ガイドto『ディルランド、1489DR』

Last-modified: 2021-11-16 (火) 21:01:00

D&D5版での冒険の舞台として良く遊ばれている“フォーゴトン・レルム”のうち、森と峡谷の国ディルランドを紹介します。
 ディルランズは深い峡谷と森に覆われた地です。森にはエルフと妖精たちが暮らし、峡谷や山脈からはオークやゴブリンなどの野蛮な種族が現われ、湖や東の海には遠い昔の財宝が眠っています。ディルランズは中世ヨーロッパ風の英雄譚やおとぎ話から陰謀劇まで、あらゆる冒険に向いた舞台です。

 

 

【ディルランドの周辺地理と拠点】
まずはディルランズとその周辺地域の地理を説明しましょう。
このページはフェイルーンのディル歴(DR)1489年の時代に基づいています。

 

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【ディルランド】
ディルランズはその名のとおり、いくつもの深い峡谷からなる地域で、北から広がったコーマンソー森林が全土を覆っています。神話の時代にエルフの神コアロンとオークの神グルームシュの戦いによって大地が裂け、峡谷になったといわれています。
 人々は峡谷の隙間や森林の周囲に散在して暮らし、少しずつ違った文化を共有しています。ディルランズは統一した国家ではなく、それぞれの地域ごとに自治をしています。この地が統一されたのは1338DRから数年間の“マントを着た王”エイアンカーの短い治世の間だけです。強力な軍隊は存在しませんが、多くの住民が自衛のため幾つかの武器の扱いを覚えており、民兵を組織しています。

 
  • ダガーディル
    • 別名、地域人口:“悪夢の谷”、15,000人
    • 中心となる町:ダガーフォール(人口2,000)
    • 北東のダガーディルは砂漠口山脈に連なる山地や岩場と森林に挟まれた狭い谷です。このディルは北にある月海地方のゼンタリムとの戦いの最前線です。一方で、荒地からやってくるオークなどの野蛮な人型生物との戦いにゼンタリム傭兵の手を借りることも多く、内部を浸食されています。ゼンタリム工作員に評議会が乗っ取られていたことも一度ではありません。1360DRにランデル・モーンらによってゼンタリムが町から駆逐されましたが、後に暗殺によって後にモーン家は町からいなくなりました。この地で繰り返された凄惨な戦争と陰謀の歴史と、闇夜にうろつく獣人と吸血鬼の恐怖から、“悪夢の谷”の異名があります。現在の評議員の背後にも後ろ暗い噂がささやかれています。
    • ダガーディル城:切り立った山肌に建てられたこの城塞は南西のサーペント橋とそこから伸びる街道への睨みを利かせています。
       
  • タークハルディル
    • 別名、地域人口:“滅びの谷”、10,000人
    • 中心となる町:―
    • タークハルディルは砂漠口山脈の西の荒れ果てた谷です。かつてはタークハルディルの町やドワーフが採掘するテシヤマー鉱山がありましたが、アノーラッチ砂漠の浸食によって放棄されました。1360DR、腐敗の邪神モーンダーに連れてこられた恐竜人ザウリアルが脱出してここに住みつきました。彼らはこの荒地を第二の故郷として暮らしていましたが、ネザリル帝国によって地下へ追いやられました。現在、人間たちが再び入植しようとオークやゴブリン達と争っています。かつてこの谷で起きたことを知る者は、瓦解したネザリル帝国以外にはほとんどいません。
       
  • シャドウ・ディル
    • 別名、地域人口:“妖精の谷”、10,000人
    • 中心となる町:シャドウディル(人口1,000)
    • シャドウディルは穏やかに起伏する丘陵と森からなる広い地域です。中心となるのは古髑髏山のふもと、アシャーバ川と“北道”が交わるところにあるシャドウディル村です。この地には始原のエネルギーが満ちており、“生きている森”とも呼ばれるうっそうと茂る森には多くの妖精たちが暮らし、ドルイドサークルが散在しています。
    • シルヴァーハンド農場:この農場はフェイルーン全土にまたがって活動する秘密組織ハーパーの中心拠点でした。呪文崩壊の間にハーパーの中心はシルヴァー・マーチに移りましたが、今でもここは重要な拠点です。ハーパー主導者の1人であり、かつ“七姉妹”と呼ばれる“ミスタラに選ばれた者”の1人である、ストーム・シルヴァーハンドはこの農場を中心に活動しています。
    • 賢者エルミンスター:エルミンスターは杖と剣を携えた赤いローブのパイプ好きの老いた魔法使いです。全宇宙で屈指の強力な魔術師であり、ハーパー創設者の一人、そして魔法の女神ミスタラに“選ばれし者”でもあります。彼は様々な土地や次元を渡って危機に立ち向い、邪悪と戦ってきました。1379DRに発生した“呪文崩壊”からは酷い影響を受けて彼は弱まり、遂には発狂しました。しかしアグラロンドの魔女王“シンバル”の犠牲と、ネザリルとの戦い、ミスタラ神の復活を経て今は力を取り戻しました。彼は常に様々な危機の対応に追われており、他の敵対者の反応を警戒して活動が制限されています。このため、助言を求めてシルヴァーハンド農場を訪れた冒険者は彼の抱えている厄介事を押し付けられることになります。
       
