Z000502

Last-modified: 2009-10-19 (月) 22:34:05

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z000502    担当:伊豆平成2号
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「なんとかならんのかね、最近の『どこカゲ』の低迷ぶりは!」
 局のお偉いさんは、会議に出ている一同を見回して、ホワイトボードをバンバン叩く。
 ホワイトボードには今年に入ってからの、『どこまでも過激にゴーゴー!』、略称『どこカゲ』の視聴率の折れ線グラフが貼ってあった。
 グラフは上下に揺れながら、全体的には明らかに下がっている。
「『どこまでも過激にゴーゴー!』はタイトル通り、芸人に体をはった過激なことをさせるのが売りの番組だ。ヤラセなし! 生きるか死ぬかのサバイバル! 司会だって大物だ。海外ロケも敢行して、金も使っている。なのにこの体たらくはどういうことだね、柳瀬君」
 番組プロデュサーの柳瀬猛[やなせ・たける]は難しい顔をして答えた。
「そうは言いましてもねぇ。なにしろ、世界中で本物のドラゴンが暴れているご時世です。たとえば、先々週ですが」
 そこは、折れ線グラフが、ちょうど谷になっているところだ。
「この日は放送時間に、ヨーロッパで派手に暴れていたドラゴンが倒されたって情報が入ってきたんですよ。裏番組ではちょうどニュースをやってます。そっちにチャンネルを変えられてしまうんです。すると、素手だの刀だので巨大なドラゴンと戦ってる連中の映像が流れてるんですよ? 若手芸人が少々ひどい目に遭うぐらいでは、その映像に太刀打ちできませんよ」
 上司は上を見上げた。
「ドラゴンか、いまいましい。我がテレビウィークリィズといえば、ユニオンのバックアップにも積極的な企業だぞ? そのテレウィーが、なんでドラゴン退治に足を引っぱられなきゃならんのだ。うちの力を利用するなら、うちの主力番組の時間以外に倒すように言ってやれ、まったく」
 勝手なことを吼えまくる上司の言葉を適当に聞き流し、言葉が途切れたところですかさず言った。
「まあまあ、部長。そこで、起死回生の策があるんですがね」
「なんだ? まさかラーメン特集とか言うなよ」
 バラエティー番組で、ラーメン特集をやろう、などと誰かが言い出すようになったら、もうその番組はおしまいだ。
「まさか。『どこカゲ』は過激さがウリ、生きるか死ぬか、ギリギリのパフォーマンス、そうでしたよね、部長?」
「だが、若手芸人が少々ひどい目に遭うぐらいでは太刀打ちできないと言ったのは君だぞ」
 柳瀬の言葉に、上司は不審そうな顔になる。柳瀬は声を潜めた。
「ドラゴンにはドラゴンですよ。ドラゴン対芸人、これは受けると思いませんか?」

     ★     ★     ★

「トナミちゃん、トナミちゃん、いい話よ」
 カマ言葉のマネージャー、その名も鎌田が、プロダクションに戻ってきて言った。
「何?」
 芸能ゴシップ誌を読んでいた芸名トナミ、本名城山斗南[しろやま・となみ]は顔を上げた。
 トナミといえば、女性お笑い芸人としてはなかなか美人な方。昨年は、自由の女神のポーズをとりつつ「だって私、女神だもん!」と叫ぶ意味不明のギャグがヒットし、流行語にもなった。その容姿と、くだらないギャグのギャップが受けたようだ。一時は引っ張りだこになったものだが、しかし、そんな芸風だけで人気が続くほど芸能界は甘くない。流行が去ってからよくよく考えてみれば、どこが面白くてあんなに流行したのかさっぱりわからない。いわゆるイッパツ屋だ。
 芸能界は非情である。すぐに人気はガタ落ち、仕事もめったに入らなくなった。
「テレウィーの『どこカゲ』が、今度の企画のオーディションしてるのよ。トナミちゃんなら、いけると思うの」
 鎌田が久々に持ってきた仕事の話も、案の定、あまりいい話ではなさそうだ。
「『どこカゲ』って、芸人泣かせの番組で有名じゃない。何させられるかわかったもんじゃないわ」
「でも、今回は外国よ。南の島よ。ヤシの木とかあって、海はきれいで、素敵なところよ。あの番組にしちゃ気のきいてる企画じゃない。あなたなら水着姿をアピールできるわ。それに、募集は1人だけでなく芸人は何人も行くみたいだから、割と安心よ。みんなで渡れば怖くないって言うでしょ」
 鎌田は熱心に説得する。
「なるほど、無人島とかでサバイバルって企画ね。よくある話だわ」
「はっきり言って、お笑い続けたいなら、これが最後のチャンスだと思うわよ? それが嫌なら、あとはもう脱ぐしかないわ」
 斗南は降参した。
「わかったわよ。受けりゃいいんでしょ? で、何て国に行くの?」
「ええとね、ロンガロンガ王国、だって」

