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Last-modified: 2008-10-19 (日) 13:41:13

332 名前: 王の目の休日 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:26:23 ID:0xbLjIjJ
あーっ気持ちいい!やっぱり自由に空を飛ぶのは最高だぜ!
おっと紹介が遅れたな。俺はヤナフ。普段は鷹王ティバーンの片腕として働いている鷹だ。
今日は王に久々の休日をもらったんで、紋章町の上空を散歩してるってわけだ。
さーて、何か面白いことはないかな…。おっカップルはっけーん。いいねえ、若いってのは。

セリカ「あっ、あの洋服かわいいー!」
アルム「あの服かい?」
セリカ「うん。もうっ…貧乏じゃなきゃ買えるのに。」
アルム「僕はセリカが着ている洋服ならなんでもかわいいと思うよ。今着ている服もすごく似合ってるし。」
セリカ「もうっアルムったら…。うふふ…。」
アルム「セリカ…。ふふふ…。」

…あー、昼間っからお熱いねえ。ん?うおっ!?何だ今のは!?あの二人に向かって剣がものすごい勢いで飛んできたぞ!
飛んできたのは…ユグドラル地区からか。タチの悪い悪戯だなおい。
あ、あーあ。あの二人には当たらなかったみたいだが、たまたま後ろを歩いていた茶髪の少年に当たっちまった…。
少年…恨むなら自分の運のなさを恨めよ。

おっ?あの学校では運動会をやっているのか。へえー、ベオクも面白いことをすんな。
今はマスゲームをしているのか。ん?なんか人が字を作ってる…。
「この人でなし」?なんだそりゃ。あんな言葉をわざわざ集団で作るなんて、ベオクの考えはよくわからねえな…。

ファ「わーい!お兄ちゃんとえいがー!」
エフラム「ファ、あまりはしゃぐと転ぶぞ。」
ミルラ「楽しみです…“崖の上のサザ”…。」
チキ「たのしみー!」
エフラム「ははは。楽しみなのはいいが、あまり映画館で騒いだら駄目だぞ。」
三人「はーい。」

うわ…。あれって世間で言うロリコ…。
わっと!な、何しやがるんだあいつ!こっちに向けて槍を投げてきやがった!
やっぱり危ないやつだな。童顔のリアーネ姫が狙われるかもしれないから、王に報告しておくか。

333 名前: 王の目の休日 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:27:56 ID:0xbLjIjJ
コーマ「へへっ。今日はいいもんを手に入れたな。あの女ぼーっとしていたが、かなりのお嬢様だったらしいな。これはかなり値打ちのある…。」
マルス「…君かな?シーダの腕輪を盗んだのは。」
コーマ「なっ…!お、お前誰だよ!」
マルス「知る必要もないね。さあ、それを返してもらおうか。」
コーマ「ふんっ!返せって言われて素直に返す泥棒なんていねぇよー!」
マルス「……逃げたか。ふふ…本当の恐怖はここからだよ…。」
コーマ「はっ!やっぱりあいつ追いかけてこねぇな。いかにもボンボンだったからなー。かっこつけたはいいが、何も出来ないってか。はははは…は?」
マリク「見つけた。さあ、その腕輪を返してもらおうか。」
チェイニー「早く返せば見逃してやる。だが抵抗したときは…。わかるよな?」
コーマ「ちっ、やつの仲間か。だが残念だったな。この路地は抜け道がいくらでも…。」
リオン「そうはいきませんよ。」
ノール「…おとなしく投降しなさい。」
コーマ「えっ…?」
リムステラ「逃がさない。」
ジェイガン「ここはもう包囲されておる。諦めるんじゃな。」
ゲイル「なるほど…。お前がこの辺を荒らしていた泥棒か。覚悟するんだな。」
コーマ「なっ…!?なんなんだよお前ら!な、なにをするだアッー!」

