ストーリー

Last-modified: 2009-11-13 (金) 15:18:08
創世代(三つの種族の誕生)

原初―――何も無い海。
降臨した創造の神エイカは、そこから広大な大陸を引き上げた。
アルカンと名づけられたその大地の住人として、エイカが最初に生み出したのは、善なる種族「サイニック」だった。

けれども永遠の生命を持つはずのサイニックたちの統治は、たった300年で終わりを告げる。
絶対善の性(さが)を持つ彼らが自らに下した決断は、創造神の手による己の種族の封印だったのだ。

エイカはその顛末に、深く落胆する。
そしてサイニックに代わる者たちは、善だけでなく、それと対をなす性質の自我―――『悪』も持たせることにした。
こうして空位と化した大陸の主として……第二の創造物、人間が誕生する。

しかし善と悪の同在は、彼らの内側に、創造神の理解さえ及ばない混沌を芽生えさせることとなった。
人間達はあまりに欲深く、己以外を大事にできず、あらゆる禁忌を破った。
そして武器と魔法を研究する結果、サイニック同様エイカから与えられていた永遠の命さえ捨ててしまうのだった。

失望、悲しみ、果てなき後悔。人間という愚かな種族に対し、このときエイカが抱いた悲嘆は計り知れない。
しかしエイカは、第一の種族サイニックを自分自身で封じたことの無念も、はっきりと覚えていた。
―――ひとたび己が作り出した存在を、どうして己が手で滅ぼすことなどできようか?

苦渋の末、エイカはその身を削って第三の創造物『ゼレカ』を創り出す。
自身も被造物でありながら、ゼレカには神に類する存在として低位の創造能力と、そして滅びの力を与えられていた。
人の為す、善き行いに対しては、創造による祝福を。
また逆に、悪しき行いに対しては、滅びによる報いを。
己に代わり、ゼレカが人類を監督することにより、彼等がその振る舞いを鑑みるよう―――ひいては人類という種族への審判となるよう―――エイカはそう願っていた。

しかし、アルカン大陸での反映を謳歌していた人間たちは、自らに害を与える能力を授けられたこの偽神に強く反発した。
―――己が宿命(さだめ)は己で決める。なぜ降って沸いた第三種族などに審判を下されねばならないのか?

またゼレカの側も、彼に歯向かおうとする人間達へ、本来あってはならないはずの敵意を抱くのだった。
―――下等な存在であるくせに、なんと傲慢なことか。そしてこんな連中を野放しにし続けたエイカの、なんと無能なことか?

戦乱がはじまった。
人間とゼレカ。激しく対立する両者の間に講話などなかった。戦禍は拡大し続けた。
こうして創造神エイカの思惑を大きく外れ―――アルカンの大地に、週末という名の炎が吹き荒れることになるのだった。