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Last-modified: 2007-06-15 (金) 22:29:25

かみちゅ?

 

エリンシア「皆さん、晩御飯ですよ。早く席についてくださいね」
全員   「はーい」
シグルド 「……うむ、今日も我が家の晩御飯は実においしそうだな」
アイク  「シグルド兄さん、お決まりの文句はいいから早くしてくれ」
ヘクトル 「そうだぜ、こっちは腹減って死にそうなんだからよ」
エフラム 「この時間ばかりはヘクトルに同意だ。早めに頼む、シグルド兄さん」
セリカ  「……(むにゃむにゃ)」
シグルド 「分かった分かった。では皆、箸を持って……いただきます」
全員   「いただきます!」
アイク  (がつがつ)
ヘクトル (ばりばり)
エフラム (むしゃむしゃ)
ロイ   「……相変わらず凄いね、あっちは」
リーフ  「あの凄まじい食いっぷりのせいで席分けられてるぐらいだからね……」
セリス  「凄いなあ兄さん達は。僕もあのぐらい食べられるようになりたいよ」
リン   「いや、あそこまでは無理でしょさすがに……」
セリカ  「……(むにゃむにゃ)」
ミカヤ  「……相変わらずセリカはきちっとしてるわね」
ロイ   「いつも欠かさないもんね、お祈り」
リーフ  「大地母神ミラ、だっけ? セリカ姉さんが信仰してるのって」
セリス  「ユンヌさんとは違う神様なのかな?」
ミカヤ  「どうかしら。今はユンヌもいないみたいだから、今度聞いてみるわ」
セリカ  「……(むにゃむにゃ)」
ロイ   「……それにしても長いね」
リーフ  「うん。僕だったら食卓の前でこんな長い時間不明瞭なことを呟いていられないよ」
アルム  「……」
ロイ   「そしてそれを微笑ましそうに見守っているアルム兄さん……」
リーフ  「これまたいつも通りの光景だね」
シグルド 「……」
エリンシア「……お兄様、お口に合いませんでした?」
シグルド 「ん、いや、エリンシアの料理はいつだっておいしいさ」
エリンシア「でも、今何やら苦虫を噛み潰したようなお顔を……」
シグルド 「いやいやそんなことはないぞはははは、このエビフライはおいしいなあ」
セリカ  「……(むにゃむにゃ)」
アルム  「……」
シグルド 「……」
エリンシア「ほら、また」
ロイ   「……いつも通りの光景、だね」
リーフ  「……いつも通りだからこそ、たまに嫌になるんだよね……」

エリンシア「ロイちゃん、洗い物手伝ってもらえないかしら?」
ロイ   「はーい」
セリカ  「あ、わたしも手伝うわ」
アルム  「じゃあ僕も」
アイク  「よし、食後の腹ごなしといくか」
ヘクトル 「へへ、腕が鳴るぜ」
エフラム 「今日こそ兄さんに勝ってみせる」
シグルド 「さて、部屋に戻って読書でもするかな」
マルス  「僕ちょっとシーダの家まで出かけてきます」
セリス  「宿題やらなくちゃ」
エイリーク「部屋でピアノの練習を……」
エリウッド「今日は何事もなくていい日だったなあ。明日に備えて早めに休んでおこうかな」

