すみれVSドッペルゲンガー

Last-modified: 2024-01-22 (月) 21:07:43

「ハァ…ハァ…」
路地裏を急いで走る少女がいる。少女は着いてくる何者から逃げるため必死になって走っていた。
「来ないでよ!バカ!」
かなりの距離を走って逃げたが、少女を追いかける者は顔色一つも変えないで少女を追いかける。
少女は体力が尽きたようで走るのをやめた。そして、追いかける者はゆっくりと少女に近づいてきた。その時、雲がかかった満月がようやく見えた、夜道を照らす。
平安名すみれ。今、すみれはある者から逃げ回っていた。そして、すみれを追いかけていたのは、すみれ。平安名すみれを追いかけていたのは平安名すみれだった。
ただ、追いかけていた『すみれ』は『すみれ』と違って、息切れもしてなく汗もかいていない。
今、すみれ達女子高校生にはドッペルゲンガーにレイプされる事件が多数報告されている。つまり、すみれは自分自身のドッペルゲンガーにレイプされる目前だった。
「いや!おねがい!来ないでっ!!」
必死に懇願するすみれ。しかし、ドッペルゲンガーは容赦なくすみれの身体に近づき、舌を伸ばしてきた。
「いやああああああああああああああああ!!」

可可は目を開けると、そこにはいつもの部屋の景色が視界に入る。
「…夢?」
どうやら今までのは可可が見た夢であり、ホッとしたが、かなりリアルな夢だったものだから可可の全身は汗でびっしょり濡れていた。

 簡単にシャワーを浴びて身体を拭き、スマホですみれに夢のことを通話した。
「…という夢でした」
「な、なによ…。朝からそんな怖いこと聞きたくなかったわよ」
「でも、すみれが心配で…」
「私なら大丈夫ったら大丈夫よ」
何とか可可を説得して安心させ通話は終わった。しかし、すみれ自身も恐怖を少しだけ感じてはいた。確かにドッペルゲンガーの噂は東京を中心に広がっており、高校でも痴漢や不審者に注意するように学年集会やプリントが配布されることがある。
ドッペルゲンガー。正確には幻覚みたいだが、こうして話を聞くとそうでないようす。
すみれは学校の準備をしながら、この前購入した香水をつけた。甘い香りが漂い心を落ち着かせてきた。
「さて、行きましょうかね」
☆☆☆☆☆

 次の日。
休日言えど神社の朝は早く、すみれも巫女装束に着替えて境内の掃除をする。今日の午後は可可達と久々に遊びに行ける嬉しさのあまり、ドッペルゲンガーの事は9割忘れていた。
(さ~て、今日は楽しみな日になりそうったらなりそう♡)
そんなウキウキな時だった。近くから甘い香りがする。その香りはすみれがつける香水の香りと一緒の香り、不思議に思い横を向くとそこには信じられない人物がいた。
その人物は『平安名すみれ』自分自身がいたのだ。
「「わ、わたしいいいい⁉」」
鏡なんか外にあるはずもないし、この香水もネットの限定品だからそんなに数はない。
となると、本当にすみれが2人いることになる。
「だ、誰よあんた⁉」
「私は平安名すみれよっ!!」
「ハア⁉すみれは私ったら私なんですけどっ⁉」
「違うわよ!!すみれは私ったら私よっ!!」
「「いい加減にしてよ!!私が本物ったら本物よ!!」」
互いに自分が本物と何度も言うが、もう1人のすみれも自分が本物と何度も言う。
静かな境内に金髪美少女が2人。それも、同じ姿をしている異常現象。
その後もすみれとすみれの口論は続くが、やはりお互いに引けを取らない。
そしてあることを思い出した。それは『ドッペルゲンガー』の存在。
もしかしたら、可可の言った事が現実なって起こっているのかもしれない。そう考えたら、納得いく反面、ドッペルゲンガーにレイプされるかもしれない。お互いにそう考えたら警戒して睨み合った。
「…」
「…」
下手に逃げたりしたら何されるか分からないので、じっとすることしかできない。
(それにしても…、本当に私そっくり…)
(鏡で自分の姿を見るのとじゃ、何だか不思議な感覚ね…)
金髪でサラサラしている長髪。綺麗なエメラルドグリーンの色をした瞳。巫女服でもはっきり分かる豊満な胸。そして、香水の香りもあり、すみれとすみれは、ドッペルゲンガーではなく『平安名すみれが2人いる』ようにも思えるようになってきた。
そして、緊張感漂う中疲れも見えてきた。
((このままじゃ、私が負けてしまうかもしれない))
すみれは最後の手段として、このドッペルゲンガーを倒すしかないと相手を掴んできたら、相手のすみれも同じように体を掴んできた。
「何するのったら何するの⁉」
「あんたを倒すのよっ!!平安名すみれは1人で十分なのよっ!!」
取っ組み合いになりかけたその時、顔が近づいて何か柔らかい感触がすみれ達の唇に触れる。それは、相手のすみれの唇だった。すみれとすみれは接触するあまりキスをしてしまった。
「「⁉」」
慌てて唇を離すと同時に、身体も離れ、しばらくお互いの顔が見れない状況だった。
(うそ…。私、今…)
(キス…した?)
((ドッペルゲンガーとキスしちゃった…))
事故とはいえファーストキスがドッペルゲンガーという考えられないことに怒りを感じたすみれとすみれは互いに相手に強い口調で怒りをぶつける。
「ちょっと!!何てことしてくれるのっ!!私のファーストキス奪って!!」
「それはこっちの台詞よっ!!あんたこそ、私の大切なキスを…」
でも、すみれ達は先ほどみたいに取っ組み合いはしなかった。疲れもあるが、思いのほかキスの感触が心地よかった。
((キス…、あんなに気持ちいいものなの?))
ドッペルゲンガーと言えど、ほぼ自分と同じなので、ある意味もう1人の自分とキスしたことにはなる。段々とすみれ達の心境は怒りが消えかけてきた。それどころか、どういうわけか、ある感情が芽生えてきた。
((もう一度…こいつとキス…したい))

☆☆☆☆☆

 部屋に戻るすみれとすみれ。素直にキスしたいといえばよいが、やはり素直じゃないすみれ。すみれとすみれはベッド近くに立って相手のすみれからキスさせたくなるように、色々アピールしてきた。
「どうかしらぁ?私の自慢の長髪。朝、シャワー浴びたからまだ香りが残っているでしょ?」
くるりと一回転して自慢の髪の美しさも見せつけては、上品な香りがする。その姿と香りだけでもう1人のすみれはドキッとしてきた。
(うわぁ…。すごくいい香り…)
でも、もう1人のすみれも負けじと挑発してきた。前かがみになると、シャツの首元から見えるたわわの谷間。
「どう?私のおっぱい♡触ってみたくなった?」
上目遣いでアピールするすみれの破壊力にすみれは負けそうになるが、自我を保った。
その後も様々なポージングしていくうちに高校生であるすみれは段々と、相手のすみれに対してムラムラしてきた。
「…。ねえ?同じ私ならわかるでしょ?」
「そうね…」
「「ベッドで決着…つけない?」」
衣類を全部脱ぐすみれとすみれ。
可可の夢とは少し違うが、ベッドに横たわり身体と身体を重ねた。

END