー手製の「揺り篭」にのせると、
一路、アフォしぃの案内により本部へと足を進めた。

「・・・・アンタ、モシカシテホンブノレンチュウモコロスツモリ?」

「・・・そうだな。あいつらは所詮害獣だ。全員ダスキソ送りにしても構わないが、私を
 撃った・・・いやそんな事はどうでも良い。小屋に火を放ち、殺した張本人。・・・つ
 まりお前ら都会から逃げてきたしぃどものリーダーを殺させてもらう。」

「カテルハズガナイワ。 ホンブノレンチュウハ100ヒキヲコエルノヨ! ギャクサツチュウヒトリデナンテ、コロサレルノガオチヨ!」

「・・・やけに親切じゃないか。お前は何かそいつらに恨みでも有るのか?」

「・・・カンケイナイデショ・・・。」

「ふむ、確かに無駄な詮索だったな。まあ良い、そこの都会からの侵略組のリーダーさえ
 殺せれば良い。後の奴らは都会へ送り返すなり、ダスキソに送るなりすれば良い。お前
 みたいなアフォしぃは生かしておくとろくなことにならないからな。ダスキソへいって
 雑巾になるか、都会で虐殺されるかだ。」

「・・サッキカラ「アフォシィ、アフォシィ」ッテウルサイワネ! ワタシニハ「シィコ」ッテイウナマエガチャントアルノヨ!」

「名前なぞどうでも良い。お前も案内し終わった後は都会へ帰ってもらう。」

「・・・・」

アフォしぃこと「しぃ子」は、そう言うと、押し黙った。モモラーは、その態度に少し疑問
を抱きながらも、本部への場所へと急いだ。
しばらくたった時、揺り篭の中でベビしぃが目を覚ました。

「ファァ・・マァマ、ドコ? ア!シィオネエチャンナッコチテ!」

ベビしぃはそう甘え声を出すと、しぃ子の背中にしがみ付いた。
しかし、昨日の夜一緒に添い寝をしてくれたしぃ子の反応は無かった。

「オネーチャン ナッコチテヨゥ! ナッコナコナコ!」

「・・・・ウルサイワネ!」

しぃ子は悪態をつくと、ベビの首をつまんでモモラーの元に放り投げた。
モモラーは慌ててベビを抱きかかえる。

「ピエーーーーーーン! オネーチャン コワイヨゥ!」

ベビしぃは火がついたように泣き始めた。しぃ子はさらに悪態をついた。

「ギャクサツチュウト イッショニイタ ベビナンテシィジャナイワ!」

そう言うと、再びそっぽを向いて歩き始めた。
普通の人ならここで「なんて事をするんだ!」と怒り始めるところだろう。しかし、モモ
ラーの目には、違うものが映っていた。もしベビの事を本当に疎んじているのなら、地面か
そこらに投げ捨てるだろう。しかし、しぃ子はわざとモモラーが抱きかかえると思ったの
だろう。モモラーの元へ投げたのだ。モモラーはにこやか顔になり、こう思った。

870 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 前編 その2 (上はその1) 投稿日: 2003/09/09(火) 18:39 [ N6eHolfg ]
「(しぃ子とやらは、まだ完全にダッコ革命党の党員になりきっていないのだろう。今のベ
 ビしぃに対する態度が何よりの証拠だ。口ではベビに対する恨み言を言ってるつもりだろう
 が、体がまだそこまで非常になりきれていないのだろう。)」

モモラーは、泣くベビを泣き止ませながら、そう思った。
そして朝方に出発して夕方になったころだろうか。疲れて歩けなくなったしぃ子を担ぎながら、
本部の場所についた。その本部の醜悪さを来たら、並の感性を持っている人なら、誰でも
理解するだろう。全面ピンク色に塗られた壁、無駄に装飾を飾っている屋根、その屋根の
真ん中に書かれたこれでもかというくらいニヤケ顔のアフォしぃの絵画。しかし実際はそれら
を全てとったら少し豪華な住宅といった所だろうか。そんなに広さは感じられなかった。

「さて、案内ご苦労様と言いたい所だが、ここで逃げるのは自由だ。しかし、アフォしぃは
 一匹じゃ生きられない。そのままのたれ死ぬか虐殺されるだろう。そうなりたくなかった
 ら、ここで待っていろ。」

「モシアナタガシンダラ ワタシハスキカッテデキルワネ・・・」

しぃ子は脅しをかけたつもりだろうが、

「死にはしない。田舎で落魄れても元は都会で一人で暮らしてきた。そんなアフォしぃ100匹ごとき
 に不覚をとるほどヤワな鍛え方はしていないつもりだ。」

そう言うと、モモラーはその都会から逃げてきたアフォしぃのアジトに、一人向かっていった。

=しぃ子=
しぃ子は、ようやく安堵の表情を浮かべた、いつ自分が死ぬかと、ヒヤヒヤしながら道中を
歩いていた。さて、モモラーの事をダッコ革命党の同志に知らせるべきか・・。
そう思っていた矢先、ベビしぃの事に目が行った。
ベビはさっきの投げ飛ばした事に怖がっているのだろう。しぃ子に背を向け、震えていた。

「・・・・・ホラ、オイデ?ダッコシテアゲル。」

しぃ子はそういうと、ベビは目を輝かせ「ナッコナッコ!」と言いながらしぃ子の胸に飛び込んだ。
しぃ子は、ベビを胸に抱きながら、昔の自分を思い出していた・・・。


「ダッコカクメイトウ バンザーイ!」
「マターリノヨノナカ ヲトリモドセ!」
しぃ子は、元々自分の意思でダッコ革命党に入ったのではなかった。
マターリ狂信者の友達に半ば強制的に入らされたのだ。
しぃ子は、入ったばかりはそのあまりのマターリ狂信に戸惑いを感じていたが、次第にとりこまれて
いった。しかし、今の今までこれだけは納得のいかない物があった。
それは「ベビニウツツヲ ヌカスナンテ ナンジャクモノヨ!」と言う決まりごとだった。
ベビを育てる保母さんになりたい。というのがしぃ子の夢だったため、その決まりごとには
いまだに心の中で反発していた。

「モシコノコガミツカッテモ、ベビハベビヨ・・ワタシガマモラナクチャ。」

しぃ子は、今はスヤスヤと軽い寝息を立てているベビを前に、強い決意を胸に抱いた。

871 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 前編 その3 投稿日: 2003/09/09(火) 18:41 [ N6eHolfg ]
=しぃ美=
何時間眠らされたかわからない。しぃ美は、目をさました。辺りを見渡すと、そこに
武装したアフォしぃと・・・・見慣れているが二度と見たくないと思った顔、そう母親の
顔があった。

