White Tryangle

Last-modified: 2015-05-07 (木) 21:10:31

白蛇姫:白蛇姫様
ファルシオン:ファルシオン様
ちびふぁる・マスター

 

ダ)12月23日。あと2日もすればクリスマス。
ダ)家族や仲間とワイワイ過ごされる方、大好きな人と同じ刻を過ごされる方。
ダ)中には1人でしんみり過ごされる方もいらっしゃられるでしょう。
ダ)心踊り、でも、ときとして寂しい思いをするこの日。
ダ)今年の人生交差点は、貴方に一体何を施してくれるでしょうか。

 

ダ)さて、本劇の役者はこの3名。
ダ)世界各地に猫の額ほどのバーを開き、訪れた客に合わせたカクテルを提供するマスター、ダルモア
ダ)/bow
ダ)そんなマスターに淡い恋心を抱きながら、あと一歩を踏み出せずにいるブルボン家の隠し子であり海賊、白蛇姫
白)/bow
ダ)そして─身分の差など省みず、マスターに情熱的な恋を迫るセビリア1の貴族「ファルネーゼ公爵家」の長女、ファルシオンの物語
フ)/bow
ダ)白雪舞うこの夜、3人はどんな交差を重ねるでしょうか。皆様、是非ご鑑賞くださいませ。

 

白)「クリスマスイブ」

 

ダ)よし。飾り付けがすんだぞ
ダ)もみの木にリース。あまり客の来ない店ではあるが、季節のイベントくらいは追わないとな
ダ)ま、1人きりのクリスマス。グラス片手に過ごすとしようか
フ)なーに寂しい事言っているのよ?
ダ)げっ!? ファルシオン!
フ)何がげっ!? よ! 最近見かけないと思ったら、まさかロンドンに移ってるなんて!
ダ)この時期のアイリッシュウイスキーがまた、格別でな
フ)探す方の身にもなりなさい!
ダ)何処で店を開こうと君には関係ないだろ!
ダ)─全く。また明日、引っ越さなければ
フ)もう! マスター!
フ)どうして私を避けるのよ!?
ダ)っ、前にも言っただろ! 君と私とでは身分が違いすぎると!
フ)それ、以前こう返してるわよね?
フ)男と女の間に、身分なんてものはない、って
ダ)それは君の考えであって、世間がどう見るか!
フ)世間なんか、関係ないわ
フ)私と貴方がどう考えるか。ただ、それだけよ。うふふ
ダ)うっ……
フ)それはそうとマスター。明日はクリスマスね
ダ)ああ。それがどうかした?
フ)勿論、プレゼントは用意してくれてるわよね?
ダ)なっ! だ、誰が君になど!
フ)やっぱり。そういうと思っていたわ
ダ)……
フ)こうしましょ
ダ)ほう?
フ)マスターがちゃんと、私の為にってプレゼント用意してくれたら─
フ)追っかけるの。止めてあげる
ダ)ふむ。それはまたどうしてだい?
フ)追いかけっこの堂々巡りにね。疲れちゃったわ
ダ)それはそれは
フ)だからこの恋の一区切りに。何か一つ、思い出になるものがあれば─
ダ)……そうか
フ)ねえ? どうかしら?
ダ)考えておこう
フ)ホント!? うふふ。嬉しいわ
フ)じゃ。夜にまた、足を運ぶから
ダ)それまでに、な
フ)またね

 

ファルシオン様、ここでマスターの前から離れる

 

ダ)思い出に、か
ダ)この恋の、なあ
ダ)……結局私は、どうしたかったのだろ
ダ)どうすれば、お互いに幸せだったのだろうか
ダ)─まあいい。買出しついでに探すとするか

 

フ)「ロンドンバザー」

 

