マルガマルガ

Last-modified: 2024-02-14 (水) 21:39:31

はじめに

2023年11月28日に依頼。2024年2月14日に投稿

本編

ガチャ。ドアを開けるとそこには誰もいない。
「少し早く来てしまったみたいね」
部活の為入ったが、自分が一番乗りのようでひとまず荷物を置いて、スマホでも見て時間つぶしでもしようと思った。しかし、マルガレーテは何か踏んでしまったような感覚があったので、床を見ると、小瓶を踏んでしまったのだ。
「え?な、何でこんなところに?」
一体誰の物なのか分からないが、踏んでしまったのは事実。小瓶はひび割れしてそこから紫色の煙が辺りを覆う。匂いは特にしなかったが、煙の量は想像以上なので急いで窓を開けて換気する。
ある程度煙が消えると信じられないことが起きていた。
「「え?な、何で…?」」
部室にはマルガレーテしかいないはずなのに、マルガレーテの隣にマルガレーテがいるのだ。
「「あ、あなた誰なのよっ⁉何で私と同じ格好をしているのよ⁉」」
薄紫色の長い髪に緑色の瞳が彼女の特徴。それがどういうわけか目の前の人物も同じ格好をしているのだ。この世にマルガレーテは1人しかいない。だとすればこの人物は誰だ?
「私はウィーン・マルガレーテよっ!!」
「何言ってるのよ⁉マルガレーテは私よ!わ・た・し‼」
「ハア⁉バカ言ってるんじゃないわよっ!!」
「あんたこそ偽者でしょ⁉」
互いにあれこれ言っても目の前の人物は『自分が本物』だと言い続ける。試しに自分に関わるクイズを出しても全問正解。ますます2人の主張は激しさを増していく。
「「いい加減にしてよっ!!私が本物のウィーン・マルガレーテよっ!!」」
暴力はしない主義だが、ここまで真似されると手を出したくなる。何か他に自分が本物だという証拠になるものはないか考えてみた。
『『何か…何かないのかしらっ⁉』』
そうだ。歌がある。自分はスクールアイドル。例え同じ姿をしてもダンスと歌唱力は真似できないはずと思った片方のマルガレーテはスマホを取り出して、音楽再生アプリをタップして準備した。もう1人マルガレーテも同じ考えをしていたようで、察した様子。
「ふん。私が本物を私を見せてあげる」
「こっちこそ。偽物は降参してもいいわよ」
そして始まる歌による本物の自分をかけたバトル。しかし、歌い方やダンスの動き。何もかもが完全一致しており、まるで鏡の前でダンスをしているかのような錯覚だ。
『うそでしょ?何で私と一緒の動きしているの?』
『何で?私と同じなの?』
『『あなたは一体誰なの?』』
ここで事故が起こる。ターンするところで足が躓いて転倒しそうになる。なんとか転倒は防げたが、身体を起こす時に顔が目の前の人物と近づいて顔も至近距離になり、唇に柔らかい感触が伝わる。
『『え?これって…』』
目を開けるとマルガレーテには最悪なことが起きていた。目の前の自分とキスをしていた。
すぐに離れる2人は顔を赤くしてしばらく背を向けていた。いくら何でもファーストキスが自分と同じ姿をした人、もしくはもう1人の自分、ドッペルゲンガーなどという訳の分からないままで奪われたのだ。
「「ちょっと!!何でキスしたのよっ!!ハア⁉あんたがしてきたのよっ⁉」」
ついに本気で怒り始めた2人。いくら何でも自分のファーストキスを奪われるのはショックが大きく、さらに怒りがこみ上げる。
「いい加減にしてよっ!!よくも私のキスを奪ったわねっ!!」
「それはそっちでしょっ!!私の真似なんかして気持ち悪いのよっ!!」
「キスしてくるなんてとんだ痴女ね!!」
「痴女はそっちでしょ⁉いえ、変態よっ!!」
今にも泣きそうな目をしながら互いに罵倒し合うマルガレーテ。でも、考えてみた。こいつはキスしたい淫乱ということは、降参させるまでキスさせれば私が本物だと。そうして、マルガレーテとマルガレーテは無理やり舌を絡ませたキスをしてきた。
「じゅるっっ!!んじゅぅぅぅう!!れおれおれおれお!!」
「んんんっ!!んふぅぅぅううう!!」
相手を逃がせまいと足を絡ませて腕で身体をがっつり拘束させていく。今のマルガレーテたちは蝶ではなく、肉食昆虫のように動いていた。唾液を含んだ舌同士を絡ませて、荒々しく吐息も聞こえており、2人の体温もだんだんと熱くなってきてほんのり汗もかいてきた。
それに、マルガレーテのキスは最初は激しかったが、だんだんとねっとりとキスしてきてい互いに興奮してきた。
『うそ…こいつに勝ちたいのに…』
『だんだんとキスがうまくなって…感じたくないのに…』
『『もう1人の自分のキスで感じてしまう…』』
1人でまだ活動していたとき、夜は寂しさを紛らわせるためにオナニーをしていたが、その時も誰かとキスしながらと思い込みながら…。それが、結果的に快感になって、今のマルガレーテ達は勝負の為のキスではなく、純粋にマルガレーテのキスすることで気持ち良くなってきた。そして、気づけば2人の下着の中は汗と透明な液で濡れ始めてきて、下半身は大変なことになっていた。
『いい…いいっ!マルガレーテのキス…気持ちいい♡』
『これが…私が求めていたキス…マルガレーテのキス…』
『『マルガレーテのキス…最高だわ…』』
そして、マルガレーテは自分同士のキスでひそかにイってしまった。下着がじんわりと濡れて、やがて床も水をこぼしたような水たまりができていた。
「「ハァ…ハァ…」」
キスを終えた2人は相手の顔をみると、あんなに狼のように鋭い目つきで睨んでいたが、今は完全に一人の女性として、愛する人を見るような眼をしていた。

結局、その日は練習を休んでしまった。さすがに同一人物が2人いると大変なので彼女たちは急いで家に帰った。

後日。
「全く、何であなたはまだいるの?とっとと消えてほしいけど」
「それはこっちの台詞。おかけで1人暮らしから2人暮らしになったから色々大変なんだけど」
結局、もう1人のマルガレーテと一緒に生活することになるがいまだにケンカしている関係が続いている。おかげで生活も『私が先よっ!』など言いトイレやテレビ、お風呂などの自分同士の争いが絶えない日が続くが…。夜になると…
「…ねえ。その…キスしてもいい?」
「い、いいわよ」

キスするときだけは素直なマルガレーテとマルガレーテがいた。

END