手帳
可哀想な身の上の、内向的な女の子。
彼女の指揮使いになるよう頼まれたんだから、しっかり気を配ってあげないとな。
前に研究所でワタリが住んでいる場所を訪ねた時は門前払いを食らったけど、今日はきっといるはずだ!
しばらく粘った末、ようやくワタリが一緒に出かけてくれることになった。
よし、ワタリのことを良く知るチャンスだ!
研究所に行ってワタリと一緒に出かけよう。
どこに行こうかな?
ここはどこ…?
私は誰…?
そうだ、ワタリがウェイトレスになったんだ。
それでワタリが作った「アレ」を飲んで、今ようやく回復したんだ…。
ワタリのバイトは上手くいっているかな?
そろそろ研究所に様子を見に行ってみよう。
研究所からワタリのバイト先に行ってみると、突然モンスターが襲いかかってきた!
だけどワタリは人前で戦いたくないようだ。
仕方がない、先にお客さんを避難させよう!
ようやくワタリが戦い、モンスターを全滅させてくれた。
だけどモンスターを倒すことより、もっと意味のあるものをワタリは手に入れられたと思う。
研究所にワタリに会いに行こう。
ワタリが働いているバーは改修が終わって営業を再開したらしいから、もし研究所にいなければバイト先にいるはずだ。
バーで問題なく働く様子を見ていると、ワタリもある程度成長したようだ。
時間がある時にまたワタリの様子を見に行こう。
…ウェイトレス姿は可愛かった。
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引きこもりの女の子
ここは海底研究所。 以前の一件の後、ワタリは中央庭の招待を拒否してここに住むことを選んだ。 | |
今日はワタリと一緒にパトロールする予定だったが、ついさっきメッセージが届いた。 「出かけたくない、ほうっておいて」 当然ほうっておくわけにはいかない。 | |
指揮使い | ワタリ、いる? |
??? | …いません。 |
指揮使い | …。 |
ワタリ | あ…あの…私…。本当にいません…。今まで来た人はみんな悪い人だったし…。外の人はみんな悪い人だってパパが言ってたから…。 |
指揮使い | 警戒心が強いのは悪い事じゃない…。でも、私はワタリの友達じゃないか…。 |
ワタリ | とも…だち? |
ワタリ | 信じ合う…助け合う…友達…のこと?…わ、私…ちゃんと友達になれるように…がんばります…。 |
指揮使い | いや…特別がんばる必要はない…。自然にやっていればいいさ。 |
殺風景な部屋だ。とても女の子が生活する場所には見えず、キッチンにもほこりがたまっている。 どうやらワタリは、数日に1回しか食事をとっていないようだ。 | |
冷蔵庫に残っている材料で適当にスープを作る。これなら食べやすいだろう。 | |
ワタリ | あ…ありがとう。…確かにちょっと…おなかが空きました。 |
ワタリはスープを前に少々ためらっていたようだが、やがて、おそるおそると口にする。 | |
ワタリ | あぁ…何でだろう…。身体が…暖かくなってくる…。 |
ワタリ | ひょっとして…指揮使い、スープの中に何かを入れたの…?この黄色い千切り…見たこと無い…。もしかしたら指揮使いも…外の悪い人と一緒で…。 |
指揮使い | 千切りのしょうがを入れただけだよ。 |
ワタリ | ご…ごめんなさい…。せっかく作ってくれたのに…私は…。 |
ワタリは慌てながらお椀を再び手に取ると、スープを最後まで飲み干した。 | |
指揮使い | 飲み終わったら一緒にパトロールに出かけよう。 |
ワタリ | い…いやです…。だって…私…みんなに嫌われていて…。 私のこと、カラスみたいに不吉な人だって…。 |
ワタリ | みんな…私のこと嫌いなんです…。石を投げられたり…水をかけられたり…。 |
ワタリ | 私が大好きな色のきれいなお花も…燃やされちゃいました。全部燃やされてしまって…もう、何も残っていません…。 |
