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Last-modified: 2009-04-14 (火) 17:53:04

エイリーク 「困りましたね、帰り際に雨が降るなんて・・・」

校舎の下駄箱で靴を履き替えながら困り果てた表情のエイリーク、外は嫌になるぐらいの大雨である
これが他の男兄弟だったら傘立てから使えそうな放置傘でも拝借するのだろうが、彼女にはそんな考えは浮かばず・・・どうするか思案していると

ヒーニアス 「エフラムの妹か・・・確か」
エイリーク 「貴方は確か、ヒーニアスさんでしたね。エフラム兄さんのお友達の」
ヒーニアス 「友達・・・好敵手に近いだろうが、今日も手合わせを終えて帰る所だしな、なんだ・・・待ち人か?」
エイリーク 「いえ・・・傘がないので、エフラム兄さんはまだ中に?」
ヒーニアス 「いや、奴なら槍の手合わせ中に『腹が減っては戦はできん、帰る』と・・・まったくふざけた奴だ、もう少しで奴が勝ちを納めた物を。時折奴がわからん時があるな」
エイリーク 「兄さんらしいと言うか・・・」
ヒーニアス 「アイツの事だ、私が無様に負ける姿を観客に見させないよう貸しでも作ったんだろうが、槍の腕は認めてやらん事もないしな・・・・・持っていけ」
エイリーク 「これは・・・傘?」

ヒーニアス 「これで貸し借り無しだ、アイツにそう伝えておいてくれ。エイリーク、さらばだ」
エイリーク 「ぁ・・・・・走って行ってしまわれましたね、二人とも無器用といいますか」
エフラム 「俺はそんなに無器用か?エイリーク」
エイリーク 「っ!いきなり後ろから声かけないで下さい」
エフラム 「教室に傘を置いてなかったか探してたんでな・・・まぁ、その傘に俺が入る訳にはいかんな。気を付けて帰れよ」

エイリーク 「変に似たもの同士と、男の友情という物でしょうか」
ロイ 「強敵と書いて親友っていう奴だよ、傘届けに来たけど大丈夫そうだね」
エイリーク 「ロイ?難しい世界です。すみませんね、傘届けでお手数かけて・・・一緒に帰りますか」