神浦元彰・青山繁晴の両氏が同一日に同じ誤報「オスプレイは固定翼機モードのまま(ヘリモードにならずに)離着陸が可能」をやらかした件の解説

Last-modified: 2012-10-26 (金) 01:52:53
初出 2012-9-22
最終更新 2012-10-26
当初ツイッターに流そうと思って書き初めましたが、面倒なのでブログの1ページにします。

(2012-10-26追記)再び本屋に行き、先日の関賢太郎氏の記事を少し詳しく読み返してみました。後半に載っている民間旅客機の安全性との比較の部分は3ヶ月程前の私のツイート( http://togetter.com/li/341526 )と要旨がほぼ同じだと感じました。「オスプレイは数字上それほど危険ではない」も私と基本的に一致しています。ただし結論としてオスプレイをどうすべきかの部分は私と違います。それは 、事実上、自衛隊・防衛省の利害関係者である関氏と、完全フリーの私との立場の違いとも言えます。


(2012-10-15追記,2012-10-17さらに追記)
10日ほど前、「こんなにオスプレイに関して間違い報道が多いのは、もしかして準専門誌とも言える『航空???、航空??、エア??』等が間違ってるから?」と思い、確かめる為に本屋に行ってみました(何度も書いていますが、私は普段それらの雑誌を全く読みません)。生憎それらは売り切れていたので、代りに「丸 2012年11月号」を立ち読みしてみたところ、軍事ライター兼MASDF管理人の関賢太郎氏執筆のオスプレイに関する記事が掲載されていました。その記事は、一部には私が不満を覚える記述も見受けられましたが、総合的には「オスプレイは固定翼機モードで離着陸できない」ことが示されていていることを確認しました。

 

さて関氏の記事はいいとしても、他の人の執筆したウェブ記事に問題を発見しました。その人とはNHKでヘリコプター関連の解説をすることが多い西川渉氏です。この記事( http://www2g.biglobe.ne.jp/aviation/v220903.html )です。これは現在のように一般世間でオスプレイが話題になる遥かに前(4年前)の記事で、多分簡単な英語のパンフレット程度のものを気軽に訳して執筆したものなのでしょうが、「ナセルの傾きを示す計器は、90°でヘリコプターモード、0°で飛行機モード。」と、今なら素人でもデタラメだと見抜ける内容が載っています。また、(実際にはヘリコプターモードでの)滑走離着陸の説明として「速度がつくと揚力が増し、TCLをいっぱいに押すと最大出力で地面を離れる。 高度2,500フイートまで上昇し水平飛行に移るとしよう。このときMV-22は双発ターボプロップ機とまったく変わらない。 」と、非常に無神経で素人から誤解を招きやすい記述も含まれています。

 

最近よくテレビで放映されているオスプレイの離着陸時の映像をよく視ている人なら、「(青山繁晴氏の主張する)ナセルが垂直に立っているときがヘリモード」との意見がデタラメであることに容易に同意できるでしょう。(2012-10-17追記)一昨日は真っ先に追記すべきことを書き忘れていました。「ヘリコプターモードか否かの見分け方」です。簡単です。「飛行速度の遅いときがヘリコプターモード」です。オスプレイが180km/時以下で飛行している時は、ナセルあるいはプロペラ兼回転翼の角度がどうであろうと、必ずヘリコプターモードです。

 

さて、話は西川渉氏のことに戻りますが、氏はちょっといい加減というか、過去に自らが書いた記事との整合性を全く気にしないというか、2004年に執筆したこの記事( http://www2g.biglobe.ne.jp/aviation/tiltrotor.html )では「(V-22やAW609と違って)エリカは滑走離着陸もできる」と、オスプレイが固定翼機のような滑走離着陸ができないことを前提にした内容を記述していますし、1999年に執筆したこの記事( http://www2g.biglobe.ne.jp/aviation/TRnewage.html )では、「(アグスタ社で構想されている次世代のティルトローター機は)普通の飛行機同様、滑走離着陸をすることもできる」と、これまたオスプレイが固定翼機のような滑走離着陸ができないことを念頭に置いた記事を書いています。あまりにバラバラ過ぎるという印象ですが、氏は(東大理学部卒ですが)航空機の技術面に詳しくないことを自認している人なので、「さもありなん」という状況ではあります。


(2012-9-30追記)

※今回の追記で、このページを初めてご覧になった方には一見「青山繁晴バッシングの為のページ」みたいに見えてしまうかもしれませんが、それは全く意図するものではありません。そもそも本ページは、世間一般にオスプレイに対する技術的な誤解が広がっていることが推測される為、それを解く為に設けました。その目的が変化したわけではありません。せっかくの追記ですので、少なくとも当面はこのままの形にするつもりです。
 

初出時に既に記しておりましたが、青山繁晴氏はテレビでの誤報の翌日、自身のブログに「補足と称する」文章を掲載しました。それも間違った内容だということは初出時に記しておりました。

 

初出の翌日、独立総合研究所宛に放送内容とブログ内容の双方が間違っていることと、本ページを設けたことを連絡するメールを一通送付しました。

 

