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Last-modified: 2008-10-19 (日) 13:32:03

131 名前: 私たちはヘタレじゃない! [sage] 投稿日: 2008/09/04(木) 18:35:00 ID:zXlySgK7
初めてネタ投下します

ある日の朝
エリンシア「あら、リンちゃんお出かけ?」
リン「うん。今日ね、広場で弓兵のための集会があるらしいの。弓使いが集まってお互い腕を磨くんだって。私普段剣ばっかり使ってるから、たまにはそういうのにも行ってみようかなと思って。」
エリンシア「そ、そうなの…。」
リン「ほら、久しぶりに弓も組み立てたし。」
エリンシア「きゃっ!ユミハコワイヨウチオトサナイデ…」
リン「ね、姉さんごめんなさい!姉さんが弓恐怖症なの忘れてたわ。」
エリンシア「はっ…ごめんねリンちゃん。久々に見たら取り乱しちゃって…。とにかく、気をつけていってらっしゃいね。」
リン「うん!」

広場
リン「えっと、ここよね?」
ウォルト「ようこそ!参加者ですね?」
リン「あ、はい。」
ウォルト「あなたが一番乗りですよ。ここで待っていてくださいね。」
リン「はあ。」
ヒーニアス「ウォルト、もうそろそろ開始時刻だが参加者は来たか?」
ウォルト「あっ、ヒーニアスさん。ええ。全員そろいました!」
リン(ええー!私一人なの!?なんかこの集会…不安になってきたわ…。)
ヒーニアス「そうか。よかった。その参加者は…?」
ウォルト「あそこにいらっしゃるリンさんです。」
ヒーニアス「リン…まさか…。」
リン「こんにちは。」
ヒーニアス「あなたはエイリークの…。」
リン「はい。エイリークは私の姉ですけど。」
ヒーニアス「やはり…私はヒーニアス。エイリークの親友だ。よろしく頼む。」
リン「あ、そうだったんですか。よろしくお願いします。」
ヒーニアス「あの…私のことを知らなかったみたいだが、エイリークは何か私について」
リン「?何も聞いていません。ターナさんやラーチェルさんの話はよく聞いてますけど。」
ヒーニアス(うわぁぁぁん!)
ウォルト「ヒーニアスさん。もうすぐ始めますよー。」
ヒーニアス「うう…も、もうすぐ開始するのでしばらくお待ちいただきたい。」
リン(帰りたくなってきた…。)

132 名前: 私たちはヘタレじゃない! [sage] 投稿日: 2008/09/04(木) 18:36:49 ID:zXlySgK7
ヒーニアス「えーお待たせした。“弓使いの集い“、正式名称”ヘタレな弓使いが立ち直る為の集い“開始だ。」
ウォルト「わー。」
レオナルド「…。」
クレイン「ぱちぱち。」
リン(何よこの集会…弓の腕がアレな人しかいないじゃない!騙したわねマルスー!)
ヒーニアス「まあ誤解のないように言っておくと、私はヘタレなどではないのだが…。頼まれたからやっているだけで。」
レオナルド「いいえ、充分(ry
ヒュッ
レオナルド「うわぁ!」
ヒーニアス「…外してやっただけ感謝するんだな。」
リン(今の、明らかに素で外してたでしょ!)
ヒーニアス「失礼、取り乱した。今日は新入会員のリンが来ているから、ウォルト、説明を。」
ウォルト「はいっ!えーとこの集会の目的は、僕らの弱点を克服してさらに強くなることなんです!」
リン「弱点?隣の敵に攻撃できないとか?」
ウォルト「まーそれもあるんですけど…。そういう兵種全体の問題じゃないんです。」
リン「じゃーなんなの?」
クレイン「僕らの弱点は…心さ。」
リン「心?」
ウォルト「僕らはコンプレックスを持ちすぎなんです!ちょっと能力が低いとか、成長率が悪いとか、実はいい人とか、ヲルトとか、そんなくだらないことで自分を追い詰めてしまって、真の能力を発揮できてないんです!」
リン「…。」
クレイン「だから、それを克服するために毎月集会を開いてお互いを鼓舞しているんだよ。」
リン(それって鼓舞っていうより、ただの傷のなめあいじゃ…。)
ヒーニアス「…よし、説明も終わったしそろそろ始めるぞ。」