ミカヤ  「……と、三々五々皆が散って」
リン   「居間に残ってるのはミカヤ姉さんとわたしと……」
リーフ  「ふーっ……食った食った」
リン   「……リーフ、ご飯の後すぐに横になるのは止めなさいよ」
リーフ  「えー、いいじゃないそんな、ケチケチしなくても」
リン   「別に牛になるって言う訳じゃないけどね、消化に悪いから……」
リーフ  「つまり食べたものが長くお腹に残るんでしょ? いいね、お得な感じ」
リン   「そういう問題じゃないってば……」
ミカヤ  「……あ」
リン   「え?」
ミカヤ? 「……やっほー皆! 元気してた?」
リーフ  「……この微妙にうざったいハイテンション……」
リン   「ユンヌさん?」
ユンヌ  「当たりっ! きゃーっ、なんかこの家の微妙に澱んだ空気、久しぶりかもっ!」
リン   「澱んだって……」
リーフ  「しかしまあ、相変わらずテンション高いねユンヌさん」
ユンヌ  「もっちろん。このわたしを誰だと思ってるの? 自由と混沌の女神ユンヌちゃんよっ。
      リーフちゃんももっと元気よく生きないと、女の子にモテないぞっ♪」
リーフ  「いいよそんなの。モテたってどうせ面倒事が増えるだけだし……」
ユンヌ  「まっ、枯れてるわねリーフちゃんったら。若者がそんなんじゃいけないわ。
      若い頃の苦労は買ってでもしろっていうことわざ、知らないの?」
リン   (モテるってのが面倒事だっていうのは否定しないのね……)
ユンヌ  「そう、人間たるもの、平坦な人生なんてつまらないわ! もっと自由に、混沌とした道を歩んでいかなきゃね!」
セリカ  「……皆、さっきからどうしたの? 何か騒いでるけど……」
ユンヌ  「あら、ひょっとしてこの子が噂のセリカちゃん? お兄さんのアルム君とラブラブっていう」
アルム  「ラブ……!? ど、どうしたのミカヤ姉さん、なんだか変だよ?」
セリカ  「何か悪いものでも食べたんじゃ……」
リーフ  「あー、そっか。アルム兄さんとセリカ姉さんは、ユンヌさんと顔合わせるの初めてだっけ」
リン   「偶然にも、ね」
アルム  「え、ユンヌさんって?」
セリカ  「ミカヤ姉さんじゃないの?」
ユンヌ  「オッホン。お初にお目にかかるわね二人とも! わたしの名前はユンヌ!
      今はミカヤの体を借りて喋ってるけど、その実態は、なんと!
      自由と混沌を司るとっても可愛い女神ちゃんなのです!」
アルム  「……女神、ユンヌ?」
セリカ  「……本当なの?」
リン   「(あれ、なんかセリカの雰囲気が怖い……?) え、ええ、そうよ」
リーフ  「限りなくインチキ臭いけど、いろいろ変なこと出来るし、紛れもなく自由と混沌の女神、らしいよ」
ユンヌ  「やだもうリーフちゃんったら、そんなに褒められたらユンヌ困っちゃう」
リーフ  「……って言うか、今日はいつにも増してテンション高いね」
ユンヌ  「そりゃそうよ、いつもは何故かすれ違いになっちゃって会えなかったセリカちゃんとアルムちゃんに、
      ようやく会えたんですもの! しかも二人は兄妹なのに愛し合っちゃってるんでしょ、このこの!」
アルム  「え、いや、べ、別に僕らはそういうんじゃ……ねえ、セリカ?」
セリカ  「……」
アルム  「セリカ?」
ユンヌ  「いやあねセリカちゃんったら、照れてるのかしら? いやーんもう、とっても可愛いわ!
      でも安心してね、自由と混沌の女神たるもの、兄妹ぐらいじゃつべこべ言わないから!
      むしろ応援しちゃう! シグリンのティルフィングなんか気にせず、どんどん突っ走っちゃえ!」
アルム  「こ、困ったなあ……セリカ? さっきから黙り込んじゃって、どうしたの?」
セリカ  「……ごめんなさいアルム、わたしちょっと部屋に戻るわ……」
アルム  「え、ちょっと、セリカ!?」

ユンヌ  「……嫌われちゃったかしら?」
リーフ  「珍しいね、セリカ姉さんがシグルド兄さん以外にきつく当たるなんて」
リン   「そうね。何か、気に入らないところでもあったのかしら?」
ユンヌ  「ショック! ここに来て初めて嫁姑問題勃発!? ああ、鬼嫁がいじめるんだよお前さん」
リーフ  「……このテンションがうざかったんじゃないかな、ひょっとしたら」
リン   「まあ、あり得なくはないけど……」
アルム  「あ、セリカが戻って……きた……」
リーフ  「……セリカ姉さん、その格好、なに?」
リン   「僧衣、みたいな……」
セリカ  「……ええ、これは大地母神ミラ様に仕える者だけが着用を許された、特別な戦闘衣……」
リーフ  (そんなのあったんだ……っていうか、戦闘衣?)
リン   (何だってそんなものを今持ち出してくるのかしら……?)
アルム  「あ、あの……セリカ、それを着るってことは、ひょっとして……」
セリカ  「ええ、そうよ」
アルム  「だ、駄目だよセリカ、ここはウチだよ!? いや、外でも駄目だけど!」
リーフ  (あれ、なんかヤバ気な雰囲気……?)
ユンヌ  「キャーッ、やだもう、セリカちゃんったらとっても可愛いわ! ね、写真撮っていい、写真」
リン   (そして、全く雰囲気読めてない人がここに一人……)
セリカ  「……」
ユンヌ  「……あれ? どしたのセリカちゃん。もしもーし?」
セリカ  「黙りなさいっ!」