このまま話を続けていると、ワタリはまた悲惨な過去の思い出にとらわれてしまうかもしれない。 他のことに注意を向けさせるいい方法はないだろうか? | |
指揮使い | ワタリ、手を出してごらん。これをあげるよ。 |
ワタリ | わぁ…いろんな色…。綺麗…。うん…うん…これ…お花の色と一緒…。素敵…! |
ワタリ | え?あぁぁ…?あま…い…?これは…飴? |
指揮使い | これは今、巷で大人気のキャンディー。 飴だけじゃない、街には他にももっとカラフルなものがある。ワタリならきっと気に入るはずだ。 |
ワタリ | ちまたで…大人気…? でかけたら…買えますか…? いや…や、やっぱり私…ここで…良いです…。 |
指揮使い | これよりきれいなものもたくさんあるよ。 |
ワタリ | でも…私…嫌われてますから…。 |
指揮使い | 安心して。私がワタリを守るよ。誰にもワタリを傷つけさせない! |
ワタリ | あ…。じゃ、じゃあ…。よろしくおねがいします…。 |
ワタリの新しい仕事
再びワタリを訪ねて研究所へ行くと、彼女はそこにいなかった。後日、聞いたところによれば、彼女は今、アルバイト先のバーで暮らしているらしい。 | |
ここは最近評判のバーだ。店内にはキャンディーの硬貨式自動販売機が並んでいる。 ワタリはずっとそれらを見つめている…。 | |
ワタリ | これ、綺麗…。 でも私…お金がないんです。 |
店長 | あーらお嬢さん、ウチでバイトしない? 月給3000Gで食費と家賃はこっちで持つから。働く時間は12時から14時までと、18時から22時まで、3日出勤したら1日休み。社会経験しながら小遣いも稼げるよ。 |
ワタリ | バイトって…あの、バイトですか? まさか…「その類の仕事」? |
店長 | うちは想像するような怪しい商売はやらないよ。パブってね、静かなバーのこと。ちょっと、お酒とかお茶飲みたくなった時に、お客さんが寄ってくるの。 きみに任せたいのは、接客とかシェイク作りとか、簡単なウェイトレスの仕事よ。 |
ワタリ | でも…ウェイトレスなんて…できるわけない…。テレビでしか見たこと無い…。 怖い…帰りたい…。 |
店長 | だーいじょうぶよ。試しに君の思うウェイトレスのイメージに沿って練習しましょ? ほら、きみの友達がお客さんの設定で。わからないことがあったら教えてあげるから。 |
店長が私に目くばせをする。 | |
うん?もしかして私に「やりにくいバーの客」の役をやれ、ということなのか?まあ、やってみるか…。 | |
ワタリ | えっと…その…。 い…いらっしゃいませ…? |
ワタリ | ふえ!? |
ワタリ | なんで…私の手を触るんですか?? |
指揮使い | えへっへっ~、かわいいお姉ちゃん、綺麗な白い手をしているね! どう?一緒に遊びに行こうよ~? |
言い終えると同時に、店長に頭をたたかれた。超痛い。 | |
指揮使い | ただハラスメント対処能力を鍛えていただけなのに…。 |
店長 | うちの店員にセクハラしたらどうなるかって、教えてあげたのよ。 |
ワタリ | 私…帰りたいです…。 |
店長 | 取り敢えず、注文取ってドリンク運ぶところまで、やってみて。 |
指揮使い | えっと…キャラメルラテください。 |
ワタリ | あ…はい。…少々…お待ちください…。 |
ワタリは席を立ち、足早に奥へと引っ込む。 そして、すぐにまた早足で戻ってきた。 | |
指揮使い | …どうしてお菓子のキャラメルを持ってきたの? |
ワタリ | え?違いましたか? ご、ごめんなさい、聞いたことなかったんです。いったいどんなキャラメルと…ラテでしょう? |
店長 | 戸棚にドリンクのレシピがあるから、それを見て作れば良いのよ。 |
ワタリは戸棚へと走り、ずっとレシピを見ていたが… 突如悟ったかのようにポンと手を打ち、そのままなにかを作り始める。 | |
しばらく経って、ワタリが運んできたものは…。 うん…確かにコーヒーであることに間違いはない。 | |
ワタリ | お待たせしました…。あの…カレーダ…テツ? |
