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Last-modified: 2008-05-22 (木) 22:00:04

151 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/04/09(水) 21:41:48 ID:phKZOz/e
ルネス女学院にて

ラーチェル「ターナ!大変ですわ、これを見てくださいまし」
ターナ「どうしたのよ?学園新聞じゃない・・・ってえええ?!」

緊急スクープ!!仮面の騎士の正体ついに発覚?!
 ルネス女学院の護り神、仮面の騎士の正体はずっと謎とされていた。
 しかし、この度我々取材班総力挙げての検証の結果、ついにそのベールがはがされる時がきたのだ!

 常々疑問に思っていたというH氏(仮名)はこう証言した。

 H:まず、この謎の男がいるとき、常に彼女の姿がないことに気づいた。私はいつも彼女を護ろうと探していたからな。
――助けてもらうためじゃないんですか?
 H:うるさい。そんなある日、あの男の剣術に妙な既視感を覚えたのだ。そこで家に帰って秘蔵の彼女のアルバムを・・・
――つまり盗撮ですか?
 H:うるさいと言っている。そのアルバムとだな、見比べたのだ。見事に一致していた。認めたくはないが・・・

 我々の過去の記事とH氏提供の写真や映像と比較した結果、これはほぼ同一人物に間違いないとされた。
 剣技、身のこなし、醸しだす雰囲気、全てがほぼ一致している。

 それは、我らが学園の華、エイリークである。
 以前、その仮面の騎士と熱愛報道がなされたこともあったが、誰もその現場を目撃したことはない。
 ならばあれは偽装工作なのではないか?ならばその後なんの音沙汰もないこともうなずける・・・

ラーチェル「・・・ここまで検証されるとは思いもよりませんでしたわ」
ターナ「ええ?どうするのよ・・・本人は知ってるの?」
ラーチェル「いえ。しかし、生徒たちの間では少しずつ噂が広がっているようですし・・・」
ターナ「そうだ!誰かに仮面の騎士の演技を頼んでみるの!エイリークと一緒にいるところをみんなに見せるのよ」
ラーチェル「しかし、彼女の真似を完璧にできる人などめったに・・・」
ターナ「ええ。剣技や身のこなしまでコピーするのは普通の人ならできないわ。ただ一人を除いて、ね」

数日後 ルネス女学院中庭

エイリーク「ラーチェル遅いですね・・・。しかし一体どうしたのでしょう、急に呼び出したりして」

そのとき、校舎の向こうから聞こえてくる悲鳴。そして頭上を音もなく飛び交う蛇竜たち。
中庭にいたせいで空が見えず、すぐ近くにまで来たのに気づかなかったのだ。

エイリーク「これは・・・早く行かなければ・・・!」
ヴァルター「おっとエイリーク、動くな?」
エイリーク「あなたはヴァルター!いつの間に?」
ヴァルター「愚問だな?お前の背後にずっといたのさ。ははは、今日こそ手中に収めて見せるぞ、ルネス女学院!」

152 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/04/09(水) 21:42:22 ID:phKZOz/e
生徒「ちょっと触らないでよ!今に騎士様がいらっしゃるんだから!」
生徒「そうよそうよこのケダモノ!」
ゲブ「貴様ぁ・・・」
ダミヤン「静まりたまえ、生徒諸君。見るがいい、これを」
生徒「あ、あれは・・・!」
生徒「エイリーク?!」
生徒「じゃあもし噂が本当なら・・・」
ヴァルター「面白い話を聞いたぞエイリーク。お前があの仮面の騎士らしいな?」
レイドリック「グハハハハハハハ!ゼトとサレフは修学旅行の下見で出張!ヒーニアスは盗撮容疑で拘留中!」
ダミヤン「終わりなわけなのだよ、騎士であるエイリーク、お前さえ押さえれば!!」
生徒「本当にあのエイリークが仮面の騎士なの・・・?」
生徒「でも、確かにいつもならすぐに現れてくださる騎士様が今日は来ない・・・」

エイリーク(・・・みんな・・・。仕方がありません、正体を明かしましょう)
     「みなさん!私は・・・」

???「俺が何だって?」

彼らの目の前に一匹の蛇竜が降ってきた。乗り手は失神している。そしてその上に立っていたのは・・・
エイリーク「?! え?!」
彼女がうろたえたのも無理はない、なんと仮面の騎士その人が彼らの前に立っていたのだ!
レイピアを携え凛とたたずむその姿は、まさしくエイリークに生き写しであった。

