15-306

Last-modified: 2009-01-06 (火) 22:59:59

306 名前: 兄弟家の朝の風景 [sage] 投稿日: 2008/12/02(火) 19:42:11 ID:SUAMr2mh
東の空に太陽が昇る。世界は陽光に包まれ、朝日の赤光を浴びる。
さあ、と、暁光が部屋に差し込む。
その光を浴びて、黄金の刃の真剣は、常よりも一際眩しく光る。
部屋は骨で埋もれる。火竜や魔竜の肉を食らった残骸で埋もれている。その中に、青年はいた。
アイク。紋章町最大戦力の名を欲しいままにする兄弟家の、その中で更に頭抜けた戦力を持つ怪物。
素手で地震を打ち消せようが、時速20㎞で流れるプールを逆行できようが、決してこいつにだけは手を出してはいけないとまことしやかに言われる人間災害である。
その貌に浮かぶのは、敵に対する鬼の表情ではない。幼子のような、安らかな表情だ。
眠っていた。一際巨大な地竜の頭蓋骨を枕にして、アイクは眠っていた。
神剣に暁光が反射し、アイクの瞼に当たる。
と同時に、飛んできた隕石がアイクの部屋に飛び込み、跳ね起きたアイクのぬうんで地の果てに水平飛行。
ラグネル真っ青の衝撃波をまき散らして、しっこくハウスやらアシュナード家やらを根こそぎ粉砕し、第二宇宙速度で大気圏に突入させる。焼失する隕石。
つまるところ、メティオの一撃が飛び込んで来たというだけなのだが、二次災害のほうがより甚大な被害を生みだすあたり、さすがのアイククオリティである。
「どういうことだ……」
それはこっちの台詞だと言わんばかりに、今度はブリザードとサンダーストームの二連撃。
ブリザードは噴火でただの水蒸気をまとった暴風に変え、同時にラグネルを避雷針としてサンダーストームを回避する。階下からコノヒトデナシー。
とりあえず、遠距離攻撃ばかりだから、相手は遠い所にいるのだろうと目星をつけ、逆鱗でも食らわせてやるかとラグネルを振りかぶったところで、遠方にイクリプスの黒とバルオーラの紫が垣間見える。リーフの操るパージもあった。
つまり、ミカヤとリーフとセリカの同時攻撃。おそらくというか確実に相手は死んでいるので、ラグネルは背中の鞘に収める。
「今日も平和だ」

ミカヤに聞けば、犯人はルキノに振られて自棄酒飲んだ笑い飯が暴走したのだとか。女が絡むと碌な事にならないな、と認識を深めるアイクであった。