「東電賠償スキーム報道」、「学校20ミリシーベルト基準問題」に関連して:経済学者、エコノミスト達は何故、徹底した放射性物質対策を取った場合の経済的得失を発表しないのでしょうか?

Last-modified: 2011-05-05 (木) 07:39:33
2011-5-3
私が以前からツイッターなどで主張しているのは「『徹底した放射性物質対策』こそが(他国からの)風評被害対策であって、日本ブランド失墜を最小限に留められる道だ」ということです。
 

実はそう確信しているわけではなくて、実際には「徹底避難が他国からの風評被害を最大限緩和するベストな方策じゃないないの?」という問題提起のつもりです。

 
ちなみに日本国内で「風評被害」と報じられているものの大半は実は「実質被害」です。放射線の値が通常値より高くなればそれは全て風評被害ではなく実質被害です。高くなれば消費者がそれを避けたくなる心理は世界中共通です。これは政府の「安全です」宣言も学者や権威機関の安全お墨付きも全く関係がありません。ただ実際の測定値の違いだけが齎す結果です。
 

現在のように他国に胸を張って説明できない策(=学校の線量の基準が年間20mSv等)をとってしまうと、他国に弱みを握られたようなものです。もし日本(ブランド、株…)没落を狙った投機筋に「日本政府は従来の20倍の20mSv/年に基準を緩め、国民はそれを受け入れた。日本全体が汚染国家だ。」と大規模な情報キャンペーンを張られて世界的に日本製品不買運動が広がったりすると、長期的に視ると百兆円を超える損害になるというシナリオも荒唐無稽とは言えない可能性もあるのではないでしょうか。

 

とはいっても「徹底した放射性物質対策」には膨大な費用が必要です。その為、殆どの人は考えるまでもなく、「徹底した放射性物質対策で経済的に得をすることはまずあり得ない」と決めてかかっているのかもしれません。冒頭に書いたように実は私自身も得をする確信なんか全然ありません。

 

しかしウェブで大手マスコミのものを含め様々な記事を読みましたが、福島第一原発事故の賠償額を皆さん揃って算出根拠を示さずに「数兆から最大10兆」と書いています。賠償額は対策の程度で大幅に変わるものなのに皆さんが同じ額を使うなんて素人目に考えてもちょっとおかしいと感じます。記事の執筆者は全員、政府がとる賠償方針に納得がいっているということでしょうか被害者のことを第一に考え、賠償額に枠を嵌めるような動きに意義を唱える学者がいてもおかしくないと思います。「数十兆の基金が必要ではないか」との声が上がってもおかしくないと思います。

 

少なくとも様々な内容や程度の違う避難・賠償策をとった場合の国全体の得失を夫々シミュレーションして、それを題材にもっと大勢の人に「どんな政策をとった方がいいのか」をよく考えてもらうべきではないでしょうか。

 

最終的に今と大して違わない策が「ベストである」という意見が大勢を占めたとしても、皆がよく考え、思考の過程を表に出すことには意味があると思います。国民がある面で成長できると思います。

 

先日私がhttp://goo.gl/5BHtH(予想累積線量マップが欲しい) や http://goo.gl/wVBlC(1mSv以上は訴訟対象)を作ったのは皆さんの被ばくを抑えたいという意図もありますが、極論の出現を促して議論を喚起し、政府おまかせでなく、国民自身に「よりあるべき政策は何なのか」をもっと考えて欲しいという意図も含まれています。

 

あと私はツイッターで「賠償に多額を費やせば推進国へのブレーキ効果を産み、脱原発策をとらざるをえない日本にとって多少有利な面も生じる」と書いたりしています。


私自身の放射線に対する考えを述べておきます。

 

私も人体に対する放射線の影響は線量に正比例はしないと思います。しかし、
「出来る限り自然な放射線量以上を浴びるべきではない」
このシンプルなルールを徹底すべきだと思います。

 

具体的には「ある1年間を取り出した超過被曝線量が1mSvを超える場合にはその線量に見合った賠償を受け取ることができる」という考えを導入すべきだと考えます。

 

私自身の東電賠償スキームに対する意見を述べておきます。

 

ちなみに私は東電賠償スキームを批判する記事を数十本は読みました。多分ここをお読みの皆さんも賠償スキーム案についてはご存知だと思いますのでスキーム案の内容説明は省きます。

 

東電には一気に責任を取らせて欲しい思ってることはおいといて、私が最優先の修正課題だと思う1点だけ取り上げます。

 

「東電から賠償を支払うのは問題」

 

東電が被害者に直接支払う役を担うと、民間会社のさがとして間違いなく出来る限り額を“削ろう削ろう”とするので被害者の方々のご苦労はより大きくなるでしょう。上に書いたように私は「現地の方はもっと賠償を受け取るべき」という考えですから、これが最大の問題だと感じます。

 

賠償額は(実現可能性はほぼゼロですが)日弁連が設ける第三者委員会で決定すべきだと私は思います。
原子力損害賠償紛争審査会の委員の人選は(偏った意見を持つ山下俊一氏が含まれていることが示すように)無茶苦茶です。
「最優先で守るべきなのは東電の株主や債権者ではなく、被害者の方々です。」

 

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(でもここより、掲示板書き込みフォームのページに書いて頂いた方が気づき易いと思います。)