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Last-modified: 2007-06-18 (月) 19:09:45

シグルド「いい加減に、しなさーいっ!!」
セリカ「それは、こっちの台詞よーー!!」

 ちゅどーん!

アルム「あうううう……」
マルス「おやアルム、二人のガチ喧嘩に巻き込まれたみたいだけど、大丈夫かい?」
アルム「あ、あまり大丈夫じゃない……。ライナロックの余波が……」
マルス「はいリフ薬。……しかし手加減しないねセリカも。まあ、ティルフィング持ったシグルド兄さん相手じゃ余裕ないだろうけど」
アルム「(ごくごく)……ふう。ありがとマルス兄さん」
マルス「どうも。けどねえアルム。少しは自重した方がいいよ」
アルム「……分かってる。けど……」
マルス「ああ、誤解の無いように言っておくと、いちゃつくのは別にいいよ。少なくとも僕は止めない」
アルム「……へ?」
マルス「人前では控えろってこと。こっそりいちゃいちゃする分には誰にも迷惑はかからないし、シグルド兄さんも気付かないから」
アルム「……そうかなあ? 竜の門の向こうまで行っても、気付いて駆けつけそうな気がするけど、シグルド兄さん」
マルス「ないない。大体シグルド兄さん、色恋沙汰には疎いんだから。アルムとセリカのことにしか気付いてない辺り、だいぶ鈍感だよ」
アルム「はい?」
マルス「ま、鈍感なのはうちの家風かもしれないけどね」
アルム「ちょ、待った、マルス兄さん。それ、どういう意味」
マルス「んー? ……例えばエリンシア姉さんだけど、姉さん、兄弟みんなを『ちゃん』付けするだろ?」
アルム「う、うん」
マルス「けど、アイク兄さんだけ、たまに呼び捨てにすることがあるんだけど……気付いてたかい?」
アルム「……そ、そうなのか」
マルス「それにエイリーク姉さん。剣の稽古をするとき、手が空いていれば必ずエフラム兄さんを指名するけど、変に思わなかった?」
アルム「なんで?」
マルス「だって、エイリーク姉さんの剣技は、エリウッド兄さんと同型じゃないか。エリウッド兄さんと手合わせした方が学ぶことは多いと思うよ?」
アルム「あー……、そういえば。なんならマルス兄さんとでも良い競い合いになりそうだしね」
マルス「だろ? なのに、全然タイプの違うエフラム兄さんにばかり指導を頼んでる。……なんでだろうね?」
アルム「…………」
マルス「リン姉さんだって、ラスさんと良い仲になりそうなのに進展が無いのは、エリウッド兄さんヘクトル兄さんと遊んでる方が楽しいからだろうしね」
アルム「…………。な、なんかそうやって言われると、うちの兄弟って問題ばかりな気がしてきた……」
マルス「ああ、鵜呑みにしないように。これはただの、僕の些細な疑問なんだから。もしかしたら恋愛感情とは無関係な動機があるかもしれないだろ」
アルム「うーん。けど……」
マルス「だーいじょーうぶ。ちゃんとミカヤ姉さんが見てくれてる」
アルム「ミカヤ姉さんが?」
マルス「そう。いつも神様に騙されて誤魔化されて振り回されてるミカヤ姉さんだけど、気配りのしっかりした人だから。そのミカヤ姉さんが黙ってるんだから、大した問題じゃないよ。……アルムとセリカについてもね」
アルム「俺たち?」
マルス「そう。ミカヤ姉さんが二人のいちゃつきを黙認してる以上、気にする必要はないってこと。だから、シグルド兄さん以外は誰も注意しないんだよ」
アルム「そ、そうだったのか」
マルス「そうだったんだよ」

シグルド「悪い娘には、お仕置きだーッ!!」
セリカ「邪魔者は、馬に蹴られて退いていろーー!!」

 ゴゴゴゴゴ……ズシーン……!!

アルム「……あ、大黒柱が倒れた……」
マルス「アルム、至急、グレイル工務店の人たち呼んできて。僕はエリウッド兄さんたちの足止め工作するから」
アルム「わ、分かった」