  • ミスルディル
    • 別名、地域人口:“霧の谷、統治の谷”、34,000人
    • 中心となる町:アシャーベンドフォード(人口5,000)
    • ミスルディルはアシャーバ川と“月街道”の交差するところにある、広く肥沃な谷です。森の中を流れるアシャーバ川から朝夕に霧が満ち、谷の景色は白く覆われます。この地の住人は笛や太鼓を鳴らして音を中継して遠くまで伝言を送ります。住人はその意味を理解できますが、余所者には神秘的な光景です。この地はディルランズの中央に位置し、水上交通と月海地方からコアミアに至る“月街道”の交差する地域です。それぞれのディルの代表者が集まって行われる“ディル会議”はアシャーベンドフォードの町で行われ、そのときには様々な企みが行き交います。
    • 立石:エルフと人間たちとの同盟の記念碑として建てられた立石群です。この同盟が成立した年が(DR:ディルズ歴)DR1年とされています。
       
  • バトルディル
    • 別名、地域人口:“戦場の谷”、30,000人
    • 中心となる町:―
    • バトルディルはアシャーバ川とローソヴィア道沿いに緩やかに起伏する広い丘陵地帯です。かつて海の向こうの“広野”から侵略者やディル戦争、センビアとの戦いの戦場になったことからこのディルの名がつきました。鬱蒼とした森の中には、今でも古い戦の痕跡を見つけることができます。
    • エセンブラ:鬱蒼とした森の中、ローソヴィア道の両側の立ち並ぶ廃屋の群れはエセンブラの廃墟です。邪悪な領主からこの町を解放したソング・ドラゴンのエセンブラから町の名が冠されました。彼女は人に紛れて暮らし、街には“エセンブラの娘”と呼ばれる竜人や、竜の血脈を持つソーサラーが多く住んでいました。1422DR、ディルランズの支配を目論んだセンビアとネザリルの侵攻により、バトルディルが主戦場となりました。他のディルやエルフ達、コアミアの援護で撃退に成功したものの、エセンブラは廃墟となりました。
    • エイアンカー館:かつてディルランズとセンビアを中心に活躍していた冒険者エイアンカーは、当時のバトルディルの人々の苦境を救うため領主になり、そして1038DRにディルランズ全体を治める王となりました。彼は治世のほとんどすべてを山賊や怪物、敵勢力との戦いに費やしました。彼は敵から受けた腐敗病の呪いで衰えた身体を赤いフードとマントで隠し、この姿から“マントを着た王”と呼ばれるようになりました。1044DR、エイアンカーはエセンブラの祭りにおいて、ドラコリッチに襲撃されました。人々は襲撃者を倒しましたが、エイアンカーは殺害され、その屋敷も焼き落されました。廃墟となった壮麗な屋敷と立ち並ぶ塔は今も森の中に残っています。
    • 剣の修道院:この修道院はテンパスの大寺院で、アンダーダークへの転移門に通じる洞窟網の上に立っています。1358DRに神々が地上に墜ちた“災厄の時”において戦と筋肉の神テンパスがディルランズに現れ、この地での戦いに参加しました。彼を追ってきた司祭エルダン・アンブローズが廃城を寺院として立て直し、さらに50人、100人もの信者が集まって修道院となりました。“剣の修道院”はドラウとデーモンらの襲撃を撃退し、あるいは戦争などの危機において人々の避難場所となって戦い抜き、今では小さな町ほどの規模になりました。
       