その後、当該のテレビ番組の翌回の放送があったのですが、訂正はありませんでした。またメールの返答もありません。送付したメールが多忙極まる青山氏の目に入っている可能性はそれほど高いとは思いません。多分スタッフが選別する段階で切り捨てられたのでしょう。しかし少なくとも表面上は、青山氏は「テレビで誤報をおこない、さらに(私ではない)複数の視聴者からの間違いの指摘に対して反論する形で、さらなる間違いを含んだ文章を自らのブログに掲載し、いまだに一切の間違いを認めていない」ということまでは言えます。

 

別に私は「アンチ青山氏」な人間では全くありません。青山氏や神浦氏の名前を出すのは、初出時にも一部記しましたが、オスプレイの技術面に関する誤解が多く、またその誤解がそう簡単に溶けないほど強固であることを、具体例を借りて説明する為であるに過ぎません。

 

因みに、青山氏出演の当該番組のスタッフは、青山氏のブログの「補足と称する」文章を読み、そしてその内容に疑いを抱いていない可能性が高いと思われます。その根拠は、9月27日の同番組内のニュースで、青山氏のブログにある誤った記述「ローターを垂直にまで立てるヘリ・モード」に似通った、「オスプレイが、プロペラを真上に向けた、ヘリモード」という誤った表現が用いられていたことです。その部分を書き起こしたものも、以下に掲載しています。

 

(初出時はページ末尾に掲載していましたが、時系列の流れをつかみやすいように、ここに移動させました。)

 

青山氏の、9月19日の関西テレビ・ANCHORでの発言内容の書き起こし。(以下の太線部は青山氏がオスプレイの技術面に関して誤解していることを如実に表している箇所です。)
(「オスプレイ運用ルール合意」に対するコメント)
青山氏:陸上自衛隊の現職のヘリパイロット、何人かにお会いして、意見を聞いたんですが、(中略)離陸、あるいは、これと逆に着陸の時に、ローターというんですが、プロペラの回っている部分を縦にして、まるでヘリコプターのように上がっていき、下りていくわけですね。普段飛んでる時はこうやって(筆者注:ナセルorプロペラを)前に向けてるから、普通のプロペラ輸送機と同じなんですね。で、これを下りる為に、今のような(筆者注:ナセルを斜め上に向けた)形にした時に、後ろから風が吹くと、強い追い風が吹くと、「パイロットが優秀でも、安定性(を)失って、落ちることは十分にあり得ます」と言ってるわけです。
従って、陸自のヘリのパイロットが、僕に対して「不思議です」と言うのは、「運用改善して何とか入れよう(導入しよう)というのならまだわかる」と。しかしそうだったらですね、「普天間基地の場合は、(筆者注:ナセルを)上げたり下げたりしないで、普通にプロペラの回ってる輸送機のまま、つまり飛行機状態で下りること出来ます」と。で、「上がる時もそのままいけます」と。
山本アナ:垂直の離着陸でなくても!
青山氏:で、その機能を使わずに!
山本アナ:使わずに。
青山氏:はい。で、運用改善ってその(筆者注:ヘリモードを使わない)ことだと思ってたら、いや、蓋を開けたら、「いや、やっぱりこれ(筆者注:ヘリモードでの飛行および固定翼機モードとの転換飛行)はやるんだ」と。
山本アナ:何でやらなきゃいけないんすか?こんな危険な……
青山氏:これは、アメリカの言うことの方が強いということであり、森本防衛大臣はそれを現在のところ受け入れてるということだから。現場のパイロット達の意見は違うってことをもう一度、防衛大臣以下、首脳陣はちゃんと聞いて欲しいです。


青山氏が翌日9月20日にブログに記載した「補足と称する」文章のテキスト。(タイトル部を除く太線は筆者によるものです。それらは、青山氏がオスプレイの技術面に関して誤解していることを如実に表している箇所です。)
画像
テレビ放送の中身をブログで補足する、というのは、そうやりたいことではないけれど…
2012年09月20日 14時26分51秒 | Weblog

 

▼テレビ放送、特にナマ放送は時間との闘いです。
 たとえば、きのう9月19日水曜の関西テレビの報道番組「スーパー・ニュース・アンカー」で、ストレートニュースの最後の項目「オスプレイ」は、1分30秒という時間しかありませんでした。

 

 その時間で、陸上自衛隊の現役のヘリ・パイロットたちと議論した話を紹介し、彼らもぼくも、「オスプレイの運用改善というのは、普天間基地の離着陸において、ヘリモードを使わず航空機モードを使うことだと予測していたが、実際の日米合意は、それが不充分な形でまとまりかけている」という趣旨を述べました。

 

 すると、関西テレビにいくつか、「オスプレイはプロペラが大きいので、航空機モードで離着陸をするとプロベラが地面にぶつかってしまって不可能だ。間違っているのでは」という問い合わせが来たそうです。
 ぼくにも、このブログへの書き込みが1通、メールが1通と、わずか2通ですが、同様の問い合わせが来ました。

 
 

