そもそも完璧に「早期海水注入」をおこなっても炉心溶融は防げなかったのではないか?

Last-modified: 2011-07-31 (日) 22:37:37

(2011-7-31追記)先日興味深い記事が出ました。福島第一原発の最高幹部がついに語った【フクシマの真実:前編】 福島第一原発の最高幹部が語る「フクシマの真実」 後編 やはり5月の「海水注入騒ぎ」が完全に馬鹿げていたことがはっきりしました。他に、菅首相が3月12日朝に現場入りしたことについては2時間ほど作業が止まる影響が出たとあります。この件について私が菅首相の行動の異常さについて指摘したいのは、菅首相がヘリに乗る直前に大勢の報道陣の前を通る際に無言だったということです。菅首相が主張する「ベントをさせる為に現地入りを決めた」という理由が真実なら、あの時報道陣に対して「ベントをさせる為に、異例ですが現地に行きます」と宣言してしかるべきです。言うまでもなく、あのような緊急時に首相が現地に行くのは全くもって非常識なので、常識的な首相なら「特別な事情があるんだ。批判にはあたらない」と強く訴える筈です。なのにそうしなかったということは、菅首相はまことに非常識な人間であって、あの時現地に飛ぶことが本来は決してやるべきではないことだと思っていなかったことを強く示唆していると思います。まあ、私は菅首相については、他の様々なことでもっともっと批判されるべきだと思っているので、この件についてはこれくらいにしておきます。

 

(2011-5-16追記)最近は「原発は全電源喪失したら終わり」を裏付ける記事が増えています。それに伴って「海水注入は有効か否か」については「今回はそれ以前に事態が非常に悪化していたのでわからない」という結論に徐々に近づいているような気がします。まあとにかく「海水注入は有効か否か」がわかることより「原発は全電源喪失したら終わり」だとわかることの方が遥かに重要であることは明らかです。
(2011-5-12追記)ちょっと小難しく書きましたが、要は「ファクトベースで考える」と自然にこの考えが浮かんだということです。この場合の「ファクトベースで考える」とは「テレビの識者のコメントを無視」し、「新聞記事の見出しや解説を無視」し、「事実のみを題材にを自分で考える」ことです。具体的には、非常に粗い考え方としてまず「海水注入しても事態はすぐに収まらなかった」という事実から「(少なくとも停止直後の非常に崩壊熱の大きい時期においては)海水注入は完全に有効な手段ではない」という「可能性」が浮かびます。続いてそれを否定する「『海水注入は(確実に)有効な手段』だが今回の場合はそれを妨げる事象があった」という「可能性」がどれほどあるのかを考える必要があります。後者については「津波の前に地震で配管や計器が壊れていたから海水注入がうまくおこなえかなかった」「基本的には海水注入は確実に有効な手段の筈なのだが、今回は初めてだけに『照明が消えていた』とか『手順が少し不味かった』等の不手際によってうまく実施できなかった」等を具体的な「可能性」として考えみる必要があるでしょう。しかし海水注入から数日も経ってから大規模な燃料溶融が発生したことから考えるとそれらが今回の海水注入を妨げた大きな理由である可能性はやや低く、やはり「海水注入は原子炉停止直後には殆ど役に立たない」「海水注入は冷温停止後暫く(例えば一月以上)経って崩壊熱が減った状態じゃないと使えない」「やはり原発(少なくともBWR)は全電源喪失したら終わり」と見るのが妥当だと思われます。あと「浜岡を早く止めておくことには“多少”意味がある=冷温停止後一月以上経過すると海水注入という手段が有効となるので“多少”安全性が上がる」とも言えるでしょう。


2011-5-3
以下に述べることは私の勝手な推測です。
誰かがこの観点から検証してくれることを望みます。
 

「海水注入が遅れたのではないか」を論じるのは不毛なのではないでしょうか。

 

「東電は廃炉を恐れて海水注入を躊躇ったのではないか」との報道がかなり初期からなされていると思いますが、私は「事故前から存在するマニュアルにある『海水注入』で破滅的な事態に陥ることを防ぐことはそもそも無理だった」との意見を取ります。原子炉停止直後の膨大な崩壊熱を熱交換器なしに除去するには極めて流量の大きい給水系と排水系を高温・高圧の一次冷却系等に対して極めて短時間で作り上げる必要がある筈です。こんなのは土台無理ではなかったかと思います。

 

つまり「事故前から存在するマニュアルにある『海水注入』は机上の、形式的な、実際には役に立たない“項目”に過ぎなかったのではないかという見方です。

 

そのマニュアルに具体的にどう書いてあるかわかりませんが、ご存知のように外部電源が失われてもしばらく冷却を続けられる冷却系統があります。これらが動いている間は圧力を無闇に下げることはできません。従って注水系統を応急的に追加することはできますが排水系統を追加することはできません。排水をおこなわず注水だけでの冷却は排水も同時におこなった場合に比べて著しく劣ります。

 

確かに海水を注入すると廃炉が必須となるのは常識で、当事者達に躊躇する気持ちが起きるのは事実でしょうが、相当程度原子力の知識を持っている人が大勢揃っているわけです。

 

私が想像するに、事故発生直後の東電首脳はほぼ躊躇なく、
「一番状態が悪い炉には早く海水を注入しろ」
と命じたのではないかと思うのです。
まあ当時「どれが一番状態が悪い炉」の判別がついたのか疑問ですが。

 

とにかく事故当日から翌日未明にかけて既に燃料棒の水面からの露出が報じられていたくらいですから、遅くともこの時点で現場では廃炉を恐れて云々という事態ではなかったと思います。海水注入作業がおこなわれていることがが報じられたのは1号機の水素爆発後のことですが、実際にはずっと早く海水注入作業にとりかかっていたのではないでしょうか。

 

ということで、私はこれなんかも有効性を疑ってかかっています。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201104150057.html

 

このページに書いたことが本当だとするとこれなんか全く的外れということになります。
http://t.asahi.com/283i

 

このページは、出てくる関連情報があまりに少ないだけに「逆張り」の精神で書いてみただけという面もあります。さて真相はどうでしょうか。

 

細かい話ですが、ベントの許可を政府にお伺いをたてないといけない体制であったことは不幸でした。お伺いを立てなくてもベントができるようにベント専用の大規模なフィルター室を設けておかないと緊急時に役に立ちませんね。もちろん遠隔操作でおこなえなければならないことも言うまでもありません。

 

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