Z001704

Last-modified: 2009-10-24 (土) 20:23:49

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z001704       担当:外川辛
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 響き渡るドラゴンの咆吼が、針葉樹の葉を揺らした。平時であれば静かな森は喧噪に包まれ、羽を休めていた鳥がばたばたと飛び立っていく。
「ちょろちょろ逃げてんじゃねーぞ、このトカゲ野郎が!」
 カットラスを手にした大柄な青年が、走り回るドラゴンを追う。
「突出しすぎだ、サーシャ。誘い込まれてる可能性も考えようぜ、兄貴」
 よく似た顔立ちの青年が、周囲を見渡しながら冷静な判断を下す。彼らは、近隣に出没し家畜を食い荒らすドラゴンの駆除依頼を受けたベオウルフだった。今のところ出没しているドラゴンはソルジャー種のドラゴン数匹のみだが、彼らが大規模な侵略の斥候部隊である可能性もあるため油断はできない。
「殺るからには確実に、全滅させないとな」
「んな事は言われなくてもわかってら。ああもう、お前あの野郎の足止めでも手伝えよ、ミーチャ!」
 じれったそうに怒鳴る兄に、ミーチャと呼ばれた弟は、やれやれといった表情で手にした杖を振るった。
 ドラゴンの鼻先に、灼熱の炎が生まれる。
「――――!!」
 名状しがたい悲鳴を上げ、ドラゴンが大きく暴れた。闇雲に振り回される前足が、周囲の木々を薙ぎ倒していく。
「……って馬鹿か、これじゃ俺も近づけないじゃねーか!」
「知らねぇよ、自力でなんとかしろや馬鹿兄貴」
「てめぇ……」
 険悪な空気を引き裂いて、乾いた銃声が響いた。
 前足を撃ち抜かれ、ドラゴンが苦悶の声を上げて一瞬うずくまる。
「兄弟喧嘩なら後にしてくれない? 今はあのドラゴンをしとめるのが先決のはずよ」
 付近の茂みから、マスケット銃を構えた女性が顔を覗かせた。その冷ややかな視線に促され、サーシャはカトラスを構え直すと、一気にドラゴンとの距離を詰めた。勢いそのままに、首筋めがけて刃を突き立てる。
「そろそろくたばっとけや、トカゲ野郎!」
 ドラゴンの悲鳴と共に、首筋から大量の血が噴き出す。返り血を浴びながら、なおもサーシャはカトラスの刃を押し込んだ。
 暴れていたドラゴンの動きが徐々に弱くなり、やがて完全に停止する。
「助かったぜソーニャ。ありがとな」
「……返り血でひどい顔。早く洗ったほうがいいと思うけど」
 笑いかけるサーシャに、ソーニャと呼ばれた女性は素っ気なく返すと構えたままだったマスケット銃を下ろした。
「……おい、誰かいるぞ」
 ミーチャの指さした先には、うずくまり震える小さな人影があった。
「子供? このドラゴンに追われていたのかしら」
 それは、見たところ十代前半の少女だった。綺麗な栗色の髪や白い手足は泥と血で汚れ、身に纏った黒いワンピースもあちこちが破れぼろぼろになっている。
「かわいそうに、怖かっただろう……だが、ドラゴンなら俺たちが倒したからな、もう安全だ!」
 精一杯子供向けの笑顔を浮かべた、返り血まみれのサーシャが近づくと、少女は怯えた表情でがたがたと震えた。
「だいじょうぶ、私たちはベオウルフ。あなたの敵じゃないわ」
「こっちの血まみれの熊みたいな奴は怖いだろうけど、俺と彼女は人間だから安心してくれ」
 少女の視線がソーニャとミーチャ、彼らの構えたマスケット銃と杖を順に移動し、最後にサーシャとドラゴンの血染めのカトラスに注がれる。
「大丈夫よ、怖がらないで」
 ソーニャが頭を撫でようと手を伸ばすのを見て、少女は小さく悲鳴を上げると両手で頭をかばった。思わぬ反応に、伸ばしかけたソーニャの手が固まる。
 そろそろと視線を上げた少女は、三人がどう対処したものか考えあぐねている間に立ち上がると、よろめきながらも走り出した。
「あ、待って! そっちにはまだドラゴンがいるかもしれないのよ!」
 制止の声もむなしく、小さなその後ろ姿は森の中に飲み込まれ見えなくなる。
「……行っちゃったわ」
「ううむ、なぜだ!?」
 困ったようにつぶやくソーニャに、サーシャは理解できないといった表情を浮かべる。
「そりゃぁ、血まみれの熊みたいな男が迫ってくれば怖くて逃げ出したくもなるだろうよ」
「なんだと! お前は兄をなんだと思っている!」
 ぎゃあぎゃあと口喧嘩を始める二人に、ソーニャは呆れたように双方の頭をこづいた。
「……だから喧嘩は後にしてちょうだい。あの子、大丈夫かしら。とはいえ、私たちの役目はあくまで近辺のドラゴン殲滅……どうしたものかしらね」
「暇な他のベオウルフに頼んでみる?」
「そうね、それが一番いいのかしら……」

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「マスターより」
 こんにちは、お久しぶりですもしくは初めましての外川辛です。
 こちらは若干レアなシナリオの初期情報となっています。シナリオ全体の動向を知りたい場合はそのほかの初期情報を参照してください。
 なお、この初期情報に登場する三人組が本編に登場する予定は今のところありません。

 今回は基本的にシンプルでストレートなシナリオです。小難しく考えずに頭のネジを少しゆるめてご参加いただくのがちょうどいいと思います。

 注意点をひとつだけ。
 当シナリオでは、NPCと以前からの親しい友人、幼なじみだった、という設定(特別な間柄の設定)は不採用とさせていただきます(自称するのは自由です)。
 自由選択スキル「6301 紅き牙との繋がり」は、もちろん有効ですが、個人的な関係を深めたい場合は純粋にアクションで勝負してくださいませ。

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■関連行動選択肢
A011810 謎の少女を保護する
(担当:外川辛/地域:105)
備考:アクションの内容によっては失敗する可能性が十二分にあります。当初期情報の内容を良くお読みの上、アクションを作成してください。所属ユニオンによる参加制限はありません。

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ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~』の公式?サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。
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