▼間違いではありません。
 オスプレイには、ヘリコプター・モードの離着陸と、航空機モードの離着陸の両方が、あります。
 プロペラが大きいのは事実ですから、航空機モードでの離着陸のときには、巡航モード(すなわち離着陸の時ではなく、上空を飛んでいるとき)よりは、プロペラのローターを上方にチルトします(すなわち傾けます)。しかし、あくまでこれも航空機モードの離着陸であり、ローターを垂直にまで立てるヘリ・モードとは違います。

 

 陸自のヘリ・パイロットたちが懸念し、ぼくに指摘していたのは、たとえば「ローターを垂直に立てる動作をしつつ、ヘリコプター・モードで着陸しようとすると、後から強い追い風が吹いたときに不安定になることがあり、その場合は、パイロットの技量が高くてもリカバリーが難しい」ということです。

 
 

▼以上のようなことまですべて説明しつつ、キャスターのヤマヒロさんとの受け答えもしていると、確実に2分30秒から3分前後はかかります。
 生放送の、しかも番組終わりに近い、ぎりぎりの時間でもありますから、このようなとき時間を延長することは絶対にできません。
 したがって、昨日の説明になったのです。


9月27日の関西テレビ・ANCHOR
(ストレートニュースのコーナー:以下の太線は筆者によるものです。太線部は青山氏の「補足と称する」誤った文章もしくは氏の意見の影響を受けていることが推察される箇所です)
岡安アナ:今日の体験搭乗は3回に分けておこなわれ、オスプレイが、プロペラを真上に向けた、ヘリモードで離陸した後、飛行モードに切り替えて、基地近くの上空を飛行しました。


上掲の内容に対するコメント(2012-9-30)
上掲の青山氏の言動は、航空機に関する知識がない人が陥りやすい、オスプレイに対する典型的な誤解が表出したものだと感じます。

 

9月19日の放送中の発言は様々な言葉で「オスプレイは固定翼機モードのまま離着陸が可能」で伝えようとしています。もちろんそれは間違いです。さて、黒太線部に関しては、「普通にプロペラの回ってる輸送機のまま」との表現と滑走離着陸(正しくはそれもヘリモード)を無理やり結びつけて、「別に何も間違ってないじゃないか」と強弁する、青山氏擁護派の人が出現する可能性がおおいにあると思います。

 

しかし赤太線部はそのような安直な弁解は決してできない筈です。この部分は日米政府間で合意した運用ルールに転換飛行に関する記述が含まれていることに対して、青山氏が噛み付いたものです。青山氏ははっきりと「固定翼機モードで離着陸できるんだから、(危険な)転換飛行なんてやらなくていいんだ」との意味を述べています。

 

この部分を青山氏擁護派の人(もしくは本人)が間違いでないことにする為には、現実にテレビで再三放映されている「滑走して離陸→上空で転換飛行→固定翼機モード」の映像の中の、「『滑走して離陸』する部分は、青山(氏)が言っていた『普通にプロペラの回ってる輸送機のまま、つまり飛行機状態で下りること出来ます。上がる時もそのままいけます』が指していたこととは違います」と主張せざるをえないことになります。もしくは「あれ(あの映像)は転換飛行ではありません!転換飛行とはもっと他のことを指すんです」と主張(強弁)せざるをえないことになります。

 

こうした話はいくらでも書けてしまって収拾がつかないので、この辺でやめておきます。

 

今後も青山氏本人もしくは青山氏擁護派の人が青山氏主張の正当性を主張する道は、視聴者・聴取者・読者・聴衆の航空機に関する知識のなさに甘えて、誤魔化す道しかありません。

 

あまり技術面以外のことを述べることは控えたいとは思っていますが少し述べさせてもらえば、青山氏も神浦氏も、自らの頭の中にあった誤解「オスプレイには充分な長さの滑走路があれば転換飛行しなくても済む運用形態がある」と、「岩国にも普天間にも長大な滑走路があるのに、日米政府間で合意された運用ルールでは転換飛行をおこなうとなっている」という事実との「論理的整合性の低さ」をもっと重視して欲しかったと思います。それを重視することができたなら「あれっ!自分のオスプレイに関する知識は間違ってるんじゃないだろうか?」と自らを再点検できたでしょう。それをせずに、代りに「本当は転換飛行はしなくて済むのに、そのような運用で合意しなかったのは、日米政府間の力関係のあまりの歪さだ!日本政府の無能さだ!弱腰さだ!」的な姿勢を表したのは、まことに安易で愚かだったと思います。

 

「補足と称する」文章の方については、初出時に既に述べたように間違いを重ねる形になってしまっています。

 

ここで特に着目すべきなのは「ローターを垂直にまで立てるヘリ・モード」との表現です。これは実際には明らかな間違いで、ヘリモードとローター(あるいはプロペラ兼回転翼、ナセル、エンジン部)の角度に関連はありません。初出時に述べているように、一定速度以下の低速時の飛行では、ナセルの角度がどうであれ、オスプレイは必ず、唯一、姿勢を安定させることが可能なヘリモードの状態にあります。

 