  • フェザーディル
    • 別名、地域人口:“肥沃な谷”、18,000人
    • 中心となる町:フェザー・フォールの村、ブラック・フェザー・ブリッジの村
    • フェザーディルはアシャーバ川流域の低地に、緩やかに起伏する農場がパッチワークのように広がっています。腰の高さまでの自然石と常緑樹が生えた土手が洪水を防いでいます。フェザーディルはのどかな農業地域で、明確な統治組織はありません。これまで長く独立を守っていたこの地域ですが、1418DR、センビア投資団による体系的な買収工作によってすべての土地が買い上げられ、支配下に置かれました。住民はセンビア商人に徴収される税に苦しんでいます。
    • ブラック・フェザー・ブリッジ:アシャーバ川にかかる黒い石の橋で、両側に小さな集落ができています。1358DRの“災厄の時”において、当時は人間だったシアリックが邪神マスクが身をやつした剣“ゴッド・ベイン”を用い、地上に顕現していた幻の神レアラを殺害して欺きの権能を奪い取りました。このできごとは秘密にされましたが、後に橋には奇妙な旅人が訪れるようになりました。シアリックが嘘と殺人を司る邪神となっため、信者や邪悪な魔術師が聖地として巡礼するようになったためです。
    • フェザーフォールの村とチョランドロシープの塔:アシャーバ川の滝のそばにあるフェザー・フォール村があり、積み荷は村人の手を借りて揚げ降ろしが為されています。村の近くにほっそりとした塔が立っています。この塔をチョランドロシープという親切な魔術師によって建てられました。彼は不思議な魔術で荷主や村人を助けて皆に好かれていましたが、その魔術を欲したレッド・ウィザードに殺害されました。塔に踏み込んだウィザードは塔からつながる広大な地下網と身の毛もよだつ研究、恐るべき守護者から命からがら逃げだしました。この塔は今も村のそばに立っています。
       
  • ハロウディル
    • 別名、地域人口:“最古の谷”、44,000人
    • 中心となる町:ニュー・ヴェラー(人口9,000)
    • ハロウディルはディルランズの中でもっとも初期に人間たちが入植した地域です。かっては住む人も少ない地域でしたが、この100年ほどで大きく発展しました。他のディル地域が被った戦禍を避けて、落星海からの海路とタングルド・ツリーや月海地方に至る交易の中継地点として整備したためです。地域を統治しているのは裕福な商人からなる“七市民会議”です。終身の“市民”の誰かが死んだら、ハロウディル民が次の“市民”を任命します。
    • 冷原:この湿原には戦で倒れた戦士の霊が数えきれないほどさ迷っています。湿原にある丘陵の地下には無数の死体が弔いもなく埋められているといわれています。夏になると羊飼いが注意を払いながら放牧していますが、冬に踏み込むのは愚か者だけです。
       
  • スカーディル
    • 別名、地域人口:“混沌の谷”、90,000人
    • 中心となる町:スカーディル(人口20,000)
    • アシャーバ川が落星海に流れ込む河口のスカー峡谷は深く切り立った大峡谷で、ここに位置するスカーディルの町はディル地域で最も大きな港町です。 サーイの緋色船団を含むあらゆる船がここにやってきます。スカーディルは常に喧嘩好きで御しがたい場所でした。900DRには、“ディル戦争”を引き起こして周辺ディルを占領させ、最終的にミスルディルとコアミア、センビア、ヒルズファー、ゼンティル・キープの連合軍に破れました。呪文崩壊の間、スカーディルはセンビアとネザリルの支配下に置かれ、更にチャンドラー・クロスがネザリル帝国に滅ぼされたことによって、その難民がスカーディル町に流れ込んで町の無秩序はさらに加速しました。1422DRにはバトルディルへの侵攻の拠点として他のディルと険悪になりました。1487DRにおけるネザリル帝国崩壊により、センビアは既にスカーディルの混乱を制御できなくなっています。
    • チャンドラークロス:スカーディルの上流に位置する町の廃墟です。1370DRにスカーディルの町が戦争と疫病に見舞われいたとときに、脱出した人々が造り上げた清潔な都市でした。一時期はこの地域の首都を担うほどでしたが、センビアと支配下のスカーディルの襲撃によって町は滅びました。この事件の後、再びスカーディルが地域首都になりました。
       