店長 | キャラメルラテ。 どうしてそんな工房でしか出てこないような名前。 |
店長 | オーケー、少なくとも見た目は悪くない。初めてとは思えないくらいだ。どうやらコーヒーを入れる才能はあるみたいだね。 |
店長 | ん~…とにかく、友達にどんなもんか試してもらおうか?悪くないとは思うんだけど。 |
うん、味見してみよう。 | |
グルグル…。 …………。 ドスン! | |
店長 | あら、魂が口から飛び出たね。 |
ワタリ | え? レ、レシピ通りに作ったのに…。作ったものも…写真とそっくりなのに…。…美味しくないですか? |
店長 | わお、あなたって特別な才能があるみたいね!よーし決まった、是非うちの店で働いてほしいな。 |
ワタリ | えぇ?わ、私…合格しました…? うぅ…、がんばり…ます。 |
ワタリ | あの…生きてますかー?うー…。起きて下さい~。 |
コーヒーを入れるワタリ
チリンチリ~ン。 | |
ワタリ | あ、いらっしゃいませ。 あ、指揮使いですか。 今日もキャラメルラテ? |
ワタリはうれしそうに淹れたコーヒーを提供する。 見た目はいい。ただ、問題は味だ…。 慎重に一口飲む。 | |
ワタリ | ど、どうです? |
指揮使い | うん、悪くない。味はすごくよくなった! |
ワタリ | 良かったぁ。指揮使いのお口にあって良かった。 私、結構コーヒー入れるのが好きで、一生懸命練習しました。…ほら。 |
店の入口のカウンターにボトルが何本も並んでいて、そのボトルの口にシールが貼られている。 …ボトルには褐色のコーヒーのような液体が入っているが、「危険」の文字が書かれていた。 | |
ワタリ | 最初の頃は失敗ばかりで、 一口飲んだ途端に倒れちゃったお客さんもいました。 |
指揮使い | 飲ませちゃったの!?…無事なら良いけど…。 |
ワタリ | 『おほほ~!きもちいい~!』…って呟く…不思議なお客さんもいました…。 |
指揮使い | その人は…大丈夫そうだね。 まあ、とはいえ…練習をしてこれほど上手にコーヒーを淹れられるようになったんだ。もう店で出しても問題ないのでは? |
ワタリ | 接客はまだ…上手にできなくて、今も…沢山のお客さんに睨まれてるような気がして…。 でも、みんなに嫌われてても…しっかり働いたら…少なくとも…表面上は親切にしてくれますよね?…だったら…悪くないかも…。 |
客 | 店員さーん、おかわり。 |
ワタリ | あの、行ってきます。 |
ワタリがコーヒーポットからおかわりを注ぐと、 緊張のためかテーブルに何滴かこぼしてしまう。 客は笑って許してくれたが、彼女は何度もあやまっていた。 | |
(ピピピ――) | |
晏華 | ほう?コーヒーブレイクとは随分余裕だな。 モンスターの群れがそっちに向かってるぞ。資料はもう送ってやったから、周りの神器使いと協力して奴らを止めたまえ。 |
神器使いの本来の仕事の連絡が入った。 | |
指揮使い | ワタリ、仕事だよ。 |
ワタリ | え?あの…今働いてますけど…。 |
指揮使い | アルバイトの仕事じゃなくて、中央庭の仕事だよ。 モンスターがこっちに逃げ込んでくる。私たちの役割はここで迎え撃つこと。 ワタリならモンスターに対処するのは、接客するよりも簡単だろう? |
しかしワタリは立ったまま動かない。 | |
ワタリ | っ…行きたくない…です…。 |
指揮使い | えっ?どうして? |
ワタリ | だ、だって…みんなの前で…戦いたく無いです…。みんな…怖がるでしょう? モンスターを殺す黒い手って…不吉の象徴でしょう…? もしここで戦ったら、私絶対に怖がられちゃう…! |
ワタリ | せっかくみんなが私のこと認めてくれたのに…。例え…ただの店員としか思われて無くても… 努力して…みんなが親切にしてくれて…。 |
ワタリ | でもみんなが…私の恐ろしい姿を見たら…きっと…誰も近づいてくれない…。 もう…今のままで満足ですから…。みんなとの関係を…壊したくない…です…。 |
