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Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:41:17

ラトナ様がみてる

~ロストン家~

ラーチェル「ムキー!なんなんですのこの感じはぁー!」
レナック「今度はなんすかもう、さわがしいなぁ」
ラーチェル「だまらっしゃい!」
レナック「はぁ…」
ドズラ「ガハハ!」

ラーチェルは苛立っていた。この間の騒ぎからどうも胸の奥が悶々する。
これはエフラムを思うと感じた感覚と一緒だ。
ラーチェル「ま…まさか、わたくしエイリークの事が…でも!エフラムの事もあるし、これでは二股に!」
レナック「別にエフラムさんとはつきあってるわけじゃないんでしょーが、問題ないんじゃねっすか、
     それはそうとそろそろ転職したいんすけど」
ラーチェル「乙女の独り言を聞くんじゃありませんわ!」
つ イーヴァルディ
レナック「はべら!」
ドズラ「ガハハ!」

明朗快活なラーチェルも色々悩みを抱えているようだ。

ラトナ様がみてる

~ルネス女学院生徒会室~

3会長がお茶を飲んでいる。ふとリノアンが口を開いた。
リノアン「ねぇ…次期生徒会長選挙、どうなると思う?」
シレーネ「エイリークは出ないようだし…今のところ選挙にエントリーしてるのはラーチェルだけね」
アテナ「そレ・困る・会長3人」
ルネスの会長は3人。副会長や書記は置かず、対等の立場で役割を分担する。

リノアン「まあ、まだ受付の締め切りまでには期間があるわ」
アテナ「骨のアる・ヤツ・来るとイい・そういえば・たーな・出ナいのカ?」
シレーネ「そのつもりはないようね。まあ、生徒会長の重責を思えば無理に出ろとは言えないわ。
     彼女なら立派に務まると思うのだけど」
ターナのフレリア家にシレーネは仕えている。しかし学院では先輩と後輩だ。
2人は家と学院で立場をキチンと切り替えている。
シレーネ「もっとも得意武器が細身の槍じゃねぇ…ロサ・細身の槍なんて格好よくないわ」
もしそうなったら自分のヴィドフニルを譲るつもりでいるが…

やはり3人とも、自分達の卒業後、生徒会を率いる者が気になってしょうがないようだ。

ラトナ様がみてる

~エイリーク達の教室~

エイリーク「…はぁ」
ターナ「どしたのエイリーク?」
エイリーク「いえ、ちょっと…」
エイリークの表情を見て大体何があったか悟る。

ターナ「部の後輩達から選挙に出てほしいって言われたんでしょ?」
エイリーク「どうしてわかったんですか?」
ターナ「伊達に親友やってないわよ。私も天馬部の後輩達に同じ事言われたもん」
エイリーク「みんなが期待してくれることは嬉しいんですけどね…」
ターナ「でもさ…3会長といえば、全校生徒憧れのお姉さまたちだよ?…来年そんな風に振舞えるかというと
    やっぱ考えちゃうよね…」

だが、ターナが選挙に出馬を渋る理由とエイリークのそれとは違った。
エイリーク(3会長の皆さんは巨乳ばかり…私が生徒会長になったりしたら、ルネスの歴史上
      もっとも貧乳の会長として名を残す事に…orz)
目の前で揺れるターナの巨乳を嫉妬の視線で眺めるエイリーク。

そこにラーチェルが駆け込んできた!
ラーチェル「エイリーク!ターナ!選挙に出ますわよ!」
エイリーク「だから私は選挙に出る気は…」
ターナ「私もその気はないよ」
ラーチェル「そう言うと思ってエントリーしてきましたわ!」
エイリーク「な、なんですってー!」
ターナ「んな勝手な…」
ラーチェル「次代のルネスを担う3人は、わたくし達以外にありえませんわ!」

ラトナ様がみてる
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ラーチェルの脳内ではこんな妄想が垂れ流されていた。

ポワポワ…

エイリーク(ラーチェル…今期の生徒会の予算案ですけど…)
ラーチェル(書類を見せて下さる?)
エイリークから書類を受け取ろうとした時、二人の指が触れる。

ラーチェル&エイリーク(あ…)

見つめ合う2人。窓から指す夕日と静寂が2人を包む…
やがて二人の唇はそっと触れ合い…

ラーチェル(ああ!なんて美しいのでしょう!)

