Z000500

Last-modified: 2009-10-20 (火) 00:41:01

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z000500    担当:伊豆平成2号
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「殿下! 殿下! 大変ですぞ! 皇太子殿下はどちらにおわす?」
 ゾロゾロと歩いているツアーの観光客の団体を追い抜き、その観光客たちを喜ばせるために装飾過剰に設計されている宮殿の廊下を、毛髪が薄くなりかけた初老の男性が駆け抜けていく。
「何事だ、ソネ? 今は昼寝の時間だぞ? 昔だったら、王族の昼寝を妨げるのは……」
 あくびをしながら奥の部屋から現れたのは、ゆったりとした長衣を身につけた小太りの男性だ。
「昼寝どころではございませんぞ、トゥイ殿下。ついに、この国の領海にもドラゴンが現れました」
「ドラゴンだと?」
 トゥイ殿下と呼ばれた男は、眼を見開いた。
「そうか、我が国にもついに来たか!」

     ★     ★     ★

 ロンガロンガ王国。
 大小20あまりの島々からなる、南太平洋の小国である。珊瑚礁あり、火山あり、美しい砂浜あり、密林ありで、観光資源にはことかかない、典型的な南国の楽園だ。
 日本に支配されていた時期もあって、日本語の堪能な住民も多い。太平洋戦争時には、海軍の基地もあり、またそれなりに激戦も行われ、日本との縁は意外に深い。
 また、近年では将来有望なレアメタルの鉱床も見つかっており、観光開発と資源開発に日本や欧米の資本が流入し、それなりに潤っている。
 国家として独立したのは戦後だが、18世紀頃までは王朝があり、その末裔が国王となった。
 現在の国王は、第3代のスーダ国王。しかしここ10年ほどは病気療養を口実として(実際には、病気といっても生活にはほとんど支障のない軽い糖尿病程度なのだが)引退したも同然。国政を息子に任せて、悠々自適の隠居生活を送っている。国政は事実上、皇太子で摂政のトゥイが握っていた。
 一応、国会や内閣はあって総理大臣のソネこと曽根安広仲[そねやす・ひろなか]がいることはいるが、この国の住民はのんびりしていて、まだまだ民主主義が機能しているとは言い難い。
 国王やその代理の皇太子には大きな権限があって、国会も内閣もその言いなりだ。そもそも、その総理大臣曽根安が、この国の国籍を持たない日本人(もともとは日本の建設会社から派遣されてきた人間で、この地が気に入ってそのまま現地で退職し、住み着くことになったらしい)なのだから、いいかげんなものである。

     ★     ★     ★

「南端のランゲル島沖で漁船がドラゴンを目撃しています。幸い、すぐに逃げて被害はなかったようですが、事態は予断を許しませんぞ。『叢雲』の三原山鉄山(みはらやま・てつざん)に救援を要請しましょう」
 曽根安はそうまくしたてる。
「草薙を頼れと?」
 不吉な報告で昼寝を中断されたというのに、トゥイはご機嫌な様子だった。
「何をバカなことを言っておる。何のために、余がこの平和な国に陸海空軍を整備していると思っておるのだ?」
「完全にご自分の個人的趣味ではないですか。この兵器オタク……」
「ん? なんか言ったか?」
「いえ、何も……」
「とにかく先進国のお下がりの中古品や、昔の兵器を修復した物とはいえ、戦闘機も戦車も艦艇もそれなりに充実しておる」
「おかげで財政が……維持費が……」
「備えあれば憂いなしと言うではないか。余はこの日が来ることを、15歳の時から予想していた」
「殿下は確か今33歳ですよね、15歳の頃って、オーストラリアでドラゴンが暴れる前じゃないですか」
「根拠はないが、予想はしていた!」
 曽根安はツッコミを入れるのも疲れた、という表情でため息をつく。
「とにかく! これまでは演習と軍事パレードでしかその勇姿を見せる機会がなかった三軍に、ついに出動の時が来たのだ!」
「しかしドラゴンはベオウルフでなければ倒せませんよ」
「ベオウルフといっても同じ人間。あんな連中にできることなら、我が国の軍隊を持ってすればわけないはずだ」
「はあ……。しかし、仮にそうだとしてもですよ、いくらハードを揃えても、それを使う我が国の兵士は三流ですぞ。この国の国民はみんなのんびりしていて、兵士としてはおよそ実戦の役に立ちません」
 自信たっぷりだったトゥイが、その指摘に初めて顔をくもらせた。
「まあ、確かに、我が軍の兵士は演習のたびに、さんざんな醜態を見せてくれるからな……」
「前回の演習なんか、そもそも演習になりませんでしたぞ」
「演習の開始時間を忘れて、いくつかの部隊が丸ごと昼寝をしておった」
「殿下が買い集めた高いおもちゃ、もとい、近代兵器も、運用するのがあの兵士たちでは……」
 とにかく、この国の国民は、末端の兵士から上は国王にいたるまで、勤労意欲とか危機感といったものに乏しい。だからこそ外国人である曽根安が大臣に選ばれるようなこともある。
「ならば外国から傭兵を雇え。予算は防衛費から出せばいい。すぐに手配せよ。それと余の軍服だ! 軍議を開くぞ。陸海空軍の各司令を集めろ」
 いつもの殿下のワガママが始まった。曽根安は再びため息をつき、口では了解しましたと答え、それらの手配のために退出した。