これ(上記の表現)は、航空機に関する知識を殆ど持っていない人の頭の中に浮かびやすい意識ではないかと思われます。と言いますのは、初出以降、私のところに航空機に関する知識を殆ど持っていない、青山氏ファンと思われる一般の方から、同様な意識に基づくと思われる意見が届けられたからです。

 

上記の表現によって青山氏は、航空機に関する知識を殆ど持っていない人に対して、「ローターを少し斜め前に傾ければヘリモードではない」→「滑走して離陸するならヘリモードではない」→「滑走して離陸するオスプレイは飛行機モード」→「9月19日の放送中の発言は間違っていない」との「幻想」を半ば抱かせることに成功したと言えるのではないかと思います。

 

さて、上述の方の意見を、一般の人(航空機に関する知識を殆どもっていない人)の代表の意見として捉えることで、以下のようなことが推測できました。

 

「一般の人」は、「(意味もなく)ナセル(プロペラ兼回転翼)の角度で、モードが決するとの思い込む傾向(先入観)がある」

 

「一般の人」は、「ヘリコプターのことを、『真上にプロペラのついた飛行機』程度にしか思っていない」

 

「一般の人」は、「『"ただの"真上にプロペラのつけただけの飛行機』では、浮き上がった際に、簡単に転倒してしまうことに思いが至らない」

 

「一般の人」は、「ヘリコプターが、どうして『低速でも操縦できるのか』に、思いが至らない」

 

「一般の人」は、「固定翼機が、一定以下の速度では、空中に浮いていられないどころか、安定もとれないことに思いが至らない」

 

「一般の人」は、「オスプレイは低速時、プロペラ兼回転翼の角度がどうであれ、ヘリコプター的な制御をおこなう以外に、安定を司る方法がないことに思いが至らない」

 

青山氏も、ANCHOR番組スタッフも、同様の傾向を持っているのではないでしょうか。


(以下は基本的に初出時の内容です。)

 

2012年9月19日に、軍事評論家の神浦元彰氏はTBSラジオのDigで、独立総研社長の青山繁晴氏は関西テレビのANCHORで、ほぼ共通の「オスプレイは固定翼機モードのまま(ヘリモードにならずに)離着陸が可能」との、明らかに誤った内容を含んだ発言をおこないました。
(両氏の発言内容を書き起こしたものを、この後の私の解説の後に載せておきますので、適宜参照して下さい。)

 

青山氏はその翌日、複数の間違いの指摘に対し、自身のブログhttp://bit.ly/R3cMd0 )にて、さらに傷口を広げるような誤った主張を重ねてしまっています。ちなみに神浦氏についてはツイッターを見る限り特にその後に動きはないようです。

 

青山氏が間違いを重ねる形になったのは残念ですが、どうも現在の日本では、技術系の航空関係者や理系の航空機マニアを除けば、オスプレイの飛行モードの詳細を正しく理解している人は極めて少ないのではないかと思われます。そう思わざるをえない出来事が起きています。

 

今回、軍事評論家歴・ン十年の方や(青山氏が本当に彼らに意見を聞いたのだとすると)陸自の現役ヘリパイロット(※)でさえ、正しく理解していないことが判明しました。
※多分オスプレイに詳しいと自称していたわけでもないでしょうし、自らすすんで青山氏に対してオスプレイのことを語ったわけではないでしょうから、少し割り引いて考えてあげるべきだと思います。

 

2ヶ月程前には、有名な軍事好事家の方が同じくオスプレイの技術面について誤まった理解をしていて、私がその誤りを指摘したばかりです( http://togetter.com/li/345535 の冒頭を参照)。
(因みにこの有名な軍事好事家の方は(2ヶ月前時点の情報では)オスプレイの盲目的擁護派のようです。)

 

ということで、文系の青山氏が間違いを見抜けなかったのは全くもって無理もありません。話が脱線しますが、青山氏は理系の秘書を雇った方がいいでしょう。以前も「風力発電が普及すると日本の大地に風が届かなくなって空気がジメジメしたままになる」という、テレビで同席した武田邦彦氏の馬鹿げた主張を、定量的な判断能力を欠いて愚かにも真に受けて他の番組で繰り返したことがありました。武田邦彦氏の発言は玉石混交です。3.11以降、素晴らしい発言(本サイト中にも一つリンクを張っています)もされていますが、中には「石」発言も混ざっています。理系ならそれらを独力で是々非々で評価できます。

 

さて、やっとオスプレイの飛行モードについて解説を始めます。
実際には解説と言うより、多くの日本人のオスプレイに関する知識の「間違いなおし」です。
今回必要とされているのは、そのようなものだと思います。

 

オスプレイは「固定翼機(飛行機)モードでの(通常運用時の、安全な)離着陸」が事実上不可能なように設計されています。不可能な理由の一つが、オスプレイを固定翼機として見た場合に主翼が極端に小さく設計されていることです。オスプレイを固定翼機として見た場合、主翼が小さ過ぎ、「ゆっくり飛行できない固定翼機」です。固定翼機として安全に離着陸する為には当然適度な「遅く飛べる性能」が必要ですがオスプレイはそれを持っていないわけです。しかし主翼が小さい為に(トレードオフとして)、ヘリモード時に無駄な重量を抱えることを避けることができ、ヘリモード時に(ある程度?の)性能を確保できています。オスプレイは離陸時は100%、着陸時も緊急時を除けば100%、ヘリモードで飛行します。主翼の大きさの他にも「固定翼機モード」で滑走離着陸できないもっと大きな理由があり、それは後で説明します。