 シーン……

ロイ   「(台所から顔覗かせつつ)え、なに、どうしたの?」
リン   「せ、セリカ……?」
リーフ  「は、般若の形相だ……! いつものセリカ姉さんじゃない……!」
ユンヌ  「……え、黙れって、わたしに言ったの?」
セリカ  「あなた以外に誰がいるっていうの、この邪神!」
ユンヌ  「じゃ、邪神!? ひどい、そんな悪口、アイクぐらいにしか言われたことないのに!」
セリカ  「黙れと言ったのが聞こえなかったの!?(ゴオオオォォォォォォッ!)」
ユンヌ  「きゃあっ!(回避)」
リーフ  「え(直撃) ウギョアァァァァアッァッ! あっちぃぃぃぃぃ! アヅイヨォォォォォォッ!」
ロイ   「なんてこった、ライナロックの直撃を喰らったリーフ兄さんが火達磨になっちゃった!」
リーフ  「この人でなしーっ! っていうか、だ、誰か、誰か水、水ゥゥゥゥゥ!」
リン   「大変……! あんまり動かないでリーフ、家に燃え移ったら大変でしょ!?」
リーフ  「ぼ、僕よりも家の心配するのリン姉さん!?」
リン   「傷はライブで治せても家は治せないでしょうが!」
リーフ  「た、確かに!」
ロイ   「そこで納得しちゃ駄目だよリーフ兄さん!」
リン   「とにかく、今水もってくるからちょっと待ってなさい!」
アルム  「せ、セリカ、落ち着いてよ!」
セリカ  「安心してアルム。わたしは今この上なく落ち着いているわ。
      落ち着いているからこそ、目の前にいるのが限りなく邪悪な存在だということが分かる……!」
ユンヌ  「ひどいわセリカちゃん! 何を根拠にわたしを邪神扱いするの!?」
セリカ  「人の姉の体を乗っ取っておいて何を言うの!?」
ユンヌ  「いや、別に乗っ取ってる訳じゃ……な、何なら今すぐミカヤと話させるから、ね?」
ミカヤ  「……ふう。落ち着いてちょうだいセリカ、わたしは何も無理矢理体を乗っ取られてる訳じゃ」
セリカ  「そうやってミカヤ姉さんの振りをして私を騙すのね!?」
ミカヤ  「いやっ、違っ……」
セリカ  「そうでなかったらミカヤ姉さんは操られているんだわ! そうよ、きっとそうに違いない……!」
ユンヌ  「わ、わたし、誰も騙してなんか……」
セリカ  「自ら混沌の女神を名乗り、人の姉の体を乗っ取り、あまつさえ近親相姦を無邪気に勧める……
      許し難いわ邪神ユンヌ! 大地母神ミラの名の下に、このアンテーゼが神罰を下します!」

ロイ   「アンテーゼってなに?」
アルム  「ミラ教の洗礼名みたいなもので……あああ、どうしよう、またこんなことになるなんて……」
ロイ   「……ひょっとして、セリカ姉さんがこんな風に暴走するのってこれが初めてじゃないの?」
アルム  「うん。この間も通りすがりのナーガ教徒に『大地に還れ腐れ異教徒め!』って叫びながらライナロックを連発して」
ロイ   「危なすぎないそれ!?」
アルム  「いや、セリカにとってはむしろそれが正義なんだ。ほらミラ教って基本的に一神教だから」
ロイ   「うわぁ、まさか宗教戦争の縮図を我が家で見ることになろうとは……」
ユンヌ  「くぅっ……! セリカちゃんったら、人のこと遠慮なく邪神呼ばわりしてくれちゃって!
      あんまり調子に乗ってると、ユンヌちゃん怒っちゃうぞ、プンプン!」
セリカ  「何て品のない……! しかも凄く頭悪そう! あなたみたいなのが神を名乗ろうだなんて、不敬だわ!」
ユンヌ  「むかーっ! ちょっと、今の言い草はひどいと思わないロイちゃん!?」
ロイ   「……いや、正直セリカ姉さんに賛成できなくもないって言うか」
ユンヌ  「ふんだ! 何よ何よ、大地母神ミラの名の下に、だなんて気取っちゃって!
      わたしなんかミラちゃんとはこの星が生まれる前からのマブダチなんだもんね!」
ロイ   「え、それ本当?」
ユンヌ  「そーよ。ミラちゃんなんてわたしと同じぐらいのお馬鹿さんで、お兄さんのドーマ君も手を焼いてるんだから」
ロイ   (なにそのほのぼの創造神話……そして、自分がお馬鹿だって自覚があったんだ……)
セリカ  「ふ、不敬よ! 不敬にも程があるわ! 人の神様をちゃん付けで、しかもお馬鹿さん呼ばわり!
      その上ドーマ神との関係を世俗的に捏造するだなんて、ミラ経典を何だと思って」
ユンヌ  「ふーんだっ、そんなもの知らないもんね! 人たちが勝手に書いた本のことなんて、わたしちーっとも知らないもんね!
      やーいばーかばーか、あっかんべーっ! お尻ぺーんぺーん!」
ロイ   (……この人、本当にこれで神様なんだろうか……)
セリカ  「もう許せない……っ! 私の全存在を持って、あなたを打ち滅ぼす!」
ユンヌ  「ふふん、やれるもんならやってみなさいよ。この体どうせミカヤのだしね!」
ロイ   「ちょっ、なに人の姉さん人質に取ってんですか!?」
ユンヌ  「だいじょーぶよ。こんな小娘に女神であるわたしが負けるなんて、絶対ありえないもーんだ」
ロイ   「いや、そういう意味じゃなくて」
セリカ  「大丈夫よ、ロイ。邪神を打ち滅ぼすための聖戦だと知れば、死んだミカヤ姉さんも分かってくださるわ」
ロイ   「もう死んだことにされてる!?」
セリカ  「という訳で、滅せよ邪神!」
ユンヌ  「きやがれこのクソ異教徒がぁっ!」
ロイ   「ちょ、ユンヌさん本音出てるって」
アルム  「ふ、二人とも落ち着い……」
二人   『死ねェェェェェェェェェッッ!』

