Z000400

Last-modified: 2009-10-19 (月) 21:52:16

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z000400       担当:黒川実
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 【きみ】たちの乗る小型トラックが目的の場所に着いたのは、正午を少し回った時刻だった。
 窓の外にはドラゴンの炎に焼かれて、荒れ果てた無残な町並みばかりが続いている。
 これがカリフォルニア州ロサンゼルス――かつて北米を代表する世界都市として知られていたとは、ちょっと信じがたい気分だ。
 運転席の【きみ】は空にドラゴンの影がないか、ちらりと視線を走らせてからアクセルを踏む。
 上空からは見えにくいように細い道を探しながら走っていると、荷台で石斧を磨いていた女子高生が運転席に呼びかけてきた。
「ねえねえ、ついでにチャイニーズ・シアターにもよってかない? こっから遠くないみたいだし」
 底抜けに朗らかな提案に、同じく荷台で日本刀を手入れしていた茶髪の青年が呆れ顔で首を振る。
「あのな、俺らは観光で来てるわけじゃねえぞ? この地域に布陣するドラゴンどもの……」
「偵察は偵察として! せっかく来たんだしさあ、有名人の手形とか足型とか見たいでしょ?」
「興味ねえ」
 背後で高まる不穏な雰囲気に【きみ】は、前方の街路からは目を離さず、過去のドラゴンとの戦闘でシアターは壊されたことを教えた。
 スターの手形やサイン入りのセメントブロックは剥がされて国外へ運び出されているはずだ。
「えー、楽しみにしてたのにぃ……」
 夢破れて、しょんぼり肩を落とした女子高生に、茶髪の剣士は何故か勝ち誇ったように胸をそらす。
「大体、ハリウッドだなんだと、はしゃいでんのがおかしいんだよ。これが前世紀だったらともかく、一度でもドラゴンの勢力圏にあった町なんて何処も変わんねえだろが?」
「違うの! 隊長、ビシィッと言ってやってよ!」
 隊長は若者の争いに我関せずとばかりに助手席で眠っていたが、突然のフリに、テンガロンハットを顔に載せたままで、淡々と答える。
「確かに代わり映えせん、どこもかしこも退屈だ」
「えーっ!? 隊長って映画監督の卵でしょっ! ハリウッドは夢と憧れの都じゃないの?」
 監督は勢いよく帽子を取ると、鼻先で笑う。
「ふ、馬鹿を言うな。広告宣伝に金をかけた政府のプロパガンダ機関と堕した商業主義者どもの同類になりたいなぞと思うわけがない! 真の映画とは、光と影のあわいに揺蕩う一瞬の風景を切り取って、フィルムに焼き付けたいわば情念の結晶と言うべきものであり――」
 とっても長くなりそうな気配だ。
 ここ数日の経験で学んだ【きみ】が、この地区を制圧できれば、大手の映画スタジオや劇場関係者がスポンサーになってくれるかもしれないと言うと、隊長はぴたりと口を閉ざし、
「……新たな時代における映画文化のあるべき姿を啓蒙するというのも悪くないかもしれん」
 至って真剣な表情で妄言を吐く。
 ツッコミの義務を放棄して【きみ】は次の区画へ移動しようとアクセルを踏み込んだ。
 ビバリーヒルズに射しかかろうとしたところで、不意に曲がり角から、年代物のジープが炎をあげ、物凄い勢いで飛び出してくる。
 【きみ】は咄嗟にハンドルを切って、ジープとの衝突を避けた。
 車は大きくスピンして、道の真ん中で停車する。
 黒煙をあげて炎上するジープから、顔を煤だらけにした二人組が必死で這い出してくるのが見えた。
 あの顔には見覚えがある。
 確か【きみ】たちと同じく、このあたりの偵察に派遣されているはずのベオウルフたちだ。
 彼らは【きみ】たちの車に駆け寄ると、大急ぎで荷台に乗り込みながら、口々に喚いた。
「……すまん! コマンダーにやられた!」
「ビルの中にいた奴に気づかなくて」
「数は?」
「コマンダーが1、ソルジャーが3程度か」
「そう遠くない場所にジェネラル種もいるはずだ」
「確認したのか?」
「こいつが痕跡を見つけた、どうやら有名宝石店の跡地を穿り返してたらしいんだが……」
 ベオウルフは有名ブランドの名を口にする。
 ドラゴンが金銀宝石を好むというのは【きみ】も聞いていたが、まさかブランド名がドラゴンにまで浸透しているとは知らなかった。
「放棄された金庫でもあったんじゃねえか?」
 茶髪の剣士が目を輝かせるのを制して【きみ】は敵集団の主要構成を訊ねる。
「ファフニールじゃねえな、あの種のドラゴンならもっと飛行に特化した連中が多いはずだ」
「足止めに自分のチャクラムを投げたが、あんまり効いた様子なかったな」
「主要構成がシャンゴのところなら有り難いなー、あたし、あいつらの相手だったら大得意」
「ジェネラル種Cが相手なら、俺の愛刀であの世に送ってやれるんだが……」
 女子高生と茶髪の剣士の呟きを掻き消すように、遠くからドラゴンの咆哮が轟く。
 まずは主要構成を見極め、それから情報を無事に持ち帰ることが最優先だ。
 このささやかな情報が、戦場では何十という命を生かすか殺すかの鍵になりうる。
 そう口の中で呟くと【きみ】は自分のトリガーに軽く触れ、しっかりとハンドルを握り直す。
「おうちに帰るまでが偵察です、ってな?」
 微かな呟きを聞き取った隊長の言葉に【きみ】は笑って頷き返し、フロントグラスの向こうに現れた敵影をしっかりと見据えた。

     ◇     ◇     ◇

 ――当該地域に集結したドラゴン軍の主要構成は威力偵察の結果、ジェネラル種Fだと判明。
 西部開拓時代をルーツに持つベオウルフの協力を請い、銃撃戦を視野に入れた作戦案の大幅な変更が早急に求められる。
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「マスターより」
 カリフォルニア地域攻略戦の「戦線番号04」の主要構成がジェネラル種Fであることが判明しました。(行動選択肢上では「不明」のままの表記です)。

■関連行動選択肢
B019819 対竜戦線「カリフォルニア地域攻略戦」に参戦する
(担当:???/地域:119)
戦線データ:戦線数:5
戦線番号01:第1戦線/ドラゴン軍攻撃力・10000:主要構成・ファフニール
戦線番号02:第2戦線/ドラゴン軍攻撃力・不明:主要構成・シャンゴ
戦線番号03:第3戦線/ドラゴン軍攻撃力・2000:主要構成・不明
戦線番号04:第4戦線/ドラゴン軍攻撃力・2000:主要構成・不明
戦線番号05:第5戦線/ドラゴン軍攻撃力・2000:主要構成・ジェネラル種C
UNDEO軍部隊配置:なし
備考:対竜戦線のルールをお読みいただいた上で選択ください。

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