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Last-modified: 2009-01-06 (火) 22:46:47

9 名前: 命芽吹く風と共に 投稿日: 2008/11/10(月) 23:28:53 ID:cUArXFVp

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とある休日の昼前。
この昔話は何気ない一言から始まった。
その日はアイクがシグルドの頼みのついでとサザを(鍛えるため)連れて行った後だった。
ロイ「そういえばミカヤ姉さん。」
ミカヤ「何?ロイ。」
ロイ「今まで聞いたことなかったけど、サザさんとはいつ出会ったの?」
リン「あ、それ私も知りたい。」
うんうん。ええ、私も。俺もだ。私もですわ。僕も。と、他の兄弟からも声が上がる。
マルス「そういえばいつの間にか居たよね。どこであの涙目拾ったの?」
ミカヤ「ええと、それはね………。」
リーフ(そこスルーなんだ…。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~回想~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
もう10年以上前かしら…。恐山で巫女修行を始めて半年くらい経った秋に、1週間休みが貰えたの。それで私は気分転換にちょっと馴染み深かった
デインに行ったんだけど、かなり久しぶりだったものだから宿泊先のネヴァサに着いた早々迷ってしまって…。

リーフ (かなり!?何年単位だろう…聞くのも怖いなぁ。)

路地裏の行き止まりに行き着いたら…隅っこにあの子がいたの。
がりがりに痩せていて……目つきばかりが鋭どくて…。
あの子の周りには凸凹の器と四角い~そう、あの子がすっぽり入るくらいの~木箱くらいしかなかったわ。

兄弟大半(うわぁ……。)

それであの子に、
「ちょっと迷っちゃって、道を教えてくれない?」って聞いたの。
そうしたらあの子、少し時間をおいて、すごく警戒しながらだけど、
「………だったら俺についてきて。」って言ったの。
それでその日はあの子のおかげで無事に宿屋に着くことができて…、別れ際にお礼をしようとしたけど、いつの間にかいなくなっていたの。

それから4日間、デインの観光をしていたのだけど、ふと気付くと視界の中にあの子が居ないか探している自分がいるの。 特に何かあったわけじゃないのにね?

ガラクタの山で何かを探しているあの子。
物陰で息を潜めているあの子。
砂漠に向かって歩いていくあの子。
パンや果物を両手一杯に抱えて全力疾走しているあの子。
誰かに追いかけられているあの子。
遠くから私の様子を窺っているあの子。私が見ていることに気づいたら一目散に逃ちゃったわ。
店主らしき人に捕まって、ボコボコにされているあの子。
ナイフの練習をしていて、誤って怪我をしているあの子。
あの時はライブをかけてあげたわ。

ロイ (ボコボコにされているときはかけなかったんだ…。)
10 名前: 命芽吹く風と共に 投稿日: 2008/11/10(月) 23:30:20 ID:cUArXFVp
そんなこんなで休みも僅かになって、恐山に帰ろうとしていた日に運悪くチンピラにぶつかっちゃったの。当然のごとくからまれちゃって。
その時はまだ修行中の上、観光目的だったから持ち物は薬草以外にはライブの杖とあの子にもらったナイフしか無かったし、かなり困ったわ。
そうしていたら突然私とチンピラの間にあの子が割り込んできたの。私を庇うように。
チンピラが、「なんだぁ、このガキ!死にてぇのか!!さっさとどけ!」って言ってもどかなくて、私が声をかけてもだんまりで…。
最終的にそのチンピラは痺れを切らした後あの子をボッコボコにして、気が済んだのかいなくなったわ。

セリス (サザさんかっこいい…!)
他一同 (止めようよ、ミカヤ姉さん…。)

その後、私はあの子にライブと薬草を使いながら、
「どうしてこんな事をしたの?」って聞いたの。そうしたら少し痛みをこらえながらあの子、
「はじめて、必要と…されたから。」って…。

一同 (………。)
マルス (ちっ…。口出しできる雰囲気じゃあないな。)