「オカアサン・・ワタシヲ、ドウスルツモリ?」

「フフ・・アナタハワタシタチヲ ステテ、アノクソAAナンカノトコロニイタ。ツマリハウラギリモノヨ。」

「ハニャン! ウラギリモノデスッテ!」
「クソAAナンカト イッショニイタノハバンシニアタイスルワ!」
「シブチョウ! コノウラギリモノヲ マターリノナノモトニショブンシマショウカ?」

「マチナサイ。 ウラギリモノトハイエ シィハシィ。サイゴマデワタシタチノ ヤクニタッテシンデモラウワ。」

「ドウスルツモリ・・・。」

しぃ美は既に、死を覚悟していた。
しかし、そこにあったのは死よりも辛い事だった。
しぃ美を絶望に引きずり込む一言を、その実の母親が娘にむかって言った。

「アナタヲ、「モンスターシィ」トシテ、カイゾウシテ トカイノギャクサツチュウニフクシュウスルワ!モチロン アナタノイシキハ シヌケドネ♪」

しぃ美は、その一言に気を失った。そして、薄れ行く意識の中で、モモラーとの思い出を
思い浮かべていた。
・・・しぃ美が「しぃ美」として意識を持っていたのは、これが最後になった。

               (続く)

877 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 後編 その1 投稿日: 2003/09/12(金) 01:59 [ 6wtJEfxg ]
=モモラー=
モモラーは辺りを見回しながらダッコ革命党の隠れ家に近づいた。
少し離れた所で草むらに隠れ、入り口の様子を伺った。入り口に門番が三匹。数自体は問題
無い。しかし仲間を呼ばれては少々厄介だ。モモラーは、草むらに中腰で歩きながら、少しずつ
門番の下へと近づいていった。

「ハニャーン、ネムイヨゥ・・・マッタクモンバンナンテシゴト コノカワイイシィチャンニハニアワナイノヨ!」
「ソウヨネー。 マッタクオハダガアレチャウワ」
「タイクツタイクツ! ギコッチワイフデコウビシタイヨー」
「マッタクミマワリハイツカエッテクルノカシラ? シィチャンノワヲミダスシィモギャクサツチュウダヨ!」

「(全く・・。どこまで自己中心的な性格だ。どうしようも無いな。)」

そうモモラーは心の中で侮蔑の評価を下すと、さっそくウトウトしかけていたアフォしぃの
一匹の首をつかみ、こっち側に引っ張った。

「シィ! sカオsカオアwコwkパオs!!?」
「ンー・・・? ドウシタノ?ネボケナイデヨ!」

ウトウトしている二匹は全く気づいていない。
モモラーは捕まえたアフォしぃの首を真後ろに向けて首の骨を破壊した。
声も立てずにアフォしぃの目の白目の面積は拡大し、意識は黄泉の国へと飛び立った。
その後はもちろん地獄逝きだが・・・。

「スースー ギコクゥン・・・。」
「スヤスヤ キョウモ・・マターリ シィシィシィ・・。」

残りの二匹は完全に眠りに落ちたようだ。それを確認すると、モモラーは窓から中の様子を
覗き込んだ。中は四部屋構成になっているらしい。
真ん中の「マターリ♪」と言う文字と屋根にもあったニヤケ顔がペイントされているやや大きめの
テーブルが置いてある部屋。居間だろうか?
20匹程度のしぃが無防備で「シィフード」と書かれた缶詰を貪っている。

「これなら居間の制圧は問題無いだろう。残り四部屋が気になるが・・。」

モモラーはそう言うと、下でのんびり寝ているアフォしぃを蹴っ飛ばした。

「ハニャ? ナンナノ・・?」
「ギャ、ギャクサツチュウ!?」
「ダ、ダレカ!ギャクサツチュウヨ! デテキテ!」

そう言うが刹那、モモラーは一匹のアフォしぃの腹を蹴り、木の幹にぶつけた。
もう一匹は、足を掛けて転ばせた後、背中に手をめり込ませ、背骨を抜き取った。

「ゲホゲホ! イタイヨォォウ・・・。」

木に飛んでいった方は、腹と背中を押さえてうずくまりながら泣いている。
もう一匹は、声を出せぬまま、背骨を抜いたため体が180度後ろに曲がり(背骨を抜くと
内臓と筋肉の重さを支えられないため)絶命した。



878 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 後編 その2 投稿日: 2003/09/12(金) 02:00 [ 6wtJEfxg ]
「イタイヨー! ナンデカワイイカワイイシィチャンガコンナメニ・・・ ウエー」

自分で自分を褒めるような言動を吐きながらついでに胃の内容物も吐いていた。
無言でアフォしぃの元に素早く寄ると、

「お前らは生きていてはいけないんだよ。」

モモラーはそう言うと、うずくまっているアフォしぃの背中を目掛けて拳を振り下ろした。
モモラーの拳はアフォしぃの背骨を砕き、その背骨は内臓を破壊し、腹に届いた拳からは
骨と内臓の混ぜ合わさった「もの」が出てきた。

「ジギィィィ・・・ジィ・・・ノオナ・・・ガ・・ベンダヨゥヴ・・・」

気管支炎の末期の症状患者のような声で喋ると、そのまま絶命した。
アフォしぃ三匹が絶命した後、やっと気づいたのか、アフォしぃが20匹ほど出てきた。
アフォしぃはそこに転がっている死体を見て、一斉にモモラーに向けて敵意の視線を投げつけた。

「ハニャーン! ギャクサツチュウ!コノシィタチヲコロシタノネ!」
「タッタヒトリデイイドキョウネ! ボッコボコノ「ミンチ」ニ シテヤルワ!」
「コーンナニタクサンイル シィニカテルトオモッテルノ?」
「イマ ナイテドゲザシテアヤマレバ ハンゴロシデユルヂテアゲルワヨ!」
「ナントカイイナサイヨ! クソAA!」

「・・・悪いが、謝るつもりも無いし、負けるとも思っていない。お前らの貧相な脳でも
 はっきりと分かる様にいってやろう。お前らは全員、この場所で私によって殺される。
 ・・・・無残にな。望むなら、墓くらいは作ってやるが?」

「ナニヨナニヨナニヨー! ナマイキネ! クソAAノクセニ!」
「シィチャンヲオコラセルナンテ マターリホウニイハンシテルヨ!」
「ギャクサツチュウ! アボーンケッテイ! カカレ!」