 

オスプレイは「滑走離着陸」が可能です。しかしこれはあくまでも「ヘリモードでの滑走離着陸」です。というより、ただの「ヘリの滑走離着陸」と受け取って頂いた方が正しい理解に近いと思います。(所謂普通の)ヘリのうち、機体下部に橇ではなく車輪が付いたタイプのヘリはほぼ全て「滑走離着陸」が可能です。オスプレイも「ヘリモード」でしっかりと機体の安定を図りながら滑走離着陸するに過ぎません。その際の速度では、オスプレイの主翼は機体の重量を支える為に必要な揚力を発生することはできません。何故もっと滑走路上で速度を出して「固定翼機モード」での滑走離着陸ができないのかは、後で説明します。

 
 
 

ここからしばらくはオスプレイについての基礎知識を記述します。

 

オスプレイのプロペラ兼回転翼は、英語では(というより主にオスプレイの開発側が呼び始めた言い方では)プロップローター(proprotor)と言います。見てのとおりただ繋げただけの「まんまの造語」で、「プロップローター」とカタカナ表記する意味に乏しいので、私は「プロペラ兼回転翼」と表記することにしています。

 

「固定翼機モード」と「ヘリコプターモード」の中間の状態は「転換モード」と呼ばれています。「転換モード」で飛行している際の大半は、後で説明する姿勢制御方式の観点からは、「固定翼機」的な状態です。

 

「転換モード」は、主翼の発生しうる揚力だけでは機体の全重量を支えられない状態です。揚力の足りない分は、プロペラ兼回転翼が発生する推力の鉛直成分で補助されています。

 

オスプレイの「ヘリコプターモード」での最高速度は185km/時程とされています。普通のヘリコプターの最高速度が300km/時程度なのに比べてオスプレイのそれが非常に低い速度にとどまっているのは、オスプレイの回転翼(=プロペラ兼回転翼)の直径が、ヘリコプターとしては、またその重量と比して小さ過ぎる(11.6m)為です。一方、オスプレイがプロペラ兼回転翼の発生する推力の鉛直成分に頼らないで飛行する場合の(つまり「固定翼機」モードでの)最低の飛行速度は、失速速度が約204km/時と公表されていますから安全の為の余裕をみて260km/時程度です。両者には大きな開きがあり、「ヘリコプター形態」のときと「固定翼機形態」のときの飛行速度域が分断されていることがオスプレイの技術的な大きな特徴です。

 

上では揚力の面から「ヘリコプター形態」のときと「固定翼機形態」とで、飛行速度域が分断されていることを記述しましたが、機体の姿勢の制御面においても飛行速度域は分断されています。

 

オスプレイの「低速時の姿勢制御手段」は「ヘリとしての姿勢制御」で、それはヘリモードの最高速度、200km/時弱近辺までしか使えません。「高速時の姿勢制御手段」は「固定翼機としての舵面(操縦翼面)操作」で、それは単独では(ヘリとしての姿勢制御の助けがなければ)、200km/時弱の高速に達しないと使えません。(このように「低速時の姿勢制御手段」と「高速時の姿勢制御手段」が分断されています。

 

ご存知のようにオスプレイ以外にも垂直離着陸機はあります。有名なのがハリアー、F35です。ハリアーとF35は、揚力の面でも、姿勢制御の面でも、オスプレイと違って速度に対してシームレスです。ハリアーやF35を論じる感覚で「同じく垂直離着陸機だろ?」との調子でオスプレイを論じると評価を誤ってしまうと思います。というか、現実にそれが、少なくとも多くの日本人に起きてしまっているのではないかと思います。

 

もう一つの、ハリアーやF35と、オスプレイとの決定的な違いが「パワーおよび揚力の余裕の多寡」です。

 

オスプレイの転換飛行は大方200km/時台の前半でおこわれますが、可能ならば、300km/時超の、もっと高速で転換をおこなった方が揚力の面でも姿勢制御能力(安定性)の面でも余裕があって、より安全です。しかし、それは不可能です。既に述べたように、ヘリモードでの最高速度が200km/時弱しか出ないからです。「固定翼機モード」において多少の高速(500km/時余り)が出せるように、プロペラ兼回転翼の直径を小さく設計したのですが、その為にヘリモードの性能が著しく低下してしまい、転換時の危険性を上げ、ホバリング時の使い勝手も非常に悪くしてしまっています。

 
 
 

さてここからは、オスプレイが「固定翼機モード」で滑走離着陸できない理由を詳細に述べていきます。

 

