Z002107

Last-modified: 2009-11-10 (火) 01:40:31

     どらごにっく★あわー!
  ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~

初期情報
No.Z002107     担当:竹本みかん
―――――――――――――――――――――――
 北半球では冬に分類してもいい時期だったが、この時期ベトナムは思いの外過ごしやすいものだった。
 バスに乗っていても、窓から入ってくる風が心地よく感じる。
 都市部で見た溢れんばかりのバイクには圧倒されたが、街から離れると徐々にその台数は減り、舗装路からも外れると、対向車とすれ違うことも滅多になくなる。
 ベオウルフである自分がなぜこのベトナムの地に訪れたのか。それはWBAからの派遣募集にこの地があったからだった。
 その要項はとても詳しいといえるものではなかったが、それでもベオウルフを集めている以上は、少なくともドラゴンが出現しているのだろうと判断するしかなかった。
 長旅の末に辿り着いた場所は、想像以上に凡庸な建物で、パッと見たかぎりどこにでもある企業の現地支社だった。
 ここが世界英雄協会ことWBAの支部だと言っても、あまりにもあんまりな外観であるためになかなか信じて貰えそうもない。
 バスに同乗していたベオウルフたちも、互いに顔を見合わせては少なからずの落胆をみせている。
 いつまでも外にいても仕方がないので、一歩建物の中へ入ってみると、もっとあんまりな状態が待ち受けていた。
 おそらく中にはちょっとしたロビーと受付があって、その奧には事務机が並んでいたのだろうけど、書類に本に各種記録媒体の山で埋もれている。
 本当にここはWBAの支部なのだろうか? 実は単なる倉庫なのではないだろうか? そんな考えが過ぎったその時、奧の奧から女性の声がした。
「ん~? 誰かいるのかぁ~い?」
 積まれた書類の山に雪崩を起こしながら、比較的長身な女性が姿を見せた。
 その格好を見たかぎり、どうやらこのWBA支部で努めている人なのは間違いない。
 女性は黒くて長いものの、天然パーマでぼさぼさの頭を掻きながらベオウルフたちに挨拶をする。
「ほほぉー……ようこそ、わざわざこんな辺境へ。1人でも来てもらえればと思っていたので、これは嬉しい誤算だな。そもそも申請が受理されるとは思っていなかったしね」
 どういう意味なのだろう? まるで最初から何も期待などしていなかったという口ぶりだ。
「私は南丈……南丈キイナ(なんじょう・-)。このWBA支部でベオウルフ兼事務員をしてる者だよ。よろしくな……」
 南丈はそれぞれいろんな理由で呆然としているベオウルフたちに向かって、知っておいた方がいい情報を補足する。
「ちなみに、この支部には支部長は不在だ。理由は知らんが心労で長期休暇中……ま、戻ってくる気はないだろうから気にするな」
 どうやらこの南丈が、この支部での実質的な支部長のようだ。
「長旅で疲れているところ悪いけれど、早速キミたちに頼みたいことを伝えておくとしようか」
 そう言うと南丈は、壁際にあった本や書類の山を抱きかかえ、その後ろに存在していたホワイトボードの姿を半分ほど露出させる。
 そして、ボードと書類の山との隙間に手を突っ込んで、ごそごそと手探りでボード用のペンを発見し、おもむろに地形図を書き出した。
「これがこの辺りの地図だ。最近、ここからほど遠くない山岳地帯では、ドラゴンが頻繁に目撃されているんだよ。それも複数で行動しているドラゴンがだ。どうやら組織的に動いている気配があるようなので、もし本当にそうであるのならば、キミたちでドラゴンたちを見つけ出して退治して欲しいんだ」
 ……なるほど。
 いくら戦線から離れているエリアだとはいえ、ドラゴンがこの地を狙っていないとはかぎらない。
 それにしても、いくらなんでも唐突すぎる。本当にドラゴンは組織的に動いているのだろうか?
 いずれにせよ、山岳地帯での警戒は必要だろう。
「それから、ついでなんだが――」と南丈は、とても申し訳なさそうに言葉を続ける。「支部の清掃及び修繕に手を貸してくれる者が欲しいんだ。どうしても私はそういうことに気が回らなくてなぁ。すまないけれど、よろしく頼まれてはくれないか? キミらだって、眠る場所の確保ぐらいはしておきたいだろうし」
 確かに、この支部の建物は多少の修繕が必要で、清掃については絶対に必要だった。
 ドラゴン退治と支部の清掃……行うのならば、どちらかに専念する必要があるようだなぁ、といきなりうんざりさせられる。
 その時だった。
 どこかで微かに電子音が音が鳴っている。
 そのことに気づいた南丈は、再び書類のマンハッタンの間をすり抜け、電子音が止まるのと同時に話し始める。
 どうやら電話が鳴っていたようだ。
「……はい。……はい? ……で、命に別状は? はぁ、ないんですか、それはよかった。……ええ、こちらは構いませんよ。ちょうど人手ならありますし…………ええ、それではこちらで確認しに向かいます。では」
 ガチャンと受話器が置かれたかと思うと、南丈は再び皆の前へと戻って来た。
「すまないけれど、山岳地帯へ向かう者たちはひとつ頼まれてもらえないか? 実は、怪我人の男性が行き倒れているらしい。軽傷ではあるようだけれど、この辺りに病院はないので、とりあえず此処へ運んで休ませてやりたいんだ」
 確かに本当に行き倒れているのであれば、そのままにはしておけない。
 ひょっとすると、ドラゴンに遭遇したのかもしれないし。
「――ということで、支部の清掃もよろしく頼むよ。こんなところへ怪我人を運べやしないだろ?」
 う、うーん……それはちょっと強引だけれど、しないわけにもなぁ……
―――――――――――――――――――――――
【マスターより】
・次回、山岳地帯へ向かう場合と支部で清掃及び清掃を行うとでは、次回行動選択肢が異なりますのでご注意願います。

■関連行動選択肢
A012100 WBAベトナム支部付近の山岳地帯に出現しているらしいドラゴンの確認を行う
(担当:竹本みかん/地域:129)
備考:目的はドラゴンの確認及び、負傷者の回収です。ドラゴンとの戦闘が発生する可能性がありますのでご注意下さい。

A012200 南丈キイナに従いWBAベトナム支部の清掃及び修繕を行う
(担当:河瀬圭/地域:129)
備考:ドラゴンとの戦闘はありませんが、100%安全というわけではありません。

―――――――――――――――――――――――
ここに掲載されている行動選択肢は、『どらごにっく★あわー! ~竜を退治するだけの簡単なお仕事です~』の公式?サイト(本サイト)に掲載されない場合があります。
―――――――――――――――――――――――
個人としてゲームを楽しむための交流の範囲を越えない場合に限り、この「初期情報」の複製、サイトへの転載を許可します。著作権等の扱いについては、本サイトを参照ください。
copyright 2009-2010 ELSEWARE, Ltd.
―――――――――――――――――――――――