まずいなあ…。アルバイトを初めて、ワタリの人間性はずいぶんと変化した。 しかし頑固なのは以前のままだ。 | |
そのとき、表の通りから叫び声が聞こえた。 | |
モンスターたちがやってきたのだ。 | |
指揮使い | わかった。戦いたくないなら、それでいい。だったら、まずはお客さんを避難させよう。 |
ワタリ | わかりました…。 |
突然の襲撃
戦いたくなかろうと、なにもしないわけにはいくまい。 店のお客さんを避難させた後、私はワタリの手を引き外に出る。 | |
ワタリ | 横から…来ます。気をつけて下さい。 |
入口のそばにいた1匹のモンスターが、血が滴る大きな口を開けて向かってきた。 | |
指揮使い | これでも喰らえ! |
私は1杯のドリンクを、その牙の生えた口に流し込む。 モンスターは叫び、もがき苦しんだ。ワタリがバイト初日に作った「コーヒー(危険)」だ。 | |
意外と役に立つ。こんなことなら、もっとたくさん保存しておけばよかった。 | |
ワタリ | これからどこへ? |
指揮使い | ワタリが戦えないなら、逃げるしかない! |
モンスターの数は決して多くないが、街を破壊するには十分だ。 ただ、やつらは破壊することに夢中で私たちにまったく気づいていない。 | |
この隙に、私たちは急いで逃げることにした。途中、モンスターの一匹に見つかったが、勢い余って自ら街灯にぶつかり気絶したため、ことなきを得た。 | |
通行人は、あらかた避難したらしい。だが、建物の中には今も大勢が息をひそめ、恐怖に震えているのだろう。 | |
ワタリ | ごめんなさい…役に立てなくて…。 |
ワタリ | あ…あっちをみてください! |
指揮使い | カフェの店長!?くっ…逃げ遅れたのか! ワタリは先に逃げてくれ、私は店長を助けにいく! |
再びカフェへと私は走る。 | |
自分だけではモンスターと真っ向勝負できない。 それはわかっているが、モンスターの注意を引きつけ、店長を逃がすことくらいは可能なはずだ。 | |
…その時、黒と白の人影が私のそばを駆け抜ける。 ワタリだ!私を追い越し、モンスターの群れに突進していく! | |
ストーリー戦闘開始 | |
ワタリ | ……っ!? |
怪物 | グオオッッ!!! |
ワタリ | 大丈夫ですか…?店長、早くここから離れて…。 |
ワタリ | 敵の数は多くない…けど、閉じ込められている人がたくさんいる…。 どうすれば…。 |
指揮使い | ワタリ!歩道橋にあるエネルギーの結晶を壊すんだ!そうすれば、残りのモンスターは簡単に片付く! |
ストーリー戦闘終了 | |
粉々になったモンスターの死体が通りを埋め尽くさんばかりに散らばっている。 | |
思っていたとおりだ。ワタリの力は、モンスターをコーヒー粉よりも細かく切り刻む。 | |
彼女はそんな死体と瓦礫の中で、一人寂しげに立ち尽くすのだった。 | |
ワタリ | 店長…みんな…ごめんなさい…。 これが…私の本当の姿です…。 |
ワタリ | こんな不吉な姿で…みんなをびっくりさせて…。街もめちゃくちゃにしちゃって…ほんとうにごめんなさい…。 全部私のせいです…責任をとります…。お仕事を辞めて…ここを離れます。 |
ワタリ | ここでバイトをして…みんなが認めてくれて…すごく嬉しかった。 だから…私…その…。 |
ワタリ | ここを離れる前に…さ…最後にお店で…飴を買っても良いですか…? |
だが、顔を土ぼこりで真っ黒にした店長は、こちらに駆け寄り、がっ、っとワタリの手首をつかむ。 彼女は驚き、肩をすくめた。 | |
店長 | 馬鹿なこと言うんじゃないよ。自分を救ってくれた人を怖がるもんか。 礼を言うのはこっちのほうだよ。 |
子ども | そうですよ!ワタリさん凄かったです!あんな怖い化け物も、さらっとやっつけちゃって! あんなに簡単にやっつけちゃうなんて、驚きました! |
会社員 | 本当にありがとう! あのモンスター達の食料になるところだったよ! 君は生命の恩人だ! |
