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Last-modified: 2008-10-07 (火) 20:42:27

前半12-35

 

77 名前: 潔白の証明 第5章 [sage] 投稿日: 2008/07/19(土) 03:22:27 ID:39ChjcuP
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第5章 神の策略

―その日の夜、兄弟家
リン   「誤解された(ビシッ)、あれじゃあ完全にケント先輩に誤解されたわ(バシッ)」
リン   「なんか、どんどん深みに嵌っていく気がする(ドゴッ)。おまけにKINSHIN疑惑まで追加されて(バゴッ)。本気で何とかしないと(ミシミシ)私の青春真っ暗よ!!(ボキッ)」
マルス  「あ、あの~お姉様。そ、そろそろボクに対する折檻をやめていただかないと、お姉様の青春の前に、ボ、ボクの人生が真っ暗に・・・って、ギャー」
リン   「今のアンタに命乞いをする権利は無いわーーー」
マルス  「アギャァァァァァ」

リン   「処刑完了。はぁ、それにしても、本当にどうしよう?」
エフラム 「どうするも何も、堂々としていればいい。俺も日頃から幼女好きと呼ばれているが、何一つ気にすることなく、今日もミルラ達と(以下略)」
リン   「エフラム兄さんと違って、私のは誤解なの!!」

セリカ  「強情ねぇ、早くカミングアウトしちゃえばいいのに」
アルム  「そうだよ、そうすれば人前でも堂々と愛し合えるようになるから、僕ら2人のようにね」
リン   「だから私のは誤解だっていってるでしょ!!」

リーフ  「うーん、リン×フロも捨てがたいけど、僕としてはやっぱりおねいさんとの絡みを希望かな」
リン   「リーフ、今宵のマーニ・カティはラグネルよりも切れるわよ」
アイク  「む、それは是非とも手合わせを願いたいな」
リン   「今は自重して」

セリス  「もう、みんなリン姉さんをからかったら可哀相だよ。大体、友達のことが好きだなんて当たり前でしょ。ぼくだってユリウスのこと大好きだし」
リン   「セリス、今だけはあなたの優しさが私を傷つけるの」

エイリーク「リン、疑惑をかけられるというのは辛いものですね。私も以前から胸が小さいとの疑惑が」
エイリーク除く兄弟家全員「いや、それは正真正銘、疑 い の 無 い 真 実だから」
エイリーク「なにも、一糸乱れぬ斉唱で否定しなくたって・・・orz」

リン   「うちの家族も半分以上が私を百合扱い・・・。こうなると私一人の力じゃ疑惑を晴らすなんて無理ね」
リン   「でもどうすればいいの?こんな状況を打破できる人なんて・・・あ・・・」
リン   「いた、一人だけいた。あの人なら、あの人ならきっと私に知恵を授けてくれる!!」

リン   「シグルド兄さん、PC借りるわよ」
シグルド 「ああ、構わないよ、好きなだけ使ってくれ(ニコニコ)」
セリカ  「シグルド兄さんって本当、KINSHIN以外には優しいわよね・・・」
78 名前: 潔白の証明 第5章 [sage] 投稿日: 2008/07/19(土) 03:23:18 ID:39ChjcuP
2/3

―シグルドの部屋
リン   「ええっと、確か紋章町公式サイトの1コンテンツだったはずだけど・・・あったわ、『紋章町行き倒れ者リスト』。この中に絶対あの人がいるはず」

リスト1
  女性
発見場所
  テリウス区
特徴
  ・紫色の髪をした魔道士の少女。
  ・空腹らしく「お腹がすきました」とうわ言の様につぶやいている。

リン   「これじゃない」

リスト2
  男性
発見場所
  竜王家前
特徴
  ・赤い長髪の男性。
  ・体の至る所に強力な光魔法を受けた痕跡あり。
  ・「ひどいや、ユリア」とうわ言のようにつぶやいている。
  ・竜王家との関係が推測されるが、当の竜王家は関係を否定。

リン   「これでもない」

リスト3 
  男性
発見場所
  ユグドラル区
特徴
  ・ふ、俺よりすごい行き倒れはいねぇよ、この世界ひろしといえどもな。

リン   「ひろしキターーーーーーーー」

リスト4
  性別不詳
発見場所
  エレブ区
特徴
  ・年齢、性別一切が不詳。
  ・エレブグランドホテルで保護中。

リン   「年齢、性別一切が不詳、これだわ!!」
リン   「今はエレブグランドホテルで保護中って相変わらず行き倒れなのに運がいいわね」
リン   「でもこれで間違いないわ。ちょっと出かけてきます」
セリス  「いってらっしゃーい」
79 名前: 潔白の証明 第5章 [sage] 投稿日: 2008/07/19(土) 03:23:57 ID:39ChjcuP
3/3