ダ)アイリッシュウイスキー、アイリッシュウイスキーはと。
ダ)ほう。ブッシュミルズの新作か。ホットウィスキートゥデイにしたら、どんな味わいになるか
ダ)ふふ。今夜じっくりと
ダ)……
ダ)ファルシオンへのプレゼント、か
ダ)彼女はセビリア1の大貴族。大抵のものなら手に入ると思うのだが
ダ)そんな彼女の御眼鏡にかなうもの、なあ
ダ)─果たしてこの私に。選ぶことが出来るのだろうか
白)あ、マスター! 奇遇ですね!
ダ)女性への贈り物など、ここ数年……
白)あのーマスター?
ダ)服か装飾品が鉄板だろうが。さて
白)……
白)/nod マスター 顔をくいっと近づけた
ダ)!?
白)えへへ。ようやく気付いてくれましたね
ダ)あ、ああ。姫さんこんにちは
白)こんにちは!
ダ)こんな所でどうしたのかね?
白)お洋服を見に来たんです! この冬の流行、しっかり追わなくちゃです!
ダ)はは。なるほどね。子分達は?
白)折角のクリスマスイブですもの。お暇を出してあげたんですよ
ダ)なるほど。いい船長さんだ
白)ありがとうございます!
白)あの。ところでマスター
ダ)どうかしたかね?
白)先ほどから悩まれてるようですが─
ダ)はは、分かるかい?
白)あ、はい! その、もし私でよければ、ご相談に乗りますよ?
ダ)なるほど。姫さんに、か
白)あっ、いえ、その! 余計なお世話でしたらすみません!
ダ)ちょうどよかった。実は、女性への贈り物を探していたところだったのだよ
白)そうだったんですね!
ダ)最近の流行りに門外漢でね。よかったら一緒に見てもらえるかい?
白)あっ……!
白)はい! 喜んで!
ダ)そうか。ありがとう姫さん
白)お安い御用です! 何のお店から回りましょうか?
ダ)では、服の専門店を紹介してくれないかい?
白)勿論です! お連れします!

 

白)(あうう!)
白)(思いもかけず、マスターとのクリスマスデートが始まっちゃいました!)
白)(どうしましょどうましょ!)
白)(─うん。これはきっと。神様が下さった素敵なプレゼントなのでしょう)
白)(しっかりチャンス、掴まなきゃです!)

 

ダ)「その晩」

 

ファルシオン様:きらびやかなドレス

 

ドレス着たまま来て、そのまま

 

フ)うふふ。パーティー、抜け出してきちゃった
フ)多少雪がちらつきだしたけど、お店はすぐそこ。問題ないわ
フ)追っかけるの止めてあげるって意味、ちゃんと理解してくれたかしらね
フ)─ええ。追っかけなくても良くなればいいのよ
フ)私とマスターが結ばれちゃえば、ね
フ)マスター。貴方ホントは、爵位なんかいつでももらえる大航海士だったんですってね
フ)カリブで何人も大海賊をその手にかけた討伐者
フ)国王様が何度お呼びしても来なかったって、嘆いていたわ
フ)でも。それも今日でお仕舞い
フ)ちゃんと爵位を戴いて、貴族になって貰って
フ)そのままうちの婿養子に
フ)ちびちゃんやレナだけじゃなく、お父様まで大賛成ですもの
フ)私の未来予想図は、思ったとおりに叶えられてゆくのよ
フ)さ、着いた。私にとってのクリスマスプレゼント。すぐこの手に─

 

店の中:ダルモア・白蛇姫様
店の外:ファルシオン様

 

のような立ち位置で。
ファルシオン様がしゃべっている間、ダルモアと白蛇姫様はエモで楽しく会話しているように演じてください

 

フ)……
フ)えっ、ええええ!?
フ)どうして、どうして彼女がここにいるのよ!?
フ)しかもマスターと仲良くしちゃって!
フ)あの泥棒猫! またやってくれたわね!
フ)─きっと、私が社交界で忙しかった隙に近づいたに違いないわ!
フ)うふふ。流石に頭に来たわ。このゲイボルグで鮮血のクリスマスに─
フ)……
フ)ダメね。そんなの
フ)そんなことしてもマスターの心は
フ)私で満たせない
フ)そもそもこれは、私に降りかかった運命
フ)身分か。それともマスターか。ちゃんと選べていなかった私
フ)─なのに、意地悪なこと言っちゃって。マスターの気持ち、考えてなくて
フ)だから─
フ)うふふ。悪い子だった私には、罰が与えられたのでしょう
フ)蛇ちゃん、素敵なプレゼントが貰えて、良かったわね
フ)マスター。貴方の希望通り、もう追っかけたりしないから
フ)メリークリスマス。お二人さん

 

白)「マスターのお店の中」

 