その後は治療が終わるまで私もあの子も黙っていたの。
治療が終わって、恐山に戻るために去ろうとしたけど、妙にあの子のことが気になっちゃって。
それで私は手を差し出しながら、
「もし良かったら、一緒に来る?」って聞いてみたの。
そしたら、キョトンとした後、すごく警戒しながらだけど近寄ってきて……。

恐々と私の手を握ってきたの。

指が…枯れた小枝みたいに細くて、握り返したら折れそうで……。
その時は、もうその手を離す事が出来なかった…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ミカヤ「それからは一緒に恐山に向かって、あの子は雑用として働きながら一緒に暮らすことになったの。あの頃はとても楽しかったわ。あの子ったら、うふふふふふh……。」
ロイ「えと、あの、ちょっと落ち着こう?姉さん。」
ミカヤ「え?あ、ごめんね。ふふ…。それから一年半が過ぎて、私は巫女として認められて貰って、ここに帰ることにしたの。」
シグルド「ん?確かミカヤが帰ってきた時、サザ君はいなかったはずだが?」
ミカヤ「ええと、それは……。ごめんなさい、ちょっと喋り過ぎて疲れたから少し休憩にしない?」
エリンシア「そうですわね。ちょうど良い時間だし、お昼を食べてから続きにしましょう。」

―――
その頃、オーガヒル近辺にて。
サザ「団長!いくらなんでも自分に千人切りはちょっと無理が…」
アイク「サザ。できる、できないじゃない。……殺るんだ。幸い、向こうは親玉がいる限り幾らでも居るみたいだからな。お前は盗賊系だし盗みながら戦っていればかなり持つだろう。
そのために俺は、『小手調べ』と『武装解除』をつけてきたんだし。武器も女神の加護(カードの事)とユンヌの加護付き最強練成の『銀のナイフ』を渡したし、楽勝だろ。」
サザ「…(そういえばそうかも)…いやっ、団長は『天空』があるから良いけど俺、今手持ちの傷薬が尽きそ…」
アイク「盗むなり、武器を売って買えばいいだろう?さて、敵の増援が済んだようだ。シグルド兄さんに頼まれた☆付けもまだあるし、行くぞサザ。」
サザ「……ええい!我がナイフでどうにでもなれ!」

――――――――――――――
ミカヤ「っと。お昼も食べたし、サザについての話の続きね。えっと…。たしか、『私が帰ってきたときになんでいなかったのか。』よね?」 
シグルド「ああ。」
ミカヤ「それはね。帰ってくる途中船に乗ったんだけど、乗る前にわざとはぐれて置いてきたの。」
アルム「え!?どうしてそんな事をしたの?ひどいじゃないですか!」
ミカヤ「……怖かったの。」
アルム「え?」
ミカヤ「…あの子に避けられたり嫌われるのが怖かったの。」
セリス「どうして?今のサザさんからは考えられないんだけど。」
ミカヤ「そうね。いまのあの子からは考えられないけど、あの時は分からなかった。それに、ほら。あの子は日に日に大きくなっていく。けど私は…変わらないじゃない?
あの子も1年過ぎたころからたまに、少し不思議な顔をしていたから。限界だと思ったの。」
セリカ「素直に自分のことを話せばよかったんじゃない?姉さん。」
ミカヤ「ふふ、そうね。でも、あの子といた時間が当たり前になり過ぎていて…『もし拒絶されたら』って考えてしまうと耐えられなかったの。」
リン「だからって自分から切り捨てなくても…。」
ミカヤ「あ、勘違いしないでね?一番の理由は、私のせいであの子が傷つくのを見ていられなかったの。ほら、昼前に話した事みたいに私に何かあるとすぐに私を庇って、
あの子が代わりに傷ついてしまうの。私が傍にいるとあの子は怪我してばかりで、だから……」
マルス(ヒソヒソ…。ねえリン姉さん。)
リン(ヒソヒソ…。なに?マルス。)
マルス(あの緑風がその時、なんでミカヤ姉さんを庇っていたのか分かっているのかな?)
リン(…あの口振りだとあまり分かってないわね。でも昔の行動はともかく、今のサザっちなら理解してると思うわよ?)
マルス(そうなんだろうけど…どうしてこの兄弟は、ほぼ確実に鈍感なんだろうね?)
リン(血のなせる技じゃないかしら?)
マルス(そうだよね…。ところで“サザっち”てなに?)
リン(え?その…。“サザさん”って言うのもピンとこないし、呼び捨てもなんだから…あだ名?)
マルス(…いろいろ爆笑したいところだけどミカヤ姉さんの話はまだ続いているし、自重するよ。)
リン(うっさい!)
ミカヤ「……と言う事なの。」
シグルド「そういうことだったか……だがミカヤ。いきなり引き離される方の身も考えなさい。再会した時どうなっているか分からないんだよ。」
ミカヤ「そうね、ごめんなさい。あの子と再会した時によくわかったわ。」
シグルド「わかってもらえればいいんだ。…あ、ちょっと思い出したぞ。確かサザ君を見かけ始めたのは…ええと…そうそう、たしかアイクが小学校の修学旅行に行ってからだったな。」