セリカ  「ライナロック!」
ユンヌ  「レクスオーラ!」
セリカ  「くぅっ……!」
ユンヌ  「おほほほ、その程度かしらセリカちゃんったら! ちゃんちゃらおかしいとはまさにこのことよ!
      どう、這い蹲ってわたしの靴を舐めるなら、改宗することだけは許してあげてもいいわよ?」
セリカ  「黙りなさい、邪神!」
アルヴィス「なんだ、一体何の騒ぎだ」
アトス  「騒がしいのお」
レヴィン 「勘弁してくれよ、今夜は遊び倒すつもりだったのに」
イシュタル「ユリウス様に夜這いをかける途中だったのに……」
セリカ  「そこの通りすがりの四人! 今すぐこの聖戦に協力することを命令します!」
アルヴィス「は?」
アトス  「なんじゃと?」
レヴィン 「おいおい、急に何を」
イシュタル「私を誰だと」
セリカ  「黙って協力する!」
四人   「はい!」
セリカ  「よーしっ、これで……!」
ユンヌ  「あははは、その四人に協力してもらったところで、わたしを倒すことなんて不可能」
セリカ  「ファラフレイム、フォルブレイズ、フォルセティ、トールハンマー!」
ユンヌ  「えっ、ちょ……! あ、あぶなっ……っていうか、なんで使えるの!?」
セリカ  「信仰心の賜物よ!」
ユンヌ  「クッ、狂信者め……っ!」
セリカ  「くたばれ邪神めぇぇぇぇぇっ!」
ユンヌ  「神を舐めるなよ、小娘ぇぇぇぇぇっ!」

