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Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:18:53

第2章 少女と少年

―家を飛び出したリンは、サカの草原に向かった。

リン   「やっぱり、若い女の子のすることといったら、
      男の子と仲良くすることよね。
      私だって、仲いい男の子くらい・・・あ、ラス!!」
ラス   「・・・どうした?」
リン   「え、あ、あのさ、遠乗りに連れて行ってくれない?」
ラス   「ちょうど今からいくところだ・・・乗れ」
リン   「う、うん、ありがとう、ラス・・・///////」
ラス   「ではいくぞ・・・は!!」

―ラスの乗る馬は瞬く間に、加速し、風を切っていった。
1時間後、遠乗りを終えて、ラスと別れたリンは、エレブの町を散歩していた。

リン   「ああ~気持ちよかった。
      男の子と1つの馬に・・・これぞ青春よね!!
      あら、あそこにいるのって・・・」

―リンが見つけたのは、エレブ学園の教師ケント(注)だった。
風紀委員の顧問であり、学園一厳格で真面目な教師だが、
「ケント先生はリンを気にかけている」というのが生徒間でのもっぱらの噂である。

注 「潔白の証明」では、ケントはケント『先輩』で風紀委員長でしたが、
一説によるとケントは20歳越えている可能性があり、
このネタ的にも先生の方が都合がいいので、ケント『先生』とさせていただきます。
いきあたりばったりでごめんなさい。

リン   「ケント先生、こんにちは」
ケント  「リリ、リンディス君!!一体どうしたのかね、こんなところで?」
リン   「特に用事があったわけじゃないんですけど・・・先生こそどうしたんですか?」
ケント  「少々遅いが、昼食を取ろうと、店を探していたのだ」
リン   「そういえば、お昼まだだったわね・・・そうだ、先生、一緒に食べませんか」
ケント  「な!!!?い、いいいい、いかん。
      生徒と教師が同席などと、わわわわ、我が学園の風紀に・・・//////」
リン   「大げさですよ、さ、私、良いお店知ってるんです」
ケント  「え、あ、その・・・/////////」

―レストラン「ロウエンの袋」にて食事をするリンとケント、
食事を終え、ケントと別れたリンは、再び町中を散歩した。

リン   「ああ~おいしかった・・・あら、あそこにいるのって・・・」

―リンが見つけたのは、リグレの傭兵ディークだった。化粧品店の前で、たたずんでいる。
(リンとディークの出会いについては、「潔白の証明 2nd Season」参照)

リン   「ディーク、どうしたの?お化粧でもするわけ?」
ディーク 「リ、リン、いや、ちょっとな・・・主の娘に買ってこいって言われたんだが、
      男1人じゃ入りずらい上に、おれじゃわからなくてよ・・・」
リン   「そっか、じゃあ、私が一緒に入ってあげる。
      化粧品だったら大体のことはわかるし」
ディーク 「それは助かる、一応買ってくるもののメモは貰ったんだが、
      どれがどれだかさっぱりわからなくて困ってたんだ」
リン   「じゃあ、入りましょう」

―用事を済ませ、店から出るリンとディーク。

ディーク 「助かったぜ、ありがとうな、リン」
リン   「私のほうこそ、こんなに色々買ってもらっちゃって、かえって悪いわ」
ディーク 「かまわねえよ、嬢ちゃんに怒られることにくらべりゃ、安いもんだ」
リン   「ふふふ、ありがとう、ディーク」

―ディークと別れ、帰宅するリン、彼女の表情は明るかった。

リン   「ああ、なんか今日は思いっきり遊んじゃったわね。
      それも、その、男の人となんて・・・
      でも、これぞ青春、若き乙女の特権よね!!
      これで私も年相応の少女よ!!」