73 名前: 続・命芽吹く風と共に 投稿日: 2008/11/15(土) 13:52:23 ID:TFZ2Sccv
ミカヤ「ええ。どうやらあの子、密航しようとしていたらしくてね。丁度、船でデイン地区に着いた時に見つけたらしいの。その後はアイクが保護して、修学旅行中一緒にいたみたいなの。」
エイリーク「はぁ。兄上と一緒に…。」
エフラム「以前修行について行った事があるが、半端な覚悟では到底無理だぞ。」
エリウッド「いや、たかが修学旅行中一緒にいたくらいで…。しかも小学校時代だし。今みたいな事はないと思うんだけど。」
ヘクトル「そう考えるとサザって意外とすごいんだな。」
エリウッド「だから修学旅行…。もういいや、胃が痛くなってきた…。」
ロイ「大丈夫?兄さん。」
ミカヤ「それでね?アイクが帰ってきたとき『ミカヤ姉さん。土産と忘れ者だ。』って言うから、『忘れ物ってなにかしら?』と思って玄関について行くと、セイニーを持ったあの子がいたの。」
リーフ「感動の再会ってやつだね。」
ミカヤ「あの子、最初何か言いかけたけど、何故か怒った顔して黙っちゃって……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
サザ『………どうして…。』
ミカヤ『え?』
サザ『…どうしていきなりいなくなったんだよ…。』
ミカヤ『サザ、それは…』
サザ『ミカヤは俺が護るって言ったじゃないか!!それなのに…。』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ミカヤ「って言われちゃってね。あの子、アイクとしばらく一緒にいたからなのかしら?雰囲気がすごく変わっていたわ。」
エイリーク「何故でしょう?テレビか何かで見たことが有る様な無い様な…?」
セリカ「それにしても、考えてみればシグルド兄さん並みに凄いセリフよね…。」
エリンシア「でも女の子だったら一回くらい言われてみたくない?」
セリカ「そ、そうね…///。」
シグルド「ん?」
ミカヤ「ということでサザは紋章町の一員になったの。」
全員「へぇ…。」
ガラガラッ
アイク「ただいま。」
ミカヤ「あ、ちょうどよかった。お帰りなさ…ってサザ!?どうしたの!?」
そこにはラグネルを右手に、ぐったりしたサザを左肩に担いだアイクが。
アイク「ああ、827人目までは調子良かったんだが、とうとう追撃に『瞬殺』が出てしまって倒せなくてな。しかも運悪く次の相手が必殺だして…まあ、そんなとこだ。」
ミカヤ「いったい何の事を…ともかく早くこっちに下ろして!治療するから。」
ヘクトル「へえ。やっぱり意外とやるじゃないか。」
エフラム「ああ。今度手合わせしてもらおうか。」
エリウッド「…ほどほどにね。」
リーフ(今回は平和に終わるかな?)
サザ「うぅ……ミカヤ?」
ミカヤ「もう…こんなに無茶をして。どうして男の子はこう…。」
サザ「ミカヤ…もう子供扱いは…よしてくれ。俺はもう立派な大人だ。」
ミカヤ「はいはい、だったら心配ばかりかけさせないでね?でも……サザ、ちょっと手を見せて。」
サザ「?」
ミカヤ「大きな手……あの頃はあんなに小さくて細かったのに。」
サザ「ミカヤ…。」