胸に十字のバッジをつけた兵長らしきアフォしぃが叫ぶと、皆鉄パイプやら角材やら棍棒
(マターリ注(ry))などを持ってモモラーに殴りつけた。後衛のアフォしぃは銃を構えている。
しかしここでも、目の前の「シィチャンノマターリ」を崩す輩を殺し、「マターリ」を取り戻すことは適わ
なかった。アフォしぃの武器は悉くモモラーをかすめ、まったく当たらない。

「シィィィィ! ヨケナイデハヤクシンデヨォ!」

そう一匹のアフォしぃが叫んだ瞬間、その手はへし折られていた。
普通、多人数との戦いでは、一人一人にとどめが指せないのが難点である。しかし、
アフォしぃの場合は痛みに対する免疫が非常に少ない。よって、

「シィィィィ! シィノオテテー! イタイヨーイタイヨー!」

骨を一本へし折るだけで、戦意は殆ど無くなる。後は放っとけば良い。
そうして、アフォしぃ達の攻撃をかわしながら、一匹一匹、死なない程度に痛めつける。
足、肋骨、腕、鎖骨、顎などを一箇所壊しただけで、武装したしぃは地面を転げ周り、
感に触る声で喚いている。ようやく、兵長らしきアフォしぃもモモラーが只者では無い
事を知ったようである。

879 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 後編 その3 投稿日: 2003/09/12(金) 02:00 [ 6wtJEfxg ]
「シィィ! ジュウゲキタイマエヘ! ウチコロシナサイ!」

銃を持ったアフォしぃが一斉に前へ出てきて、銃を構えた。
しかし、銃などお構いなしのように、モモラーはアフォしぃに向かって走り出した。
アフォしぃの銃が火を噴く。

タタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタタン

「ハニャーン! ヤッタ!」

兵長アフォしぃが見ると、モモラーの姿が見えない。

「ハニャニャッ!? ドコヘイッタノ?」

兵長と銃撃隊のアフォしぃがキョロキョロと辺りを見渡す。

「ここだよ。」

「ハニャ?」

そう兵長は間の抜けた声で喋った。体から吹っ飛んだ少し上空の上の首だけの兵長アフォしぃが。

「ハニャニャ! ギャクサツチュウ!」
「ウチコロサナイト!」
「カクゴシナサイ・・・アレ?」

アフォしぃ達は狼狽した。歩兵銃は長い上に一斉に狙いを定めようと振り返ったため、ガチャ
ガチャと音を立てて狙いをつけられずにいた。
モモラーはそれを眺めながら、ゆっくりと兵長アフォしぃが持っていた拳銃で銃撃隊をアフォ
しぃを撃ち殺していった。最後の情けであろうか。全て心臓を打ち抜き、うめき声を上げる
間もなく絶命していった。

「シィィィィィ! タスケヘェー!」
「シヌノコワイヨー!」

最初に骨を折ったアフォしぃどもは、まだ地面の上で悶えている。

「このまま苦しんでいるのも可愛そうだからな。私が一思いに殺してあげよう。」

そう言うと、銃撃隊の歩兵銃を手に取り、地面でのた打ち回っているアフォしぃに向かって、
撃った。的確に頭を狙って。

「・・・さて、しぃ子さんの情報では残りの武装しぃが10匹、警護しぃが10匹、看護しぃが5匹、
 しぃ美さんの母親を入れて一般のアフォしぃが40匹か。問題は無いな。」

そう静かに夜風に漏らすと、モモラーはゆっくりと隠れ家のドアノブを回した。
ふと、後ろで叫び声が聞こえた。
モモラーは後ろを振り返る。

「・・・・・しぃ子さん?ベビ・・・。」

モモラーは叫び声のするほうへと足を向け、走った。

880 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 後編 その4 投稿日: 2003/09/12(金) 02:01 [ 6wtJEfxg ]
=しぃ子=
モモラーが向かってもう30分も掛かっただろうか・・・。
すっかり眠っているベビしぃを胸に抱き、自分もうとうととしかけた頃、
後ろからアフォしぃ達の声が聞こえた。

「ミマワリッテツマンナイネー ハヤクオワラシテマターリシヨウヨ!」
「ソウダネー ダッコゴッコシヨ!」
「イイネ! ジャアワタシダッコサレヤクネ!」
「アッズルイ!」

しぃ子は動揺した。もしこの場で見つかれば、「ベビヲソダテテイル ナンジャクモノ」として
殺されてしまうかもしれない。否、自分だけならまだ良い。
ベビしぃまで、玩具にされて殺されてしまう。
昔からしぃ子は、ベビを育てていた軟弱者として、多くの母親もろとも殺されたベビしぃを
見てきた。この子も・・・。そうなってしまうだろう。

「ドウスレバ・・・ドウスレバイイノ?」

しぃ子は無い頭で必死に考えた。そして、一つの案が浮かんだ。この考えだったら、恐らく
ベビは助かるだろう・・。しかし自分は・・。
いや、覚悟を決めなければならない。自分は自分の考えじゃなくとも、ベビを殺そうとして
しまったのだ。その罪を償うときが、今来たのである。
しぃ子は、覚悟を決めた。と同時に、見回りアフォしぃに見つかった。

「ハニャン! シィコジャナイ! ドコイッテタノヨ!」
「アラ? ベビシィモッテルワヨ!」
「ナンデスッテ! シィノオキテワスレタワケジャナイデショウネ!」
「ベビヲソダテテル ナンテナンジャクモノヨ!」

しぃ子は、若干の沈黙を置いた。そして、軽い口調で喋り始めた。

「ワカッテルワヨ ソンナコト! ジツハネーサッキベビヲソダテテイル ナンジャクモノヲ コロシテキタノヨ。 コノクソベビハ「センリヒン」
 ヨ。イマカラコロソウトオモッテタノ」

「ハニャン! ワカッテルジャナイ!」
「ハヤクコロソーヨ!」
「マターリチュウニュウボウ カシテアゲル!」

「ウン! ジャージョソウツケテイッキニヤルネ!」

「ハニャ・・・?」

ベビしぃは、怯えたようにそこに座ってじっとしていた。
そして、しぃ子はアフォしぃ達の後ろへと回った。棍棒を振り上げると、こう言った。

「ソンジャア イクワネー」

「ハニャ! ワクワク♪」

アフォしぃ達は羨望の眼差しでいつベビが血飛沫をあげるのかと心待ちにしている。
そのせいか、後ろでのしぃ子の表情の変化に気が付かなかった。一気に冷血へと変貌した、
その表情に。
不意に、しぃ子はぼそりと呟いた。

