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Last-modified: 2013-11-06 (水) 19:49:16

496 :幼女の旗の下に:2010/10/15(金) 14:45:56 ID:DjVLkxSA

261

4 ライナスを庇う   人を背負っていては避けられまい!

エフラム 「危ない!」
ライナス 「うぉぁっ!?」
とっさの判断でライナスを突き飛ばす。
そのまま3人もろとももんどりうって水路に倒れこんだ。

……一瞬前までライナスがいた空間を槍の矛先と竜の羽音が駆け抜けていく……
軽い舌打ちの音が通り過ぎていく。

他の者たちも咄嗟に水路に伏せてその突進をやりすごした。
リーフ  「コノヒトデナシー!」
……避けそこねた者もいるが……
リーフを突き刺して吹き飛ばした後、狭い水路でどうにか方向転換した2騎の竜騎士は再び槍先をこちらに向けてきた。
その眼光は槍先に劣らず鋭い。
ヴァイダ 「ギースの野郎をこっちによこしな!」
ロイド  「てめぇヴァイダか!」
リーフがベルン署に送ったギース捕縛の報はヴァイダ達に傍受されていた…
それを受けてヴァイダとヒースはギースの身柄を奪い取るべく別の入り口から水路に突入したのだ。
すでにソーニャらから見捨てられ今更意味の無い行いではあるが…それは当人らの知らない事である。
ダミアン 「悟りたまえ。この人数相手では勝ち目は無いと言う事を」
すでに第一撃の奇襲はしのがれた…体勢を整えたエフラム、ロイド、ジャファル、ダミアンはヴァイダ達に油断無く切っ先を向けている。
ライナスも気絶したままのギースを下ろすとその側を固めつつ勇者の剣を抜いた。
ヒース  「……っ」
ヴァイダ 「弱気を見せんじゃないよ!」
ヒース  「は…はいっ!」
ヴァイダ 「ギースの野郎のタマさえとれば…失点を取り返して充分な手柄になるんだ…いくぞっ!!!」

竜のいななきが地下に響き渡った。

497 :幼女の旗の下に:2010/10/15(金) 14:46:39 ID:DjVLkxSA

262

ゼフィールらがギースのアジトを完全制圧した頃…
ツァイスはトラキア分署に拘留したサザの取調べを一通り終えていた。
「全てユンヌが悪いんよ!」と喚くサザの言葉をツァイスはいっさい取り合わなかった。
露出狂の頭が電波を受信してるくらいにしか思わなかったのだ。
…なんだかいつもの取調べの倍は疲労感を感じつつ喫煙所でコーヒーを飲んでいると刑事が声をかけてきた。
刑事A  「ツァイスさん、牙の兵隊から供述が取れました」
ツァイス 「なに!? 幹部の事か!!!幹部から命令を受けたと吐いたのか?」
刑事A  「いえ…そこまでの情報はもってませんでした…実行部隊のトップまでですが…」
ツァイス 「…やっぱ四牙や首領クラスまでは行き着かないか…仕方ない。それで?」
刑事A  「この一件で指揮をとったのは新参者のヴァイダという者だそうで…それが…」
ツァイス 「…どうした?」
刑事A  「…なんでも…元警官だそうで…データーベースを当たってみたら四年前に懲戒免職になったベルン署員と…」

飲み終えたコーヒーの空き缶をゴミ箱に放り込むとツァイスは立ち上がった。
口の中のコーヒーの味が疲れを癒し頭脳を目覚めさせる。
ツァイス 「何を仕出かしたんだ?」
刑事A  「なんでも捜査情報や機密を犯罪シンジケートに金で流したとかで…」
ツァイス 「それで落ちぶれてヤクザか…まだ居場所は特定できてないんだな?」
刑事A  「はい」
ツァイス 「現場のゼフィール署長に連絡しとけ。俺もこれから現場に出る。
      それとブタ箱に逮捕した露出狂野郎がいるからメシをやっといてくれ。手錠は外すなよ。
      道具は押収したとはいえシーフの技能を持ってるからな」

その報は直ちに現場のゼフィールへと伝えられた。
腕組みをしてゼフィールは一声うなる…
ゼフィール「むぅ…」
その姿を遠めに見つつゲイルは嘆息した。
ゲイル  (前署長の時の案件がこんなとこで出てくるたぁな…)
あくまで噂ではあるが…当時警部だったヴァイダは前署長…ゼフィールの父デズモンドと対立して無実の罪を着せられた…と署内では囁かれたものだ。
なお余談だがベルン署は公的機関であり親子2代で署長となったのはあくまで偶然である。世襲ではない。
さらに言えばデズモンドは警官となったゼフィールを冷遇し高い検挙率にも関わらず地方へ飛ばすなどその扱いは冷たかった。
ゲイル  (家庭内のゴタゴタがあったって聞いてるが…まったく懐の狭い署長だったからなあ…)