  • セスレンディル
    • 別名、地域人口:“死の谷”、0人
    • 中心となる町:(セスレングレイド;廃墟)
    • セスレンディルは雷山脈とセンバー湖のあいだの険しい谷間です。ディルランドとコアミアを繋ぐ街道が通っていますが、ここに住む者はいません。880DR頃、この地域に人間が住み始め、セスレングレイドの町が造られました。この地はダスク・ロード(黄昏卿[?]が支配していました。ダスク・ロードが操る死霊術とゴーレムを糾弾していたアークヘンディルが、彼らの隊商がセスレンディルで何者かに襲われたことをきっかけに行動を起こしました。1232DR、アークヘンディル軍はハイムーンやセンビアの傭兵と共にセスレンディルに侵攻し、激しい戦いの後にダスク・ロードを殺害、多くのセスレンディル民を殺戮しました。アークヘンディルの領主たちは生き残りを追放し、この地に塩を撒きました。これ以来ここに住む者はなく“死の谷”と呼ばれています。ずいぶん時がたってから、アークヘンディルの幾つかの有力な家門が恐ろしい幽霊に皆殺しにされました。噂によると、これはダスク・ロードの復讐であり、侵攻に関わった者の血族を全て殺すまで続くといわれています。
       
  • ディーピングディル
    • 別名、地域人口:“歓迎の谷”、“木々の谷”、50,000人
    • 中心となる町:ハイムーン(人口8,000)
    • ディーピングディルはエレドリ湖とセンバー湖のほとり、グリムリル川とワイン川の急流が走るところです。センビアとコアミアが領有を競い合っている土地であるにも関わらず、ディーピング・ディルの人々は争いに巻き込まれずに自らを保っています。彼らはエルフとのディルズ盟約の理念に今も忠実で、自らを森の木々の共同管理人と見なしています。この地には天然の森ときちんと刈り込まれた木々、豊かな川に恵まれています。人々は訪れる人々を物静かに歓迎します。
    • センブルホルム:センバー側の西岸にある古いエルフの都の一つです。この町は巨木の枝に造られており、密生した樹冠と森に漂う灰色の霧によって地上はいつも闇に包まれています。エルフの強力な魔法儀式によってこの町は守られ、他からの侵略を寄せ付けていません。ここにはムーン・エルフとシー・エルフらが古くから住んでおり、1487DRのミス・ドラナー破壊によって、他のエルフ達も流入しています。
    • センバー湖とエレドルイ湖:センバー湖は透きとおった水の湖で多くのシー・エルフが住んでいます。エレドルイ湖は小さく、池といってもいいくらいです。エレドルイ湖の水は祝福されており、汲みたての水はエルフの傷を癒します。
    • 嵐の王:この地域の南にある雷峠の山脈のどこかに邪悪な雲巨人の魔術師“嵐の王”の黒い砦があります。彼は多くの巨人やゴブリン達を従え、周辺の国々に貢物を要求しています。近くの人々は貢物に十分な財産を持っておらず、ここを旅する人々は護衛に冒険者たちを雇う必要があります。
       
  • タッセルディル
    • 別名、地域人口:“職人の谷”、10,000人
    • 中心となる町:テガルズ・マーク(人口:1,000)。
    • タッセルディルは平坦なひらけた地で農村が散在しています。タッセルディルの村々には職人や農民、商人、芸術家が住み、品質の良い製品を作り出して交易しています。中でもテガルズ・マーク製のの武具はその品質でブランドとなっています。他の地域から静謐だと思われているタッセルディル民ですが、いつも冷静というわけではありません。粗悪な品物をみると怒りをあらわにしますし、樵たちは他の人々を補ってあまるほどの短気です。長らく隣国のセンビアから緩衝地帯として商売を続けていましたが、1420DRセンビアの侵攻を受けて占領されました。現在のタッセルディル民はセンビアから課せられた重税にあえぎながら抵抗の機会を狙っています。
    • グローン沼:この沼は土地勘のない者に流砂と深み、肉食植物に邪悪な鬼火といった危険を際限なく提供します。地元の人間は沼の塚に潜む亡者を刺激しない方法を知っており、この沼で泥炭や鉱石を採掘します。
    • 正義の金槌の修道院:この修道院は法と正義の神ティアに捧げられています。彼らは地域の安全のために周辺を巡視しており、人々から信頼されています。修道院は訪問した人々に正義と法を教え込もうとします。
       