―しかし、翌日のエレブ学園中等部。

レベッカ 「ねえねえ、リンってさ、やっぱり大人だよね!!」
リン   「ぐはぁぁぁ!!」
フロリーナ「え、ど、どうしたの、リン・・・だいじょうぶ?」
リン   「し、心配しないで・・・ね、ねえ、レベッカ、
      どうして大人だと思うの?」
レベッカ 「だって、昨日ディークさんとなにしてたの?
      高そうなお化粧品持ってたし、プレゼント?
      やっぱり付き合ってるの?」
リン   「見てたの!?いや、あれはちょっと買い物に協力しただけよ」
ニノ   「あれ、でも昨日はケント先生とレストランでご飯食べてたよね?
      あたし、見たよ」
フロリーナ「ラスさんと、遠乗りもしてたよね・・・?」
レベッカ 「わあ、すごい、リン、三股!!??」
リン   「ちがうわよ、私は誰ともそういう関係じゃありません。
      ケント先生は、先生だし、ラスとディークは友達よ」
ニノ   「本当~~?」
リン   「本当です///////」
レベッカ 「でもいいなあ、リンは大人の男の人となかよくできて」
リン   「え?」
ニノ   「ラスさんにケント先生にディークさん・・・
      そういえば、皆年上だね(注)」

注 ラスの年齢は18か19、リンとラスの支援会話で判明する。

レベッカ 「リンって、大人の男の人と仲良くしてばっかり、
      そういうところが大人っぽいなあって」
リン   「大人・・・っぽい・・・私が・・・」
フロリーナ「う、うん、私もそう思うよ。
      リンってしっかりしてるし、頼りになるし、お姉ちゃんみたい・・・」
リン   「・・・・・・・・・そ れ よ !!!」
フロリーナ「え、ええ!!?きゅ、急にどうしたの?」
リン   「見えた、見えたわ、『少女の証明』の突破口が!!」
フロリーナ・ニノ・レベッカ「??????」

―放課後、リンはある条件を満たす人物を探し歩いていた。

リン   (レベッカの言うとおり、今まで私と仲良かった男の人って、
      皆私より年上の大人ばかりだったわ。
      そういう人たちといつも一緒にいるから、
      私まで大人に見られちゃっていたのね。
      でも、それは裏を返せば、私より年下の男の子といっしょにいれば、
      私も年相応の少女に見られるってこと!!
      となれば、やることは決まり、年下の男の子を探すのよ!!
      ・・・だれかいい子は・・・いた!!)

―リンが見つけたのは、レイだった。

リン   「ね、ねえ、ちょっといいかしら?」
レイ   「ん?あんた、たしかロイの・・・」
リン   「ええ、ロイの姉のリンディスよ、よろしくね」
レイ   「で、おれになんか用?」
リン   「あ、あのね、ロイが色々お世話になっているみたいだから、
     その事とかで少しお話ししたくて・・・だめかしら?」
レイ   「悪いけど、おれ、年増に興味ないから、パス」
リン   「とととととと、年増!!
      え、ええっと、あ、あああ、あのね、私まだ15歳だから
      君とほとんど変わらないはずなんだけど・・・(注)」

注 ルゥとエレンの支援会話によると、ルゥはロイと2つくらいしか違わないらしいので、
ルゥレイの年齢は13歳ほどと考えられる。

レイ   「15?おいおい、冗談もいい加減にしろって。
      あんた、どうみても25以下には見えねえぜ。
      いくらなんでもボケるには早いだろ」
リン   「ににににににに、にじゅうごぉぉぉぉぉ!!??」
レイ   「どうしてもっていうなら、ルゥにしろよ。
      あいつ、あんたみたいな熟女大好きだからよ」
リン   「じゅじゅじゅじゅじゅ、じゅくじょおおおおおおお!!!??」
レイ   「おれ忙しいから、じゃあな」
リン   「待ちなさい、殺す、あんたはここで切り刻むわ!!!!」
???? 「あ、あの・・・」

―怒り狂うリンを後ろから呼ぶ声がした。
リンが振り向くと、レイとそっくりな少年が困った顔をしていた。

リン   「あなたは・・・」
ルゥ   「ええっと、ぼく、レイの兄でルゥっていいます。
      弟が失礼なこと言っちゃって、ごめんなさい」
リン   「あなたがあやまることじゃないわ。
      それに、あまり怒ってないから気にしないで」
ルゥ   「あ、ありがとう・・・あの、それで、ぼ、ぼくでよければ、
      お話し・・・しませんか?」
リン   「ええ、喜んで、すこし歩きましょう」
リン   (少年、ゲットだぜ!!これで私も少女になれるわ!!)