881 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 後編 その5 投稿日: 2003/09/12(金) 02:01 [ 6wtJEfxg ]
「・・・・・・・・シヌノハ・・・・・・」

「ハニャ? ナンカイッタ? ハヤクコロシチャッテヨ!」

と、アフォしぃが後ろを振り向いた瞬間、

「オマエタチノホウダァッッ!!!!!!!!!」

と、しぃ子はアフォしぃの頭に棍棒を振り下ろした。アフォしぃの頭が真ん中の少し左より
からパックリと割れ、血を噴出しながら倒れこんだ。
振り返った不幸なアフォしぃは、ニ、三度痙攣すると、息絶えた。

「ハ、ハニャニャーン! ナンノツモリ! ウラギッタノネ!」
「ユルサナイワヨ! コロシテヤルンダカラ!」

しぃ子はおなじしぃ族。2対1ではどう見てもこちらのほうが分は悪いと、普通の人は思うだろう。
しかし、しぃ子と向こうのアフォしぃでは覚悟が違った。阿修羅の如く殴りかかったしぃ子に、
少しは反撃したものの、アフォしぃ二匹は打ちのめされた。内一匹は後頭部に一撃を食らい、
息絶えた。

「ハァハァハァ・・イタイ・・」

もちろんしぃ子も無事ではない。腕の骨と肋骨が何本か折れた。
痛みにうずくまる。まだ息のある後ろの一匹にも気づかないまま。

「ハ・・・ニャ・・コロ・・・ス・・」

後ろのアフォしぃは頭から血を流し、片方の目玉が潰れたまま、異様な姿のまま立ち上がった。
そして、何処かに隠し持っていた仕込みナイフを取り出すと、それほど早くないスピードで
しぃ子に襲い掛かった。
普通なら軽々と避けられただろう。しかし、いまのしぃ子には無理だった。
気づくと同時に棍棒を頭に食らわし、自分も食らう感じで相打ちになる他無かった。
しぃ子の折れた肋骨はナイフの進入を安々と許し、心臓を切り裂き、胃を貫いた。
殴ったアフォしぃは棍棒の一撃で頭が砕け、既に息をしていない。
しぃ子も時間の問題だろう。胃からの出血で、口から血が溢れ、息がまともに吸えない。

「・・・・(ワタシモ、コレマデカ・・。)・・・。」

そのまま意識が飛んでゆく正にその瞬間、一つの小さな声によって繋ぎ止められた。

882 名前: =モモラーとしぃ美= 「復讐の宴」 後編 その6 投稿日: 2003/09/12(金) 02:02 [ 6wtJEfxg ]
「オネーチャン! ダイジョウブデシュカ!」

ベビしぃがしぃ子の頭に擦り寄ってペロペロとなめた。なめれば直ると信じているのだろう。
しぃ子は、もはや殆ど残っていない体力で、苦笑いをした。
そして、向こうからもう一つの影が近づいてくるのを見つけた。
そう、モモラーであった。

「しぃ子さん! しっかりしろ!」

「ナン・・デ・・・モドッテキタノ・・」

「後ろで貴方の叫び声が聞こえた。だから・・・。」

「フフ・・・ヤッパ・・リ・・ワタシニ・・キガアッタノネ・・」

「冗談を言ってる場合か! もう喋るんじゃない!」

「ムリヨ・・モウ・・・ワタシハタスカラナイワ・・・ゲホッ!」

しぃ子はむせるような形で血を吐いた。
モモラーにも分かっていた。これが助からない傷だと言うことは・・・。

「ネ・・・・ェ・・モ・・・モラー」

「・・・初めて名前で呼んでくれましたね。」

「ベビ・・・チャ・・ン・・・ヲ・・・・」

「・・・なんですか?」

モモラーは、完全にしぃ子に対し、普通のしぃに対する態度に変わっていた。

「マモッテ・・・!」

「分かりました。」

「ワ・・・タシ・・サ・・イゴ・・・ニ・・・ベ・・・ビチャン・・ニアエテ・・ヨカッタ・・・・ヤット・・ジブ・・ンガ・・・ヤッテ・・キタ・・コト・・
 ガ・・・マ、チガイ・・・・ダッテ・・ワカッタノ。ベビ・・・チャン・・ガオシエテ・・クレタ。ワ・・・・タ・・・シガ・・バカダッタ。・・・
 デ・・・・・・モ・・スコシ・・・オ・・ソ・・ス・・ギ・・・・・・タ・・・・カ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・しぃ子さん・・・。」

しぃ子は、ベビしぃを見つめた視線のまま、静かに息絶えた。

「オネータン オネンネシテナイデアソボーヨー」

「しぃ子お姉ちゃんは、疲れてしまったようですね。もう少しオネンネさせておいて上げましょう」

「ツマンナイノーブー」

ぐずるベビを胸に抱いた。ベビはしばらくぐずっていたあと、モモラーの胸の中で眠った。
モモラーはしぃ子に向かって手を合わせ、振り返った。

「今すぐ埋葬してあげたいんですけど・・・まだ、私にはやることがあるんです。
 アフォしぃ達よ・・。私の手で一匹残らず葬ってやろう。」

モモラーは、再び歩き出した。しぃ美を救うため、しぃ子、チビの仇打ちの為。
朝焼けが辺りを包み始めた。
今、最後の戦いが幕を切って落とされようとしている。

(続く)


897 名前: momo(MORA9zGA) 投稿日: 2003/09/17(水) 00:23 [ Yah6s926 ]
=モモラー=
ある一つの惨劇が幕を閉じた。
夜が明け、モモラーは再びしぃ美を救い出すべく、隠れ家の前へと立った。
愚かなアフォしぃは、既に多くの同胞が殺されたのにも気づかず、寝言を発しながら眠りに
ついている。

「(しぃ美さん・・。今、救い出します。)」

アフォしぃに感づかれないように心の中で呟くと、音を立てないようにゆっくりと隠れ家の
ドアノブに手を掛け、静かにドアを開いた。中はがらんとしている。
どうやらさっき殺した分で一階の居間のアフォしぃは全滅したようだ。