仮面の騎士?「そこの令嬢を離してもらおうか、下賎なワカメ騎士よ」
ヴァルター「ふん・・・デマだったか。しかし面白い。せいぜい楽しませてくれよ?」

エイリークを押しのけるとヴァルターは蛇竜に跨り空を蹴った。上空へ舞い上がり急降下するつもりらしい。

エイリーク「(いけない!並の使い手ではあの剣であの男を倒せない!)騎士様!私がその男の相手をいたします!」
仮面の騎士?「・・・レ、レディ。私の腕はか弱い乙女にケダモノの相手をさせるほど、頼りなくみすぼらしいものですか?」

そう告げるとウィンクしたようにエイリークには見えた。
そして急降下してくるヴァルターに顔を向けた。
上空からの強烈な槍の一撃、華麗な身のこなしで避けた仮面の騎士は、すばやく必殺の突きの一撃を繰り出した。
ヴァルター「ぐ、がぁぁぁ!!」
仮面の騎士?「こんなものか。さあ、仕上げにとりかかろうか!」
そう叫ぶとバタバタと敵を切り倒していく。

生徒「あの華麗な突きは、間違いなく騎士様!」
生徒「ああ!助けに来てくださったのね!!」
ゲブ「な、なんだとぉ・・・撤収!撤収だぁ!!」
ダミヤン「く・・・喜びたまえ、稀有なる幸運を」
レイドリック「仕方があるまいっ・・・・!!」

エイリーク「あ、あの・・・」
仮面の騎士?「あなたの勇敢な言葉に俺は心を打たれました。が、どうか無理はなされないで。
       もしあなたの身に何かあったなら、私はふがいないこの両腕を切り落とさねば気がすまない」
エイリーク「待ってください!貴方は・・・貴方は一体何者なのです?!」
仮面の騎士?「さあ・・・。私は可憐な碧い薔薇の笑顔を守りたいだけの棘にすぎません」
エイリーク「しかし・・・!!」
仮面の騎士?「ではまた、運命が我々を導いてくれることを願って・・・」

仮面の騎士はリワープの魔方陣に包まれたかと思うとふっと消えた。

エイリーク(あの剣術・・・身のこなし・・・一体誰が・・・?!
      それにしても・・・なんなのでしょうこの不思議な気持ちは・・・)

153 名前: 助けて!名無しさん! [sage] 投稿日: 2008/04/09(水) 21:42:54 ID:phKZOz/e
ターナ「おかえりなさい、お疲れ様!」
仮面の騎士?「・・・・・・・一体誰なんだこいつは一体!!」
ラーチェル「まあ、落ち着きなさい。それにしてもさすがですわ。
      リオン殿の薬でちょっと身長を縮めただけで、完璧に再現できましたわね。」
仮面の騎士?「見たか?!エイリークのあの顔・・・くそ、絶対に決着をつけてやる、仮面の騎士め」
ターナ「でもありがとうエフラム、助かったのよ。本物は今どうしても離せない用事があるって・・・
    不在がバレたらすぐにあいつらが来るって言われて、代理人を探すように頼まれたの」
ラーチェル「それにしても貴方は槍専門でしょう?剣も使えましたの?」
エフラム「使えるも何も、エイリークに剣を教えたのは俺だぞ。今じゃすっかりあいつのほうが強いがな」
ラーチェル「それじゃあ報酬の"騎士殿に決闘をしたい旨を伝える"件、確かに引き受けますわ」
エフラム「ああ、頼む。・・・言っとくが、もう絶対やらないからな。これ以上こいつの株を上げてやるものか!!」

エイリーク「ターナ!ラーチェル!!」
ターナ「エイリーク!無事?」
エイリーク「ええ、みな無事です。・・・それより!あの方は一体誰なのです?!」
ラーチェル「『あの方』とは?」
エイリーク「とぼけないで下さい!仮面の騎士です!本当に私にそっくりでした・・・。一体誰が代役を?」
ターナ「それがね、よくわからないの」
ラーチェル「私たちが気づいたときには既に・・・。こに一式も脱ぎ捨てていかれたようで、ってエイリーク?どうしたんですの?」
エイリーク「・・・・あの方から何かを感じました・・・私はどうしてもあの方にもう一度お会いしなければならないような気がするのです・・・」

ターナ「うまくいったわね。ヴァルターたちに情報を流してわざと襲撃させ」
ラーチェル「エイリークをわざと捕まらせてみんなの前で、仮面の騎士に助けて頂く作戦」
ターナ「でもホントにエイリークに本当のこと黙ったままにしちゃうの?」
ラーチェル「だって、そのほうが楽しいじゃありませんか!」

その後噂は解消され、エイリークの疑惑は晴れたそうな
しばらくあれは誰なのだろうと悶々とした気持ちを抱えていたエイリークだったが
エフラムがある日ぽろっともらしてしまい、安堵のため息をついたそうな

おしまい