Z001302

Last-modified: 2009-11-10 (火) 23:25:21

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z001302      担当:菅野紳士
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 【あなた】は戦場の真っただ中にいた。
 敵は翼を持つ飛行型ドラゴン。
 竜としては身体は小柄な方だが、とにかく動きが早いのが厄介だ。
 縦横無尽に飛びまわるその動きに翻弄され、【あなた】を含むベオウルフの部隊は、壊滅の危機に瀕していた。
「くそっ……。まるで風と格闘しているかのようだ」
 いらだちを覚えている間にも、また一人、仲間が炎のブレスに焼かれて消える。
「せめて銃の類のトリガーを持っていれば、まだ攻撃のチャンスはあるのに」
 自分の手にした得物を見つめ、【あなた】が毒づいた。
 【あなた】のトリガーは刀。
 切れ味鋭く、手入れも欠かさずこなしてきた一振りの日本刀。これまでのドラゴンの戦いにおいて、幾度となく力を借りてきた頼れる相棒だ。
 しかしそんな相棒でも、空の敵を攻撃することはできない。
「総員退却! 一旦、引き上げろ!」
 仲間の一人が、遠くから叫ぶ。
 目の前にドラゴンを残したまま身を引くのは、ベオウルフとして気が進まないが、確かにこのまま続けたところで全滅は免れない。
 歯痒い気持ちを噛み殺し、やむなく【あなた】はその声にうなずいた。
「分かった。先に安全な場所へ非難してくれ」
「君はどうするつもりだ」
「みんなが逃げきるまでの時間を稼ぐ。幸い、敵の弱点は、こちらのトリガーと一致しているみたいだからね。一人でもなんとか戦える」
「しかし……」
「心配しなくたって、死ぬつもりはないよ。危なくなったら逃げるから。とにかく今は怪我人も含めて、一人でも多く、避難できるようにしたいんだ」
「そうか……。――分かった、君の勇気に頼らせせてもらおう。だが、くれぐれも無茶はしないでくれ」
 仲間たちが走り去っていくのを確認して、【あなた】はドラゴンに向きなおった。
 幸い、弱点がトリガーと一致している、か……。
 相棒を握り直し、【あなた】は下唇を噛む。
 確かにそれは間違いない。戦いの中で、何度か攻撃が当たったときの手応えで確信している。
 しかし致命傷にまで至らないのは、やはり相手が上空にいるからだった。
 いくら弱点となる武器があるとしても、攻撃できなければ意味がない。
「やっぱり、空を飛んでいるのは、ずるいよ……」
 誰に向けるわけでなく、思わずそんなぼやきが漏れた。
「――おい、大丈夫か!」
 そんなとき。ふと、背後から【あなた】を呼びかける声。
「もう残っているのは、あんただけみたいだな」
 ふり返ると、そこに立っていたのは日本刀を携えた、ベオウルフの青年だった。
「あなたは?」
「助っ人だよ。苦戦していると聞いて、応援に来たんだけどよ。ちと、遅かったみたいだな」
 焼け野原となった周囲の状況を見渡し、青年が肩をすくめる。戦いの結果がどうなったのかは、景色を見れば一目で分かる。
「飛行型ドラゴンに手ひどくやられたよ。部隊の中に、遠距離武器のトリガーを持つベオウルフがいなかったんだ」
「飛行型か、確かに切るには少し厄介な相手だな」
「あぁ、だから時間を稼ぐだけして、撤退するよ。あなたも今のうちに逃げた方がいい」
「いや、逃げる必要はねぇ」
 青年が空を見上げ、にやりと笑う。
 その瞳の中に、太陽の淵のなぞるように旋回軌道を描く、竜のシルエットを映して。
「あいつ一体ぐらいなら、倒してから帰ろうぜ」
「えっ?」
 呆けた声をもらした【あなた】をよそに、青年は舌舐めずりを一つ
 鞘に収めたまま柄を握りしめ、腰を低く落とす。居合切りの構えだ。
「ほ、本気で言っているのか。相手は空を飛んでいるんだよ」
 あなたがそう言ったのと同時。上空のドラゴンが金切り声を上げた。
 金属管を空気が抜けていくような、鋭い咆哮とともに放たれるのは、炎のブレス。
 部隊を全滅に追いやった、ドラゴンの必殺技だ。
「危ない、伏せろ!」
 【あなた】が悲鳴にも似た叫びを上げる。
「なにをしているんだ! 早く逃げるんだよ!」
 しかし非難を促す声にも耳を貸すことなく、青年は居合の構えを崩さなかった。
 もう間に合わない。逃げるのは不可能だ。
 そして炎が青年を包み込むかに見えた直後。
 青年は日本刀を抜いた。
 炎を切り裂くように放たれた横一文字の閃光。
 それは一陣の突風となって、本当に炎のブレスを切り裂いたのだ。
「えっ……?」
 風の刃は、そのまま吸い上げられるように空に向かって飛翔していく。
 やがて頭上に浮かぶ竜のシルエットと接触したと思った瞬間。それは空中で真っ二つに切断された。
「一体、なにが……」
 命を失い落下するドラゴンと、青年の顔とを交互に見つめ、【あなた】は唖然と口を開ける。
 確かに青年は、あのドラゴンを切り裂いたのだ。絶対に届くはずのない、刀を使って。
「い、今のは?」
「へへっ、驚いたろ。スピリットにはああいう使い方もあるんだぜ」
 【あなた】の反応に、青年は嬉しそうに鼻をこすってみせる。
「高速で刀を抜き放つことで、真空の刃を作り出すんだ。ベオウルフだからこそ出来る、刀の奥儀だぜ」
「奥儀……。たしか修錬を積んだベオウルフだけが使える技があるって、話に聞いたことあるけど。ひょっとして今のが“ムーヴ”なのか」
「“ムーヴ”か。まあ、大ざっぱに言えば、そうなるな。もっとも、俺はこの技を『真空覇斬』って呼んでいるぜ」
「真空覇斬……」
 思わず、息を飲む。
 刀でありながら、離れた敵に攻撃できる技。
 あの技があれば、今まで以上に強いドラゴンとも戦えるかもしれない。
「じゃあドラゴンも倒したことだし、俺は帰るぜ。あんたも早く仲間のところへ戻りな」
「ま、待ってよ!」
 立ち去ろうとする青年を追いかけ、【あなた】は声を上げる。
 そして迷うことなく、【あなた】が発した言葉は――。

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「マスターより」
 この初期情報ムーヴの紹介用テキストです。各シナリオとは関係しませんので、ご了承ください。

『真空覇斬』
 すさまじい速さの剣撃により、真空の刃を放ち、対象にダメージを与える技です。この技は離れた対象にも攻撃することができます。

■関連行動選択肢
M018800 ムーヴ修得の旅に出る
(担当:???/地域番号:???)
備考:ムーヴ修得のための専用の行動選択肢です。一定の確率でムーヴの修得に失敗します。またムーヴをすでに修得している場合、より修得に失敗しやすくなります。
 希望するムーヴがある場合は、その名前をアクションシートに記入ください。高い確率で希望のムーヴを修得できます。
 なお、無記入や存在しないムーヴ、トリガーの合わないムーヴ名が記入されている場合、修得できるムーヴはランダムとなります。
 また、この行動選択肢のリアクションは、基本的に小説形式ではなく、PCの描写はありません。

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