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Last-modified: 2007-06-16 (土) 12:36:14

フォデス様が見てる

 

エリンシア 「困ったわねえ」
ロイ    「どうしたのエリンシア姉さん」
エリンシア 「あ、ロイちゃん。実は、エイリークちゃんがお弁当を忘れていってしまったのよ」
ロイ    「お弁当……ああそうか、今日部活で朝早かったんだっけ、エイリーク姉さん」
エリンシア 「そうなの。きっと急いでいたのね」
ロイ    「じゃあ、僕が届けてこようか」
エリンシア 「ありがとう、いつもごめんなさいね」
ロイ    「ううん、気にしないで。それじゃ、行ってきます」

ロイ    「……と言っても、エイリーク姉さんの学校に行くのは初めてなんだよね……確か、聖ルネス女学
       院とかいうところらしいけど……あ、ここか。綺麗なところだなあ、僕の学校とは大違いだよ」
リノアン  「ごきげんよう」
ロイ    「!! こ、こんにちは」
リノアン  「聖ルネス女学院に、何か御用ですの?」
ロイ    (凄い……この人の周囲に気品に満ちたお嬢様オーラが漂っている! 僕なんかとは生まれも育ち
       も段違いだぞ、これは。エイリーク姉さんはこんな人たちばかりの学校に通っていたのか)
リノアン  「? どうかなさいました?」
ロイ    「あ、いえ。えーと、姉にお弁当を届けに来たんですけど」
リノアン  「まあ、そうですの。それで、お姉様は何という方なのでしょう?」
ロイ    「はい。えーと、エイリーク」
リノアン  「!! エイリーク!?」
ロイ    「は、はい、そうで」
マリア   「エイリークですって!?」
ティナ   「弟さんが来てるの!?」
マリーシア 「どこどこ、ねえどこ!?」
ロイ    (うわ、なんだ……きゅ、急に人だかりが……)
マリア   「この子が……」
ティナ   「ねえねえ、あなたのお名前、何ていうの?」
ロイ    「ろ、ロイですけど……」
マリア   「きゃーっ、エイリークお姉様の弟だけあって、すっごく可愛い子」
マリーシア 「よろしくねロイ君」
ロイ    「は、はあ……(何なんだこの熱烈な大歓迎は……)」
リノアン  「もう……騒ぎすぎですよ皆さん。ルネス女学院生たるもの、いかなる時にも慎みを失ってはいけ
       ません」
三人    「はーい!」
リノアン  「それでは、どなたかエイリークさんを呼んできて頂けますか? 彼女は演劇部の部室にいると思
       いますから」
マリア   「わたし! わたしが行きます!」
ティナ   「ちょっと、あんたずるいわよ抜け駆けなんて!」
マリーシア 「と、二人が争ってる間に……お先ーっ!」
二人    「ちょ、待ちなさーいっ!」

ロイ    「……」
リノアン  「ごめんなさいね、驚かれたでしょう」
ロイ    「は、はあ……あの、ウチの姉さんは一体……」
リノアン  「今のをご覧になればもうお気づきでしょうが、エイリークさんは聖ルネス女学院の中でも特に人
       気の高い方ですのよ。下級生には『エイリークお姉様』と呼ばれて慕われておりますわ」
ロイ    「お、お姉様、ですか」
リノアン  「ええ。市井の出にも関わらず、並の貴族の娘よりも立ち振る舞いが華麗で、洗練されていて……
       演劇部に所属しておりますけれど、彼女が舞台に上がると、それはもう周囲に華が咲いたかのよ
       うな美しさですわ。成績優秀スポーツ万能、ピアノやヴァイオリンも優雅に弾きこなすお姿には
       誰もが心を奪われます。それでいて少しも偉ぶったところなく誰にでも分け隔てなく優しい態度
       で接する……加えて、あの凛とした美貌。我が学院の星とも評される、素晴らしい女性ですわ」
ロイ    「……ソウナンデスカ」
リノアン  「ええ。あら、エイリークさんがいらっしゃいましたわね」
エイリーク 「ロイ、ごめんなさいね、朝急いでいたものだから……あら、リノアン先輩。ごきげんよう」
リノアン  「ごきげんよう、エイリークさん。それでは、私は失礼いたしますわ」
ロイ    「……あの、姉さん、その衣装……」
エイリーク 「あ、これは……今度、ロミオとジュリエットのロミオ役を演じることになっていまして……ふふ、
       なんだか恥ずかしいですね」
ロイ    「……いえ、すごくお似合いですよ。むしろ似合いすぎなぐらいですよ」
エイリーク 「ありがとう。本当にごめんなさいね、わざわざこんなところまで」
ロイ    「いえいえ。それでは、僕はこれで」
エイリーク 「ええ。帰り道、気をつけてくださいね。本当にありがとう」
ロイ    「はい。ええと、ご、ごきげんよう」
エイリーク 「ええ、ごきげんよう。姉上たちにもよろしくお伝えくださいね」

ロイ    「……ただいま」
ヘクトル  「エフラム、てめえ俺が残しておいた煎餅食いやがったな!」
エフラム  「テーブルの上に放置しておく方が悪い。大体しけっていて食えたもんじゃなかったぞ」
リン    「マルス、あんた、またチェイニー君けしかけてオグマ先生をからかったそうね!」
マルス   「ハハハ、僕はロリコンに天誅を下してやったまででででで! 痛いですリン姉さん、新技の実験
       台は勘弁して下さい!」
リーフ   「いいんだよエリウッド兄さん、僕なんかどうせ薄っぺらい葉っぱ君なんだ」
エリウッド 「リーフ、頼むからそんなに落ち込まないでくれよ……ああ、胃が痛い……」

ロイ    「……」
エリンシア 「あらロイちゃん、お帰りなさい。お弁当届けてくれました?」
ロイ    「うん……あのさエリンシア姉さん、変なこと聞くんだけど」
エリンシア 「はい?」
ロイ    「エイリーク姉さんって、本当に僕らと血が繋がってるんだよね……?」