19-458

Last-modified: 2011-06-05 (日) 22:17:56

今日は七夕、年に一度の恋人たちの逢瀬の日。
だが第一線のビジネスマンにそんな事は関係ない。

ホーク「経理から今月のパート賃金の報告書が来てますよ。また役員連中が経費削減で騒ぎ出しかねませんね」
ミーシャ「と言ってもね。余分な人数は雇ってませんし、今だって正社員の残業代を削ってるのに」
自分達がぼやいてもしかたがない。とりあえず2人は報告書をセティにまわすと、
それぞれの仕事を続ける。
セティ「うううう…今だってそれほど高い時給を払ってるわけじゃないんだ…
各部署になるべく残業するなって言うしかないか…
書類上の残業は減るだろうけどサービス残業が増えるなぁ…
また労組に突き上げられる…」
経費削減でクーラーは切っている。窓を開けた部屋で文字通り額に汗して働く3人。

ホーク「はい、社長室のホークです!来月の役員監査のスケジュールの件?…え?
急病で代理がいるって?それはあんた方監査室の担当でしょうが!役員にはそっちで話しつけて下さいよ!
社長室だって監査の対象なんだから、こっちがタッチするわけいかないの!」

ミーシャ「トーヴェのクブリ工場長ですか?社長室のミーシャです。
来月の10日に本社で経費について会議を行います。正式な書類は後ほど送りますので出席をお願いします。
…え?人員削減は無理だ?…ええ、わかってますよ…本来は増員したい所でしょうけど…
ですから他の経費を削れないかを会議で話し合うわけで…」

セティ「兄上!?こっちは大変なんですよ!ちょっと、切るなコラー!」
電話だけでも一日に何回もかけたり受けたりしている。

まったくえらい忙しさだ。
生活のための仕事が、ここでは仕事のための生活になってしまっている。

カロリーメイトを頬張るセティ。まともにメシ食ってるヒマなんかない。
セティ「ええい兄上め!いつもいつも勝手ばかり!ええいくそ!」
苛立ちながらもきっちり仕事はこなすセティ。だがレヴィンがいても役に立つとは思えない。
今まで放蕩三昧していた人間に急に社長業などできるものではない。

ホークもミーシャもいっそセティが社長になってしまえばいいのにと思う。
セティ「おろろ~~ん!(´;ω;`)ああ…ティニーに会いたい…」
ホーク「いかん!セティ様が涙目になってしまう!」
ミーシャ「…ほ、ほら!今日は早めに切り上げましょうよ!
今のうちに電話して都合を聞いてみたらいかがですか?」
ホーク(…いつも早めに切り上げようとして10時11時になるんだけどな…)
ミーシャもホークも忙しいなりに多少は休みも取るが、セティにはそれもない。
社長でないとタッチできない仕事は結構多いのだ。

ミーシャ(セティ様可哀想…ティニーさんと上手くいってないのかなぁ…ティニーさんはリーフ君が好きらしいし…)

セティ「(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)(´;ω;`)」
ホーク「やばい…情緒不安定になってる…このところ会社に泊まることが多かったからなぁ」
ミーシャ「このレベルの涙目は久しぶりね…」

涙目になりながらも仕事はこなしてしまうあたり、セティの真面目さは立派なものだ。
しかしもう見てらんない。

ミーシャ「…ええと…今日のお仕事は終わりです。残りは明日にしましょうよ」
時計を見せるミーシャ。時計の針は23時を刺している。会社に泊まらない時は大抵この時間に帰る。
コクコクとうなずくとセティは荷物をまとめて部屋を出た。

ホーク「ええと…今はまだ19時くらいですけど…」
ミーシャ「時計を進めたんですよ。今のセティ様ならひっかかると思って…」
ホーク「セティ様もなぁ…真面目すぎる人だから…」
ミーシャ「まぁ今日の所は私たちで進めておきましょうよ」
2人の仕事も決して少なくないのだが、2人はセティのデスクから、
自分たちが手を出しても構わない書類を分け合うとサービス残業に励むのだった。

帰り道の途中、セティは時間に気付いたが今日の所はそのミーシャとホークの心遣いを受け取ることにしたのだった。
セティ「私もちょっとストレスを溜め過ぎていたかもしれないな。あまりまわりに心配をかけないようにしないと」
とりあえず時間もできたし久々にストレス発散しよう。セティはカリルの店に入るのだった。

セティ「酒だ!酒をくれぇぇぇ!」
カリル「ああハイハイ!まったくクダばっかまいてないでシャンとしなよ!」
セティ「うるへ~~い(´;ω;`)ティニ~~」
エイミ「おにいちゃんこれあげる!」
セティ「へ?」
エイミが差し出したのは短冊である。
エイミ「これにねがいごとをかくといいよ。きっとかなうよ」
セティ「うおぉおおぉおおおおん!(´;ω;`)ありがとうエイミちゃ~~ん!」

酔いどれたセティは短冊に願いを書き綴るとそのまま潰れてしまった。

ティニーとラブラブになりたいお~~おろろ~~ん!(´;ω;`)

                       セティ

カリル「気の滅入ってくる短冊だねぇ…」
エイミ「そんなこといっちゃだめだよ。おにいちゃんのねがいがこめられてるんだから。
きっとかなうよ。いまないたぶんだけあとでしあわせがやってくるよ」
カリル「もう、この子はどこでそんな言葉覚えてきたんだか!」
カリルはエイミの頭を撫でると、セティに毛布をかけてやるのだった。

ミーシャ「ふぁ…」
ぼんやりと目が覚めた…どうやら残業しながら眠ってしまったようだ。
向かいのデスクではホークが突っ伏して寝ている。
外は真っ暗だ。
ミーシャ「明日も仕事だし…家帰るのだるい…今日は泊まろ…」
そういえばふと思い出す。今日は七夕だった。
短冊がないので、メモ用紙にサラサラと走り書きする。

セティ様とティニーさんが上手くいきますように

                  ミーシャ

そして気付く。すでに0時を過ぎ、七夕は終わっていた。
ミーシャ「…ちょっとくらいの遅れは大目に見てくれるよね?」
そしてセロテープでそっと観葉植物の葉に張るのだった。

ちなみにティニーは夏コミの原稿とAKJの集まりで
多忙を極めていたのだった。

終わり