  • ハイディル
    • 別名、地域人口:“高地の谷”、15,000人
    • 中心となる町:ハイキャッスル
    • ハイディルは雷山脈で他から分断された峠にある地域です。センビアとコアミアの中間にあるにも関わらず、この地域は長らく戦乱と無縁であり、人々は羊飼いや農民、職人や石工として自給自足の暮らしをしてきました。幾度かの侵攻はこの地を守るペガサス騎射隊の力で撃退してきました。しかし、ネザリルによるセンビア支配によって圧力が高まり、ハイディルの人々は対抗のためにコアミアに助けを求めました。ハイキャッスルには住民たちの住居に混じって、コアミア駐留軍の監視塔が建っています。
    • 銅呑み谷:この小さな谷には銅鉱山がそこら中にあり、今でも採掘がおこなわれています。この鉱山の中にはアンダーダークにつながっており、また“嵐の王”の手下たちがこの谷と隠れ谷に通じる地下道を掘っています。鉱夫達はこの危険を知りません。
    • 隠れ谷:この見つけにくい谷は晩夏からは無数の高山植物がが咲き、それ以外の季節には渦巻く霧に覆われています。谷の両側には木と丸石に陰にノームたちの家が隠されています。彼らはハイディルの人間たちとほとんど関係を持ちません。1358DRにおける“災厄の時”に鍛冶と発明の神ガンドがノームとしてこの谷に現れました。彼は若いノームの一団と共に冒険を求めてこの谷から旅立ちました。
    • 踊り場谷:この秘密の谷はマイリーキーやミストラ、オグマ、セルーネィ、シルヴァナス神の司祭たちが聖なる庭園として保護しています。720DRに多くの人間とエルフの神々がここに姿を現し、ハーパーの創設を祝福しました。エルフとハーパーが巡礼としてこの谷を訪れますが、長い滞在は許されていません。
       
  • アークヘンディル
    • 別名、地域人口:“軍事の谷”、90,000人
    • 中心となる町:アークヘンブリッジ(人口8,000)
    • アークヘンディルは冷たい急流が走るアークヘン川を囲む細長い渓谷からなります。アークヘンディルは全ディルで最も非友好的で短気、傲慢、攻撃的なことで知られていますが、同時に最も屈強なディルであります。市民と兵士の両方からなる警備隊ががっちりと守っており、ここで人々は自由に交易を行い、富を蓄えることができます。
       中心となるアークヘンブリッジは要塞化した都市です。防壁の中を石畳の街路を馬車が轟音と共に走り、安い宿も含めて、すべての建物がが3階以上の高さを持って鉄格子が打ち付けられた窓を持ち、秘密の隠れ家と連絡路、矢狭間や様々な防衛設備が取り付けられています。この地は“アークヘンディル剣会議”の独裁によって支配されています。会議は仮面で正体を隠した“赤の剣”と“青の剣”、“黒の剣”の3人の“ソード”で構成され、その正体を知る者は多くありません。剣会議の行政庁舎は北西に町の北にあるソードポイント砦にある。この砦は大量の戦争兵器が備え付けられて、包囲者を迎え撃つ機会を待っています。センビアの密偵は長いあいだ剣会議に対する陰謀を企んでいます。
    • アーチ森:北にあるアーチ森は周辺の人々を支えています。1370DRにアークヘンディルはこの森の大規模な伐採を試みましたが、途中で停止をしました。噂によると森の中に危険な遺跡が見つかり、それは“ソード”達でさえ触れない方が良いものだと考えるものだったといわれています。
    • サグブラー山:アークヘン川の源流であり、天然の泉から流れ出た水は何百フィートも下にある谷に落ちてしぶきを上げます。しぶきの中ではペガサスたちが戯れているといわれています。この山の名前はかつて泉のそばの洞窟を住処に谷を脅かしていた邪悪なオーガ・メイジの名にちなんでいます。オーガ・メイジははるか昔に殺されています。アークヘンディル民は悪人の名がついた地名を、それが駆逐されたときに変更する習わしがありますが、今でもこの名は変更されていません。
       
