PC電源チェッカーの製作

Last-modified: 2008-11-13 (木) 23:50:38
初出 2006-9-13
最終更新 2008-6-20
製作時期 2006-9
(2008-11-12)新ページ:PC電源故障の真実を追加しました。
 

パソコン電源の異常を、症状が出る前に検知する為に、あるいはパソコンの状態がおかしくなった時にそれが電源故障の為だといち早く把握する為に、電源チェッカー的なものを製作してみました。

 

ps-chkr_1_s.jpg
今回製作したものは、ハードディスク電源の延長ケーブルとして組み込んでおき、12V系の電圧が異常に低下した場合にブザーが鳴るという仕様です。

 

実態は電源チェッカーと言うより電圧チェッカーです。コネクタを交換するだけでバッテリーのチェッカーとしても使用できるでしょう。

 

ps-chkr_2_s.jpg
とりあえず今回の作例では、5V系(赤のケーブル)はチェックしていませんしチェッカーの電源としても使用していません。
手持ちの部品で製作しましたので一部本来は好ましくない部品を使用しています。ここに望ましい部品の仕様を記載します。

 

使用感

(製作したばかりなので、)現在は古い電源の付いたPCで試用しています。
私は可変定電圧電源とDMMを持っているので、それらを使って電圧が12.00V以下に下がるとブザーが鳴るようにセットしています。
ハードディスクが忙しく動いている時にピコピコとブザーが鳴ります。ほぼハードディスクの音と同調しています。こんなにも電圧って常に変動していたのか(落ち込んでいたのか)と少し驚きです。でも、もしかするとこれは電源が古い為であって電源が新しい場合にはこのようなことはないのかもしれません。

 

通常は全くブザー音が鳴らないのであれば異常があったときにすぐに気づくと思いますが、現在の試用環境のように頻繁にブザー音が鳴っている状況で本当に電源の異常に気づくことが可能なのか、はっきりしません。電圧がさらに下がればそれに伴いブザーの音色も変化します。人間の耳は優秀なのでそれに気づかないこともないでしょうが、実効性の評価にはまだまだ時間がかかりそうです。

 

電源の故障に気づく為の最も有効な手段は、常時、電圧のロギングを続けることだと思います。それに比べてこのチェッカーがどれほど役立つものなのか。まだ何とも言えません。

 

(2008-6-8追加)作成してからかなり長期間経ちました。簡単な工作ですがわりと役に立つものだなあというのが実感です。普通は気づかないコンデンサのエージングによる変化も実感できます。(2008-6-20追加)普通に使う分にはDMMは必要ないと思います。余談かもしれませんが試しにハードディスクの転送モードを故意に遅くすると明確に音に違いが出ます。

回路図

ps-chkr_circt_s.png

  • 可能な限り、簡単な回路にしています。要望があればオペアンプの電源も含んだ回路図に変更したいと思います。
  • 分圧して作った電圧と三端子レギュレータで作った一定の電圧を、コンパレータで比較しているだけです。
  • 将来、5V系のチェックをおこなうことも考慮して三端子レギュレータは3.3Vのものを使用しています。
  • 電子ブザーは4~9Vが一応の動作範囲だそうですが、私が実際に試したところ12Vでも壊れずにちゃんと鳴ったので、本機はその特性に頼った仕様としました。正確には忘れましたが、2V代の低電圧でも鳴ったと思います。
     
    回路のアイデアがあれば教えて頂ければと思います。
    例えば、昇圧回路と12Vレギュレータを使って、分圧回路を廃しています。とか...
     
    BSch3V形式(zip圧縮)

    ps-chkr_3_s.jpg
     
    主要部品表
    部品名値段
    LM358互換単電源オペアンプ秋月で5個で100円
    3.3V三端子レギュレータ秋月でコンデンサ付きで100円
    電子ブザー秋月で100円
    本ページは一つの作例に過ぎません。作例からコネクタを変更してSATAのハードディスクに接続してもいいでしょうし、5V系もチェックできるようにしてもいいでしょう。
     

望ましい部品の仕様

  • 分圧抵抗は常温の範囲での抵抗値の変化の少ないものが望ましいです。
  • 分圧抵抗は温度変化による影響を避ける為、上側と下側で同種のものを使用して下さい。私の作例は大変好ましくないです。
  • 調整用の半固定抵抗は、私の作例のような1個50円未満のものは避けたほうが望ましいでしょう。回す部分が絶縁されているものが便利ですね。
  • 調整用の半固定抵抗の値は大きいほうが電圧設定の自由度が高くなるのですが、反面、温度変化による誤差も増えるので10KΩ以内に留めたほうが望ましいでしょう。
  • 作例では基準電圧を取得する為だけに三端子レギュレータを使用しています。本来ならシャントレギュレータを使用するべき場面ですが、現在秋月で固定電圧のシャントレギュレータは販売されていないようなので、このままでいいかと思います。
  • 分圧抵抗は、作例のように3.3Vの定電圧で12V近辺の元電圧の高低を判定する場合、下側の抵抗値と上側の抵抗値の比率がほぼ正確に1:2.64である必要があります。半固定抵抗で調整が可能とはいえ、それ以外の抵抗の値もかなり正確さが要求されます。誤差の少ないものを購入するか、普通のものを選別する必要があるかもしれません。

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