ちなみにターナまで勝手にエントリーしたのは単なる数合わせである。
3会長なんだし。

ラーチェル(同じ部屋で仕事をする2人の新密度が高まるのは必然!
      それにエイリークかエフラムか迷うなど、よく考えれば愚かしい事でしたわ!
      わたくしとエイリーク、エフラムとターナが結ばれればみんな幸せ!
      失恋に泣く者もいないのですわ!)
ヒーニアス(待て待て待てぃ!誰か忘れているぞ!)
ラーチェル(まあ!人の妄想に勝手に出てくるんじゃありませんわ!
      振られ男同士、ゼト先生やサレフ先生とおホモだちにでもなってしまいなさい!)
ヒーニアス(アー!タスケテエイリーク!)
自分の妄想世界から容赦なくヒーニアスを消し去るラーチェル。

???「…ェル!ラーチェル!」
ラーチェル「はっ!?」
ターナ「はっじゃないわよもう!私まで勝手にエントリーしちゃって!」
ラーチェル「ですが、2人とも部の後輩達の期待に応えるべきじゃなくて?」
エイリーク「それはそうかもしれませんが…少し考えさせて下さい…」
ターナ「もう!エイリークまで!」

結局その日は決断できないまま、家路につく事になった。

ラトナ様がみてる
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~ラトナ様のお庭~

ルネス女学院の正門から入ってしばらく並木道を進むと、柵に囲まれた小さな庭があり、
そこにラトナ様の像がある。
ルネスの女生徒達は登下校時にこの像の前に足を止め、短く祈りを捧げるのがたしなみだ。
もっともそろそろ遅い時間、下校中の生徒もまばらになってきている。

アメリア「いっけな~~い!遅くなっちゃった!バスに遅れちゃうよ~!」
アメリアが早歩きしてくる。
慌ただしく走っている姿を上級生のお姉さま方に見られでもしたら、どんなお叱りを受けるかわからない。
正直もどかしいがラトナ様の像の前で祈りを捧げる。小さくポツリとつぶやきながら。
アメリア「バスに間に合いますように、仮面の騎士様にまた会えますように、ムニャムニャ」

その時背後からいきなり声をかけられた。
???「あら熱心ねえ?お祈り?」
アメリア「うひゃああ!?おおおお姉さま!
     走ったりなんてしてません!ラトナ様に些細な事で願掛けなんてしてませぇ~ん!」
???「あぁ~ん!お姉さまなんて、たまらないわ!」
熱烈に抱きしめられる。
アメリア「むぎゅ~!あ、あなたは生徒じゃない?」
ヘザー「そうよ!この学校の新任教師ヘザーよ!よろしくね♪」
アメリア「ちゅ、中等部のアメリアです…っていつまで抱きしめてるんですかぁー!」
じたばたもがくアメリアだが、ヘザーの腕が緩む気配はない。
ヘザー(ふふふ…いきなりこんな可愛い娘に会えるなんて!
    盗賊の情報網を駆使して理事長の弱みを握った甲斐があったわ!)
ルネスに採用が決まったため、前の学校をあっさりと辞め、今日はとりあえず下見に来たのだ。
まさしくこの学院はヘザーにとってパラダイスである。
アメリアは顔中キスマークだらけにされ、必死になって逃げ延びたのだった。
アメリア「うわぁーん!怖かったよぉー!」
ヘザー「あん!照れちゃって可愛い♪」

続く