うわ…あいつよっぽどヤバイことしたのか?めちゃめちゃ大勢に囲まれてら…。
にしても、あんだけの人間を動かせる奴がいるのか…。そいつもかなり危険だな。さっきの変態と合わせて報告するかな。
ん?あれは…。

ヴァルター「ほう…。なかなか良い娘だ。よくやったな。」
ゲブ「げへへ…。」
女の子「いやあっ!なにするの!」
ゲブ「なっ、おとなしくしてろお!」
ブラムセル「これこれ。せっかく上物の娘を捕らえたというのに、傷をつけられてはかなわん。」
ヴァルター「よし、連れて行くぞ。」

おいおい。これはマジでヤバイよなぁ。女の子一人に大の男三人って…。
まあさっきのロリコンも似たような感じだったが…仕方ねえな。

334 名前: 王の目の休日 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:29:22 ID:0xbLjIjJ
女の子「やめてっ!はなしてっ!」
ゲブ「ええい騒ぐなあ!じっとして…。」
ヤナフ「そこのお兄さんたちー?」
ヴァルター「…なんだ貴様は。」
ヤナフ「あんまりじゃねーか?女の子を無理やり連れて行くなんてさ。」
ゲブ「げぶぶ…。ガキは黙ってなあ。それともお前がこの子を嫁にもらうつもりかあ?半獣のくせにい?」
ブラムセル「ククク…。」

「半獣」…。もう容赦しねぇ。化身!

ゲブ「なあっ…!」
ヴァルター「…どけ。このような鳥、私が八つ裂きにしてくれる。」
ブラムセル「おおお。ワイバーンナイトの力、見せつけてやりましょう!」

はっ、そっちも空を飛べるのか。面白い。

ヴァルター「汚らわしい半獣め…。我らの邪魔をしたことを地獄で後悔するんだな。」

その言葉、そっくりお前に返してやるよ。いくぜ!

ヴァルター「ぐっ…。さすがに素早いな。だがこれならどうだ!」

いてっ!こいつ…結構やるな。だが…。とどめだ!奥義・滑翔!

ヴァルター「ぐわああっ!」
ゲブ「げぶぶぶぶ!」
ブラムセル「ヴァ、ヴァルター様がやられたああ!」
ヴァルター「…今回のところはここまでにしておいてやろう。だが、忘れるな。私に楯突いた代償は大きいぞ…。」
ブラムセル「あっ、ヴァルター様!お待ち下さい!」
ゲブ「くそっ、覚えてろよお!」

335 名前: 王の目の休日 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:30:45 ID:0xbLjIjJ
ヤナフ「…ふぅ、口の割には手ごたえなかったな。」
女の子「おにいちゃん、たすけてくれてありがとう!」
ヤナフ「いいって。怪我はないか?」
女の子「うん。だいじょうぶ!おにいちゃん、やさしいんだね。」
ヤナフ「ん?いや、そんな…。」
女の子「おかあさんがね、いってたの。どうぶつにへんしんできるひとたちは、みんなやばんであぶないいきものだって。」
ヤナフ「………。」
女の子「でも、おにいちゃんはちがうんだね!だって、わたしをたすけてくれたんだもん!わたし、おかあさんにおしえてあげよう!」
ヤナフ「…そうだな。君の家はどこにあるんだい?送ってやるよ。」

女の子「ついたー。ここだよ!おにいちゃん、おかあさんにあっていって!」
ヤナフ「…ごめんな。お兄ちゃん、ちょっと用事が出来ちゃったんだ。君のお母さんには会えなくなっちゃった。」
女の子「えー!いや!おにいちゃんもいっしょー!」
ヤナフ「また、いつか必ず会いに来るからさ。それまで待っててな。」
女の子「…わかったー。ぜったいだよー?」
ヤナフ「ああ、絶対来るさ。んじゃな。元気に暮らせよ。」
女の子「うん!おにいちゃん、ばいばーい!」