―内心喜びにわくリン、しかし彼女は気づいていない、彼女の計画に潜む危険性を・・・。

リン   「へえ、ルゥは魔道士なんだ」
ルゥ   「うん、強くなって、孤児院の皆を守るんだ」
リン   「すごいわ、もうそんな目的を持っているなんて」
ルゥ   「でもぼくなんかまだまだだよ、
      この魔道書だって、ちゃんと使いこなせていないし・・・」

―そう言って、ルゥは魔道書を取り出し、開いた。
その瞬間、風が吹き、本に挟んでいたプリントがリンの足元に落ちた。
リンはプリントを踏み、足元を滑らせたが・・・

リン   「きゃあ!!」
ルゥ   「危ない」

―とっさにルゥが抱きかかえ、転ばずにすんだ。

リン   「あ、ありがとう、ルゥ」
ルゥ   「ううん、ぼくがプリントを落としちゃうのが悪いんだ、ごめんなさい」
リン   「でもちゃんと助けてくれたじゃない・・・あれ・・・///」

―ルゥの手は見事、リンの胸を掴んでいた。

ルゥ   「え、あ、あ、あ、あ・・・///////ごごごごごご、ごめんなさい」
リン   「わざとじゃないし、大丈夫よ。それとも、ドキドキしちゃった?」
ルゥ   「/////////////!!!!!」
リン   「ふふふ・・・」
ルゥ   「か、からかわないでよ/////////」
リン   「ふふふ、ごめんね」
ルゥ   「もう・・・//////」
リン   (ふふふ、まだ顔が赤くなってる。ウブなのね・・・かわいい・・・)

―ルゥの純情な反応を微笑ましく思うリン、
だが、彼女の計画性に潜む危険性が、さらに増していることに、気づいてはいない。
しばらく歩いていると、1人の少年が声をかけてきた。

チャド  「あ、ルゥ」
ルゥ   「チャド!!」
リン   「お友達?」
ルゥ   「うん、ぼくの親友で、チャドって言うんだ。
      チャド、こちらはリンディスさん、
      ロイ様のお姉さんなんだよ」
リン   「チャド、よろしくね」
チャド  「あ、ああ・・・」
ルゥ   「ねえ、よかったらチャドも一緒にお話ししようよ。
      リンディスさん、いいでしょ?」
リン   「(美少年がふえる、これはチャンス!!)ええ、もちろんよ」
チャド  「い、いいのか・・・な、なら、ちょっとだけ・・・」

―その後も、リンは、ユベロ、デュー、アスベル、ユアン、
ヨファ(蒼炎仕様)、トパック(蒼炎仕様)と、次々に少年達と出会い、
その都度仲間の輪に加えていった。

リン   「随分集まったわね、
      ちょっと外じゃ話しにくいし、
      これから喫茶店に行ってお茶を飲みましょう。
      もちろん、私がご馳走するわ」
デュー  「本当!!」
ヨファ  「リンディスさん、ありがとう」
リン   (これだけの少年の輪にいれば、どう見たって私も同じ少女よね!!
      出費は痛いけど、ここはいくしかないわ!!)

―リンと少年達は喫茶「しっこく」に向かった。

リン   「漆黒さん、私含めて9人だけど、席空いてるかしら?」
漆黒   「テーブルを動かすので、しばし待たれよ」

―テーブルを動かして作った9人用の席に、リン達は座った。
それから約3時間、リンと少年達は談笑をし、解散した。

リン   (ああ、楽しかった!!
      いままで年下の男の子と接したことってあまりなかったけど、
      皆かわいい子たちばかりだったし、
      今日はとても新鮮だったわ。
      それに、少年達の輪に溶け込んだ今日の私は、
      正真正銘、まぎれもない少女よね!!
      証明できて嬉しいわ、満足満足)