まず第一の理由です。ただし「第一の理由」に「最も重大な理由」という意味はなく「単に一番目に挙げた理由」という意味です。
第一の理由は、冒頭に述べたように「主翼の面積の小ささ」です。この主翼の小ささでは、仮に固定翼機として滑走路から離陸、あるいは滑走路に着陸するとしても、その際の速度が非常に大きくなってしまい運用上や安全上の大きなハンディが生じます。この主翼の小ささは、オスプレイの設計チームが「固定翼機モードでの滑走離着陸」の可能性を完全に放棄して設計したことを如実に示しています。もしそうでないなら、普通の固定翼機のように、プロペラやエンジンが付いている部分より外側にも長ーく主翼を伸ばした形態に(当然)設計する筈です。このことは多くの人が納得できるでしょう。

 

もっと詳しく説明します。まずは少し話が逸れるんですが、一般的な話をします。

 

一般的に「主翼が小さい」ことは基本的に、離陸時の速度が速くなる、着陸時の速度が速くなる、長い滑走路が必要になる、ことを意味します。旅客機や軍用輸送機など、固定翼機の殆どが、それらのことを考慮して適切に主翼の大きさが決められています。

 

一般的な話を続けます。でも多くの人が、(滑走)離陸に関しては「別に主翼がどんなに小さくても可能なんじゃないか?」と思うでしょう。そうです。長い滑走路が必要にはなりますが、小さい主翼でも離陸できる程に、高い速度まで加速することができれば、理論上は離陸可能です。確かにそれは言えます。しかし着陸は事情が違います。着陸時の速度があまりに速くなり過ぎると、安全に着陸できなくなります。通常、航空機は、離陸直後に故障が起きて直ぐに着陸する必要が発生する事態を考慮しなければなりません。「離陸は可能でも安全な着陸は不可能」。こんな航空機を実用することは困難です。もしオスプレイがそのような航空機なら、主翼の小ささだけでも充分に「固定翼機モード」で滑走離着陸できない理由が成立するということになります。

 

上記と理由は異なりますが、「離陸は滑走しておこなえるけど、着陸時は基本的に滑走できなくて、ほぼ必ず垂直に着陸する」という運用をおこなっている航空機が実在します。ハリアーです。しかし、ハリアーは1人乗りの戦闘攻撃機で、重大な故障が発生した場合、乗務員は射出式の座席で脱出できるしくみです。こんなのは戦闘機とか攻撃機だからこそ採用できる特殊な運用形態です。仮に何十人も人が乗ることもある航空機で「滑走して離陸できるけど、着陸は滑走してはおこなえない」等という重大な制限があれば、そんな航空機はとても受け入れられるものではありません。

 

さて、実際にはオスプレイの主翼はかなり小さいものの、固定翼機としての着陸が完全に不可能なほど(たとえばミサイルみたいに)極端に小さいわけではありません。仮に、オスプレイの機体に通常サイズのプロペラを取り付けて、普通の固定翼機として離着陸させた場合、かなり高速にはなりますが、だいたい、ジャンボ機や主翼の小さい1950年代のジェット戦闘機並みの速度では離着陸できるでしょう。しかしもちろん長い滑走路が必要になります。つまりオスプレイの主翼は「固定翼機として、ぎりぎり滑走離着陸が可能だが、確実に大きな運用の妨げになる」程度の小ささだと言えます。

 

ここまで読まれて「オスプレイの基本的な設計、外形が固定翼機としての滑走離着陸に『向いてない』ことはわかった。だけど『向いてない』と『できない』は違うじゃないか!『向いてない』だけなのに何で『不可能』だなんて書くんだよ!」と思う人も多いでしょう。

 

さてお待たせしました。本命の第二の理由です。第二の理由は、オスプレイが「固定翼機モード」で飛行できる速度(※)まで、滑走路上を滑走しながら加速できない為です。事実上、どんなに長い滑走路があっても無理です。ここを深く掘り下げていきます。
※第一の理由の為に非常に高い速度です。

 

オスプレイの回転中のプロペラ兼回転翼は、滑走路上では、最も水平に向けたとしても、水平から60度上を向いた状態まで下げるのが限度です。「そんなことはない!どうみても40度以下に下げられる!」と思う人も多いでしょうが、機体の姿勢が風や操作の影響で大きく傾くこともあるので、余裕を見て、水平から60度上を向いた(垂直から30度傾いた)状態までに制限する必要があるのです。「離陸滑走時は滑走路に張り付いてるんだから、そんな余裕を持たせる必要はないだろ!」と思う人もいるでしょうが、リフトオフ直後の緊急着地を可能とする為には、離陸時もやはり水平から60度上向きまでに制限しないとならないわけです。実際には、時速約90km/時以下では60度未満の角度にならないように制限されています。

 

