初期情報/Z000601

Last-modified: 2009-10-01 (木) 03:03:59

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z000601       担当:上原聖
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「おらおらおらぁぁあーっ! どけどけーっ!」
 筋肉質の日本人が日本刀を一度振り回す度に、ソルジャードラゴンが蹴散らされる。
「あれが、佐倉良輝[さくら・よしてる]……」
 【きみ】はその奮戦振りに目を見張った。
 佐倉良輝といえば、草薙でも相当名の知られたベオウルフだ。金次第で世界中の戦地に向かい、ドラゴンを倒す。
 このドラゴン討伐に参加したのは、彼の戦いが見たいと言う理由だった。なぜなら彼は戦地から戦地へと転戦し、同じ場所で二度戦うことがないとすら言われている。
 伝説とまで言われたベオウルフ。
 ただ、悪い癖がいくつかあるとか……。
「おらっ、ぼさっとしてんじゃねェよ!」
 ドラゴンの鮮血に塗れた姿で、それまで最前線で戦っていたはずの良輝がぬっと顔を出した。
「うわっ」
「うわっじゃねェ、お前もベオウルフなら、ベオウルフらしく戦って来い!」
「あなたはどうするんです」
「俺ァ疲れた。もう休む」
「もう休む……って、戦闘中でしょ! まだドラゴンがあんなに!」
「コマンダーは逃げた。残ってンのは血に狂ったソルジャーばっかで、しかも弱ってる。俺が手ェ出すほどじゃねェ。面倒だしな」
 ……そう。相当な面倒くさがりなのだ。
 戦闘中だろうがなんだろうが役目が終わったと見れば回れ右して、自宅代わりのキャンピングカーに戻る。
「お父さん、また途中でやめてきたの? お仕事でしょ!」
「まァそう言うな由香梨、お父さんはなァ、若ェベオウルフに手柄ァもたせるために……」
「お父さんはただ眠たいだけでしょ!」
 確か七歳になるとか言う愛娘、由香梨[ゆかり]に叱られる寝ぼけ声が届いてくる。
 いつもドラゴン退治もそこそこに昼寝をしていると言う噂は本当らしい。
 天下のベオウルフにも弱点があるもんだ……。
 ん?
 【きみ】は気配に気づいて獲物を構える。
 ソルジャードラゴンが牙を剥いて襲い掛かってきた。
 しかし、その身体には良輝の穿った傷跡が。
 これなら倒すのも容易い。
 【きみ】は獲物をドラゴンに突きつけた。

 その晩、町では盛大な宴会が開かれていた。
「さァ、俺の奢りだ。酒でも肉でも好きなだけやりやがれ!」
 そう。佐倉良輝の悪い癖その二。
 先祖代々由緒正しい江戸っ子とやらで、とにかく金遣いがものすごい。ドラゴン退治で得た収入をそっくりそのまま夜の宴会に突っ込んでしまうのだ。しかも【きみ】たちには一銭も要求しない。
「いいんですか? これじゃあ、あなたには一銭も……」
「いいんだいいんだ、なくなったらまた稼げばいいんだからよ、ック」
 一度、ベオウルフとして言ってみたいセリフである。
「あ~いい心地だ。俺ァ寝る。寝るぞォ!」
「お父さん、昼にも寝てたでしょ!」
「あ~由香梨ィ、可愛いなァ。一緒に寝るかァ」
「お酒臭いのはダメ!」
「ありゃりゃ、フラれちまった。フラれちまったぞ。お父さんってのは悲しいモンだなァ、ぇえ?」
「お父さん! 絡んだらダメ! ちょっとお水飲んだほうがいいよ?」
 ゴメンなさい、と小さく頭を下げて、小さな由香梨は大きな父親の手を引っ張って水飲み場へ連れて行った。
 由香梨は二〇〇四年に母親を亡くし、父親と一緒にこのドラゴニック・アワーを生き抜いている。父親譲りならばさぞや凄いベオウルフだろう……と思われているが、娘にはだだ甘の良輝は武器には絶対に触らせない。親族もないとかで、この時代、一番安心なのは自分の傍として、キャンピングカーを背水の陣に娘を守っている。
 娘は娘で、キャンピングカーを自分の守るべき土地と解釈して、父の帰りを待ち、家事や料理で父親を癒している。その料理の美味しさは【きみ】が保証する。
 あんな娘を持つってどんな気分なんだろう、と思いながら、【きみ】も心地よい酔いが回ってきた。

「ふゥ、ん?」
 【きみ】が目を覚ますと、既に酔いから醒めたらしい良輝がノートパソコンをいじっていた。
「どうしたんですか」
「いやァ、いい仕事があるんだなァ、と思ってよ」
「へぇ?」
「日本の喜多路町[きたじちょう]。クリームヒルト・ラボラトリーの有力スポンサーの町長が、ジェネラルドラゴンに狙われたってよ。それで町長さん、度胸があるじゃねェか、逆にその宝玉を手に入れてやるって息巻いて、高ェ懸賞つけてベオウルフ応募しやがった。ジェネラル種のドラゴンの宝玉ってのは、希少価値が高ェからなァ」
「町長が宝玉を?」
「名前くれェは知ってっだろ? 田中兼男[たなか・かねお]ってェ宝石コレクターは、世界に何人もいるもんじゃねェ」
 「宝玉」とは、ドラゴンの体内にある宝石のように美しい石のことだ。それを求めるコレクターも多い。
「じゃあ、依頼を受けるんですか?」
「あんまり由香梨を振り回すのも、かわいそうだしなァ」
 深夜まで続いた宴会に付き合っていた由香梨は、ベッドの中でぐっすり眠っている。
「ま。お前とも短い付き合いだったが、せいぜい手柄立てる前に命落とすような真似はすんなよ。生きてこそ花、だからな」
 由香梨、行くぞ、と声をかけ、良輝はキャンピングカーを発車させた。

 また、あのベオウルフを傍で見てみたい。
 そんな思いが、胸を過ぎった。
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「マスターより」
 どもども。始めましてもお久しぶりも、こんにちは。上原聖[かみはら・せい]と申します。喜多路町で良輝とドラゴン退治をしたい方は、以下の行動選択肢をお選び下さいまし。

A010600 喜多路町でドラゴン退治
(担当:上原聖/地域:117)
備考:喜多路町町民だと言う方、引っ越して来られた方は、町民となれます。

A010601 佐倉良輝と関わる
(担当:上原聖/地域:117)
備考:良輝と初期情報以外の作戦で一緒だったという設定は認められませんのでご注意下さい。喜多路町町民だと言う方、引っ越して来られた方は、町民となれます。佐倉父子はとりあえず腰は落ち着ける模様です。

A010602 佐倉由香梨と関わる
(担当:上原聖/地域:117)
備考:由香梨と初期情報以外で出会ったという設定は認められませんのでご注意下さい。喜多路町町民だと言う方、引っ越してこられた方は、町民となれます。佐倉父子はとりあえず腰は落ち着ける模様です。
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