―満足気に帰路につくリン、しかし、彼女は気づいていない。
己の計画に潜む危険性が最高に達し、彼女自身に大いなる災いをもたらすことを・・・。

―翌日、エレブ学園。

リン   「皆、おはよう!!」
ニノ   「え、リ、リン!!」
フロリーナ「お、おおおおおお、おはよう・・・」
レベッカ 「い、いい天気ね」

―いつもなら元気よく挨拶を返してくれるはずの友人達、しかし今日は様子がおかしい。

リン   「あれ、どうしたの、皆?」
フロリーナ「え、う、ううん、なんでもないよ・・・」
リン   「本当?なんか様子がおかしいわ。
      もしかして、私何か悪いことしちゃった?」
ニノ   「そ、そうじゃないんだけど・・・あ、あのさ、リンって、すごいんだね・・・」
リン   「え?」
ニノ   「ラスさんとか、ケント先生とか、
      年上の男の人と仲いいだけじゃなかったんだね」
レベッカ 「すごいなあ・・・私なんて、よく話す男の子っていったら、
      ウィルくらいしかいないのに」
フロリーナ「わ、私なんて、未だに男の人と話せないのに、リンは、すごすぎるわ」
リン   「言っている意味がよくわからないんだけど・・・私の何がすごいの?」
ニノ   「それは、その・・・」

―突如、「ピンポンパンポーン」と校内放送を知らせる音が鳴った。

校内放送 「中等部のリンディスさん、
      至急、魔道研究室のセシリア先生のもとに来てください」
リン   「私?一体何かしら・・・?ごめん、ちょっと行って来るね」

―リンは放送の通り、魔道研究室に向かった。

リン   「失礼します」
セシリア 「あ、リンディスさん、来てくれたのね」
リン   「ええっと、私に何か・・・?」
セシリア 「私、知らなかったの。リンディスさんが、私と同じ、その・・・ね・・・」
リン   「はい?」
セシリア 「まあ、大っぴらに言えることではないけど、
      決して悪いことじゃないから、恥ずかしがることはないのよ。
      なにかあったら相談してね」
リン   「あ、あの・・・」
セシリア 「あ、でも、ロイ君はだめよ。
      あなた達は姉弟なんだから、そういうところは線を引くべきなの。
      それに、ロイ君は・・・私が・・・ね・・・///////」
リン   「????」
セシリア 「ところで、今度の日曜日に会合があるんだけど、あなたもどう?
      私達みたいな人がたくさん集まって、色々語り合うの。
      とても楽しいわよ」
リン   「ちょ、ちょっと、セシリア先生!!」
セシリア 「どうしたの?」
リン   「あ、あの、おっしゃっていることの意味がよくわかりません。
      そもそも私と先生が同じって、どういうことですか?」
セシリア 「え、だから、その・・・ね・・・」
リン   「???」

セシリア 「あなたも、私と一緒で、年下のかわいい男の子が好きなのよね。
      つまり・・・シ ョ タ コ ン なんでしょ?」 
リン   「え、えええええええええええええ!!!!????」
セシリア 「そ、そんなに驚くことかしら?」
リン   「ショタコン・・・わ、私が・・・ショタコン・・・」
セシリア 「さっきも言ったけど、別に悪いことじゃないから、
      恥ずかしがることはないのよ」
リン   「わ、私はべつに、そんな・・・しょ、ショタコンじゃありません!!」
セシリア 「え?でも、昨日、たくさんのかわいい男の子と喫茶店でお話ししていたんでしょ?
      すごく楽しそうだったみたいだけど・・・」
リン   「え、いや、あれは・・・」
セシリア 「どこで知り合ったの?今度は私も誘ってくれないかしら?」
リン   「ちょちょちょちょちょ、ちょっと待ってください!!
      た、確かに昨日はたくさんの男の子達と話していました。
      男の子達がほとんど年下だったのも事実です。
      でも、そもそも私はまだ15歳なんです!!
      年下といっても、2、3歳の差しかありません。
      15歳の私が、13歳の男の子と仲良くするのはいたって、普通です。
      ショタコンとか、そういうのじゃありません!!」
セシリア 「で、でも、この新聞には・・・」
リン   「!!!!????」

―セシリアは机の上にあった新聞をリンディスに渡した。
記事の内容は以下の通りである。

『~草原の誘惑? 兄弟家リンディス氏にショタコン疑惑!?~
以前より、多くの女性と関係を持っていることが目されていた、
兄弟家四女、リンディス氏(通称 リン)。
しかし、ここにきて、彼女は実は美少年愛好趣味、すなわち、
「ショタコン」ではないかという疑惑が浮かび上がってきた。
○月×日、リンディス氏は13歳の少年と2人きりで交遊、
その後、他の少年を呼び寄せ、
最終的には8名の少年(年齢はいずれも13歳から15歳)に囲まれ、
交遊することになった。
その間、他の女性や成年男性の姿は確認されていない。
本紙の取材で判明したのはここまでであるが、
その後、彼女と少年がいかなる交遊を行ったのか、
彼女の嗜好はいかなるものか、それは想像に難くない。』