498 :幼女の旗の下に:2010/10/15(金) 14:47:21 ID:DjVLkxSA

263

キュアンの捜索を依頼したフィンが次に向かったのは中央区の大統領府である。
現大統領バイロンはキュアンの義父にあたり、その力添えを願ってのことであった。

バイロン 「…そうか…キュアンがな」
フィン  「はっ…お守りできず…誠に…」
バイロン 「あやつが護衛を退けたのもあやつの考えゆえのことだ…エスリンにはしばらく伏せておくがよい」
理由は言わなかったがフィンは老人の背中に無言のうちにその心情を汲み取った。
娘に心労をかけたくないのだろう。
バイロン 「内務省に話を通しておく。全力を持って調査に当たらせよう」
フィン  「ありがとうございますっありがとうございますっ!」
この場ではバイロンは口にしなかったが…内務長官は元老院政権の者である。
どこまで影響力を行使できるか心元ないと言わざるをえなかった…

バイロン (いよいよ年寄り一人孤立無援か…クルト様にもう少し力があれば…いや、不敬だ…言うまい。これもワシの不甲斐なさゆえのことか)

水路内ではヴァイダとヒースが奮闘していた。
人数は少ないが通路の狭さを活かして巧みに互いの背後を守っている。
とりわけヴァイダは牙で大幅にステータスを強化されていた。
力強く繰り出される槍を辛うじて槍で受ける。
エフラム 「むぅっ!」
ヴァイダ 「くらいなっ!!!」
エフラム 「なんの!」
数合打ち合うとお互いに距離を取る。
互いの槍先が互いに狙いを定めている。
その背後ではジャファルとロイドが激しい斬撃をヒースに向けて放っていた。
防戦一方に追い込まれたヒースは長く持ちこたえられないだろう。
ライナスはぴったりとギースの側を守っている。
ダミアンはエフラムに加勢しようとして…それをエフラムは手振りで制した。
一対多の戦いは彼の好むところではない。

499 :幼女の旗の下に:2010/10/15(金) 14:48:22 ID:DjVLkxSA

264

だが…エフラムもヴァイダも忘れていたが…この場にはもう一人の人物がいたのだ…
彼は立ち上がり…

リーフ  「ワイルドなおねいさんだヒャッハァァァァァァッ!!!」
なんとルパンダイブしてきた…
一瞬ヴァイダは呆気に取られる…死んだと思ってた相手が生きていればそれは驚くしかない。
ヴァイダ 「んなっ!?たしかに胸をブチ抜いたのに!?」
リーフ  「おねいさんのためならそのくらいじゃ死なないよ!僕ドMだから!さあ僕と…」
ルパンダイブ中のリーフは空中で魔方陣に包まれ…消えた…
その隙でエフラムには充分だった…
エフラム 「せいっ!!!」
ヴァイダ 「しまった!?」
槍を叩き落され…喉元に槍先を突きつけられる。
エフラム 「…好きな勝ち方ではないが…隙を見せる方が悪いのだ」
ヴァイダ 「ぐっ…ち…畜生…」

ヒース  「ヴぁ…ヴァイダさん!」
ロイド  「動くんじゃねぇよ。これで勝負はついた…」

サラ   「僕と…なにかしら?」
リーフがレスキューされて飛んできたのは緑葉のアジトの酒場であった。
リーフ  「せっかくいいトコだったのにコノヒトデナシー!」
サラ   「今日のお仕置きは…」
リーフ  「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ…とでも言うと思ったかい!!!
      キシュナとハードのマッスル軍団?それともラグドゥ最下層!?
      そんなお仕置き慣れたものさっむしろ物足りないくらいだよ、さあどんとこい!」
サラ   「ポイズンにして一万ターン放置プレイね」
リーフ  「ちょ…なにその苦行…何時間かかるのさっ!?せめてひと思いに…」
サラ   「ひたすらターンエンドを押し続けるだけの作業ってプレイヤーも苦痛よね?
      クスクスクス…」
リーフ  「コノヒトデナシー!」

数時間後……

リーフ  「……ああ…毒は嫌だ…チクチクひたすらHPが減っていくのは嫌だ…HP無限でも嫌だ…」
サラ   「トラキアの状態異常のウザさはガチね…フフ…青くなったリーフの顔色…」
リーフ  「コノヒトデナシー!」
サラ   「あっとお仕置きに熱中して忘れるとこだったわ。緑風が露出狂して逮捕されたよ?」
リーフ  「……サザ…水路にいないと思ったらそんなことしてたんだ…葉っぱの日はまだ先なのに…」
サラ   「初犯だし罰金刑で済むと思うけどね」
リーフ  「仕方ないな…サザの取り分から払えばいいか…」

続く

1 サザの葉っぱを用意する 次からはこれくらいはつけてよね、エチケットだよ!
2 サザを信じる        いや…あのサザさんがそんな事をするなんておかしい…
3 噂の火消しをする     ミカヤ姉さんの耳に入ったらあまりにも気の毒だ…

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