 ~数日後~

ロイ   「……で、結局あれからどうなったの?」
リーフ  「家族全員騒ぎのせいで気絶しちゃって、後のこと全然覚えてないんだよね……」
ロイ   「アイク兄さんなんか『あの程度で気絶するとは、不覚だ』とか言ってどっかに旅立っちゃうし」
リーフ  「エリウッド兄さんは我が家の倒壊に心を痛めて倒れちゃうし」
ロイ   「実際のとこどうなのさ?」
リーフ  「教えてよアルム兄さん」
アルム  「……そう言われてもね、僕にもよく分からないんだよ。ロイたちと一緒で気絶してたし」
ロイ   「気がついたら朝だったもんね……」
リーフ  「残っていたのは、我が家の瓦礫の上で呆然と座り込むセリカ姉さんだけだったもんなあ……」
セリカ  「……」
ロイ   「そしてそのセリカ姉さんはあれから終始不機嫌で何も話さないし……」
リーフ  「謎は深まるばかり、だね……」
ミカヤ? 「やっほー皆! 超お久しぶり!」
セリカ  (ビクッ)
ロイ   「あれ、ユンヌさん」
リーフ  「あの騒ぎ以来だね」
ユンヌ  「まーね。わたし、あの騒ぎ起こした原因問われて、押入れ……じゃなくてメダリオンに閉じ込められてたし」
ロイ   「相変わらず全然威厳ないねユンヌさん……」
アルム  「あの、ユンヌさん」
ユンヌ  「んー? なあに、アルムちゃん」
アルム  「あのあと、どういう形で決着がついたんですか? セリカ、何も話してくれなくて……」
ユンヌ  「んっふっふっふっふー。聞きたい?」
アルム  「え、ええ」
ユンヌ  「……だって。教えてあげたらー? ねー、セリカちゃーん?」
セリカ  「ぐぅ……!」
ロイ   (うわ、セリカ姉さんこめかみに青筋立ってるよ!)
リーフ  (怖ぇー、あれは相当怒りを押し殺してるな……)
ユンヌ  「(ぺちぺちとセリカの頭を叩きつつ)ほらほらどうしたのセリカちゃん、説明してあげなさいよ、
      ねー、大地母神ミラの従順な僕たる神官戦士、アンテーゼちゃーん?」
セリカ  「ぐむむむむむ……!」
アルム  「せ、セリカ……?」
セリカ  「……あの後、いつ果てるとも知れぬ激戦を繰り広げていた私達の前に、三人の神様が降臨なさったのよ……」
アルム  「か、神様!?」
ロイ   「そりゃまた……」
リーフ  「ぶっ飛んだ話だね……」

ユンヌ  「一人はアスタルテ姉さん、もう一人はアスタテューヌ姉さん。で、もう一人が……」
セリカ  「……大地母神、ミラさまだったの……」
アルム  「えぇ!?」
ユンヌ  「ふふん、だから言ったじゃない、わたしとミラちゃんはマブダチなんだって」
ロイ   「本当だったんだ……」
セリカ  「……あのときのことを思い出すと、わたしは今でもっ……!」
リーフ  「……ま、まあ良かったじゃない姉さん、崇め奉ってる神様と直に会えた訳だし」
セリカ  「ちっとも良くない!」
リーフ  「ひぃっ!?」
セリカ  「……ミラ様はね、わたしにこう仰ったのよ……」

~回想~

ミラ   『セリカ、あなたがわたしを敬ってくれるその気持ちはとても有難いですが、
      だからと言って他の神を否定するなどあってはならないことですよ。
      特にユンヌは、わたしの姉とも言えるようなかけがえのない存在なのですから』
セリカ  『で、ですがミラ様……!』
ミラ   『言い訳はなしです。そんな聞き分けの悪い子はミラちゃん嫌いです。ちょめっ!』

~回想終了~

リーフ  「ミラちゃん……それにちょめっ! って……」
ロイ   「……神様って軽いのばっかりだね、なんか……」
ユンヌ  「ま、とにもかくにもそういう訳で、わたしには手出しできなくなっちゃったのよね、セリカちゃーん?」
セリカ  「ぐぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁっっ!」
アルム  「い、いつものセリカじゃない……!」
ロイ   「……ま、まあいいじゃない、ミラ様の意思も確認できたことだし、これからは仲良くすれば」
リーフ  「そ、そうだよね。これで何の問題もない訳だし……」
ユンヌ  「そうそう。いいこと言うわねー二人とも。そういうわけで、仲良くしましょうねーセリカちゃーん?」
セリカ  「ぐぐぐぐぐぐぐ……!」
ユンヌ  「あっらー? どうしたのかしらセリカちゃん。ほらほら、あなたの信仰する神様の姉貴分であるユンヌさまが、
      これから仲良くしましょうって言ってあげてるのよー? ちゃんと返事しなきゃ駄目よー?
      ほらほらその可愛いお口を開けて言ってごらんなさいな、『分かりました、偉大なる混沌の女神ユンヌさま』
      ほーら、ぷりーずりぴーとあふたーみー?」
セリカ  「……っ! アルム! 今すぐあの邪神殺して!
      わたしを愛しているなら、あなたのファルシオンで真っ二つにしてやって!」
アルム  「ちょ、落ち着いてよセリカ!」
ユンヌ  「おほほほほほ、なーんて気分がいいのかしら! ああ、負け犬の遠吠えって最高……!」

ロイ   「……リーフ兄さん」
リーフ  「……なんだいロイ?」
ロイ   「……つまり、また揉め事の種が一つ出来たっていう解釈でいいのかな、これは……」
リーフ  「……なんかもう、勝手にしてくれって感じだよ、はあ……」

便乗ネタ2-104