「(となると、残り一階にいるのは一般のアフォしぃだけか・・。)」

モモラーは胸元で寝息を立てているベビを毛布にくるみ居間にあったダンボールに入れて外に
置いておいた。あまりにもベビを抱いて戦うのは危険すぎるからだ。
モモラーは踵を返し、部屋に戻ると居間の正面から向かって右のドアを音を立てないようにして
開いた。中には、アフォしぃと見られる(寝姿が非常にだらしなく、おまけに寝言が「コウビ・・・」
なため個人的にそう判断した)しぃとベビしぃ、チビしぃ合わせて40匹ほど寝ていた。

「(しぃ子さんの前情報によれば一般のアフォしぃはこれで全部か・・。)」

モモラーはそう判断すると、部屋を出ていった。一般の非武装アフォしぃは放っといてそんな害は無い。
そう思い、出て行こうとした矢先・・・・。

「あなたはだれですか?きゅうにはいってくるなんてまたーりじゃありませんよ!」

チビしぃが目を覚まし、モモラーに詰め寄った。と、同時にアフォしぃどもも目を覚ます。

「ハニャ? ダーレ?アンタ。」
「モララーケイッテコトハ ギャクサツチュウ!?」
「タイヘン! ウエノブソウシィチャンタチヲ ヨブワ!」
「ブソウシィチャン ニコロシテモラオウ!」
「くらえ! ぎゃくさつちゅう! httpれーざーはっしゃ!」

チビしぃがそう叫ぶのと同時に一匹のアフォしぃが非常ベルらしきものを押した。

898 名前: momo(MORA9zGA) 投稿日: 2003/09/17(水) 00:24 [ Yah6s926 ]
ハニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャン!!!!!!!!

甲高い耳障りな泣き声が隠れ家の全体を包む。

「これが、アフォしぃの非常ベルか・・・・・。」

モモラーは苦笑いするしか無かった。

=しぃ美=
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

しぃ美には意識は無かった。既に、モンスター細胞が脳を支配していたからだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・ゴゥル・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

不意に、モンスターと化したしぃ美の耳に、嫌な音が聞こえた。
妙に甲高い・・・。とても嫌な音。辺りに響き渡っている。
それだけの事は分かった。しかし、しぃ美の衰退した知能はそれ以上の思考を深める事は
許さなかった。
水の中にいる事・・・目の前のメス猫がその音を聞いて、周りにいた青い帽子を被ったメス猫
と一緒に、目の前から消えた。
同時に、興味を引くものが視界から消えたので、しぃ美は考えるのをやめた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

=モモラー=
後ろを振り返った時には、既に武装アフォしぃと警護アフォしぃが取り囲むようにして立っていた。

「ハニャ! ギャクサツチュウカクゴシナサイ!」
「イマ ノシィチャンタチガイナイワ! キットコノクソAAガコロシタノヨ!」
「ギャクサツチュウ! アボーンスルワ!」
「マターリノナノモトニ シニナサイ!」

「こりゃまた大量に出てきたな。しかし、たったの20匹か。私の相手では無い。」

すると、取り囲んでいるアフォしぃが道を開けた。そこから一匹のアフォしぃが出てきた。

「アラアラ。 イッペンヒロッタイノチヲマタステニクルナンテネ・・」

「しぃ美さんは無事なんだろうな?アフォしぃよ。」

「エエ、チャーントブジヨ♪ ププ」

モモラーはその場のしぃ美の母親・・・つまり隠れ家のリーダーアフォしぃの不敵な微笑みが
多少気になったが、気にせずこうまくし立てた。

899 名前: momo(MORA9zGA) 投稿日: 2003/09/17(水) 00:25 [ Yah6s926 ]
「そうか、なら助け出させてもらう。邪魔するものは掃討する。」

「ハニャーン! ジョウダンジャナイワヨ! ギャクサツチュウヲコロシナサイ!」

その場にいた兵長らしきアフォしぃがそう叫ぶと、一斉に武装アフォしぃと警護アフォしぃが
モモラーに向かって飛び掛った。

「やはり、打たれて消えるか。」

モモラーはため息混じりにそう言うと、飛び掛ってくるアフォしぃ一匹の顔に拳を打ち込み、
もう二匹に前蹴り二発を同じく顔に打ち込んだ。残りのアフォしぃは身を交わした。
拳を顔面に食らったアフォしぃは、顔面を貫通し、眼球が脳味噌に押し出されて出てきた。
一言も喋れないまま、即死した。一方、蹴られたアフォしぃのほうは、まだかろうじて息はある
ものの、額から流れた血液が鼻に入り込み、折れた歯が舌に突き刺さり、窒息して喋れずにいる。
死ぬのも時間の問題だろう。
壮絶な二匹の同胞の死を目の当たりにした残りのアフォしぃは、既に飛び掛ることもやめ、
ガタガタと震えている。

「ハニャーン! フルエテナイデタタカイナサイ! シィチャンニハマターリノカミサマガ ツイテルンダヨ!」

兵長アフォしぃがそう叫ぶと、モモラーは笑みを浮かべてこう言った。

「手下にやらせてないで自分が来たらどうだ。」

「ハニャーン! イヤヨ! シニタクナイモン!」

「やれやれ・・救いようが無いな。」

モモラーがそう言うや否や、アフォしぃ達の目の前から消えた。

「ハニャ? ドコイッタノ?」

「後ろだ。まったく同じ手に引っかかるとは、アフォしぃは全て同じ能力か・・。」

既に、モモラーの手によって兵長アフォしぃの耳がつかまれている。

「ハニャアアアアア! ダレカタスケテー! シニタクナイヨゥ!」

モモラーは首根っこを掴むと、アフォしぃの耳を自分の口元に寄せていった。
モモラーはゆっくりと、そして大きく息を吸い込んだ。
兵長アフォしぃには、それが非常に心地の悪い笛の音に聞こえた。

「ハニャ・・・?」

一瞬の間が空く。

                 プッ

モモラーの口から物凄い勢いで空気が発射された。その空気はアフォしぃの左耳から入り、悠々と
鼓膜を破った。そして三半規管を根元からねじりとり、脳味噌にぶつけた。三半規管は頭蓋から脳味噌を
貫通すると、反対側の鼓膜を破り、もう一方の三半規管とダブルでアフォしぃの右耳から出てきた。
三半規管ごと脳味噌を破壊された兵長アフォしぃは、鼻から血と脳漿が入り混じった異様な液体を
出し、二度三度痙攣して息絶えた。

900 名前: momo(MORA9zGA) 投稿日: 2003/09/17(水) 00:25 [ Yah6s926 ]
その見るもおぞましいアフォしぃの顔を残りのアフォしぃに見せ、

「こうなりたくなかったら道を開けろ。」

完全に戦意を喪失したアフォしぃは、驚くほど素直に道を開けた。
モモラーは後ろを振り返り、武装アフォしぃから奪った銃を向けた。

「良し、良く出来ました。ご褒美に、楽に殺してやろう。」

「ソ、ソンナ!」
「シィ、シィ シニタクナイヨゥ!」
「ハニャアアア! リーダータスケテー!!!!!」
「ホ、ホホホホラ! カワイイシイチャンノダッコヨ! ダッコスルカラシイチャンダケハタスケテ!」
「アーヒャヒャヒャヒャ! ミンナシヌノヨ! アーッヒャッヒャヒャヒャ!!」
「ふっかつしてください。ふっかつしてください。ふっかつして・・・」

ズダダダダダダダダダダダダダダダン!!!