従ってオスプレイで固定翼機モードでの滑走離陸を実現する為には、「プロペラ兼回転翼を60度上向きに傾けたまま、(半端な速度で浮いてしまったら危険なので)地面から一切浮上させずに、(主翼が小さいので)時速300km/時(※)まで加速しなければならない」ことになります。ここで、コサイン30(=90-60)度を考えて下さい。約0.87です。60度上向きの状態というのは、プロペラ兼回転翼を垂直方向に向けた場合の87%の、上向きの力(揚力と同等の力)が得られてしまうのです。これはたとえ機体が静止していて主翼の発生する揚力がゼロでも、エンジンをフルパワーにするだけで推力の為に機体が地面から浮いてしまうことを意味します。プロペラ兼回転翼が機体重量の16%増しの推力を発生するだけでそうなってしまうのです。そしてオスプレイのプロペラ兼回転翼はその力を現実に持っています。既に説明したように固定翼機モードでは低速時の姿勢制御能力(安定性)がありませんから、速度が充分についてない時に地面から浮き上がってしまうことは大変危険です。これは、オスプレイが事実上、滑走路上で「固定翼機モード」での離陸に必要な時速300km/時まで加速できないことをはっきり示しています。
※離陸時は安全上、上述の「固定翼機モード」での最低の飛行速度(※)、約260km/時よりも大幅に大きな速度まで加速する必要があります。なので仮に300km/時としています。
※航空機ファンの方には説明しなくても既にご理解頂いていると思いますが、最低速度という専門用語がありますので、混同されないように「の」を加えた表現を採っています。

 

ご理解頂けたでしょうか? 復習すると、オスプレイは500km/時超の最高速度を得る為に、プロペラ兼回転翼の直径を、回転翼としては異例に小さく抑えているのですが、それでも滑走路上で回転させている状態では垂直方向から30度しか傾けることができないのです。そしてコサイン30度は約0.87という、1にかなり近い値をとる為に、滑走路上で加速しようとすると、どうしても充分な安定のとれない不十分な速度で浮いてしまうのです。逆に浮かないようにパワーを絞るとまるで加速できないのです。

 

まだ納得できない人もいるでしょうから、さらに考察してみます。決して300km/時に達する前にリフトオフしないように、できる限り頑張ってみることにします。まずフラップは一切下げないことにします。次に、垂直から30度傾けていても、その87%が機体を浮上させてしまう力になってしまうプロペラ兼回転翼の推力は、機体重量の4割程度に絞ることにします。そうすればフラップを下げていないことも相まって、300km/時までにリフトオフしないで済むでしょう。サイン30度は0.5ですからプロペラ兼回転翼が発生する推力の半分が加速力として得られ、当初0.2Gで加速し始め、徐々に加速が鈍っていくことになります。

 

しかし0.2Gというと、現代の旅客機の離陸時よりも鈍い加速です。そして、滑走路上で最終的に達したい速度はジャンボ機並みです。ヘリコプターの替りとしても使用したい航空機としては異例に長い滑走路が必要なことがおわかりになるでしょう。それに、速度がついてからフラップを下げる機構が欲しいところです。しかし輸送機や旅客機のフラップは、滑走する前に角度を固定してしまうことが通例です。エンジンパワーについてもリフトオフ直前に急に上げる運用が必要になりますが、いかにも特異な運用で、安全性を大きく下げます。また実施するにはブレーキやタイヤは当然ながら高速に適した性能のものが必要です。

 

以上が、オスプレイが「固定翼機モード」で滑走離着陸できない理由です。

 

純粋に航空力学的に言えば、たとえ着陸時はヘリモードでの垂直着陸に限られたとしても、燃料で重い離陸時に滑走離陸が可能であれば、それなりに意味(効用)はある筈です。しかし今まで述べたように、非常に長い滑走路が必要なことや、安全面の問題から実施は事実上不可能です。

 

ここで一応誤解を招かないように説明を加えておきますが、ここ( http://togetter.com/li/341526 )に書いたように、オスプレイはローターやナセルがまともに回らなくなった緊急事態発生時に、固定翼機モードのままで、不時着陸(水)や緊急着陸を試みる場合があり得ます。しかしそれらは「安全な飛行」ではなく、乗務員の生命が非常な危険に晒されている緊急事態です。今まで述べてきたように、オスプレイを通常時に固定翼機モードで滑走着陸させることは全く現実的ではありません。

 
 

神浦氏の発言について
下に掲載の神浦元彰氏の発言について書き添えておきます。まず全体として、「ヘリモードだけで離着陸するなんて残念。滑走路の長い普天間なら、固定翼機モードで滑走離着陸が可能。危険な転換飛行なんて全くやらずに済む!」という要旨になっています。ヘリモード以外でも離着陸できると完全に思い込んでいることも明らかです。

 

滑走時に「プロペラを前にですね、60度とか75度傾けて」は実際には不可能ですから、素直に考えれば「プロペラを鉛直方向に、60度とか75度傾けて」の言い間違いだと受け取ることができます。しかしプロペラ兼回転翼を「鉛直方向に60度とか75度傾け」ると、「固定翼機モード」で滑走離陸するにしては、あまりに上に向き過ぎと思わなかったのでしょうか? もしかすると神浦氏は本心から実際には不可能な「プロペラを前に60度とか75度傾ける」ことを想定していた(る)のかもしれません。また、「60度とか75度傾けて」という部分に特に着目すれば、氏は「ヘリモード」での滑走離着陸に関して説明した文章を誤解している可能性が強く推察されます。いずれにしても神浦氏の航空機の技術面に関する見識にはまるで信用がおけないことは言うまでもありません。個人的には「ガハハおじさん」という雰囲気で好きですけどね。