白)にゃーん!
白)みゃーごみゃーご!
ダ)こらこら姫さん。飲みすぎですよ
白)だってぇ、マスターってばお買い物中も、そしてここに来てからもずーっと上の空なんですもん!
白)何かを待っているような、そわそわした感じがしますねぇ!
ダ)……たはは。申し訳ない
白)それにぃ! ブレゼンド! どうして私にくれないんですか!
ダ)いやその、すまない。これは─
白)むー! マズダーのバカバカ! 期待してたのにぃ! 知らないですぅ!
ダ)弱ったなあ……まさかここまで酔われるとは
ダ)このような状態で雪降る夜道を帰らせるわけには
白)じゃあ! お泊り! 決定ですぅ!
ダ)だぁ、お泊り!?
白)そうですぅ! お泊りしちゃいますぅ! 私とお泊り! マスターは幸せ者ですよ!
ダ)こらこら! こんな何処の馬の骨とも分からない老男の家に泊まるなど! 子分に心配されますよ!
白)─知ってるんですから私。マスターの正体
ダ)!?
白)ええ。海賊にとっては憎むべき象徴。必中射程1海里を誇ったその射撃で幾人もの海賊を屠った魔弾の射手。それがマスターの過去
ダ)─利き目の光を失うまでは、だがな
ダ)ま、過去のことはどうでも良い。それとも姫さんはそれを知った上で、か?
白)マスターは今でも、魔弾の射手ですよ
ダ)ほう。それはどういう意味で?
白)幾人もの女性の心、撃ち抜いているじゃないですか
ダ)……お褒め下さり、有難う御座います
白)それに。私はマスターが昔どうだったなんて関係ないです
白)今このとき、一緒に過ごせて重ね合わせて。楽しいから。だから─
ダ)姫さん
白)私からマスターへのプレゼント。もうとっくに決まっているんです
白)でもその前に。もう一杯ください!
ダ)だー! 飲みすぎだ!
白)ソルティドッグを1杯
ダ)! そのカクテルは
白)はい。私がマスターからはじめて頂いた、アルコールの入ったカクテル
白)そして今この場で、あの時言えなかった事の続きを─
ダ)……少し暑くなってきたな。外の空気も入れるとしよう
白)もう! マスター!!!!
白)私をこんなにした責任! ちゃんと取って下さいね!
ダ)ははは。善処します
ダ)ふむ。結構積もってきたな……!?
白)どうしたんですかー? マスター?
ダ)少し、身体を冷ましに行きたいのだが。お留守番、頼めるかね?
白)ちゃんと、帰ってきてくださるんですねー?
ダ)勿論。では、行って来るよ

 

ダルモア、ここで厚着に装備変更

 

白)いってらっしゃいー!
白)……
白)─分かってたんですから。マスターの待ち人
白)酔っ払ったふりしたら振り向いて貰える
白)そう思ったんだけどなぁ
白)マスター
白)メリークリスマス

 

ダ)「ロンドンの噴水前」

 

フ)くしゅん
フ)ううぅ。寒い。流石にドレス一枚じゃ。夜風が染みるわ
フ)明日は氷枕かしら。また、ちびちゃんに心配かけるわね
フ)……粉雪、ね
フ)私を、包み込んでちょうだい
フ)意地悪で、人を困らせてばかりで
フ)─相手の気持ちを考えていなかった、この私を
フ)もう、日も変わるわ
フ)私には、何もない
フ)一人ぼっちの、クリスマス

 

マスター、ファルシオン様の後に立つ。
ファルシオン様、厚着の衣装に変更

 