「シギッギギギギィィイィイイィィ!」
「バニャァァァァアァァッオヴヴヴヴゥゥゥ!!」
「アヒャヒャヒャゲゲゲッボボボゴベバオsddkjljl!!!」

後ろにいた一般のアフォしぃも何匹か巻き添えにして、武装しぃ、警護しぃ共は全滅した。
隠れ家のリーダーしぃはただニヤニヤしながらその光景を黙って見つめている。
ほぼ半狂乱に陥っている残りの一般のアフォしぃを無視して、モモラーはリーダーのしぃ美の母親に
向かってこう述べた。

「・・・さて、しぃ美さんの所へと案内してもらいましょうか。」

しぃ美の母親は冷血な笑みを浮かべると、

「エエ、イイワヨ。ツイテラッシャイ。」

と言い、二階へと上がっていった。
モモラーはあまりにも素直なので一瞬疑問を抱いたが、すぐに後を追い二階へと上がっていった。
そこの部屋はリーダーの部屋らしく色々な装飾がなされている。
しかし、モモラーにはその装飾は目に入らなかった。別のものに、あまりにも衝撃的なものに
目を奪われていたからである。

「・・・・・っっっ!!!!!!」

そこには、ひとつの培養水槽があった、そして、そこに浮かんでいたのは・・。
破壊本能に目覚めようとしている、しぃ美の姿だった。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・グルル・・。」

(続く)


958 名前: momo (MORA9zGA) 投稿日: 2003/10/07(火) 18:19 [ 2ugVE506 ]
>>900よりの続きです。

モモラーは一瞬、その目が信じられなかった。
目の前にいる、あの狂った目をしたモンスターしぃが・・・・・・。

「・・・・・しぃ美さん?」

モモラーは呼びかけた。しかし、返答は無い。
その濁ったしぃ美の瞳は一点、宙を見つめている。
後ろで怪物と化してしまったしぃ美の母親・・・・もとい、しぃ美を、実の娘を怪物に改造した
張本人のアフォしぃが呟いた。

「マターリノナノモトニ シィミヲモンスターシィニカイゾウシタワ! コレデギャクサツチュウヲコロスノヨ!」
「トカイノギャクサツチュウラニ フクシュウシヨウトオモッテタケド マズアンタガサキダワ! サァ! フッカツシナサイカイブツヨ!」
「ウラギリモノノ ナヲステルタメニ ワタシノヤクニタツノヨ! サァ!」

しぃ美の母親はドアの横にある小さな金属製の箱を開けると、ひときわ目立つ赤いスイッチを押した。
目の前の培養層が不快な音を立てて作動した。

グゥゥゥィィィィィィィィィィィィィィィィイイインンン

培養層の水が引き、怪物と化したしぃ美の体がより一層あらわになる。
水がすっかり引いた後に・・・おぞましい生物を入れた培養層の扉が開かれた。

「サァ! メザメルノヨ! ハカイトサツリクヲ ホンノウニモツ、モンスターシィヨ!」

その声に反応したのか、しぃ美がゆっくりと、至極ゆっくりと体を起こした。
モモラーはその変わり果てたしぃ美に近づいた。

「・・・・・しぃ美さん? しぃ美さんなのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

しぃ美からの返答は無かった。ただ一点、その濁った瞳は宙を見つめている。

「アッハッハ! ムダヨ! ソノモンスターシィハ ワタシノメイレイシカキカナインダカラ!」
「サァ、メノマエノ ギャクサツチュウヲ ズタズタノ「ミンチ」ニ シナサイ!!!」

その甲高い感に触る声がその怪物と化したしぃ美の耳の中に入った。
とたんに、モモラーに視点が移り、その目に殺意の色が湧く。

959 名前: momo (MORA9zGA) 投稿日: 2003/10/07(火) 18:19 [ 2ugVE506 ]
「グォオオォォオォォォォォォオォオオオオォォォオォォオオォオオ!!!!!!!!!」

しぃ美は、身の毛もよだつ声でうなり声とも叫び声とも分からない声でを上げると、
目の前のモモラー・・・主人に命令された「敵」に対して襲い掛かった。
モモラーはその予想もしなかった攻撃に不意打ちを受けた。

「ぐはっっ!!!??」

モンスターしぃの一撃はモモラーの腹に突き刺さった。母親に打たれた傷が開き、血が再度流れだす。
モモラーは、よろめきながらも、しぃ美に間合いをとった。
そして、同時にしぃ美が元に戻らない事も・・・・・・知った。
今まで、モンスターしぃとして変貌したしぃが元に戻ったという話を聞いたことが無い。
あらゆる回想がモモラーの頭を巡る。そして、既に聞こえていないであろうしぃ美に向かって語りかけた。

「ベビちゃんは心配いりません。私がしっかりと育ててみせますから。苦しかったでしょう。
 今、楽にしてあげますからね。チビちゃんの所へと送ってあげます。しぃ美さん。」

モモラーは不気味に唸っているしぃ美に向かって一礼すると、覚悟を決めた。
モモラーは恐るべき素早い動きでしぃ美に突っ込んだ。
当然、しぃ美も無反応では無い。モモラーを目掛けて滅茶苦茶に発達した爪を振り下ろす。
モモラーはその爪撃をかわし、しぃ美の二本の腕を掴んだ。

「シィィィ! ナニヤッテンノヨ! コノヤクタタズメ!サッサトコロシナサイ!」

モモラーの後ろではリーダーのしぃ美の母親が喚いている。手には銃を持っているものの、
モンスターに頼り切っているのだろう。自分の手に持った鉄で出来た異物さえも気づかないでいる。
モンスターしぃは二の腕を掴まれたまま必死に振りほどこうとするが、振りほどけない。
モモラーは握っている手首を握りつぶした。