記事の上には、二枚の写真が載せられていた。
一枚目にはルゥがリンを抱きかかえる姿が、
二枚目には喫茶店でのリンと少年達の談笑している姿が、
写っていた。
写真にはそれぞれ、
『成熟した肢体を駆使し、美少年を誘惑するリンディス氏』
『美少年達との欲望の宴、はやくもハーレム結成か!!?』
というコメントが添えられていた。

リン   「な、なんじゃこりゃあああああああああ!!」
セシリア 「今朝、私の家の郵便受けに入れてあったの。
      お隣さんも持っていたし、結構出回っていると思うわよ」
リン   「ちょ!!!!!」
セシリア 「この『星君主新聞』って、不定期刊行なんだけど、
      出るときはすごい特ダネを載せてくれるから、
      評判いいのよ」
リン   「星君主・・・スターロード・・・・・・・・・・・
      あ、あ、あ、あのやろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

―兄弟家リビング

マルス  「ギブ、ギブ、ほんの出来心だったんです、許してください!!」
リン   「殺す、今日と言う今日は徹底的に殺す!!
      レズに加えてショタコンまで、あんたは私を怒らせた!!」
マルス  「うぎゃあああああああああ」
エリウッド「うぷ・・・な、なんたる惨劇・・・」
アイク  「今のリンに勝てるものは一人もいないだろう・・・」
ヘクトル 「マルスも凝りねえよなあ・・・
      しかもこれだけやられてるのに、どこか顔が嬉しそうに見えるのは俺だけか?」
セリカ  「そりゃあ、愛しのリンお姉ちゃんが
      自分だけのことを考えてくれる時間ですもの、幸せに決まってるわ」
ロイ   「考えている中身は殺意だけどね」
アルム  「ある意味究極の愛だね。ぼくもさすがにここまでは無理だなあ・・・」
セリカ  「わたしもそこまでは求めないわ」
エイリーク「そ、それにしても、リンの嗜好が、年下の少年だったとは知りませんでした」
エリンシア「私もです。てっきりもっと大人の殿方が好みなのかと・・・」
リーフ  「僕はヘザー×リンディスを期待してたんだけどなあ・・・」
リン   「私はショタコンじゃありません!!あとレズでもないの!!」
シグルド 「し、しかし、この新聞には・・・」
リン   「それはでっち上げよ!!マルスが私にやることを信じられるの!!?」
セリス  「で、でも、この写真自体は本当のことなんでしょ?」
リン   「そ、それはそうだけど・・・」
ヘクトル 「じゃあ、つまりはショタコンなんだな」
リン   「違うわよ!!」
ミカヤ  「リン、そんなに恥ずかしがることないの。
      わたしも、サザと知り合った時にはそういわれたけど、
      別に気にしなかったわ。
      犯罪さえしなければ、歳の差なんて関係ないのよ」
リン   「<ダキュン>歳の姉さんと一緒にしないで!!
      いい!?そもそも私はまだ15歳なの!!
      年下といっても、2、3歳の差しかないの。
      15歳の私が、13歳の男の子と仲良くする普通のことなの。
      ショタコンとは言わないの!!」
エリウッド「う、うん、まあ・・・理屈の上ではそうだよね」
ヘクトル 「でもなんか納得できねえんだよなあ・・・」
エリンシア「リンちゃんには悪いけど、私もなぜか違和感が・・・」
アイク  「何か、何かがおかしい・・・」
リン   「なんでよ!!どう考えたって、私の言っている事が正しいじゃないの!!」
マルス  「それについては、僕がご説明いたしましょう」
ロイ   「あ、復活した」
マルス  「言葉だけではわかりづらいから、1つ、実験をするね」
セリス  「実験?」
マルス  「リーフ、ちょっといいかな」
リーフ  「なに?」
マルス  「リーフ、これから僕が言う状況を、想像してみて・・・
      我が家にリリーナが遊びに来ました。
      目的はロイに勉強を教えてもらうためです。
      ロイの部屋で勉強をする2人、そこに突如停電が起こります。
      こわがるリリーナと、彼女を励ますロイ、
      すぐに停電が収まりますが、2人は気づいてしまいます。
      リリーナが怖がって抱きついたのでしょうか、
      今ロイとリリーナの身体は密着状態でした。
      さらに、今他の家族は全員出かけていて、正真正銘の2人きり、
      見つめあう二人はやがて・・・」
ロイ   「ちょ、何!?なんで、僕とリリーナが出てくるの!?」
ヘクトル 「なんちゅうベタな展開・・・」
エリウッド「でも、『絶対にありえない』と断言しきれないのは僕だけかな?」
マルス  「さあ、リーフ、想像できたかい?」
リーフ  「・・・・!!!!」

