隠れ月

暗闇の中に、ぽっとひとつの知覚が生まれた。
感じ取ったのは音だ。俺は誰かの声を聞いている。
久しぶりに聞くような声。
いや、初めて聞く声。
俺が……この世で初めて聞いた声……
誰かの声は、俺をまどろみから呼び起こそうとしていた。
それが耳に届くたび、俺の知覚は次第にはっきりしてゆく。
横たえた手足が感じられた。
呼吸する自分が感じられた。
そして……俺はゆっくりと目を開いた。

「やあ……ようやく起きてくれたね」

かすむ視界の中で男が笑っていた。
男は、俺の頭を一度だけそっと撫でて言った。

「おはよう、朔夜。この世界へようこそ」

魔法によって作られた人造生命体である主人公・朔夜は、何者かの呼ぶ声を聞いて目を覚ます。
そこは戦国状態にあるJAPANの一国の魔法研究所で、目の前には自分を作った男・草壁静真が微笑んでいた。
静真は朔夜にこう告げる。

 

「君は今日から九十一日間をこの屋敷で過ごす。私と助手たちは、君に、君が望む教育をほどこそう。つまり…君は試されることになるんだ。どういった成長を選ぶのかも含めてね」

 

朔夜は自分が作られた理由も、研究員たちがここに集っているそれぞれの理由も知らない。
それからの時間のすごし方によって、それは明らかになるのかもしれない。

• 朔夜(さくや)　cv：ボイスなし
  主人公。プレイヤーが操作するキャラクターです。名前はゲーム開始時に変更可能で4文字まで入力できます。魔法によって作られた「ぬへ」と呼ばれる人造生命体。特別に人間に近づけて作られている為、普通の少年と変わるところはあまりないが、少々冷たくて無愛想。
• 草壁静真(くさかべ しずま)　cv：ボイスなし
  舞台になる土地をおさめる武将のお抱えの魔法使い。魔法研究所の所長で、JAPANでも屈指の魔法力を持っている。しかしその若さと物腰穏やかな姿からは、とてもそうは見えない。甘いもの好きで、時々微妙に天然ボケが入る。部下や加代ちゃんからは「先生」と呼ばれて慕われている。
• 乾紅玉(いぬい こうぎょく)　cv：ボイスなし
  先生の部下の魔法研究員。関西弁で話し、朔夜のことを「坊(ぼん)」と呼ぶ。派手好きの遊び人で、私室を遊郭風にしているほど。
• 滝川七朗(たきがわ しちろう)　cv：ボイスなし
  先生の部下の魔法研究員。武術に秀でているが、魔法の才もあった為、本人のたっての希望で魔法研究員をつとめている。余暇には道場で竹刀を振っている自己鍛練派。
• 杉田尚純(すぎた なおずみ)　cv：ボイスなし
  先生の部下の魔法研究員。先生のことは尊敬しているものの、「ぬへ」の育成には否定的な気持ちを持っているらしく、朔夜に対して最初はよそよそしい態度をとる。
• 加代(かよ)　cv：ボイスなし
  屋敷の家事をうけおっているまかないさん。母親思いの心優しい少女。皆から妹のように思われている。