     ★     ★     ★

「それにしても、柳瀬さんは怖ろしい人だ」
 番組ADがカメラマンに話しかけた。
「柳瀬さんも柳瀬さんだけど、企画を通した局も怖いよな」
「ロンガロンガ王国の南の方の海域、ドラゴンが目撃されたんだろ?」
「ああ、まだ未確認情報だけどな。ドラゴンどもの次の標的の一つが、ロンガロンガらしい、そういう分析もあるって」
「番組は何も知らないふりして、芸人たちを島に送り込んで、ただの無人島サバイバル企画だと思わせて撮影する。そして、うまくすれば、ちょうどその最中にこの国はドラゴンに襲われて芸人たちも大パニック、それを撮影しようってんだから……」
「しっ、声が大きい。これは参加する芸人たちには絶対秘密なんだからな」
「やれやれ、俺はディレクターになりたいから、危険を承知でついて行くけど、無事帰れるかなぁ?」
「遺書書いていった方がいいかもな」

     ★     ★     ★

「ねえねえ、鎌田ちゃん!」
 斗南は、ロンガロンガ王国とやらいう国をネットで調べてみた。
 大小20あまりの島々からなる、南太平洋の小国らしい。珊瑚礁あり、火山あり、美しい砂浜あり、密林ありで、観光資源にはことかかない、典型的な南国の楽園だ。首都はモロ。
 戦前には日本に支配されていた時期もあって、日本語の堪能な住民も多いらしい。
 観光産業に力を入れている他、近年はレアメタルの鉱床も見つかり、日本や欧米の資本が流入して小国ながら割と豊かな国のようだ。
「この国の王子様って、軍隊の強化に力を入れてるらしいよ。今も、陸軍、海軍、空軍に加わる傭兵を世界中から募集してるんだって」
「ふーん? まあ、あたしたちには関係のないことよね。でも、その国、王子様がいるのか。王子様って、ちょっと憧れちゃうわよね。あ、もしその王子様に会ったらどうしましょ」
「たぶん、王子様にそっちの趣味はないんじゃないかなあ? あ、ついでに言うと、この国、王女様もいるみたい。王様は病気療養中で、今はそのトゥイ王子がセッセイなんだって」
「……セッセイ……?」
 鎌田は首をひねって、画面をのぞき込む。
「……あなたは、クイズ番組に出しておバカタレントで売るって手もあったわね。その字はセッショウって読むのよ。摂政関白の摂政! 国王とか天皇とかの代理よ」
「まあ、いいじゃない、そんな漢字ぐらい読めなくたって。とにかく、頑張るわよ。この企画で、一気に人気回復よ!」
 最初は嫌がっていた斗南だが、どうやら今は開き直ってやる気を出しているらしい。
「その意気よ、頑張りましょうね!」
 番組側の思惑など、この時点では知るよしもない2人であった。

     ★     ★     ★

 島の老人が、南十字星の輝く夜空を見上げていった。
「どうした、爺様?」
 島の少年が尋ねる。
「星の位置が不吉じゃ」
 老人は少年に説明した。
「ロンガロンガの神々がお怒りじゃ。今の政府が金に目がくらんで、空港を造るじゃの、ホテルを建てるじゃの、レアメタルの採掘じゃのと、島をほじくり返してばかりいるからじゃ」
「爺様、その観光客相手に商売してる身で言われても、ぜんぜん説得力ないんだけど」
「はっ、あれはいいんじゃよ。観光客に見せておるのは、お芝居みたいなもんじゃ。インチキなシャーマンの占いの見せ物じゃからな」
「なんか、理由になってないよ、爺様」
「とにかく、近いうちに、ロンガロンガの島々に大いなる災厄が襲いかかる」
 老人の声と顔は真剣そのもの。
 しかし、少年はあまり信じていないらしい。
「ふーん? じゃあ、また明日な、爺様」
 少年は興味を失って老人のそばを離れていった。
 残された老人は、1人、嘆息する。
「ああ、これはどうにかしないと……しかしいったいどうすばよいのかのう……?」

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「マスターより」
 初めまして、もしくはまたお会いしました、伊豆平成2号です。よろしくお願いします。

 ■行動選択肢
A010500 ロンガロンガの傭兵募集に応じる
(担当:伊豆平成2号/地域:131)
備考:陸海空のどの軍に所属するか明記してください。

A010501 傭兵にはならないが王国に行ってみる
(担当:伊豆平成2号/地域:131)

A010502 芸人として『どこカゲ』のロケに参加
(担当:伊豆平成2号/地域:131)
備考:この行動選択肢を選ぶ場合は、そのPCにどんな芸があるかもお書きください。

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