「ギャァァァァァァァァアアァァアアァアァヴヴヴヴヴゥゥゥゥゥウウウ!!!!!!!!」

ひときわ大きい喚きを上げ、しぃ美はのたうち回る。怪物と化してもしぃ特有の痛みび対する免疫が
少ない部分は何一つ変わっていなかった。歪んだ顔をさらに歪ませ、床にへたりこむしぃ美。
モモラーはしぃ美の頭を掴むと、自分の目線の高さまで引き上げた。
そして、これませの冷血な顔とは打って変わって優しい顔になった。
モモラーは目を閉じ、右手に全力を込めた。みるみるうちに右手に血管が浮かび上がり、
腕は自身の首ほどもあろうかの如く膨れ上がった。そして・・・。
その腕でしぃ美の胸、既に女の体ではなく醜く筋骨に塗れたその胸に拳をむけ、心臓を目掛けて・・・・。
打ち込んだ。筋骨に覆われているしぃ美の体を貫通はしなかったものの、その衝撃は心臓を一瞬へこませた。
しぃ美の顔の歪みが消えた。一瞬後、その口からおびただしい量の血が吹き出た。

960 名前: momo (MORA9zGA) 投稿日: 2003/10/07(火) 18:20 [ 2ugVE506 ]
「ゴボッ!!」

モモラーはしぃ美の吐血と自身の腹から流れる血にまみれ、真っ赤になった。
後ろではしぃ美の母親が呆然としていた。が、すぐに平静を取り戻し、

「コノヤクタダズ!!! ワタシガコロシテアゲルワ!」

と、自身の娘に対して自分が護身用に持っていた短銃を向けた。

その時・・・表に数人の足音が聞こえ始めた。

「やっと来たか・・・遅かったな。しぃ対の人たちは。」

「ハニャッ!? シィタイ!? ギャクサツチュウヲヨンダノネ! コノクソAA!!」

「ああ。 後片付けでも頼んでもらおうと思ったんだが、私は疲れたからしぃ対の面々にでも
 虐殺されてくれ。」

「ハニャーン!! イヤダヨゥ! シニタクナイノ! ダレカタスケテー!!!!」

「無駄だ。お前の取り巻きは既に私が殺したし、一般のアフォしぃは使い物にならない。
 頼みの綱のモンスター・・いや、自分の娘は瀕死の状態だ。諦めるんだな。」

「ソ・・・・・・ソンナ・・・・・・」

一人と一匹が問答をしている間に、しぃ対が二人部屋に入ってきた。

「貴方がご連絡をくれた桃山さんですね?アフォしぃの基地を見つけてくださってどうも
 有難うございます。この御礼金は後ほど、と言うことで・・・。」

「ええ、わかりました。しかし・・約束は守ってもらえますよね?」

「はい、分かっております。しかし奇特な方だ。


 『ベビしぃだけは助けてほしい』、などと・・・・。


 未来の犯罪者予備軍かもしれないのに・・。」

「それは親がアフォだからこそ育て方を謝ったせいでしょう。元々しぃには生まれつき高い知能が
 備わっていると聞きます。この私がしっかりと育てれば普通のしぃへと育ってくれるはずです。」

「・・・・わかりました。では、このリーダーらしきアフォしぃの始末は私どものほうで・・。」

「ええ、お任せします。」

「さあ、覚悟するんだな、アフォしぃよw」

「イヤァァァァァ!! コナイデェ!」

あまりの恐怖に狂乱状態となったしぃ美の母親は、銃を乱射するもののしぃ対の銃を防護する盾に
阻まれて阻止されている。
もはやしぃ美の母親がこの場で虐殺されるのは時間の問題だろう。
だが、ここで予想外の事が起こった。
瀕死状態のしぃ美が起き上がり、しぃ対へと一直線に向かってきたのだ。
しぃ対はなすすべも無く、瀕死とは思えないほどの重い一撃を受けることとなった。

(続 く)

       人
      /  \
    ヽ(・∀・ ;)ノ  マタセタウエニマダオワランシ・・・
             スイマセンネ ミナサン

5 名前: momo (Wtzjm/vk) 投稿日: 2003/11/05(水) 13:34 [ A7T015XQ ]
「モモラーとしぃ美」 =最終章= 

一瞬、しぃ対の面々、しぃ美の母親、そしてモモラーにも、事態は飲み込めなかった。
吹っ飛ばされたしぃ対の隊員の首が異様な方向に曲がり、壁にぶつかり二度三度痙攣すると、
そのまま動かなくなった。しぃ美の母親はこれを天佑と見たようだ。

「イイワヨ! ソノチョウシデ マターリヲコワスギャクサツチュウヲ ミナゴロシニシナサイ!!」

しぃ対も黙ってる訳が無い。

「ちっ! 死に損ないの化け物め! 今とどめを指してやる!」

しぃ対の面々は銃を一斉にしぃ美に向かって構えた。

「グ・・・・・グルル・・・・・・・・」

しぃ美は口から血を吐き、よろめきながらも自身の母親の前に立ちふさがり、守ろうとする。
そして・・・モモラーの目に、予想もしない事が写っていた。

「オ・・・・・カア・・・サ・・ン・・・・・ニ・・・・・・ゲ・・・・テ・・・」

「しぃ美・・・・さん? 意識を取り戻したのか!!」

このある筈も無い「奇跡」を、しぃ対の面々は見逃してしまっていた。

「死ね! この化け物めが!」

「やめろ!! しぃ美さんはもう意識をっっっ・・・・・・・!!!」



ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッッッ!!!!


しぃ対の銃より放たれた弾は、しぃ美の体を貫き、意識を彼方へと葬り去った。
しぃ美は前のめりに崩れ落ちると、そのまま動かなくなった。
しぃ美の母親は呆然とそこに立ちすくんでいた。

6 名前: momo (Wtzjm/vk) 投稿日: 2003/11/05(水) 13:34 [ A7T015XQ ]
・・・・・なぜ?
・・・・・なぜ意識を取り戻しても私を助けようとしたの?
・・・・・私は貴方を邪険に扱っていたのに?
・・・・・なぜ?