ヒーニアス「さーあみんな私に続けー!」
リン以外3人「おーっ!」
リン(いつの間にメガホンを!?)
ヒーニアス「私たちはー」
3人「ヘタレジャナーイ!」
ヒーニアス「私たちはー」
3人「ジミジャナーイ!」
ヒーニアス「私たちはー」
3人「ヨワクナーイ!」
リン「…。」
ヒーニアス「さあ、リンも一緒に私たちはー」
リン「あなたたちっ!」
ヒーニアス「そうではない。私が「私たちはー」と叫ぶからその後に」
リン「違―う!あなたたち、こんなことで恥ずかしくないの!?」
クレイン「えっ?」
リン「まともに弓の練習もしないで、心の問題だなんて言って…。それって、ただ現実から目をそらしてるだけじゃないの!?」
4人「……。」
リン「そんなことだからいつまで経っても」
ウォルト「あなたには!」
リン「え?」
ウォルト「あなたにはわかってないんだ!僕らだって努力しました!何発も何発も弓を撃って、やっと一発当たって喜んで…。」
リン「……。」
ウォルト「でも、もうやっても無駄なんですよ!いくら努力しても…どうにもならないことだってあるんです!」
ダッ
リン「あっ!ウォルトさん!」
ヒーニアス「…すまないが、私も帰らせていただく。短かったが、今月の集会はこれで解散だ。」
レオナルド「僕も…帰ります。」
クレイン「僕も…。」
リン「あっ。……少し、言い過ぎたかしら。」

133 名前: 私たちはヘタレじゃない! [sage] 投稿日: 2008/09/04(木) 18:38:55 ID:zXlySgK7
リン「はあ、どうしよう。」
ボーレ「おーい!お前ら!今日も頑張ってんなー!ってあれ?さっきまで元気よく叫んでいたのにどこ行っちまったんだ?」
リン「あなたは…お豆腐屋さんのボーレさん!?」
ボーレ「おお!アイクんとこのリンさんじゃないか!この集会に参加してたのか!」
リン「え、ええ。それより、ボーレさんはどうしてここに?」
ボーレ「ああ、俺実は弓もすこーし使えるんだよ。本業は斧だけどな。」
リン「そうだったんですか。」
ボーレ「それで毎月差し入れを持ってきてたんだよ。リンさんも食べるかい?うちの店の豆腐!」
リン「あ、はい。いただきます。(外で豆腐…しかも差し入れって…。)
ボーレ「おっうれしいね。ホラ、皿と箸ならここにあるからな。…しっかし他の連中は本当にどこに行っちまったんだ?あいつら、練習は欠かしてなかったのになあ。」
リン「えっ、練習?」
ボーレ「あいつら弓は正直下手だけど、それでもずっと練習してたんだ。月イチのこの集会で教えあって…。次の集会までに猛特訓していたらしいし。」
リン「そう…だったんですか。」
ボーレ「まー最近はメンタル面がどうこう言ってたけど…。俺はあいつらの諦めない気持ちが気に入って差し入れを決意したわけよ。」
リン「諦めない気持ち…。」
ボーレ「でもここんところ塞ぎこんでたから、今日は豆腐をたくさん持ってきて応援してやろうと思ってたのによ。全くどこに」
リン「ボーレさん!私…。」
ボーレ「ん?」
リン「私、あの人たちにひどいこと言っちゃって…。」
ボーレ「ひどいこと?」
リン「私、あの人たちにあなたたちは現実を見ていない。だから下手なままだって言ってしまったの。でもそうじゃなかった。あの人たちだって一生懸命練習していた…。それなのに…。」
ボーレ「…それに気づいただけでも良かったんじゃないかな。」
リン「えっ…?」
ボーレ「あいつら誤解されやすいからなー。本当は人一倍努力している。ただ実らないだけでさ。でも、あんたみたいな理解者が現れれば、あいつらの苦労も少しは報われると思うんだ。」
リン「努力が?」
ボーレ「そうさ。自分が頑張ってることをわかってくれてる人がいれば、気合も入るだろ?そういうことさ。…さ、あいつら多分ヒーニアスの家に集まってるだろうから、住所を教えてやるよ。」
リン「えっ、住所?」
ボーレ「侘びに行きたいんだろ?あいつの家はセキュリティが厳しいから、俺が紹介状を書いてやるよ。」
リン「…ありがとうボーレさん!私、行ってきます!」
ボーレ「おうっ!」

134 名前: 私たちはヘタレじゃない! [sage] 投稿日: 2008/09/04(木) 18:40:15 ID:zXlySgK7
フレリア家・前
リン(ここが…ヒーニアスさんの家…。すごく…大きいです…。って何考えてるの私!と、とりあえずチャイムを…。)
リーンゴーン
モルダ「はい…どちらさまでございますか?」
リン「私、リンと申します。ヒーニアスさんはいらっしゃいますか?」
モルダ「失礼ですが、お坊ちゃまとはどのようなご関係で?」
リン「えっと、“弓使いの集い“のメンバーです。ここにボーレさんからの紹介状もあるんですけど…。」
モルダ「失礼。…おおっ!これはまさしくボーレ様の!いや、失礼をしました。どうぞ中へ。」
ガラガラガラ…(門の開く音)
リン(ボーレさん、よっぽどヒーニアスさんに信用されてるみたいね…。これが豆腐パワー…。)
モルダ「坊ちゃまは今、ご友人らとお庭に出ております。このイスに座られてお待ち下さい。」
リン「(やっぱりみんなここに…!)あの、よろしければ直接お庭に連れて行ってもらえませんか?」
モルダ「わかりました。ご案内いたします。」