どこか近寄りがたい雰囲気が発生している中、居間では、
ロイ「あれ?いつもと扱いがかなり違わない?今の姉さん。」
マルス「きっと昔の事を思い出したことで、あれが自分にとってどんな存在だったか再確認したんじゃないかな?」
リーフ「ということはこのままいけば…。」
マルス「ないない。たぶん1週間、下手をすれば明日にでも元の扱いに戻るよ。」
ロイ「否定できないところがまた…。」

こうしてその日はミカヤとサザの絆が中々強いことを垣間見た兄弟たちであった。

―完-

74 名前: 続・命芽吹く風と共に 投稿日: 2008/11/15(土) 13:53:52 ID:TFZ2Sccv
―番外編その1―
アイク「最近ラグネルとハンマーしか使ってなかったからな(ドキャッ)…他の武器も知っておかないと、いざという時に…。(ザシュッ)っと、これで☆100完了。次は…リーフの光の剣か。ん?装備できない…。まあ、いいか。(光の剣を持ち)ぬぅん!(パリーン)(ポトッ)」
アイクが光の剣を振りかぶった時、何かが壊れ、落ちる音がした!
チャラララ~ラ~ラ~~。
『光の剣はリーフ専用では無くなってしまった…。』
アイク「なんだ?この音は?ん?(足元から何かを拾い)『リーフ専用』?これはいったい…。これから取れたのか(ドガッ)。それにいつの間にか装備できるな…。(ザシュッ)まあ、後で付ければ問題ないだろ。サザもまだまだ頑張っているし、(ドキュッ)負けられないな。」

―番外その2―
シグルド「そうだ、アイク。頼んでいた武器の☆付け、問題なかったか?」
アイク「ああ兄さん。この通りだ。」

ニア わたす
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E ラグネル --/-- | E ティルフィング 50/50
ブラザーアーチⅢ 50/50 |   こわれた剣 --/--
ニア   こわれた剣 --/-- |ニア
  こわれた剣 --/-- |
  こわれた剣 --/-- |
  こわれた剣 --/-- |

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シグルド「ああ、ありがと…って何だこれは!壊れているじゃないか!!」
アイク「仕方が無いだろう。どうしても耐久値が足りなかったんだ。途中で修理する訳にもいかなかったからな。」
シグルド「くっ…、確かに☆付けは壊れた状態が一番コストがかからないが…。あぁ…せっかく安上がりな上、効果は抜群だからクリスマスプレゼントに打ってつけだと思っていたが、これでは修理費が…。」
アイク「修理費…?だったらこれを使えばいい。(ドサッ チャリ~ン)」
ニア あげる
シグルド「ん?『あげる』?私はお前とは……ナ、ナナ、なんだこの額は――――――!!!」
テケテケテ~ン
シグルドは『---表示不能---』ゴールドを手に入れた。
シグルド「…(計算中)…よ、400万ゴールドだと!???!?」
アイク「良くすぐに額がわかるな。兄さん。」
シグルド「うるさい!すぐ計算できなくてベオウルフが雇えるか!!ともかく、こんなお金をどこから…」
アイク「ああ。サザがシステムを無視して頑張ってくれたおかげだ。これで修理金は問題ないだろう?」
シグルド(こんな金額…。私が一生働いても貰えるかどうか…。)
アイク「兄さん?」
シグルド「( ´; ω ;` )」
アイク「どうしたんだ?重いのなら代わりに…」
シグルド「兄に勝る弟なんてええぇぇぇ……。・゚・。・゚・。・゚・。・゚・・。・゚・。・゚・(  ノдT)・゚・。」
アイク「いきなりなにを言って…行ってしまった…。銀行にでも行ったのか?」
セリス「ねえ、エリンシア姉さん。あれ…」
エリンシア「…あとで励ましに行きましょうか。セリス。」
セリス「うん!」

頑張れシグルド!負けるなシグルド!!それでも君は大黒柱だ!!!

―終幕―

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