―マルスの話を聞き、妄想の翼を広げたリーフ、
やがて、彼の鼻から、数滴の血液が零れ落ちた。

アルム  「あ、鼻血」
セリカ  「つまり、エロい妄想をした、と」
ロイ   「え、ちょっと、何したの?
      僕とリリーナで何を想像したの!!?」
マルス  「どうだい、リーフ?」
リーフ  「初々しい2人による初めてのボーイミーツガール・・・
      いいね、嫌いじゃないよ、そういうの」
マルス  「嫌いじゃないけど、鼻血は数滴。
      つまり、リーフ的にそこまでそそるものはなかったと」
ロイ   「どういうこと!?
      『ボーイミーツガール』って具体的に何するの!?」
マルス  「はいはい、ロイは黙って。
      リーフ、次に行くよ。想像してみて・・・
      放課後のエレブ学園、もう校舎にほとんど人はいませんが、
      ロイだけは教室に残って委員会の仕事を続けていました」
ロイ   「なんでまた僕なの!!?」
リーフ  「・・・・・・」
マルス  「仕事を終え、そろそろ帰ろうとしたロイに、
      セシリア先生の魔道研究室にくるよう、校内放送がかかります。
      言われたとおり、研究室に入るロイに、セシリア先生はこう言います。
      『いつも遅くまでご苦労様、そんな頑張り屋のあなたには、
       特別なごほうびをあげないとね・・・』
      そういって、先生は部屋に鍵をかけ、ロイに近づいていき・・・」
リーフ  「ブハアアアアアアアアアアアアアア」
エイリーク「きゃあ!!」
シグルド 「な、なんて鼻血の量だ・・・」
ロイ   「いい加減しつこいかもしれないけど、
      なんで僕とセシリア先生なの・・・・?」
マルス  「どうだい、リーフ?」
リーフ  「誰もいない放課後、美人女教師と2人っきり、
      セシリア先生のイケない授業・・・た、たまんねえ・・・
      ロイ、僕と身体入れ替わってよ・・・」
ロイ   「いや、全て兄さんの妄想だから。実話じゃないから」
マルス  「まあつまり、リーフ的にはロイ×リリーナよりも、
      ロイ×セシリアの方が、そそるというわけだね」
シグルド 「ま、まあ、それはな・・・」
ミカヤ  「リーフのお姉さん好きは筋金入りだしね」
エフラム 「俺は納得がいかん」
ヘクトル 「黙れロリコン」
リン   「だ、だから、何よ?リーフの趣味と、
      私がショタコンなのと、何の関係があるのよ?」
マルス  「それはこれからわかるよ。
      さあ、リーフ、最後だ、想像してみて・・・
      君に用があり、我が家に訪れたアスベル、
      しかし、君を含めほとんどの人が外出中で、
      家にいたのはリンディスだけでした。
      とりあえず、アスベルは家に上がります。
      楽しくお話しする2人、不意にリンディスがたずねます。
      『ねえ、アスベル君はどんな女の子がすきなの?』
      『え、ぼ、ぼくは・・・リンディスさんみたいな、
       大人の女の人が・・・』
      『あら、嬉しい、私もアスベル君見たいな男の子、好きよ』
      そういって、リンディスはアスベルに身体を近づけます。
      『え、あ、あの・・・リンディスさん・・・』
      『あら、照れているのかしら?』
      リンディスはさらにアスベルに近づいていき・・・」

