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Last-modified: 2011-05-31 (火) 03:23:32

ティナ  「あ、あれ!」
マリア  「あのお姿は……」
マリーシア「プリンスとプリンセス! あ、後者は誤解だったわね……。でも遠目から見ても判る麗しさ! はぁ、やっぱりいつ見てもステキ……」
ティナ  「ねぇねぇ、ちょっとこっそり後付けてみない?」
マリア  「言われなくとも」
マリーシア「そのつもりですとも」

エリウッド「あれ? 何だセリスじゃないか」
セリス  「あ、エリウッド兄さん」
エリウッド「セリスは今帰りなのかい。いつもこんなに遅くまで? 大変だな」
セリス  「まぁね~。一応生徒会長だし、会議がいろいろあって。ええっと、兄さんは買い物して来てくれたところ?」
エリウッド「ああ、姉さん達に頼まれてね。傷物野菜に、閉店間際で値下げされてた肉を少々」
セリス  「うわ~、少々って言う割に重そうだね! 袋一つ貸して」
エリウッド「悪いな、ありがとう……はぁ」
セリス  「な、何? いきなりでっかい溜め息なんか吐いちゃって」
エリウッド「いや……ちょっと見てくれないか、これ」
セリス  「財布? うっ、こ、これは……!」
エリウッド「ふふ、それがウチに残る全財産さ。こないだもアイク兄さんやヘクトル達が壊した家財やら何やら一式で大変な事になって」
セリス  「ああ……」
エリウッド「例のごとくグレイル工務店さんのご厚意で大分安くはなったんだけど、それでもシグルド兄さんのボーナスが吹っ飛んだからね。あぁ、今月も我が家の家計はシムベリン」
セリス  「あ~、どおりで今朝シグルド兄さん元気ないと思ったよ。本当なら折角のボーナスだし、ディアドラさんとちょっと豪華目ディナーとか楽しめただろうしね」
エリウッド「そういうこと。あぁ、僕が早く働ければいいんだけど。どうも兄さん達、僕を大学に入れようとしてるみたいなんだよな」
セリス  「そりゃそうでしょ! だって兄さんはとっても頭が良いもの、高卒じゃもったいないよ。それで一杯勉強してさ、将来はお医者とか似合うんじゃない?」
エリウッド「はは、患者の気持ちが良く解る医者ってね」
セリス  「えっ!? あ、う、その、兄さんが病弱だとか、そういう意味で言った訳じゃないよ?」
エリウッド「解ってるよ、でも事実だ」
セリス  「う、ゴメン……」
エリウッド「はは、悪い悪い、からかったりして。お前にこういう言い方は良くなかったな、反省するよ。でも確かに、医者はいいかもしれないな」
セリス  「でしょう? 兄さん優しいし、患者さんにも好かれそう。あ、小児科の先生とかどう!?」
エリウッド「ああ。でもな……。やっぱり僕は、高校を出たら直ぐ働きたい」
セリス  「……兄さん……」
エリウッド「今は実質、シグルド兄さんの稼ぎだけで兄弟皆が暮らしてるんだ」
セリス  「え、だってミカヤ姉さんとかアイク兄さんは?」
エリウッド「アイク兄さんかー。解らないか? 兄さんも結構給料貰ってる訳なんだけど、毎回あっという間に工務店に還元してるだろう」
セリス  「あ」
エリウッド「それにミカヤ姉さんだって占いで頑張ってくれてるんだけど、その……収入なんてぶっちゃけ雀の涙だからなぁ。稼ぎはほぼその日のうちに消え去るだろ?」
セリス  「大体悩みを聞いて、お金は貰わずさようなら、らしいよね」
エリウッド「そう。基本的にはお人よしだからな、姉さんは。その辺は多少ユンヌさんの影響受けてもうちょっと、こう――」
セリス  「駄目だよそんなこと言っちゃ! あの人に関わるとロクな事ないの、良~く解ってるでしょ!」
エリウッド「おっと、そうだ……すまないセリス。あまりの胃の痛みに意識がヤられて来てたみたいだ……うっ!」
セリス  「わぁ! に、兄さん、しっかり! ああ、どうしよう、僕胃薬なんて持って来てないよ!?」
エリウッド「だ、大丈夫、この位はいつものことだから」
セリス  「ええー! 口の端から何かどす黒い血が止め処なく出てますけど!?」
エリウッド「だから、だから僕は一刻も早く稼がなくちゃならないんだ!(王子様スマイル)」
セリス  「まさかのスルー! だ、だれかー!!」

一刻を争う一大事でしたが、二人は偶然通りかかったシスター達に無事助けてもらえました。