フレリア家・庭
リン(すごい…!家の中に射的場があるなんて!ん?あれは…。)
ヒーニアス「何度言えばわかるのだ。照準を合わせるときは両目を開けたままにするな!」
ウォルト「そんな、ヒーニアスさんだって、矢を撃つときにイナバウアーみたいに体が反ってるの、全然直ってませんよ!」
ヒーニアス「なんだとヲルトの分際で…!その口黙らせてやる!」
ウォルト「あー言ったなあ!ヲルトって言ったなあ!もう許さん!」
クレイン「ヒーニアス、ウォルト、喧嘩はやめよう。もう一度ビデオを見直して…。」
レオナルド「…何度見たって、これじゃ同じだ。」
リン「あのーみなさん?」
4人「!!!!」
ヒーニアス「リン、どうしてここに?」
リン「ごめんなさい。ボーレさんに教えてもらったの。どうしてもみなさんに謝りたくって…。」
ウォルト「謝る?」
リン「ボーレさんから聞いたんです。みなさんいつも一生懸命練習してたって。それなのに、何も知らないであんなことを言ってしまって…本当にごめんなさい!」
ヒーニアス「…顔を上げたまえ。」
ウォルト「そうですよ。…僕ら、実際に現実から目を背けていたんです。」
リン「え…?」
クレイン「最近、僕らは練習がうまくいってなくて…。もう技術面では成長しないと諦めていたんです。それで、メンタル面ばかり気にするようになって…。」
レオナルド「…あまり、練習もしていなかった。けど、今日リンさんにズバッと言われて…あれは正直堪えた。」
ウォルト「でも、そのおかげで僕らも気合が入りました。このままじゃいけないって気づいたんです。それで、ヒーニアスさんの家に集まって今後の会議がてら久々に練習しようということになって…。」
ヒーニアス「…だから、むしろ感謝したいくらいなのだ。」
リン「みなさん…ふふっ気づかされたのはお互いさまだったのね。」
クレイン「…?何の話かな?」
リン「こっちの話です。…ところでもし良ければ、お詫びとしてみなさんにしばらく弓の指導をさせてもらえないかしら?」
4人「えっ!!!!」
リン「あーダメなら…。」
ヒーニアス「とんでもない!歓迎、大☆歓☆迎だよ!ああこれでやっと不毛な日々から開放される!」
レオナルド「僕たち、みんな下手だったから結局教えあっても下手なままだったんだ…。」
ウォルト「すっごくうれしいです。リンさん、よろしくお願いします!」
クレイン「とても嬉しいよ。…僕も早く父上母上妹に負けないくらい強くなって、3人を止められるようになりたいからね。」
リン「ありがとう。じゃあ早速明日から始めましょう!」
4人「やったー!」

135 名前: 私たちはヘタレじゃない! [sage] 投稿日: 2008/09/04(木) 18:41:33 ID:zXlySgK7
翌日
リーフ「うう…買い物袋が重い…。」
マルス「しっかりしなよリーフ。」
リーフ「ううう…う?あっちの広場にいるの、リン姉さんじゃない?」
リン「さあーみなさん。もう一度撃ってみましょう!」
マルス(ゲッ!リン姉さん!?何でここに…。昨日家にいてもらうのはマズかったから、時間稼ぎであの集会のことを教えただけなのに、なんであんなに楽しそうに溶け込んでるんだ!?)
リーフ「珍しいね…弓を使ってるよ。」
マルス「リーフ、帰るよ。」
リーフ「えー。せっかくだからリン姉さんにも荷物を持ってもらおうよ。」
マルス「いいから帰る!」
ダッ
リーフ「うわ!走るなよ!っていうか一つくらい袋持ってくれてもいいだろー!この人でなしー!」
リン「(なんか今聞き覚えのある声が…まっいいか。)じゃあみなさんー。今度は少し離れて撃ってみましょう。せーのっ!」
4人「私たちはーヘタレジャナーイ!」
リン「その掛け声はいいからー!」

みんなと無事に和解できたリン。4人はリンに指導してもらったことで、技術的にも、精神的にもちょっぴり成長したとか。

おわり

おまけ
リン「ところで、なんであんなに立派な射的場があるのに、わざわざ広場で練習するんです?」
ヒーニアス「以前…ターナに笑われたのだ…。私がたまたま外して、弓が空の彼方へ消えたのを見て…。「プッ」って…。うっうっ…。」
クレイン「昨日はたまたまターナがいなかったから、あそこを使ったんだ。普段はヒーニアスの傷に触れないように使ってないんだよ。」
リン(…やっぱり心も鍛える必要があるみたいね。)