  • コーマンソー森林
    • 中心となる町:タングルド・ツリー(人口1,168)
    • コーマンソー森林はディルランズの北側に広がる深い森です。深部での樹冠は50mを越え、木々の間に霧が満ちています。かつて、ここにはエルフの古い王国がありました。その首都ミス・ドラナーでは他の種族との友好が築かれましたが、時と共にエルフ達は他を排斥して互いに争うようになりました。708DRから始まる闇の軍勢との戦いで深刻な損害を受けたエルフ達は、森に守護魔法をかけて立ち去りました。1385DRから戻ってきたエルフ達がミス・ドラナーを再建しましたがネザリル帝国との戦いで滅び、エルフ達は散っていきました。
    • エルフ王宮:ミス・ドラナーに遷都前までエルフ達が住んでいた王宮です。樹上と地上に壮麗な館がありましたが、彼らはそれらを取り壊して守護魔法をかけて立ち去りました。現在は守護魔法を破ったドラウ達がひそかに住みついています。
    • ミス・ドラナー:かつては強力な魔法に守られたエルフ王国の首都でしたが、708DRの戦争で放棄されました。近年、再建されたものの、ネザリル帝国と周辺国との決戦においてネザリル帝国の首都である浮遊都市スルタンサーがミスドラナーに向って墜落、双方が滅びました。現在のミス・ドラナーはエルフ王国の廃墟であり、同時に古代魔法帝国の廃墟でもあります。
    • モーンダー道:コーマンソー森林北端のユーラッシュの遺跡に腐敗の神モーンダーが封じらていましたが、1354DRに復活しました。モーンダーは周囲のもの全てを腐らせながらミス・ドラナー廃墟に向いましたが、かろうじて止めることに成功しましたが、被害はいまだに回復していません。モーンダーが通った跡には奇妙なキノコ生物やスライム、植物の怪物が湧き出てきます。邪神の死体である小高い丘に近寄るものは誰もいません。
       

  • 【月海地方(The Moonsea)】:月海は天然の深い湖です。この地域には専制君主や野蛮人、巨人の支配する地がパッチワークのように囲んでいます。荒涼とした風景と過酷な冬、暴れ回る竜と無慈悲な海賊と強欲な専制君主で悪名高く、それぞれが悪辣さのしのぎを削っています。月海地方に整備された道やキャンプ地はなく、移動は水上交通に依存しています。ここにはフェイルーン全土にまたがる犯罪組織ゼンタリムの大拠点が存在し、またドラゴン・カルトも拠点を確保していると噂されています。危険と悪名高い廃墟がたくさんあるこの地域には多くの冒険者が集まってきます。
    • ゼンティル・キープ:かつて月海最強の都市だったこの要塞はゼンタリムの本拠地でした。この街は640DR頃に月海の西岸に建築され、創建時の勢力抗争を制した魔術師ゼンティルの名を取って街の名がつけられました。1260DRに街の支配を得た魔術師マンシェーンはベインの司祭フズールと協力して“ブラック・ネットワーク”あるいはゼンタリムと呼ばれる犯罪組織を造り上げました。以降、ゼンタリムの本拠地として様々な陰謀や戦闘の拠点となります。1383DR、フェアリムとの同盟を画策していたゼンタリムはネザリル帝国の浮遊都市の攻撃を受けて廃墟となりました。ゼンタリムは廃墟の中で活動を続け、ネザリル消滅後の1489DRには拠点として再建しました。しかし、放置された部分がダンジョンとして街に残っています。月海には他にも“ドラゴンの背山脈”の尾根に連なって並ぶ“大ガラスの要塞”などの拠点があり、これらも再建中です。
    • ムルマスター:月海の西岸にあるベイン崇拝の中心地で、鉄鋼業と漁業の街です。都市全体が腐った魚と溶けた鉄の匂いで悪臭が立ち込めています。街には犯罪がはびこっており、盗賊、古買屋、暗殺者が群れをなしています。最大の犯罪組織は街を統治する“剣会議”そのものです。ベイン寺院である“黒き主の館”は“剣会議”に強い発言権を持っていますが、他のメンバーも負けず劣らずの悪意と欲望に満ちており、これを支配するには至っていません。
    • ヒルズファー:月海南岸の断崖絶壁にあるこの街は、月海の生産品と南の地域の産物の取引の拠点となる交易都市です。この街から伸びる街道はデイルランズやコアミア、センビアにまで伸びています。この街は強力な常備軍を備えており、周囲に潜む怪物から街を守っています。ヒルズファーの貴族は南に広がるコーマンソー森林を掃討して定住地を広げようとしていますが、エルフ達に阻まれています。エルフ達との間には互いに不愉快な平和を維持していますが、近年のネザリル侵攻時にはエルフと同盟を組んでこれに対抗しました。
       