 
 

終わりに
結局ブログの1ページにしたのでおまけの話を書いておきます。

 

オスプレイは飛行機とヘリコプターの悪いとこどり
8月にフジテレビで元外務官僚の宮家邦彦氏が「オスプレイは飛行機とヘリコプターの『いいとこどり』」と言っていましたが、私にはどうしても「悪いとこどり」に思えてしまいます。私だけでなく、ある程度航空機をわかる人の多くが同じ考えに至っていると思います。

 

オスプレイは、(1)固定翼機のプロペラの直径を2倍以上に極端に大きくして、さらに(2)エンジンより外側の主翼を切り落とし、(3)左右に回転翼がついたヘリコプターの、それぞれの回転翼の直径を三分の二未満に縮めて、ようやく固定翼機とヘリコプターを合体させることができて成立しているわけです。

 

上記3項目共、通常はあり得ない(本来はやりたくない)設計です。こんな設計にすると当然、固定翼機としても、ヘリコプターとしても、大幅に性能が落ちます。オートローテーション機能が役に立たないのもこのような設計がもたらした性能低下の一面です。

 

オスプレイは、ヘリコプターとして「垂直に離着陸ができる」、固定翼機として「(多少)高速に飛行できる」という特徴を一応備えていますが、無理やり(名目上だけ)達成したようなものです。

 

もちろん、米国防総省もオスプレイの「悪いとこどり」ぶりを深く把握していて、このように( http://bit.ly/R3cl2d http://bit.ly/R3ctyK )、オスプレイの欠点を潰した新しい航空機の研究に取り掛かっています。「回転翼面積が小さすぎる」ことと「最高速があまり出ない」、オスプレイの欠点をを解消しようとしています。

 

日本国民には、今後、オスプレイの故障率・事故率が必ず下がることを理解して欲しい
今回(2012年9月19日)両国政府間で合意した運用ルールは、両国の力関係を如実に反映してか、見事なまでに、米軍側の運用に制限を加えないものでした。

 

交渉の詳細は全くわかりませんが、どうせ日本側がそもそも骨抜きの要求しかおこなわなかったのでしょう。

 

私が2ヶ月以上前にここ( http://togetter.com/li/345535 )とかここ( http://togetter.com/li/341526 )に書いた基本的な考え方の一つが、
現在、オスプレイはバスタブ曲線の初期段階(初期故障期)にある」ということです。

 

理系の方なら、バスタブ曲線の初期段階にあるシステムの故障率・事故率が、今後下がっていくことに完全に同意頂けるでしょう。

 

今後さらに機数が増えて統計的な優位性はさらに上がりますし、オスプレイの故障率・事故率が今後下がることは絶対と言っていいほどに間違いありません。

 

もし日本国民の全員か大半が理系だったら、日米両政府間で「5年間、有事を除き、厳しい運用制限を課します」との合意が可能だったでしょう。日本国民の全員か大半が理系だったなら、5年後(あるいは10年後)に運用制限を緩めることに納得するでしょうから。

 

先日産経に「オスプレイはプログラムの改良が必要」との見出しが載っていましたが、日本国民の全員か大半が私と同様な知識を持っていたなら、あんなのは記事になりません。当たり前すぎるからです。バスタブ曲線の初期段階から徐々に故障率・事故率が下がっていく過程には、当然プログラムの改良も含まれます。

 
 

私自身について
私は今まで自分のことを「航空ファン」だとは思っていましたが「航空マニア」だと思ったことはありませんでした。しかしここ最近の状況を顧みれば、実は相対的には(客観的には)私は「航空マニア」だと見なされる存在なのかもしれないと思い始めました。

 

ただし私はここ長いこと「航空???」等のタイトルの雑誌を読んだことがありません。最近それらのどれかがオスプレイの特集をしたことをウェブのどこかで知りましたが、読んでいません。

 

また軍事面の知識はかなり貧弱なものしか持っていません。そりゃ日本人の平均と比較すればかなり詳しい方だと言えるとは思いますが。

 

神浦、青山、両氏の発言内容の書き起こし

 

9月19日:TBSラジオ・Dig
(ニュースのコーナーにて)
外山アナ:(今回日米間で合意した運用ルールには)それ以外(に)どういうものがあるんですか?
神浦氏:あとですねー、オスプレイというのはですね、燃料をいっぱい積んだり、人や物がですね、いっぱい積んだ重い時にはですね、エンジンをですね、プロペラを前にですね、60度とか75度傾けて、滑走しながら飛行機のように飛び上がっていくこともできるんです。ヘリみたいに垂直に上がらなくても、ですね。で、「それはしない」と。あくまでもヘリモードだけ、垂直に離発着する飛行しかですね、普天間飛行場内や岩国とかですね、そいうところではヘリモードしかやらないということを言ってますね。
(以降略)

 

※(2012-9-30)初出時にはこちらに掲載していた、9月19日放送の関西テレビ・ANCHORからの書き起こしは、ページ冒頭部に移動させました。

 

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