336 名前: 王の目の休日 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:32:12 ID:0xbLjIjJ
…会いに行けるわけないよな。ベオクも小さな頃は俺たちに寛容だ。だが大人になれば…。
アイクやエリンシア姫みたいな奴がもっと増えればいいんだが、ラグズにもベオクを嫌ってる奴は山ほどいるし…。
結局、お互い歩み寄らないと何にも解決しねえ。
おっと、しみったれた話になっちまった。もう夕方だ。早く王のところに帰らねーと、俺たち鳥翼族の目は夜になると使い物にならなくなるからな。
ん?前から天馬が飛んできたな…。あ、あれは…。噂をすれば、だな。

エリンシア「あら、ヤナフさん!お久しぶりね!」
ヤナフ「よお、エリンシア姫さん。」
エリンシア「いやだ、姫なんて…私はただの一般庶民。普通に呼んでくださいな。」
ヤナフ「いや…なぜかいつもそう呼びたくなって…。まあいいか。」
エリンシア「あら?今日はティバーン様やウルキさんがいらっしゃらないようだけど、どうされたの?…まさかティバーン様の身に何か!?」
ヤナフ「あー、今日は俺の休日だったんだ。それで一人でぶらぶらしてたってわけで。」
エリンシア「そうなの…。良かったわ。
(ティバーン様にもしものことがあったら、あの素晴らしいKINNIKUが消滅…!それだけはいやあああ!)」
ヤナフ「そういうあんたは買い物かい?」
エリンシア「ええ、そうです。バレンシアに行くときなんかはよくペガサスに乗っていきますのよ。」
ヤナフ「そっか。いや、ペガサスやドラゴンに乗ってるベオクってすごいよな。」
エリンシア「?」
ヤナフ「言葉も通じない、姿も全く違う、そんな生き物と心を通わせてるからさ…。」
エリンシア「…ふふふ、ヤナフさんだって、姿が違う私とこうして普通に会話してるじゃありませんか。」
ヤナフ「あ…。」
エリンシア「ベオクとラグズ…、もっと私たちのように、お互い心を通わせられるようになればいいですね。」
ヤナフ「…そうだな。」

337 名前: 王の目の休日 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:33:19 ID:0xbLjIjJ
ヤナフ「王…ただいま戻りました。」
ティバーン「おう、遅かったなヤナフ。てっきり迷子になってるかと思ったぞ!」
ヤナフ「はあ…そんなわけないですよ。これでも一応“王の目”なんですから。」
ウルキ「ヤナフ…。」
ヤナフ「ん?なんだウルキ?」
ウルキ「久々の休みは…どうだったのか?」
ヤナフ「おいおい。お前がそんなこと聞くなんて珍しいな。」
ウルキ「………。」
ヤナフ「あー!わかったからにらむなって!」
ティバーン「んで?どうだったんだ?」
ヤナフ「…なかなか、良い一日でしたよ。」

こうして一日は過ぎていく

終わり

338 名前: おまけ 王の耳の憂鬱 [sage] 投稿日: 2008/09/20(土) 14:35:28 ID:0xbLjIjJ
………………………………。
む…紹介が遅れた。私はウルキ。普段は鷹王ティバーンの片腕として働いている鷹だ。
今日は王に久々の休日をいただいたので、家で読書をしているところだ。
さて、今日中にこの本を読んでしまうか…。

※ここからはウルキの耳(順風耳・とても耳が良い)に聞こえてきた音をお送りします。

マルスー!あんたまたゲッ!リン姉さんゆるして肉だ…肉をもっとおほほほほKINNIKUバンザイ!
アルム…セリカ…KINSHINは許さミカヤは俺が身の程をわきまえおはようリリーナ助けて!エイリー
僕のマミー君はふふふ…蝶サイコー!また赤点だったぜそうだよロシェむ、胸が…ミルラ、映画に行こ
私はお兄様のような人でなければ、好きになれないくくく…わが剣が血を欲してふはは、まるでトンボとりでも
今日も私は絶好調ですわうふふーこの混沌具合…すばらしいわ!もっともっこの人でなしー!…ひどい有様です。

…………私は今日も憂鬱だ。