  • 【アノーラッチ砂漠(Anauroch)】:アノーラッチ砂漠は古代魔法帝国ネザリルと古代種族の戦いによって荒廃した荒地です。この地にはベダインと呼ばれる遊牧民が住んでおり、古代帝国の遺跡が眠っています。1372DRにネザリル帝国が影の世界から戻り、以降1487DRの瓦解まで周辺諸国と争いました。現在アノーラッチの荒野は回復しつつあり、緑地が見られるようになっています。
     
  • 【センビア(Sembia)】:落星海の北西岸にある悪辣な商人として知られる独立都市国家の連合です(北東から南西までにウホーン、首都セルゴント、セイアールーン、アームラスピア、デアルーンなど)。ネザリルは1400DRまでにセンビアを軍事的に支配しましたが、センビア人の柔軟な適応能力と商魂は健在でした。彼らはネザリルの商取引の窓口となって財を築きなおし、魔法の支援を得て支配地を増やし、更に新たなビジネスを開始しました。センビアの通商能力にネザリルの影魔法を組み合わせた“影キャラバン”は影界を経由する運輸によってトリル中の顧客に素早く正確に荷を届ける流通革命を起こしました。1487DRにかけてのネザリル帝国の崩壊に伴ってセンビアは混乱しながらも、元の都市連合に戻りつつあります。
    • ウホーン:この鉱山都市はネザリルの魔法によって、石の絶壁を切り崩され、無数の“地片”が宙に浮く奇妙な街となりました。住人はこの状況に適応して人口が増し、より高い採石場や“地片”に住むことを地位を競っています。
      オーデューリン大渦:かってここにあった首都オーデューリンはネザリルの魔術によって影界に引き込まれて消滅し、代わりに影の大渦が残されました。1484DR、ティーフリングの超能力者であるマガドン・ケストはネザリルの浮遊要塞サッカーズを乗っ取り、大渦に突入させることで、これを消滅させました。
       
  • 【コアミア(Cormyr)】:コアミアは落星海の西岸にある古く強力な尚武の国です。国土の多くが深い森に覆われており、周囲は峻険な山脈に囲まれています。アノーラッチやセンビアのような危険な国と国境を接しており、山脈にはオークらの野蛮な種族が暮らしています。にも関わらず、2つの強力な戦闘組織および森のフェイや周辺の善の国々との同盟で国を守り抜いています。100年前に復活したネザリル帝国との抗争を1487DRにディルランズとミスドラナーとの同盟により勝利しましたが、相次ぐ王族の死亡や、首都包囲戦に至ったことから大きな損害を受けたものと考えられます。
     
  • 【広野(The Vast)】:“広野”はトロル山脈とアースファスト山脈の間に広がる平原で、ドラゴン入江に面した良い港がたくさんあります。センビアがネザリルの支配されたときに、多くの難民がこの地に押し寄せました。それまでは独立都市国家が乱立する地でしたが、近年に合併してヴェスパリンという新しい国となりました。この地は交易とバカ騒ぎ、詐欺の中心地です。商業と腐敗がこの国を支配しています。
    • カローント:カローントは腐敗した大都市で皮なめしが主な産業です。数マイルに渡ってその悪習が漂います。カローントを治める商人公爵たちは自らの欲望のために他人の財産を挑発することにためらいを感じません。町を訪れるものは富や財産を見せびらかさないように静かに歩きます。
    • タントラス:“広野”の首都タントラスは明確な階層構造のある港町です。商業区や居住区に明確なランク付けがなされており、目にするもの全ての景色が変わります。町を治めるのは最も裕福な商人からなる“金色ロード会議”です。財を成せばロードに加わり、失えば追放されます。1358DRの“災厄の時”において、正義の神トームのと圧政の神ベインの化身がこの町に現れました。神々は顔を合わせるなり戦い始め、タントラスの半分が廃墟になりました。神々が去った後にトーム教会が復興に努めたので、街でトーム神は人気があります。
    • レイヴン・ブラフ:この巨大な港町は“広野”の輸出農作物の1/3を扱う商業都市です。昔から騒々しい町でしたが、センビアからの難民の流入でいっそうに騒がしくなっています。この都市には無数の地下室と地下洞窟、アンダーダークへの入り口があり、多くの冒険者が集まってきます。
    • プロキャンパー:プロキャンパードラゴン入江の東口にある交易港です。この町は523DRにドワーフの地下都市プロエスカンパラーのあったところに建設されました。要塞化された高い城壁をもつ守りの固い都市で、金細工と宝石細工、宝石商と盗賊たちで有名です。