ダ)そんな薄着で。風邪をひくぞ
フ)!? マスター!? どうしてここに!?
ダ)店の前に足跡がついていたのさ。2つは店の中へ。そして、1つは─
フ)店に入らずそのまま引き返していった。私の物
ダ)待っていたんだぞ君の事。ずっと
フ)─誰かさんとよろしくしながら、ね
ダ)うっ、姫さんはその
フ)うふふ。でも良いわ。こうして来てくれたんですし
フ)それにこの上着。素敵なプレゼントを有難う
ダ)どう致しまして
フ)じゃあ、私からもプレゼント
フ)もう二度と、貴方の前に現れないわ
フ)それが貴方の望みでしょ? マスター、いや、ダルモアさん
ダ)……
フ)貴方と初めて会って。幾刻も重ねて、純白のアルバムのページを少しずつ染めていって貰った
フ)でもそれも。今夜でお仕舞い。私のアルバム、ページが無くなっちゃったみたいだわ
ダ)そうか
フ)さようならダルモア。蛇ちゃんと素敵なクリスマス、過ごしてね
ダ)全く。私のことを何も分かろうとしてくれないのだね、君は
フ)それはどういう意味かしら?
ダ)なら君の言うとおり。私と姫さんがそういう関係になっていたとしよう
ダ)私はここに来ると思うかい? 待っていたと、言うかい?
フ)だって貴方達! 楽しそうに─
ダ)彼女はね。こんな私に付き合ってくれたのだよ。その服を探す為に、ね
ダ)─気付いていたはずだ。私が、君に贈るプレゼントを探していたということに
フ)蛇ちゃんがそんなことするはず無いわ! だって彼女も貴方のことが
ダ)知っているとも。ああ
ダ)知っていた上で彼女も、そして、君も─
ダ)本当に悪いのは、この私だよ
フ)……
フ)うふふふふ。あはははは!
ダ)何が可笑しい?
フ)ダルモア。貴方って人はホント
フ)最低
ダ)その言葉。何度耳にしたことか
フ)なら何? 貴方こそ私達をどうしたいわけ? どんな答えを示してくれるのかしら?
ダ)答え? ああ。実はな、もうとっくに、決まっているさ
白)それ、私も聞きたいです!
フ)あら。貴女まで追っかけてきたの?
ダ)姫さん。留守番していてくれと
白)私、待てる女なんかじゃないんです! だって、海賊なんですもの!
白)欲しいものはこの手で。掴み取らなくちゃ
フ)うふふ。そうね。でもね、蛇ちゃん
フ)今日は決闘でつく決着じゃなくてよ?
白)勿論です!
白)マスターの答え、私達に示してください!
ダ)……
フ)ダルモア。私と蛇ちゃん。どっちとクリスマスを過ごしたくて?
白)はっきり答えてくださいね!
ダ)ふむ。じゃ、言わせていただこう。私の答えを、ね
フ)うふふ
白)ドキドキ
ダ)メリークリスマス。さ、私は店に戻るとするか
フ)ええええええ!?
白)ちょ、ちょっと待ってください! それってまさか、どっちも選ばないってことですか!?
ダ)私はマスターだ。客との恋愛よりその日その時にどれだけ素敵なカクテルを提供できるか。ただ、それだけだよ
白)むー!!!! それ、答えになっていないです!
ダ)それに。恋など無くても。人は素敵な時間をすごすことが出来る
フ)……
ダ)クリスマスは誰にでも平等に訪れる。素敵な1日さ。
白)納得いきません!
フ)ええ。蛇ちゃんのいうとおりね
ダ)─なら。皆で楽しいクリスマスを過ごすのは?
白)……
ダ)本来ならば1人で純白の静寂を過ごすつもりでいたが。仕方あるまい。譲歩しよう
フ)あきれて物が言えないわ
ダ)そうそう。実はな、新作のアイリッシュウイスキーを用意してあるのだよ
ダ)ホットウイスキートゥデイにしよう。体の芯まで温まる一杯だ。先に戻って、用意しておく
フ)蛇ちゃん。どうする?
白)すっかり酔いが覚めちゃいました。正直、寒いですね
フ)うふふ。私なんかさっきまで、ドレス1枚だったんですもの。風邪引いちゃいそうよ
白)─飲みに、行きましょうか
フ)ええ。酔った振りして徹底的にいじめてやりましょ
白)あっそれ、さっきやってました! ファルシオンさんと一緒にやれば
フ)流石にあの朴念仁も、どちらかを客としてじゃなくて
フ)女として。見るんじゃないかしら
白)ですねー! じゃ、今夜の勝負は
フ)それでいきましょう
白)マスター。覚悟してくださいね
フ)こんな良い女二人、ドギマギさせたんですもの
フ)新しいアルバムのページ、また、染めていきなさいよ

 

ダ)誰かを選ぶと言うこと
ダ)果たして、答えはどちらかしかないのでしょうか
ダ)選ばないと言う答えも
ダ)そして、両方を選ぶと言う答えも
ダ)有るのかもしれません

 

ダ)クリスマスのこの夜
ダ)マスターは二人とも、選びました
ダ)それは、人によっては答えでは無いかもしれません
ダ)ただただ答えを先延ばしにしただけ、そうかもしれません
ダ)ですが。クリスマスですから。
ダ)この3人も、そして、バザーに来てくださった皆様も
ダ)素敵で幸せなひと時を過ごすことができれば、幸いです。
ダ)以上です。ご鑑賞いただき、有難う御座いました!