しぃ美の母親の思考にあらゆる考えが巡り、頭を抱え、膝から崩れ落ちた。
しぃ対の面々がその抜け殻と化したしぃ美の母親を始末しようと近づく。
だが、モモラーはそれを阻んだ。

「・・・待ちなさい。」

「・・・え?何ですか? このしぃはアフォしぃですよ?いまさら助けるなんて・・。」

「・・・いえ、このしぃは私が始末します。今日は有難うございました。これは謝礼です。」

「ええ・・。解りました。下のアフォしぃについては?」

「それは貴方達に任せます。」

「解りました。では・・・・・」

しぃ対の面々は、仲間の死体を担架に乗せると、その場を離れた。
しばらくして、下の階から甲高い癇に障る叫び声が聞こえてきた。恐らく仕事をこなしているのだろう。
モモラーは中腰になって座り込み、自問自答を繰り返しているしぃ美の母親に向かって近づいた。

「ナンデ・・・・? ドウシテ・・・・?」

「貴方は・・・我が子の愛に助けられたんですよ。」

「ソンナ・・ワタシハ、 ズイブンアノコニヒドイコトシタノヨ? ナンデアノコハワタシヲ マモッタノ?」

「しぃ美さんは、前、良く貴方の事を話していましたよ。自分の子にマターリに反発された、私に向かって
 随分と露骨な嫌がらせを受けたって・・。でも、貴方は生まれたばかりのしぃ美さんをものすごく
 可愛がったと言ってました。自分を酷く今は苛めていても、昔愛されていた記憶が残っていたの
 でしょう。貴方を確かに疎んじていた。恨んでいた。しかしそれ以上に・・・。






                    貴方を、愛していたんだ。

 

  


 ・・・しぃ美さんは最後に意識を取り戻したとき、貴方に笑いかけたの、気づいていましたか?」

7 名前: momo (Wtzjm/vk) 投稿日: 2003/11/05(水) 13:35 [ A7T015XQ ]
しぃ美の母親はモモラーの言葉が言い終わるか言い終わらないかの内に、呆然とした顔のまま
涙を流していた。そしてゆっくりと顔を上げると、モモラーに向かって、悲願の表情を投げかけた。
「ワタシヲコロシテ・・・」とでも言うように。

「どうやら、覚悟は出来たみたいですね。」

しぃ美の母親はいまだ止まらない涙を抑えようとも拭き取ろうともせず、そのまま頷いた。
モモラーはゆっくりとしぃ美の母親に近づくと、首に手を廻し、もう一方の手で頭を抑えた。
このままモモラーの腕力で締め上げれば、安々と首の骨は折れるだろう。
その時、しぃ美の母親が呟いた。

「サイゴニ・・・・オネガイガアルノ・・・・・。」

「なんですか? 言い残したいことでも?」

「ウウン、 サイゴニイッカイダケ・・ダッコシテクダサイ」

「・・・・わかりました。」

モモラーはしぃ美の母親を優しく、抱きかかえた。

「・・・・・・カイ・・・」

「え?なんですか?」

「アナタノテ・・・・・トテモアッタカイ。」

「・・・・貴方と違って、無理やりでは無い、お互い同意の上でダッコですからね。貴方が今まで
 してきたダッコとは違うでしょう?」

「エエ・・・ワタシ・・・サイゴニシンジツノ ダッコヲタイケンデキテ・・・ヨカッタ・・」

「では、さようなら。」

モモラーは、しぃ美の母親の首に手を掛ける。

「シィミ・・・・・ゴメンネ・・・イマイクワ・・・モモラートカイッタワネ・・・・・






                      『ありがとう。』」

8 名前: momo (Wtzjm/vk) 投稿日: 2003/11/05(水) 13:36 [ A7T015XQ ]


                ゴキッ


乾いたようで湿ったような音があたりに響いた。しぃ美の母親は、特に表情を変えるでも無く、
そのまま実に安らかな顔で息絶えた。

「貴方は・・・全角で喋れたのか。」

モモラーは一筋の涙を拭うと、しぃ美と、しぃ美の母親の死体を担ぎ、下の階へと向かった。

「ヴニャーン ヴニャーン!!」
「チィチィ! ミィミィ!」
「マァマァ! ナッコナッコ!」

ベビしぃの声が聞こえる。しぃ対の面々は約束を守ったようだ。モモラーは死体と残ったベビしぃを
アフォしぃによって作られた箱車に乗せ、帰路へとついた。

(一年後・・・・)

モモラーはいつもの朝に目を覚ます。
いや、目を覚まされると言ったほうが正しいか。

あの時に拾ったベビしぃはチビしぃに育ち、ちゃんとした躾の仕方で、特に知能にも問題は
無く、のびのびと育っていた。

そう、あのしぃ美の妹も・・。

「モモラーさん! おきておきて! はたけににんじんさんがなってるよ!」

「え!?もうなったんですか? そんな馬鹿な!」

モモラーが慌てて外に出てみると、畑には紙で細工した人参が其処彼処に散ばっていた。
モモラーは軽く苦笑いをした。悪戯癖はベビの頃から治っていないのか、と。
しかもそれ×6だ・・・。

「チビちゃん、貴方は一緒にみんなと遊んできなさい。人参さんは私がとっておきますから。」

「はーい!」

小さい手で挙手をすると、家の裏にある広場へと掛けていった。
モモラーはそこに有った紙でできた人参と、花を摘むと、家の東にある丘の上へと登っていった。
其処には、四角く形取られた墓が二つ有った。

「・・・しぃ美さん、貴方の妹が私を喜ばせようとこんな物を作ってくれたんですよ。」

と言い、一つの墓に、紙で出来た人参を添えた。

「・・・生まれてからずっと距離が遠かった親子の二人・・・。せめて墓くらいは一緒に作ってあげないとね。」

そう言うと、しぃ美の墓にはコスモスを。そして、しぃ美の母親の方の墓には、生前、しぃ美が

「コノハナハ、ハハガスキダッタノ・・・・。」

と言い、世話していた百合の花を添えた。

「貴方方のベビちゃん達も、立派に育っていますよ・・・。」

処分されてしまったベビの母親に向かって、静かに手を合わせる。
モモラーの戦いはひとまずは終わった。しかし、アフォしぃはいまだ生まれつづけ、人々を苦しめている。
しかし、今回のように、アフォしぃが改心し、しぃへと変わっていくこともあるのだ。
そうなるように、モモラーはチビをまともなしぃに育て、また孤児となったベビやアフォしぃのベビを
連れてきてしぃへとなるように育てる。その循環を続ければ、いつかはきっとしぃに対する被虐というイメージが
とれ、それこそしぃのいっているマターリとした世の中が来るかもしれないのだ。

モモラーは丘を降り、家へと戻った。
モモラー戦いは、まだ終わらない。

いつか、このAAという世界に平安が訪れるまで・・・・・。


「終わり」