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Last-modified: 2007-06-14 (木) 22:22:36

ロイ   「『銀の髪の乙女』の人気が高まった結果、テレビアニメが製作されることになったんだって」
リーフ  「世の中何が当たるか分からないなあ」
ロイ   「もうすぐ放映の時間だから、見てみようよ」
ミカヤ  「なんだか恥ずかしいわね」
ロイ   「ところで姉さんはもう見せてもらったの?」
ミカヤ  「ううん、ほとんどノータッチだから、実際に見るのは今日が初めてで……」
リーフ  「あ、始まったみたいだよ」

ミカヤ? 「わたしミカヤ。テリウス小学校に通う(ダキュンダキュン!)歳!」

リーフ  「なんか銃声で修正入ったよね今!?」
ロイ   「というか、明らかに三桁数字だったような……」
リーフ  「いや、いくらミカヤ姉さんでもそこまで」
ミカヤ  「……そんな、どこから漏れたの……!?」
リーフ  「本当に三桁なんですかあんた!?」
ロイ   「ところで、魔女ッ娘ものなんだねこれ」
リーフ  「ランドセルは絵面的にきつすぎますよ姉さん……」
ミカヤ  「だからわたしはノータッチだと」

ユンヌ  「あ、大変よミカヤ。なんだか暗い顔をしてるお兄さんがいるわ」
ミカヤ  「よーしっ、魔法の力で助けてあげましょう」

リーフ  「あ、なんか呪文唱え始めた」
ロイ   「古代語みたいだけど……姉さん、分かる?」
ミカヤ  「さ、さあ……それっぽく誤魔化した適当な言葉、みたいだけど」
リーフ  「そうなんだ……なんだか作りこみが甘いんだね」
ミカヤ  (何なの今の古代語! 
       『ラブラブな恋に憧れる普通の女の子達がこっそりアクセスしているサイトがここ!』
       ってスパムメールの文面そのままじゃない! どうせ誰も分からないだろうからってなんていい加減な)

ミカヤ? 「お兄さんお兄さん」
ゼルギウス「き、君は?」
ミカヤ? 「わたし魔女っ娘ミカリン♪ 地球に修行にやってきた、魔法の国アスタテューヌのお姫様よ!」

リーフ  「……」
ロイ   「……」
ミカヤ  「なんで気まずそうに目をそらすの二人とも! わたしはノータッチなんだから……」

ミカヤ? 「なるほど、お兄さんは昔背中のかさぶたを笑われたせいで、対人恐怖症になってしまったのね」
ゼルギウス「うむ。出来るならば世のため人のために働いてみたいのだが、どうしても人前に出ると足が竦んでしまって……」
ミカヤ? 「困ったわね。どうしたらいいのかしらユンヌ」
ユンヌ  「ミカヤ、あれをあげたらどう? アスタルテ様にもらった、あれ」
ミカヤ? 「そっか、あれがあったわね。お兄さん、いいものをあげるわ」
ゼルギウス「?」

リーフ  「あ、場面切り替わった」
ロイ   「さっきのお兄さんの家の前みたいだね。ああ、綺麗な女の人がいかにも悪そうな人たちに襲われている!」

ディアドラ「いや、離して! わたしは精霊の森に帰らなければならないの!」
ガンドルフ「へへへ、いいじゃねえか姉ちゃん。ちょっと付き合って……な、なんだこの音楽!?」

 デーッデッ! デーッデッ! デーッデーッデッデッー! (漆黒のテーマ)

リーフ  「なんか凄いおっかない音楽なんですけど!?」
ロイ   「正義の味方が登場って感じじゃないねこれ」

漆黒の騎士「(ガラッ)待て」
ディアドラ「……」
ガンドルフ「……」

リーフ  「お姉さんも悪役も固まっちゃってる!」
ロイ   「そりゃ、あんな普通の民家からあんなごつい黒鎧がテーマソングつきで現れるなんて、誰にも予想できっこないよ!」
リーフ  「あ、そんなことしてる内に黒鎧が悪役をやっつけて……」

ガンドルフ「ちくしょう、ナンパには失敗するし民家から鎧は出るし、俺はなんて不幸なんだ……」
漆黒の騎士「……」
ディアドラ「……あ、あの……」
漆黒の騎士「肌が汚れている」
ディアドラ「は、はい?」
漆黒の騎士「(スッ)このハンカチを使われよ」

ロイ   「あの頑丈な鎧のどっから出したのそんなの!?」
リーフ  「紳士的な行為なのに絵面的にいろいろ台無しだよこれ!」
ロイ   「ああ、女の人が若干引き気味にハンカチ受け取ってる……」
リーフ  「やたらと反応がリアルなアニメだなあ」

  デーッデッ! デーッデッ! デーッデーッデッデッー! (漆黒のテーマ)

リーフ  「そして悠然と去る黒鎧、か」
ロイ   「あ、また出てきたよ魔女っ娘ミカリン」
リーフ  「ホントだ、割と恥ずかしいコスチュームの魔女っ娘ミカリンだ」
ロイ   「いろいろ考え直せと言いたくなるデザインの、魔女っ娘ミカリンだね」
ミカヤ  「お願いだからあんまりその名前言わないで二人とも……」

ユンヌ  「やったねミカリン! これであの人も人前に出られるよ!」
ミカヤ? 「そう。人前に出るのが恥ずかしい人は、とりあえず顔を隠せばいいのよ!」

リーフ  「根本的な解決になってないよこれ!」
ロイ   「本当に子供向けなんだろうか……ああ、そうこうしてる内にエンディングテーマが流れて……」

ミカヤ? 「それじゃ皆、来週もこのチャンネルに、グリーン・ウィンッ」

 ドゴォッ!

ロイ   「うわぁ、ミカヤ姉さんが撃ったレクスオーラでテレビが壊れて、ついでにリーフ兄さんが巻き込まれたーっ!」
リーフ  「……こ、この人でなしーっ……」
ロイ   「リーフ兄さんの根性は認めてあげるけど!」
ミカヤ  「……ちょっと、テレビ局に行ってくるわ……」
ロイ   「い、行ってらっしゃい……」

 翌日、テレビ局とアニメ製作スタジオの人間が皆石化しているのが発見された。
 これを受けてロプト工房(株)ではキアの杖を急遽大量生産することとなったそうである。

 なお、「魔女っ娘? ミカリン」はこの一話を以って早くも打ち切りとなり、
 スポンサーの気まぐれでごく少数だけ生産されたDVDには物凄いプレミアがつくこととなったそうである。

便乗ネタ1-331