Z000605

Last-modified: 2009-11-10 (火) 01:52:13

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z000605       担当:上原聖
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 【きみ】は喜多路町[きたじちょう]に住んでいる。
 世界でも有数の資産家である田中兼男[たなか・かねお]町長の下、自衛隊と彼が個人的に雇ったベオウルフ、そして【きみ】のような町民のベオウルフが完璧な守りを築いていた。
 そのつもりだった。

 カッ!
 稲妻が落ちる。
「なっ……なんだあ?」
 【きみ】は飛び起きた。
 窓から外を見れば、逃げ回る人々、炎に包まれた町。
 トリガーを片手に飛び出し、見上げれば、上空を舞う数十頭のドラゴンの群れ。
「馬鹿な!」
「馬鹿も何も現実だ!」
 自衛隊員が叫ぶ。
「くそっ、だからあれだけ町長に宝玉を集めるのはやめろって言ったんだ。きっと、あいつらは恨んで来てるんだ!」
 避難誘導を始めながら毒づく自衛隊員に、【きみ】は内心で同意した。
 研究のためドラゴンの死体を集めるクリームヒルト・ラボラトリーにケチな田中が出資しているのは、ドラゴンの宝玉が目当てだと言う噂があった。
 ドラゴンの宝玉とは、竜の体内から取れる宝石のように美しい石のことだ。
 元々は宝石コレクターだった田中は、ドラゴニック・アワーの始まりと共に宝玉コレクターへと変貌し、クリームヒルト・ラボラトリーやそのほかのベオウルフから宝玉を高く買い取っている。
 もちろん、ドラゴンの恨みを買うのは確実なので、コレクターはベオウルフを個人的に雇えるだけの者に限られる。
 事実、町は襲われた。
「町長の雇ったベオウルフは何やってんだよ!」
「屋敷を守るのに手一杯だと!」
「ベオウルフはドラゴンからみんなを守ってくれるんじゃないのか!」
 町民の叫びが耳に痛い。
 【きみ】自身に町長に雇われている義理がなくても、ベオウルフが町を守りきれていない、その事実だけは確かなのだから。
「消防車! 早く!」
「救急車……くそっ、ドラゴンが道を塞いで通れないだと?!」
 【きみ】は炎上する街中を駆け抜け、砲列を並べて一斉射撃している戦車の前に出た。
 トリガーを抜き、一閃!
 ソルジャードラゴンは怪我を負って舞い上がった。
 代わりにコマンダードラゴンが舞い降りてくる。
 コマンダーじゃ、【きみ】に勝ち目はない!
 だが、コマンダードラゴンは、【きみ】をじろりと睨んだ。
「特別に命は助けてやる。だから町長に言え」
「な……にを」
 冷たい汗が背中を伝う。このやり取りに失敗すれば、【きみ】に明日はない。
「……貴様の集めている宝石をもらう。出せばよし、出さなければこの町は焼け野原、貴様自身も腸ぶちまけて死ぬことになると、な」
「砲撃、よーいっ!」
 背後から聞こえた声に、【きみ】は慌てた。
「馬鹿ッ、ソルジャーならともかく、コマンダーにトリガー以外の攻撃はッ」
「てーッ!」
 戦車が一斉に火を吹く。コマンダードラゴンは、それを全身で受けた。しかし傷一つ負った気配はない。
 大きく口を開くと、雷のブレスを発し、戦車を一掃した。
「みんな!」
 【きみ】の狼狽振りを嘲笑うかのようにコマンダードラゴンは尾の一撃でビルを叩き壊した。
「さあ行け! 行って町長に伝えるのだ! 我らが主は寛容だ、宝石さえ差し出せばこれ以上手出しはせぬとな!」
 コマンダーは翼を広げて舞い上がり、辺り構わず稲妻のブレスを落とす。
 【きみ】は回れ右して駆け出した。
 町外れの、まだドラゴンの攻撃を受けていない(いや、ドラゴンが宝石を無傷で手に入れるため攻撃を仕掛けていない、か?)町長の屋敷へ駆け込み、かくかくしかじかと説明する。
 田中の秘書はすぐに飛び込んでいったが、少しして戻ってきた。
「町長は……宝石と命なら、宝石を優先すると」
「それが町長のやること?! あいつは一人死ねばそれでいいけど、現実に被害を受けてるのは町民なんだよ! その点町長としてどう考えてる!」
「いや……町長はきみも知っての通りの方だから……」
 名代のケチ、しみったれ。そして無類のコレクター根性。
 それを集めると、田中兼男という男ができる。
 ジャッ!
 またブレスで町が焼けている。
 【きみ】はこれ以上問答する必要を認めず、炎の町へ駆け出した。

 ――数時間後。
 自衛隊とベオウルフは、ようやくドラゴンの撃退に成功した。
 しかし、その代償は大きかった。
 町は半壊。火の手は今も残っており、必死の消火活動が進められている。
 自衛隊とベオウルフの活躍によって、町民の死者はいなかったが負傷者は甚大。病院は満杯。
 ベオウルフの被害も大きかった。ほとんどが戦いで傷つき、しばらくは安静を余儀なくされていた。
 残った【きみ】たちは、町外れに召集され、自衛隊と一緒に見張りに着いていた。
「ドケチも青ざめて、クリームヒルト・ラボラトリーに連絡取ったとさ」
 ベオウルフの一人が【きみ】に話しかけてきた。
「そりゃそうでしょ。町長として当然――」
「わかってねぇなあ」
 ベオウルフは、ニヤリと笑う。
「救援依頼ならとっくの昔に全ユニオンに出した。そん中で特別にクリームヒルトに連絡入れたんだよ」
「……何て?」
「ドラゴンの死体、宝玉以外高く買い取れってさ」
「それって……」
「そ。ベオウルフの報酬、俺たちが倒したドラゴンの死体で払うつもりだぜ。さっすがドケチ、自分の懐痛めずに報酬払って宝玉までゲットするつもりだぜ」
 頭がくらくらしてきた。
 町長のドケチっぷり、ここまでとは。
「……その救援が来るまでにこっちがやられちゃってるってことは、ないですよね」
「さぁなあ。こればっかりは時の運だからなあ」
 【きみ】は星空を見上げてため息をついた。
 この町を守る。だけど、あの町長は守れるだろうか?
「シッ」
 ベオウルフたちが頭を上げる。
 ドラゴンの群れだ。
「町に近づけさせんな! ここで食い止める!」
「おう!」
 自衛隊が砲火を並べてドラゴンを引きつけ、ベオウルフがトリガーでドラゴンを倒す。
 今はソルジャーだけだが、弱ったところをコマンダーやジェネラルが出てきたら勝ち目はない。
 何とか救援が来るまで、自分たちだけで守るしかないのだ。
 それが、ドラゴニック・アワーなのだから。
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「マスターより」
 どもども。始めましてもお久しぶりも、こんにちは。上原聖[かみはら・せい]と申します。喜多路町でドラゴン退治をしたい方は、以下の選択肢をお選び下さいまし。

A010600 喜多路町でドラゴン退治
(担当:上原聖/地域:117)
備考:喜多路町町民だと言う方、引っ越して来られた方は、町民となれます。

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