―エレブグランドホテル前
リン   「ここが、エレブグランドホテルね。とりあえず、受付に聞いてみないと」

―受付
リン   「すみません、ここで行き倒れの方を保護していると聞いたのですが。はい、私の知り合いなんです、あの、面会とかできませんでしょうか?」

―最上階スウィートルーム
リン   「マーク、やっぱりマークね。久しぶり、もう、あなたったらまた行き倒れたのね。」
リン   「そのくせしっかり保護されるんだから、本当に不思議な人。でも元気そうで良かった」
リン   「え!?何か相談があるんじゃないかって・・・ふふふ、やっぱりあなたは何もかもお見通しね。実は・・・」
リン   「ということで、私の百合疑惑をなんとかしたいの。でも、どんどん深みに嵌っていって」
リン   「お願い、マーク、神軍師と呼ばれたあなたの知恵を私に授けて」
リン   「え、策がある!本当、さすがマークね。で、一体どんな策なの?ええ、そんなことを!?」
リン   「うん・・・でもそうね、たしかにそれが最も効果的ね。私はあなたの策を信じる。ちょっと恥ずかしいけど、勇気を出してやってみるわ」
リン   「じゃぁ、決行は明日の7時ね。ありがとう、マーク、このお礼は後で必ずするわ」

―帰路
リン   「さすが神軍師マーク、見事な策だわ。え、私が独り言を言っているようにしか見えなかった?ふふふ、でもこれがマークと会話するコツよ。私とエリウッドとヘクトルにしかできないけどね」

第6章に続く
(長々と続きましたが、次回で最後です)

104 名前: 潔白の証明 第6章 [sage] 投稿日: 2008/07/21(月) 16:19:28 ID:qQwkfJjV
1/4

第6章 潔白の証明

―翌日、午後6時30分 キラメキ公園
リン   (ついに来たわ、私の百合疑惑を晴らし、潔白を証明するために、マークの策を決行する時が。さぁ、早く準備しないと)

―公園物陰
リン   「カメラはこの辺でいいわね」

リン   (準備完了、さぁ、策を確認しましょう)

リン   (マークが授けてくれた策は、それ自体は至って単純なもの。私が意中の男の人に想いを告げる、すなわち『愛の告白』よ!!)
リン   (マークは言ったわ、どんなに言葉を並べてもたった一つの事実にはかなわない。疑惑を晴らすにはそれと正反対の事実を突きつけるしかないって)
リン   (ピザ疑惑を晴らすには脱いで体を見せ付けるしかない、ロリコン疑惑を晴らすのには巨乳のお姉さんをモノにするしかない、そして百合疑惑を晴らすには男の人に愛を示すしかないの。私はそれを、これから行う)

リン   (この公園はマークが教えてくれた場所。想いを告げれば必ず叶うという伝説の樹、告白にこれほど相応しい場所は無いわね)
リン   (しかもこの公園は任天都にありながら、なぜか監理しているのは小波県。そのせいか、めったに任天都民がくることはない。つまり紋章町の人間に邪魔される可能性はきわめて低いの)

リン   (そこの物陰には特殊なカメラが仕掛けられている。時間がきたら映像を取り、即座にFETVのパソコンに送られる。あの暇なテレビ局のこと、このネタを見過ごすわけが無い。兄弟家は有名だしね)
リン   (『彼』には7時ちょうどにここに来るようマークが連絡してある。軍師マークの頼みなら『彼』が断るはずも無い)
リン   (あとは私が『彼』に想いを継げているところがカメラに撮られ、その映像が報道されれば私の疑惑は晴れるわ。さすがマーク、完璧な策ね)

リン   (唯一気がかりなのは、『彼』を利用すること。あまり人前に出たがらない人だし、それにこんな私の都合で、告白なんかされたら絶対に迷惑だわ)
リン   (でも、もう私に残された道は無い。それに、私の想い自体は嘘じゃないわ。だから・・・ごめんなさい、本当にごめんなさい)
105 名前: 潔白の証明 第6章 [sage] 投稿日: 2008/07/21(月) 16:21:27 ID:qQwkfJjV
2/4