リーフ  「ブハアアアアアアアアアアアアアア」
エイリーク「きゃああ!!」
アルム  「す、すごい、さっきのに負けないくらいの鼻血が!!」
リン   「ちょっとリーフ!!私とアスベルで何想像してんのよ!!?」
リーフ  「友達の姉と2人っきり・・・浪漫だ・・・」
セリス  「あれ、でも、アスベルってたしか15歳だったよね?」
マルス  「そう、ショタ系の中では比較的年上のアスベル。
      しかし、そんな彼とでさえ、リーフはおびただしい量の
      鼻血を出しました。
      つまり、少年×リンディスの組合せは、
      ロイ×リリーナよりも、ロイ×セシリアに
      近い性質のものだということがわかりますね。
      つまり、リン姉さんはセシリアさんと同じ属性、
      すなわち、ショタコンだということです!!」
リン   「納得いかねええええええええええええ!!」
リン、マルスのぞく兄弟一同「なるほど!!」
リン   「皆も納得しないで!!」
エリウッド「ま、まあ、その、人の好みは様々だからさ・・・」
リン   「まとめに入らないで!!」
エリンシア「女の子同士で愛し合うよりは・・・少年相手の方が、
      いいと思うわ」
シグルド 「KINSHINでなければ、いいとおもうぞ」
リン   「違うの、私はショタコンじゃないの!!」
ヘクトル 「いい加減、認めちまいなって」
ミカヤ  「さっきも言ったけど、決して悪いことじゃないから、ね」
リン   「違うって言っているでしょう!!」
アイク  「・・・腹が減った」
エリンシア「あら、もうこんな時間、すぐにお夕食作りますね」
ミカヤ  「はい、じゃあ、この話はおしまい」
リン   「待って、誤解したまま終わらせないでえええええ!!」
エフラム 「・・・・・・」

―その日の夜、自室で不貞寝するリンを訪ねてくる者がいた。

エフラム 「リン、入っていいか?」
リン   「え、ど、どうぞ・・・ど、どうしたの、こんな時間に?」

―その者はエフラムだった。手にはお茶とお菓子を乗せたお盆を持っている。

エフラム 「本来なら、このような場には酒が相応しいのだろうが、
      お互い未成年だ、茶と菓子で我慢してくれ」

―そういって、エフラムはお盆を床に置き、自分も床の下に胡坐をかいた。

リン   「な、何をするつもりなの?」
エフラム 「リン、まずは謝っておきたい、すまなかった」
リン   「え?」
エフラム 「これだけ長く暮らしていながら、お前の志を、
      俺は気づいてやれなかったのだ」
リン   「志?」
エフラム 「少年と少女、性別は異なれど、
      幼いものを愛で、守っていくという志に違いはない。
      同じ志を持ちながら、俺はお前のことを理解してやれなかった。
      『所詮、少女の素晴らしさを理解しているのは俺だけ』
      そのような思い上がりが、俺にはあったのだ」
リン   「・・・」

150 :少女の証明:2009/02/04(水) 18:39:36 ID:ajZ5Q/eO
エフラム 「だが、今夜からは違う。これからは俺達は同志だ。
      俺は少女を、お前は少年を愛で、守る。
      俺はお前の兄だ、だが、それと同時に、同志だということを、
      忘れないでほしい」
リン   「・・・・・・」
エフラム 「さあ、まずは大いに語り合おう。
      少年の素晴らしさ、少女の素晴らしさを、
      夜を徹して語り合い、お互いの理解と絆を深めるんだ!!
      茶と菓子については足りなければ、どんどん持ってくるから
      遠慮なくやってくれ!!」
リン   「・・・・・・・・・うがあああああああああ!!」

―枕もとのマーニ・カティを抜き、リンはエフラムに斬りかかった。

エフラム 「な、なにをする、やめろ、俺達は同志だろう!!」
リン   「うるさい、一緒にするな、私はショタコンじゃないのぉぉぉぉぉ!!」
エフラム 「待て、落ち着け、俺も馬に乗るから、マーニカティは特攻がつくんだ、
      うわあああああああ!!」
リン   「あーーーん、もう、私は少女になりたいだけなのにぃぃぃぃぃぃ!!」

―若さを証明するために、少年と交流を持とうとしたリンディス、
しかし、彼女の望む結果は得られず、ショタコンの烙印が残るのみだった。
そんな彼女が、歳相応の若さを取り戻し、自らが少女であることを証明することはできるのか?