どらごにっく★あわー!
~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~
●初期情報
No.Z000501 担当:伊豆平成2号
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飛行甲板に、一見時代遅れに見える複葉機が次々と着艦してくる。
空母への着艦は、パイロットはもちろんのこと、誘導するスタッフも高度な技量を要する。が、この艦のパイロットとクルーはみな最高の逸材たちだ。こんな波も天気も穏やかな日に着艦ミスなど、万に一つもありはしない。
海軍の宣伝ビデオのように整然と、1機、また1機と飛行甲板に着艦してくる。
赤鬼ボルケーノの異名を持つ三原山鉄山[みはらやま・てつざん]は、アイランド(空母の管制塔)の窓から、その光景を満足げに見下ろしていた。
「撃墜された2機をのぞき、全機無事、着艦しました」
下士官が報告する。
「よろしい」
鉄山はうなずく。
撃墜された2機のパイロットも、幸いにしてパラシュートによる脱出に成功しているという報告をすでに受けている。その救出のためのヘリも発進していた。
今回は実に幸運だった。たった2機しか撃墜されなかったし、そのパイロット2人もおそらく無事なのだ。
大型のドラゴンの炎の息や爪による攻撃をまともにくらうと、脱出の暇すらなく空中で爆発したり四散したりすることも少なくない。人的被害ゼロでドラゴンをしとめるのは、百戦錬磨のこの『叢雲』でも、そうそう多くはないことなのだ。
「願わくば、毎回こうであってくれるとよいのだがな」
「まったくです、艦長。さて、あとは2人を回収して、その他、事後処理をすませれば、今回の作戦は終了ですが、今後の予定は?」
筋肉質な鉄山を一回り小型にしたような、似たタイプの副長、足尾亨[あしお・とおる]が尋ねる。
「うむ、このところ出動が続いたからな。そろそろクルーにも休養を取らせねばなるまい。どこか適当な保養地でもあればいいのだがな」
「以前なら、この辺もいいリゾート地だったんですけどね。すっかりクソトカゲどもに荒らされちまいましたからなぁ」
艦長と副長がそんな会話をしていると。
「艦長! 通信が入りました」
通信士の声が割ってはいる。
「おお、2人を回収したか?」
「いえ、そうではなく、草薙の代表としての艦長にロンガロンガ王国の大臣からの通信です」
「ロンガロンガだと?」
鉄山は、副長と顔を見合わせる。
ロンガロンガ王国とは、南太平洋の小さな島国である。大小20ほどの島々からなり、それらを合計しても面積は日本の大きめの県1つ分ぐらいだろうか。領海を含めてもそれほど広い国ではない。
もっとも、鉄山も足尾も、仮にも艦船の艦長と副長であるから、そういう国が海図にあることは把握している。
「確か、太平洋戦争中には、日本海軍の基地があった島でしたな?」
「よし、わかった。とにかく、出よう」
何がわかったのかよくわからないが、鉄山は通信機の前に出る。
「あー、『叢雲』艦長、三原山鉄山だ」
すると、横から少女が小声で叱咤した。
「ちょっと、親父、相手は一国の大臣よ、もうちょっと愛想よくできないの?」
彼女は通信機の鉄山の手からマイクをひったくった。そして、先刻の野卑な言動とはうってかわって、澄ました声でマイクに言う。
「失礼しました。お電話変わりました。こちら、ドラゴンからの護衛、防衛、ドラゴンのことなら何でもお任せ、実績と信頼の草薙でございます。どういったご用件でしょうか?」
相手には見えないのに、顔まで営業スマイルだ。
「……お電話って……おい、ミミ……」
鉄山があっけにとられているうちに、ミミと呼ばれた少女はどんどん話を進めていく。
「ふむふむ、なるほど、領海内で大型のドラゴンが目撃された、と。お任せください、そんな時こそわが草薙が……え? まだいい? どういうことですか? ……はー、それで?」
彼女の名は三原山ミミ[みはらやま・-]、16歳、鉄山の実の娘で、草薙の経理担当だ。
さて、その大臣によると。
どうやらその国では皇太子で摂政のトゥイ王子という人物が実権を握っており、その王子が、自国の軍隊でドラゴンを退治しようと妙に張り切っているらしい。そのため、大臣の勝手な判断で草薙に正式に依頼はできない状態のようだ。
「……とまあ、そのような次第でして」
通信機の向こうの大臣が言う。
「えーと、それで、契約できないのなら、どうするっていうのでしょうか?」
大臣の長話に、次第に営業スマイルを崩し、イライラした顔になりながらも、一応声にはそれを出さずにミミは尋ねた。
「いえまあ、今すぐどうこうというわけでは。一応ドラゴンに関する情報ですから、そちらにお伝えしておこうと思いまして。それに今後とも、我が国は草薙さんとは、良好な関係を保ちたいと思っております。まあ、今日のところは挨拶といったところですかな」
イライラして今にも爆発寸前のミミから、鉄山がマイクを取り上げた。
「あー、とりあえず、よくわかった」
「それはどうも。それでは、よろしく」
通信が終わった。
「親父、何が『よくわかった』んだ?」
ミミがすかさずツッコミを入れる。
「いや、まあ、挨拶だったんだろ?」
「あーもう、この筋肉ダルマはやっぱり何もわかってない! いいかい、今の話だと、その国の王子様ってぇのが、自国の軍隊でドラゴンを倒そうと張り切ってる」
「そう言ってたな」
「だけど、ただの軍隊が、ドラゴンを撃退できると思う?」
「まあ、無理だろう。たまたま優秀なベオウルフでもいれば話は別だが」
「『いずれ王子の軍が負けたら、草薙に救援を要請することになるかもしれない、だからその時のためにスケジュールあけといて』、あの大臣は要するにそう言いたいのさ。でも、今は正式な契約はできない。ムシがいいねぇ。こっちがその仕事を当てにして他の仕事を蹴ったりしても、万一王子の軍がドラゴン倒すのに成功したら、こっちにはその仕事は回ってこない。契約してるわけじゃないから、キャンセル料も入らないことになる」