―午後7時00分
リン   (人影?暗くてよく見えないけど、他に人がいるわけないしきっと『彼』だわ)
リン   (・・・もう迷っている時間は無い、さぁリンディス、勇気を出していくのよ)

―リン、人影に駆け寄り、抱きつく
リン   「急に呼び出してごめんなさい、わ、私、実は、あなたのことが・・・す、す、・・・///」
リン   (は、恥ずかしい・・・でも、ここから先を言わなきゃダメ。だってすぐそばに彼がいるんだから。すぐ側に彼を感じてるんだから。彼の甘い香り、たなびく金色の髪、柔らかいからだを・・・て、あれ?)
ヘザー  「もう、リンちゃんたら大胆なんだから」

リン   ( ゚д゚)

リン   ( ゚д゚ )

ヘザー  「あん、こっち見ちゃダメ」
リン    「(ヘザーから離れる)ヘ、ヘ、ヘ、ヘザーさん、な、何であなたがここにいるのよ?」
ヘザー  「あら、リンちゃんこそ昨日の手紙読んでくれたんじゃないの?」
リン    「はい?」
ヘザー  「今日の7時にここでまっている、って書いてあったじゃない」
リン    「しまった、あのラブレターか!!(>>45)でも、何でこんな場所を?ここは小波県の管理だったはずなのに」
ヘザー  「あら、知らないの?ここって、私達の間じゃそこそこ有名な発展場よ。人が来ないから丁度いいのよね」
リン    「マーーークーーーーっ!!詰めが甘いわよーーー!!」

注:発展場とは、同性同士が<ダキュン>するスポットのこと。

ヘザー  「リンちゃんから抱きしめてくれるなんて、本当に女の子を愛するようになってくれたのね。私、とっても嬉しい(はあと)」
リン    「違うの、あれは間違いなの」
ヘザー  「ふふ、照れちゃって可愛いんだから」
リン    「だから違うのーーー(脱走)」

ヘザー  「(一瞬でリンを抱きしめる)これからたっぷり愛し合うんだから、逃げちゃだ・め・よ」
リン    (は、速い・・・でも、カメラ回ってるから逃げなきゃ)
ヘザー  「いーっぱい、かわいがってあげるからね」
リン    (く、力はたいしたことないはずなのに離れられない。なにか別な力か気が働いている。なんて人なの・・・サザさん(笑)と同じクラスと上限のクセに・・・)
ヘザー  「恥ずかしいの?それとも怖いのかしら?大丈夫よ、優しくしてあげるし、それに女同士なら 初 め て で も 痛 く な い か ら 」
リン    「何、何なの!?初めてとか、痛いとか、痛くないとか、一体何のことを言ってるの!?りん、こどもだからぜんぜんわかんな~い(←適応機制)」

注:適応機制とは、苦しみや混乱から自己を守ろうとする心の動きのこと。リンが行ったのはその一種で、過去の未成熟な行動様式を取る「退行」。

ヘザー  「ふふふ、それはこれから判るわよ」
リン    「ダー、耳に息を吹きかけるな、服のボタンを外すな、胸に手を入れるな・・・って、ちょっと・・・ん・・・やだ・・・」
ヘザー  「もう、本当に可愛いんだから。(ピキーン)ハッ!!このプレッシャー、すぐ側に男がいる・・・誰!?」
106 名前: 潔白の証明 第6章 [sage] 投稿日: 2008/07/21(月) 16:21:59 ID:qQwkfJjV
3/4

ラス   「・・・邪魔だったか?」

リン   ( ゚д゚)

リン   ( ゚д゚ )

ラス   「こっちを見るな」
リン   「ラ、ラス・・・」
ラス   「7時00分にここでお前と落ち合うよう、マークに指示を受けた。急用ができ少々遅れてしまったのだが・・・」
リン   「えっと、あの・・・」
ラス   「・・・最近のお前に関する風評。くだらない憶測だと思い気にしなかったが、本当だったようだな」
リン   「ラ、ラス、違うの、これは誤解なの」
ラス   「・・・リン、気に病むことはない」
リン   「え?」
ラス   「草原の民は己の心に従い、行動すべきだ」
リン   「だからこれは誤解なのよ!!」
ラス   「『父なる天と母なる大地への畏敬を忘れない限り、女同士で乳繰り合おうと構わない』これはサカに古くから伝わる掟だ」
リン   「そんな掟あったのーー!?」
ラス   「我らが祖先神騎士ハノンと聖女エリミーヌも恋仲だったらしい、クトラではそう伝わっている」
リン   「聞きたくなかった偉人の真実!!」
ラス   「だからお前も、己の心に沿えばいい」
リン   「違うのよ、ラス!!」
ラス   「ただ・・・(リンに背中を向ける)」
リン   「え?」
ラス   「・・・俺個人としては、残念だ(立ち去る)」