ワタリ | 私の姿が恐ろしいと…思わないんですか…? |
店長 | もちろん思わないさ。怖いと思う子を店員に雇うわけ無いでしょ。 まぁ、初めはダーク系のコスプレが好きな子だって思ってたけどね。 何はともあれ、神器使いに守ってもらえて良かったよ。 |
学生 | 俺はその服、このパプのウェイトレスの制服だって思ったぜ? まさかコーヒーを運んでくれたのが、本物の神器使いとはなぁ。 |
常連客 | びっくりだね!ワタリちゃんの強さを知ったらますます気に入っちゃったよ。 あー、ワタリちゃんとデートしたいな~。 |
私と店長は、容赦なく常連客の頭をひっぱたく。 これが今回の襲撃事件、唯一の怪我人だ。 | |
指揮使い | 前に話したよね。見た目がどうであれ、みんなワタリを嫌いになったりしない。 ちゃんと、ワタリがどんな人なのか知っているからね。 |
指揮使い | ワタリみたいな真面目で良い子が嫌いな人間なんて、ここには一人もいないんだ。 |
ワタリ | 確かに…そのようです。 |
ワタリがほんの少しだけうつむくと、ふさふさの髪の毛が表情を隠す。 | |
どうやら、静かに笑っていたらしい。 |
美しい看板娘
チリンチリ~ン。 | |
店長 | あー、また来たのか。あの子は裏にいるよ。 ご注文は?はいよ、いつものね。 |
指揮使い | かなり繁盛してるなあ。店のリフォームもしたみたいだし。 店内の雰囲気、前とずいぶん違うんじゃない? |
店長 | そうだよ。改修が必要なら、思い切ってスタイルを変えてみようかってね。 店の中だけじゃなくて、他のところも変えたんだ。 |
指揮使い | 他のところ? |
店長 | ふふん、すぐに分かるよ? |
ワタリ | あ、いらっしゃいませ。ご注文の…キャラメルラテでございます。 |
指揮使い | うん、ありがとう。ワタリ、最近―― ブッー!!! |
ワタリ | どうかしましたか…? もしかして、私が入れたキャラメルラテ…また最初のように不味かったですか…? |
指揮使い | そ、その服…! |
ワタリ | 服? これは、新しい制服ですよ。どうかしましたか? …え?え、まさか…似合わないですか? |
指揮使い | いやいやいや、超最高! めちゃくちゃかわいい!世界一かわいいよ! |
ワタリ | やめてください…。 照れちゃう…。 |
なるほど、繁盛していた理由はこれだったのか。 | |
ワタリのような美少女がこんなコスプレをしていれば、それはまさにつつましやかな大和撫子。超最高と言わざるをえない。 | |
メイド服の下からはたくさんの黒い手が伸び、周囲のテーブルのお客さんにひっきりなしにサービスしている。 そのうちの何本かはコーヒーがこぼれたテーブルと私の服を拭いていた。 | |
これは普通のバーでは絶対に見られない光景であろう。 | |
ワタリ | えっと…私…指揮使いのおかげで、 ここに残ることができました。 |
ワタリ | 指揮使いがお友達で…良かったです。 |
ワタリ | だから…その…。これからも困っていることがあったら…私は…全力でお手伝いします。 |
指揮使い | そっか、ありがとう。 けど、まずはコーヒーを淹れなおしてほしいな。ほとんどこぼれちゃったからね。 |
ワタリ | はい…少々おまちください。 う~。今日はコーヒー豆が切れました…。 で、でも…指揮使いは飲みたいって言っていたので…どうしよう…。 |
ワタリ | あぁ…この瓶の中に…コーヒーが残っているから…これを… |
ワタリ | はい、指揮使い。ちょっと…冷めましたけど…温めますか? |
指揮使い | 大丈夫、これでいいよ。 |
グルグル…。ぐぅ!? こ、この味は…! バタン! | |
ワタリ | え?えぇ~…。ひえぇ~~…。 ひょ、ひょっとして…そのコーヒーが…。 |
ワタリ | う~。またやっちゃいました…。 |
店長 | おっと…どうやら店に残ってる化学兵器を、片付けなきゃならないようだね。 |