「そういうことか」
娘の解説に、鉄山は納得する。それで、ミミがイライラしていた理由がわかった。
「どうします、艦長?」
副長の問いに先に答えたのは、艦長ではなく、経理担当のミミ。
「無視、無視。もっと確実に金になる仕事をガンガンとらないと。空母って維持するだけでもすごく金がかかるんだから。失った機体も補充しないといけないし」
「……いや。ドラゴンに困る者を放ってはおけん」
腕組みをして考えていた鉄山が言った。
しぶい顔をするミミに、鉄山はさらに続ける。
「どうせ、クルーに休養をとらせようと思っていたのだ。その休養の場所がたまたまロンガロンガ王国でいけない理由はあるまい?」
その論法にミミも折れた。
「……まあ、確かに観光地だ」
「よろしい。では、進路をロンガロンガ王国に取れ!」
「あ、あの、失礼ですが艦長殿!」
その場にいた下士官が慌てて発言する。
「なんだ? 艦長の決定に異論があるってのか?」
鉄山がその下士官をにらみつけるよりも早く、副長がその下士官の前にずいと進み出る。
この艦において、艦長に異議をとなえることができるのは、ミミだけと言っていい。
勇気あるその下士官は、萎縮しながらも言葉を続けた。
「いえ、その、決定に異論があるわけではないのですが……」
「だったら、なんだ!」
「あの、まだ脱出した2名の収容がすんでおりません、サー」
「……あ……」
鉄山はすっかり忘れていたらしい。
「ばかもの! もちろん、その2名を収容した後の話である!」
怒鳴ってごまかした。
この艦ではよくあることであった。
やれやれ、といった顔で、ミミは肩をすくめる。
「じゃあ、次の寄港地は、ロンガロンガ王国の首都で主要港のモロね。補充人員なんかもそっちで合流できるように手配しておかないと」
経理だけでなく、そういった事務仕事のほとんどは、彼女の肩にかかっているのだった。
★ ★ ★
「こちら、B。その後の情報です」
草薙の情報担当として世界中を飛び回るエージェント、コードネーム「B」の名で呼ばれる女性が、通信で鉄山たち幹部に報告した。
収集した情報によれば、どうやらロンガロンガ王国では独自に、傭兵を集め始めたらしい。
今さらながら、ただの軍隊ではドラゴンに太刀打ちできないと気づいたのだろうか?
「だったら、傭兵集めるよりも、さっさとうちと契約すればいいものを……」
などとミミがブツクサ言う。
Bがさらに資料を提出した。
「現地軍との連携があるかもしれませんので、王国軍のデータも揃えました。まあ、ネットでわかる程度の情報ですが。ファックスで送信します」
鉄山と足尾がそれに目を通す。
「小国なのに、一応陸海空軍があるんだな」
「海軍と空軍の司令官は、もともとお雇いの外国人みたいですね。陸軍は、やる気があるんだかないんだか、昼寝で演習が中止になったこともあるみたいですよ」
「どうやらろくな軍じゃないな。こりゃ、現地軍が自力でドラゴンを撃退するみこみはなさそうだ」
「だが幸いなことに、その頃には偶然にも、ちょうどクルーの休養のために『叢雲』が寄航しているってわけだ」
ミミは電卓をはじいた。
「こうなった以上、あのタヌキ大臣にせいぜいふっかけてやるんだから」
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「マスターより」
初めまして、もしくはまたお会いしました、伊豆平成2号です。よろしくお願いします。
■行動選択肢
A010500 ロンガロンガの傭兵募集に応じる
(担当:伊豆平成2号/地域:131)
備考:陸海空のどの軍に所属するか明記してください。
A010501 傭兵にはならないが王国に行ってみる
(担当:伊豆平成2号/地域:131)
X018803 草薙のベオウルフとして行動する
(担当:???/地域:???)
備考:主に、ユニオンの構成員に対してアクションをかけたい場合に選択する行動選択肢です。地域名はアクションに応じて記入ください。
既存のシナリオや、すでにある行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、上級者向けの行動選択肢です。
すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションだった場合は、不採用になる場合がありますので、ご注意ください。
アクションが不採用となった場合は、不採用アクション用のリアクションが送付されます。
X019900 その他の自由行動
(担当:???/地域:???)
備考:既存のシナリオや行動選択肢などの枠にとらわれないアクションに挑戦したい、超上級者向けの行動選択肢です。自分の意志で世界を、物語を作っていきたいというコアでディープなプレイヤーにお薦めです。
ただしアクションが採用されなかった場合は一切描写されず、不採用アクション用のリアクションが送付されます。
すでに存在する行動選択肢で事足りる内容と判断されるアクションをこの行動選択肢に送った場合は、それだけで不採用になります。
また必ず行動する地域番号を記入ください。行動する地域によって、採用率は変わります。
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ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~』の公式?サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。
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