ヒュンヒュンヒュン、ズガーーン(リンの心に、ミュルグレが必殺で突き刺さった音)

リン    「あ・・・ははは・・・」
ヘザー  「ふふ、さぁ邪魔者は消えたし、たっぷり愛し合いましょ・・・て、リンちゃん?」
リン    「ドナドナドナド~ナ~ こうしをの~せ~て~」
ヘザー  「ちょっとリンちゃん、しっかりして、口から魂出ちゃってるわよ!!これから私と楽しいことするんだから、死んじゃダメ~~」
リン    「大きな星が、ついたり消えたりしている・・・アハハっ、おおき~い・・・」
ヘザー  「誰かバルキリーの杖持ってきてーーー!!」

終章へ続く
107 名前: 潔白の証明 第6章 [sage] 投稿日: 2008/07/21(月) 16:22:37 ID:qQwkfJjV
4/4

終章 最後に少女が手にしたもの

―キラメキ公園の一連の出来事を映した映像はFETVに送られた。
偶然通りかかったクロードによって蘇生したリンは、急ぎシャナム社長抹殺を図ったが、時既に遅し。
いい感じに編集され、9時のニュースで紋章町中に報道される。ここに、リンディスの百合キャラは定着することになった。

―深夜、涙目グリーンの居酒屋
リン   「ヒック、マスター、もう一杯」
ルイージ 「Here you are(どうぞ)」
リン   「終わったわ、私の青春は完全に終わったわ。世間には百合キャラが定着し、ヘザーさんには狙われ、ケント先輩とラスには誤解されて・・・うわーん」

リン   「・・・もういっそのこと本当にレズになっちゃおうかしら。ふふ、自分で言うのもアレだけど、私、そっちの世界でも結構イケてる気がするのよね。なんていうの、『女にモテる女』ってやつ?」
リン   「そうよ、ここまできたら百合街道まっしぐらよ!!」
リン   「まずはディアドラさんにニニアンにシーダさんと、うちの男共の嫁候補全員を寝取る」
リン   「次にエレブ高のエルダーシスター(最上級のお姉様)として君臨」
リン   「最終的には紋章町の女性全員を私の虜にし、そして始まる女王リンディスの伝説!!」
リン   「イケる、私ならイケるわ・・・ふふ、はは、おーほほほほほほ」

リン   「ヒグ・・・グス・・・う、うえーーーん  。・°°・(。´Д⊂) ・°°・。」

アーダン 「お、おい、あそこでヤケ酒してる娘って、たしかシグルド係長の妹さんだったよな?」
サザ   「ああ、ミカヤの妹でもある。名はリンディスだ」
ウォルト 「な、なんか相当酔ってるよね。泣き出したと思えば、妙にハイになって笑い出したり。そしてまた泣き出したりして。未成年なのにいいのかなぁ?」
セシリア 「そういうあなたも未成年でしょう。それにしても、あれは相当辛いことがあった証拠ね」
サザ   「だろうな。漆黒に通算300敗目を喫した時の俺でも、あそこまではならなかった」
ウォルト 「一体何があったんだろう?」
セシリア 「それはわからないわ。でもね、誰にでも飲んで忘れたいことがあるのよ、この世界における緑キャラは特にね。そういう人を拒まずに迎えるのが、この店と、常連である私達の役目ではなくて?」
アーダン 「そうだな。大丈夫、シグルド係長には俺からよく言っておく」
サザ   「俺もミカヤに伝えておこう」
アーダン 「よし、マスター、今夜の彼女の分は俺たち4人のツケにしておいてくれ」
ルイージ 「Ok」

セシリア 「リンさん、でよろしいかしら?よかったら私達と飲みません。あなたの悲しみを無くすことはできないけど、ほんの少しだけ分かち合うことはできるわ」
アーダン 「今夜は俺たち4人のおごりだ」
ウォルト 「ここで飲んで忘れれば、また次の日からがんばれますよ」
サザ   「家族には、俺達から伝えておこう」
リン   「皆さん・・・ありがとう、ありがとうございます」

悲しみを負った少女は、最後に小さなぬくもりを手にすることができた。そんな彼女を見守りながら紋章町の夜は更けていく・・・。

「潔白の証明」完