     ★     ★     ★

「大臣」
 曽根安に、別の人物が声をかけてきた。
「また兄上が、大臣を困らせているみたいね」
 そこにいたのは、眼鏡をかけた、16歳の少女だった。
 エリザベス王女、通称リズ王女である。
 女性としては幸いなことに、彼女が兄上と呼ぶトゥイとはあまり容姿は似ていない、美少女だ。それもそのはずで、実の兄妹ではなく彼女はスーダ国王の弟の娘で、トゥイとはいとこの関係にある。
 リズ王女の両親は彼女が幼い頃に航空機事故で亡くなり、彼女はスーダに引き取られて養女となったのだ。だから、トゥイとは義理の兄妹でもある。
「話は聞かせてもらったわ。やはり草薙にも連絡した方がいいんじゃない? 『叢雲』は今どこ?」
 亡くなった両親がクリスチャンだったために西洋風の名を持つ王女は、大臣に対していっぱしの生意気な口をきく。
「オーストラリア方面の作戦で太平洋に展開しています。が、その作戦ももうじき終了するはずですから、正規の要請を出せば、割合早く来てもらえると思います」
「正規の要請は兄上でないと出せないけど、とりあえず、こっちの状況を伝えておくぐらいはしておいた方がいいわね。暗に、近いうちに来援を要請することになるかもしれないことを匂わせて」
 曽根安はうなずいた。
「そうですな、それぐらいなら、大臣の権限のうちでしょう」
「時間はかかるかもしれないけど、兄上は私が説得してみる。説得できなければ、最悪、父上に復帰していただくって手もあるし」

     ★     ★     ★

 時代遅れなデザインの飛行服にサングラスの、東洋人の軍人がトゥイに敬礼した。
 ロンガロンガ空軍司令グェン准将だ。
 続いて隻眼で、片足が棒状の義足の西洋人が敬礼する。海軍司令エイハブ少将である。
 そして、皇太子の前だというのに大あくびをしながら敬礼したのは、3人のうち唯一、この国の出身の司令官、陸軍のウーフェ中将だった。
 大臣が日本人であるのと同様に、空軍と海軍は司令官がお雇い外国人だ。空軍、海軍の運用のノウハウを知る者が国内にいないからである。
「ご苦労。今日、諸君に集まってもらったのは他でもない……」
 小太りの身体を軍服に包んだトゥイは、ウーフェの態度に気分を害することもなく、軍議を始めた。
「ドラゴンが海で見つかったということは、主戦場はやはり海。海軍の出番ですな」
「いやいや、我ら空軍が空から叩くべきでしょう。海軍は島々の守りを固めていただきたい」
 やる気があるのはやはり外国人2人で、ウーフェは面倒くさそうに話を聞き、指摘する。
「しかしさぁ、空軍、海軍のどっちが攻撃の主体となるにしても、今の兵士じゃ、ろくな戦いにならないんじゃないの?」
「むう……」
 グェンもエイハブも認めざるをえない。
 結局、軍議の結論としては、やはり三軍とも現状の正規軍兵士では戦えないので、まずは傭兵を募集しようということになったのだった。

     ★     ★     ★

 かくして、ロンガロンガ王国で、傭兵の募集が始まった。
「急募
 ドラゴンと戦うだけの簡単な……」

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「マスターより」
 初めまして、もしくはまたお会いしました、伊豆平成2号です。よろしくお願いします。

■行動選択肢
A010500 ロンガロンガの傭兵募集に応じる
(担当:伊豆平成2号/地域:131)
備考:陸海空のどの軍に所属するか明記してください。

A010501 傭兵にはならないが王国に行ってみる
(担当:伊豆平成2号/地域:131)

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